『Let’s 太って痩せるダイエット』は、トレーナーのドリュー・マイニングの提唱する画期的な方法で、トレーナーとペアとなったパートナーがダイエットに挑む、体重の増量と減量をとらえたドキュメンタリー。
肥満を解消する手伝いをすることを生業とするトレーナーと、そのパートナーが、体重を落とすための悪戦苦闘するリアリティ・ショーで、肥満体国のアメリカらしい豪快で過激なその内容から目が離せません。
正直なところ、日本語タイトルはイケておりませんが、その内容には相当な破壊力があります。
ペアをなる相手との減量の前に、トレーナーがシュッとした身体に4か月かけて重量をのせるという驚きの展開に唖然とします。
不健康な生活からの脱却が、どれだけ健康な身体を作るのに、効果があるのかを実証する目からのウロコのパンチの利いたドキュメンタリーです。
それでは『Let’s 太って痩せるダイエット』について解説していきます。
・まずはトレーナーが太るところから
・摂取する食事と変わる体質
・トレーナーたちの知らなった事実
・メンタルがなにより大事
目次
『Let’s 太って痩せるダイエット』解説・感想/h2>
トレーナーの試練
肥満体国のアメリカでは、トレーナーの助けを借りて減量をするということは、ごく普通のことです。
でもトレーナーのドリュー・マイニングのダイエットへのアプローチは、他のどのトレーナーとも違いとてもユニーク。
過去に超肥満に悩むクライアントへの指導に苦戦し、もがいていたドリューは、自分自身が30キロ以上太ることで、肥満のメカニズムとクライアントのメンタルを理解することが出来たといいます。
そのドリューの「太って」「痩せる」プロセスをトレーナーたちが挑戦するというのが、この番組のコンセプト。
トレーナーとパートナーが、ペアを組んで前半4か月はトレーナーの増量に焦点をあて、増量が完了したあとの4か月で、パートナーとともに減量を始めるという過激な内容です!
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体重増加のプロセス
トレーナーのアレックスが担当するのは、典型的な肥満体型の128キロのジェフ。
アレックスは、デスクワークで食べてばかりいる28歳のジェフの生活を再現して、最初の4か月で、75キロの自分の体重を27キロ増やすという目標を定めます。
ジェフのようにジャンクフードを炭酸飲料で流し込み、一切トレーニングをしないという生活を始めたアレックスは、体重の増量させる開始当初は食事制限のない生活を楽しんでいたものの、すぐに身体の異変を感じ始めます。お腹からすっかり筋肉が消え、だらしなくせり出してきたうえ、心臓の鼓動が重く感じ、息切れをするようになります。運動がしたいと、こぼすアレックスは、体が死んでいくような感覚にとらわれ、不安定なメンタルに陥ります。太ったことで、気分もコロコロ変わり、精神状態はボロボロ、恋人との関係もうまくいかなくなる始末。そして4か月でアレックスは、減量を担当するジェフと同様に肥満の身体を手に入れたのでした。
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減量の本当の意味
4か月ぶりにアレックスに再会したジェフは、アレックスの激太りした姿に大喜び。
ジェフ同様の立派な肥満体となって、やっとダイエットのスタートラインにたったアレックスは、ジェフともトレーニングを始めます。
ところがジェフに課したトレーニングを、4か月ぶりに自分もやってみると、身体が動かずバテバテ、スタミナがなくなったことに愕然とするのでした。
肥満に悩む人を「自己管理が出来ない無責任な人間だ」と一刀両断だったアレックスは、自身も肥満体となったことで、これまでの視点を変えるようになります。
そして、元の筋肉質でしなやかな身体を取り戻そうと、ぶよぶよになった身体でジェフとともにトレーニングに励むのでした。
ダイエットも9週間目に入り、痩せている実感がないと、自信をなくし落ち込むジェフ。
トレーニングの成果が出ているのに、それがわからなくなったジェフに、「大事なのは見た目じゃない、劇的な変化は、身体の中で起こっている」と、減量前の血糖値とコレストロール値を比べてみせ、と改善した数値に目を向けるように励ますのでした。
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身体の中に起こる変化を忘れがちですが、アレックスのいうように、大事なのは健康であること!
別人となったジェフ
4か月に及ぶアレックスとの二人三脚のトレーニングを終え、40キロもの減量に成功したジェフ。
家族や友人にお披露目したその姿は、4か月前からは、想像もつかないほどの激変ぶり。
ジェフは、周囲からの絶賛だけなく、痩せたことで、心身ともに軽くなったと、健康だけでなく、人生をも取り戻したと減量できたことを心から喜ぶのでした。
そしてアレックスもまた、ジェフと一緒に体重を落とした経験は、トレーナーとして何よりも変えがたい財産となったというのでした。
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目に見える健康被害
『Let’s 太って痩せるダイエット』に登場するのは、アレックスを含めた6人のトレーナーたち。
減量のメカニズムを熟知し、体重が増える原理を理解するプロでありながら、どのトレーナーたちも自身の体重の30%を4が月で増やすのに苦戦を強いられます。
トレーナーたちは、運動をすることなく、ジャンクフードや脂っこいものの暴飲暴食、太るためにとんでもない量の脂質と糖分を摂取します。
太っていくプロセスは、決して楽なものではなく、苦しいことばかり。
トレーナーたちは、増加していく体重が及ぼすメンタルへのダメージに驚き、甚大な健康被害への理解を深めるのでした。
友人のクインシーとペアを組んだトレーナーのウィリーには、体重の増量途中に心筋症を発症し、挑戦の離脱を余儀なくされる過酷なものでした。
肥満に悩む人の長年かけて蓄積すると思われていた健康被害は、期間に関係なく、たった4か月の短期間の乱れた食生活でも健康リスクを引き起こすと、トレーナーたちの身体を張った挑戦で実証してしまうのでした。
パニールと組んだ元ボクサーでトレーナーのキャリーは体重増加のための暴飲暴食で高血圧になり、糖尿病の危機まで診断される始末。
不健康な食事は、年齢に関係なく心臓病や脳卒中のリスクを高めると恐ろしい事実をうつしだすのでした。
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トレーナーと二人三脚
4人のトレーナーとそれぞれにペアを組んで、ダイエットに挑戦したのは、トレーナーの100キロ超えの夫や妹、友人たち。
増量に挑むトレーナーと関係の近いだけに、トレーナーたちが体重を増やす4か月の間に促された減量も、そんなことどこ吹く風、やりたい放題で自分の置かれた立場を理解している気配がありません。
太ることに苦労するトレーナーたちが、食べ物に嫌悪感さえ持つようなっているのに、ダイエット予定の重量級のパートナーたちは能天気なのでした。
そして、始まった100キロ超えのジェレミー、パニール、トニとロリのダイエット挑戦者たちとトレーナーたちのダイエット。
トレーナーたちは、4か月にも及んだ苦しい増量の苦労を払拭するかのように、パートナーたちを叱咤激励して、食事制限やトレーニングの指導、ダイエットをする自分の身体に向き合うのでした。
ところが本当にダイエットが必要なジェレミー、トニ、ロリ、パニールは、それぞれのトレーナーのいうことが聞けず、減量が思うように進みません。
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ダイエットに迷走するメンバーは、ぼんやりした目標でビジョンがはっきりせず、トレーナーたちの指導になかなかエンジンがかからないのです。
元の体型を取り戻したいと、確かな意思を持つトレーナーの減量は順調に進んでいくのに対し、それぞれのパートナーは、思うように痩せらず精神的に追いつめられていきます。
それでもダイエット挑戦者たちは、指導するトレーナーと激しく衝突をしながらも、最後にはそれぞれにトレーナーと二人三脚で体重を減らす目標に向かうのでした。
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ストイックな彼女の体重の増減は、きっちり体重を増やして、スッキリとキレイに減量・・・そのプロ根性は脱帽ものでした。
健康と自信を取り戻したダイエット挑戦者たち
4か月の減量チャレンジを終えたトレーナーとダイエット挑戦者たち。
ジェレミーは40キロ、パニールは15キロ、トニは20キロ、ロリは35キロと、全員が別人のような驚くべき姿となって減量を成功させています。
それぞれに肥満に悩み、曇りがちだったジェレミー、パニール、トニとロリの4人の表情は、痩せたことで自信が生まれ、人生と健康を取り戻したことに、誰もが表情を輝かせ、減量のサポートをしてくれたトレーナーへの感謝の言葉を口にするのでした。
『Let’s 太って痩せるダイエット』解説・感想まとめ
以上、ここまで『Let’s 太って痩せるダイエット』をレビューしてきました。
・体重増加により精神状態の変化
・リアルに思い知る肥満の実態
・サポートするのは、メンタル
『Let’s 太って痩せるダイエット』は、「敵を知り、己を知る」を地で行く実践ダイエット・ドキュメンタリー。
この番組のスゴいところは、肥満のメカニズムを知るために、トレーナーたちがペアとなった相手とトレーニングを始める前に、自らの身体をパートナーと同じように増量させることです。
仕事柄、健康意識の高いトレーナーたちが、日ごろの食生活やトレーニングを全て横において、締った身体を故意に破壊、元ある体重の30%を増やして、担当する相手の肥満の状態を理解して、初めて減量プロセスに入るというポイント。
4か月かけて、体重を増やすプロセスを経たトレーナーたちが何より驚いたのは、変わる体質だけでなく、メンタルの状態でした。
文字通りのトレーナーたちの身体を張った体重の増量プロセスは、摂取する食事と日々の過ごし方、人の精神状態がどう身体に変化を及ぼすか、私たち視聴者に新たな発見をみせてくれます。
私たちの生活で重要なのは健やかな身体を保つことで、体重の維持は、あくまでその一環でしかでないというのです。
仮に太ってしまったとしても、ダイエットとは、やみくもな体重の減少が目的ではないと、あらためて気づかせてくれる、目からウロコのドキュメンタリーです。
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