映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』はタイトルに「ゾンビ」と入っているけれど、みんなが思うようなホラー映画、あるいはゾンビ映画ではありません。
これは両親が死んだのに全く泣けない子どもたちが出会い、バンドを結成する!?という異色の青春音楽映画なのです。
今作はたくさんの人々の心を揺さぶり世界中からも高く評価され、サンダンス映画祭・ベルリン国際映画祭で2冠を受賞しました!
- ゾンビ映画ではありません。青春音楽映画です。
- 新進気鋭かつインパクト大の長久監督と主演4人の子役たちのこれからに注目!
- 映像の美しさとコンセプトが胸に刺さる!ほぼワンテイクの圧巻のライブシーン。
2019年8月31日には、今作がまだ劇場公開中にも関わらず、24時間限定で公式サイトで全編が無料公開されたことでも話題を呼びました。
そんな映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』をネタバレありでレビューします。
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目次
『ウィーアーリトルゾンビーズ』作品情報
作品名 | ウィーアーリトルゾンビーズ |
公開日 | 2019年6月14日 |
上映時間 | 120分 |
監督 | 長久允 |
脚本 | 長久允 |
出演者 | 二宮慶多 水野哲志 奥村門土 中島セナ 佐々木蔵之介 工藤夕貴 池松壮亮 初音映莉子 村上淳 西田尚美 佐野史郎 菊地凛子 永瀬正敏 |
音楽 | 山田勝也 LOVE SPREAD |
【ネタバレ】『ウィーアーリトルゾンビーズ』あらすじ・感想
両親が死んでも泣けない子どもたち
今作の主人公であるヒカリ(二宮慶多)、イクコ(中島セナ)、タケムラ(奥村門土)、イシ(水野哲志)が出会った場所は火葬場。
ヒカリの両親はバス事故で、タケムラの両親は自殺。
イシの両親はガス爆発で焼死、イクコの両親は変質者に殺されました。
事故や事件で両親が死んでも泣けない4人は意気投合し、一緒に過ごすことを決めます。
感情がない4人はまるでゾンビのよう。
マルコヤマモト
主人公4人の年齢は13歳という微妙な感情のお年頃。
両親が死んでも冷めている4人の会話に、ちょっと違和感すら覚える序盤です。
そして物語は、まるでRPGのように進んでいきます。
演出から撮影の仕方、カメラのアングルまでがRPGのような見せ方になっているのも今作のポイントです。
人生はリセットできない…だからこそ
ゴミ捨て場にたどり着いた4人は、ホームレスたちが演奏する音楽に出会い、自分たちもバンドを結成することを決意します。
そして、バンド「LITTLE ZOMBIES」が誕生したのです。
バンドは4人が感情を取り戻すための冒険でした。
宝物のような4つの才能は、たちまち大人たちの目に留まります。
ゴミ捨て場に住む望月(池松壮亮)により発見された「LITTLE ZOMBIES」は、すぐさまメジャーデビューの道を歩みます。
4人の才能と両親を亡くしたというバックグラウンドは、すぐさま世間に受け入れられました。
ヒカリたちと同年代中心のファンが増加、バンド活動は順調に進んでいたように思えました。
しかし、ツアータイトル「殺したのは誰だ」に因んで、SNSでは勝手に犯人特定が始まります。
そして、世間に叩かれたいちご狩りバスツアーの運転手が自殺するという事件が起きたのです。
この事件を機にバンドは解散。
ラストライブの観客はゼロでした。
大人たちに見捨てられた4人は、再び厳しい現実世界に放り出されたのです。
ヒカリは親戚の家へ行くことになりましたが、その前にどうしても最後に両親が行くはずだったバスツアーの目的地に行きたいと思っていました。
ヒカリのことを見送りに来ていたイクコ、タケムラ、イシはヒカリの願いを叶えるためにヒカリの手を取り、ホームを駆け抜け電車に飛び乗ります。
追ってくる大人たちを振りほどき、電車を降りた4人は車を手に入れます。
タケムラが運転をしていましたが、途中で車がなにかにぶつかります。水の中を沈んでゆく車…。
ヒカリの目には、今までの人生が走馬灯のように映っていました。
突如画面に「コンティニューしますか?」の文字が現れますが、ヒカリは「ゴミみたいな人生」とつぶやくと「NO」を選択します。
そこでゲームオーバー。しかし、LITTLE ZOMBIESメンバーの声が聞こえてきました。
「絶望とかだっさ!」
「空気読め!」
「もう一回選択画面を出せ」
ヒカリが次に選んだ答えは「YES」。すると、次に現れたのは赤ちゃんの誕生シーンでした。
「ボウケンノハジマリデス。ナマエハナニニシマスカ?」
それはヒカリがこの世に誕生したとき、両親がヒカリという名前をつけたときの映像でした。
次にヒカリが目を覚ますと、車はバスの事故現場に到着していました。
そしてついに、一同はいちご狩りの草原に到着します。
ツアーの目的地の草原は、富士山が見える絶景ポイントでした。
なぜ両親はここへ来たかったのだろう…?
そんなことを考えながら、ヒカリたちはそれぞれ草原の中をぐんぐんと歩き進みました…。ここで物語は終わります…。
一度は人生を放棄しようとしたヒカリが、タケムラ、イクコ、イシたちとの出会いにより再び感情を取り戻し、次は「生きる」という選択をします。
マルコヤマモト
生死とは、現実ではそんなに簡単ではないのです。
私たちの場合は与えられた命は1つだけ。
どんなに辛いことがあっても命がある限りは、人生をコンティニューせざるを得ません。
でも、諦めてしまってはすべてが終わり、つまりゲームオーバーです。
マルコヤマモト
『ウィーアーリトルゾンビーズ』の感想
マルコヤマモト
門土くんは子供の頃から似顔絵を描き続けていて、天才絵師としても有名な少年です。
マルコヤマモト
門土くんの画集も持っていますし、家族バンドのCDも持っています。
映画にも登場していますが、門土くんの弟の天ちゃん、妹の今ちゃんが出ているということが正直な動機だったのです。
マルコヤマモト
ほぼワンカットと見られるLITTLE ZOMBIES初めてのライブシーンには、思わず目を大きく開いて見入ってしまいました…。
それはまさにゴミ溜めから宝物が生まれる瞬間でした。
しかし、4人の幸せは長くは続きませんでした。
大人たちに翻弄された4人が再び社会に放り出されたとき、自分たちで生き方を見つけなければならないという過酷な現実が待ち受けているのです。
マルコヤマモト
今作が2019年8月31日に無料公開された「意味」を考えた時、これは大人向けだけではなく、ヒカリたちと同世代の中高生に向けたメッセージも隠されているのではないかと思いました。
憂鬱な新学期を控えた夏休み最後の土曜日に、
「本当に死ぬより死んだように生きている方が、もしかしたらマシかもしれないよ?」
「“死にたい”と思う出来事があったとしても、何かに絶望したとしても「ゾンビのように生きてみれば?ただ、ダラダラと…そうすれば何か輝けるものが見つけられるかもしれない!」
というメッセージが含まれているのではないでしょうか?
マルコヤマモト
「絶望を与えてくるようなやつからは逃げても良いんだぜ!」
それが新学期前の2019年8月31日に無料公開された「意味」なのかな~と考えています。
マルコヤマモト
知っている俳優さんだけではなく、バンドマン界隈のカメオ出演もチラホラ見かけられるのでインディーズ音楽が好きな人も楽しめる作品ですよ(笑)
『ウィーアーリトルゾンビーズ』撮影秘話!?
前項で「奥村家族のファン」であることを明言しましたが、何を隠そうお父さんであるボギーさんの大ファンなんです…。
そしてまさに無料配信があった2019年8月31日!奥村門土くんのお父さんであり、ミュージシャンのボギーさんがホストを務めるトークイベントが開催されたので遊びに行ってきました(笑)
マルコヤマモト
その中にはもちろん『ウィーアーリトルゾンビーズ』の撮影秘話も!
- ミュージシャンのボギーさんと長久監督の出会いが門土くんの出演に繋がったこと。
- 実は反抗期だった門土くんとボギーさんの関係を修復してくれた映画だったということ。
- 門土くんが毛虫嫌いで、あるシーンの撮影の際にとても苦労したということ。
無料配信の日ということや、会場のお客様がほとんど映画を観ていたということもあり大変盛り上がりました!
ボギーさんは家族でバンドを組んでおり、夏休みなどは全国各地でライブをしています!
マルコヤマモト
観終わった後は元気をもらえますよ。
そして門土くんに似顔絵を書いてもらうチャンスもあるかもしれませんよ!?
『ウィーアーリトルゾンビーズ』まとめ
\『#ウィーアーリトルゾンビーズ 』 Blu-ray&DVD絶賛発売中‼️/
タワーレコード神戸店さんの店頭では撮影で実際にヒカリが持っていたポケットゲームを展示中です✨
ゾンビーズ🧟🧟♂️愛💖たっぷりな展開☺️お近くにお住まいの方はチェックしてみてください😉💕💕 pic.twitter.com/xKSMLQ8VbA
— ウィーアーリトルゾンビーズ (@littlezombies_m) February 10, 2020
以上、ここまで映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』について紹介させていただきました。
- 大人だけでなく、悩める中高生にぜひとも観てほしい作品。
- ファミコンを意識させるビジュアルデザインの作りが昭和世代にもガッツリ刺さる!
- RPGのように人生はリセットできない。リアル世界では死んだら終わり!ただ、ありのまま生きているだけでもすごいことなんだよ!ということを教えてくれる作品。
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