コメディの王様、三谷幸喜監督のシチュエーションコメディ!
現実では絶対ありえない状況だからこそ、入り込んだ者勝ちな世界観で爆笑してください。
- 暇つぶしのつもりで見てください、終わるころには“見てよかった~”と思うはず
- 三谷監督作品を避けてきた人にも見て欲しい!
- 豪華キャスト陣の本気のコメディ、必見です!
それではさっそく『ザ・マジックアワー』をレビューしたいと思います。
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目次
『ザ・マジックアワー』作品情報
作品名 | ザ・マジックアワー |
公開日 | 2008年6月7日 |
上映時間 | 136分 |
監督 | 三谷幸喜 |
脚本 | 三谷幸喜 |
出演者 | 佐藤浩市 妻夫木聡 深津絵里 綾瀬はるか 西田敏行 香川照之 小日向文世 戸田恵子 |
音楽 | 荻野清子 |
【ネタバレ】『ザ・マジックアワー』あらすじ・感想
始まりは火遊び
舞台は守加護という港町。
クラブ“赤い靴”の支配人である備後登(妻夫木聡)は、街を牛耳るギャング天塩商会のボス・天塩幸之助(西田敏行)の愛人である高千穂マリ(深津絵里)に手を出し、殺されそうになります。
謝る備後でしたが、火に油を注ぐかのようにマリが反発してしまい、天塩の怒りは二人を殺してしまおうとするところまで沸騰します。
備後はとっさに「デラ富樫を知っている」と嘘をつきます。
デラ富樫とは伝説の殺し屋で、港町のギャングたちが血眼になって探している男のことでした。
天塩は、5日以内にデラ富樫を連れて来くる、という条件でいったん備後を解放しました。
しかし、デラ富樫は“伝説”と言われるだけあって幻のような存在です。
誰も正体を知らず、姿さえ知る者はなく、見つける術もなく。
期限として指定された5日で探し出すのは不可能だと判断した備後は、売れていない役者の村田大樹(佐藤浩市)に演じさせることにします。
港町の外で活動していて、誰も顔を知らないような役者であれば騙し通せるかもしれないと思ったのです。
備後は村田とマネージャーの長谷川謙十郎(小日向文世)に「村田が主演の映画を作る」と嘘をついて港町に連れてきます。
持ちかけられた映画「さすらいのデラ富樫」はプロットのみで台本がなく、長谷川は怪訝に思いますが、守加護の映画のセットのような街並みと初めての主演ということで村田は張り切りました。
真実がバレるとき。そして逃避行
村田が偽物だということを知っているのは、思わぬかたちで「さすらいのデラ富樫」に協力することになった備後とマリ。
あとは、クラブの従業員である鹿間夏子(綾瀬はるか)とバーテンダーの鹿間隆(伊吹吾郎)、そして港ホテルの女主人マダム蘭子(戸田恵子)です。
天塩に引き合わされた村田は、堂々たる態度で“デラ富樫”として振る舞います。
会話もなんとか奇妙な偶然が重なって、偽物だとバレることなく済みました。
天塩は村田を気に入り、雇います。
正確には「さすらいのデラ富樫」監督の備後の命令により、村田は天塩の配下に入ることになります。
本物のデラ富樫はというと、天塩商会と対立する勢力・江洞商会のボスである江洞潤(香川照之)に雇われており、天塩を暗殺しようとしていました。
暗殺計画を知っていた天塩は、江洞に電話し「デラ富樫は私のところで引き取った」と伝えます。
江洞と食事をしていた本物のデラ富樫は、自分の偽物の存在に憤怒しました。
マリは備後に、命は助かったのだから早く逃げようと言い、二人で街を出ようとしますが、備後は村田のその後が気になり引き返してしまいます。
もたもたしているうちに、天塩に村田が偽物だということがバレてしまい、村田には一連の騒動が映画の撮影なんかじゃないことがバレます。
備後は天塩の前で、みんな死んだふりをする計画を立てます。
綿密に練ったシナリオを掲げ、村田は旧知のスタッフたちを呼んで協力を仰ぎ、盛大に火薬や血のりを仕込み段取りを確認します。
ところが天塩を騙す芝居を始めた途端に、陰から見ていた天塩は予想だにしない行動に出ます。
国税局から目をつけられて、江洞に権力を握られてしまった天塩は、ヤケになり“殺しなら私を殺せ”と言い出したのです。
陰から見てはいましたが、備後の計画した芝居だとは知らなかった天塩は、自分の命と引き換えにしてでもマリを助けようとしたのでした。
天塩の愛人であるマリは心を動かされ、二人は愛の逃避行に出ました。
さらばデラ富樫
せっかく盛大に火薬や血のりを仕込んだというのに、何の意味もなさなくなってしまったことに呆気にとられていると、そこに本物のデラ富樫が現れます。
デラ富樫は村田と同じ港ホテルに宿泊している船医の清水(浅野和之)でした。
芝居で負傷した村田の傷の手当てを何度も行っていた男です。
デラ富樫を騙ったと怒る清水を前に、村田たちは一芝居打ちます。
天塩のために用意した爆薬がここで活躍するのです。
村田が「俺に拳銃はいらない」と言えば、指の動きだけで爆発が起きます。
これには伝説の殺し屋デラ富樫もびっくりして退散します。
マジックアワーを味わいながら、村田はそれでもまだ役者を続けようと決意したのでした。
私が『ザ・マジックアワー』を見るとき
なんだかいろいろ面倒くさい!とりあえず頭カラッポにして笑いたい!というときに見ます。
キャラクター設定やストーリーの綿密さはもちろんのこと、キャストも豪華でセットもしっかりしている。
なのに「くだらないなぁ!」って笑える作品です。
三谷監督特有の、しっかりしっかり時間をかけて土台を築いてからの笑いのターンが爆発的なのです。
くだらないっていうのもすごく良い意味で。
本気でバカやってるのを、ただただ楽しんで見ていられる感覚です。
そして村田の役者業に対する想いであったり、ちょっとしんみりする場面もそこそこにあって、それが一層この作品を好きにさせます。
あと、あらすじに記したように、本当にキャスト陣が豪華でみんな濃い。すっごく濃いです。
港町で対立するギャングのボスが西田敏行と香川照之っていうだけで、もうおもしろいじゃないですか。
妻夫木聡のチキンなのに暴走気味に突進していく備後という役もぴったりだなぁと思います。
そして、なによりも村田を演じた佐藤浩市の弾けっぷりがヤバい。
くたびれた中年の売れない役者が大袈裟に殺し屋やってみた感、これがプロの仕事か…と思いました。
三谷幸喜監督の作品はいくつか見ていますが、この作品が一番好きです。
マジックアワーとは?
晴れた日の、太陽が沈みきっているのにまだ辺りがほんのり明るい、ほんのわずかな、しかしもっとも美しい時間帯を指す写真・映画用語です。
それが転じて、この作品では“誰にでもある「人生でもっとも輝く瞬間」”を意味しているそうです。
用語としての説明でピンとこなかった人に身近な例で言うとすれば、晴れた日の夕方に太陽が沈んだあと、空は明るいけど自分の影がないときってありませんか?自分だけじゃなくて周りの人、建物、みんな影がなくなる時間。
意識して過ごしていないと見逃すくらいの短い時間なので、経験していても気づいていない人の方が多いかもしれません。
私は子供のころに父から教えてもらった、この不思議な時間が好きで、“マジックアワー”という言葉の方を先に知っていたうえで映画を観ました。
だからなのか、ちょっとだけ懐かしい気持ちになる作品でもあります。
マジックアワーを知らなかった人は、晴れた日の夕方、太陽が沈んだら自分の影を見てみてください。
夏場の方が見られる日が多いような気がするのでぜひ。
散りばめられた名作のオマージュ
公開当時に三谷監督がテレビで言っていたことなのですが、醤油がテーブルに流れる『アンタッチャブル』のワンシーンとか、天塩が『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランドーみたいだとか、『ギター弾きの恋』のワンシーンとか…パロディというべきかオマージュというべきか、気づいた人だけがクスッと笑える場面がいくつか散りばめられています。
故・市川昆監督が登場して『黒い101人の女』という映画を撮っている場面もなかなか凄いなぁと思います。
他にもたくさん、きっと私が知らない作品を模しているシーンもあるんだろうなと思うので、これから見る方はそういうところも楽しんでみてはいかがでしょうか。
あとワンシーンだけですが香取慎吾も出演しています。
三谷監督作品の『THE 有頂天ホテル』に出演した只野憲二役でのゲスト出演だったみたいです。
『ザ・マジックアワー』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『ザ・マジックアワー』について紹介させていただきました。
- 心の準備とか必要ナシ!なんとなく見て大笑いしてください!
- 豪華キャスト陣が大真面目にコメディやってるのがまたおもしろい
- そこかしこに散りばめられた名作のオマージュ探しも楽しいですよ
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