玉葉妃の名を借り、再び風明の元を訪れた猫猫。彼女こそが園遊会で里樹妃を毒殺しようとした犯人だと分かった猫猫は、辿り着いた真相を語り始めます。
猫猫が阿多妃の子を取り上げた医官の娘だと知って血相を変える風明。
真相の先に待っていたものは…。
なかなか寝付けない猫猫は、1人塀に登って月を眺めていると、後宮を去ることが決まっている阿多妃がやってきて酒を勧めてきました。
もう子を産めず、後宮を後にする阿多妃は何を語るのでしょうか。
目次
アニメ『薬屋のひとりごと』第10話のあらすじと振り返り
壬氏に言われ、柘榴宮へ大掃除の手伝いへと行かされた猫猫は、侍女頭・風明の指示に従って仕事をこなします。なにを調べろとは言われていないものの、風明の腕に火傷の跡があったことから、彼女が外と連絡を取る前、火を使って暗号を送っていたのだろうと猫猫は考え、壬氏に報告します。
褒美として、壬氏が手に付けた蜂蜜を舐めさせられそうになった猫猫でしたが、玉葉妃の介入によって回避。しかし、風明の家が養蜂場を営んでいることや、玉葉妃とのお茶会の席で里樹妃が蜂蜜をみて顔をこわばらせたこと、里樹妃が侍女を1人連れて柘榴宮をこっそりうろついていたことを思い出します。
猫猫は早速里樹妃の元へと向かい、蜂蜜が苦手な理由と風明との接点を言及。後宮の歴史が記されている本を見せてもらい、阿多妃が出産をした17年前のことを探った時、猫猫は子供を取り上げた医官が自分の養父であったと知るのでした。
【ネタバレあり】アニメ『薬屋のひとりごと』第11話あらすじと感想
羅門の娘・猫猫、風明と対峙
玉葉妃から文を持ってきたと言い、風明との接触に成功した猫猫。荷物が整理されていることから、阿多妃が後宮を去ることは既に決まっていることなのだなと、猫猫は確信しました。そのうえで彼女は、風明に対し、阿多妃の出産時に何があったのかと尋ねます。
ただの侍女が知る必要のないことだと言い、風明は一度は口を閉ざします。しかし、阿多妃の子を取り上げたのは自分の義父・羅門だと知ると、風明の表情は一変しました。
当時、阿多妃が出産は時の皇后の出産と重なってしまったがため、阿多妃の出産は後回しに。その結果、子供を無事に生むことはできたものの、阿多妃は子宮を失い、二度と子供を産めない体になってしまったのです。
体調が芳しくない阿多妃の代わりに子どものお世話をしていた風明は、滋養に良いとされる蜂蜜を与えていたのですが、それが死につながってしまったのです。表向きには謎。今ではおしろいの毒だと思われていますが、当時羅門がこれを禁止していたたことも知っていたことから、猫猫はこの真相に辿り着いたのでした。
KAMUI
里樹妃毒殺事件の真相
阿多妃の子を殺したのは自分が食べさせていた蜂蜜だとう真相が明るみになることを恐れた風明は、かつて蜂蜜で具合を悪くし、侍女から食べないようにと言われていた里樹妃が、阿多妃に話せば大変だと考えました。母と娘のように仲が良い2人の妃のことだから、その可能性は十分にあると考えた風明は、ある日を境に里樹妃を阿多妃に会わせないようにしていたのです。
間もなくして里樹妃は夫である先帝が崩御し、出家したものの、同じ上級妃として戻ってきたことで、毒殺を計画した…猫猫はそう推理したのでした。
KAMUI
「欲しいものはなに?」
「そんなものはありません」
「何でもいいのよ」
風明の後ろには包丁。緊迫した空気が漂います。
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二つを一つに
そんなものは何の意味もないだろうと猫猫はいうと、風明はため息を一つつきます。
親の言いなりになることが当たり前だった風明は、女でありながら帝と対等に話す阿多妃がとても眩しく見えていました。自分の主となるこの人を大切にしたいと思うも、彼女の一番大切なものを奪ってしまったことに嘆きます。
「子どもは天の命に従ったまで」と侍女たちの前で言いながらも、阿多妃が毎夜泣き明かしていることを知っているからこそ、風明はこの事実を言い出すことなどできませんでした。
17年もの間ずっと阿多妃のために自分を犠牲にして身の回りのお世話をしてきた風明。そこまで他人を大切に思える心がない猫猫は、嘆く彼女を冷静に見つめるしかできません。
風明の死罪は免れません。そこで猫猫は、ふたつの罪をひとつとし、自分は里樹妃を毒殺しようとした犯人だと自首するよう促します。同期は蜂蜜で東宮を殺してしまったことではなく、後宮から追い出される阿多妃を守るためにと…結果、風明が阿多妃の子供を蜂蜜で殺してしまったことを隠すために…。
KAMUI
風明が自首してきたと壬氏から聞かされた猫猫は、真相を話すことなどしません。そして、阿多妃は皇帝の判断により、阿多妃は後宮の外の離れに住まわせることが決まっていたことも知らされるのでした。
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皇帝の友となった阿多妃が侍女の死を嘆く
風明の処刑が終わり、阿多妃が後宮を去る前夜、なかなか寝付けない猫猫は、塀に登って月を見上げていると、阿多妃も登ってきました。すぐにその場を去ろうとした猫猫でしたが、阿多妃から酒を進められ、少しの間彼女の話相手となることにしました。
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皇帝の友人だったはずが、自分が妃となったことに驚いている阿多妃。子どもがいなくなってからは友人に戻ったようだとも考えます。自分は別に友人で良かったのに、どうして縋り付いてしまったのだろうと、彼女は1人後悔を口にします。
「水の中は寒かっただろうな…苦しかっただろうな…」
「そうかもしれません」
「バカだよな。」
「そうかもしれません」
「みんなバカだ」
「そうかもしれません」
下女が落ちた堀に酒を流し、涙をこぼした阿多妃は一足先にその場を離れていきました。
そんな彼女の姿を見た猫猫は下女は自殺だったのかもしれない、風明がその手伝いをしたのかもしれないと考えます。阿多妃に嫌疑がかからないようにと、下女は自ら命を投げだし、阿多妃を悲しませないため、風明は真実を秘めたまま処刑台に上がる。彼女のために命を懸けた者達がいるのだと、猫猫は思わされるのでした。
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酔った壬氏の涙
阿多妃が戻るのを見届けたのち、猫猫は自身の体がすっかり冷えてしまったことに気づきます。そろそろ部屋へと戻ろうとしたその時、塀の下から声をかけられたことに驚き、猫猫は落下してしまいました。誰が声をかけたのかと声を上げますが、あろうことか猫猫は壬氏を下敷きにする形で落下。さっさとどけようとするも、酔った壬氏は寒いからと言って彼女を後ろから抱きしめます。
酒の相手は阿多妃。飲ませるだけ飲ませたあげく、阿多妃は壬氏をおいてどこかに行き、戻ってくるなりスッキリしたという理由で帰されてしまったのです。
ベタベタするなと離れたい猫猫でしたが、落下しそうになったところを受け止めてもらったことを無碍に出来ない。その上、首筋に壬氏の涙が落ちるのを感じた猫猫は、少しの間彼に付き合うのでした。
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似ている2人を見た時、猫猫の中にある疑いが沸き上がる
翌日、後宮を去る阿多妃は淑妃の証である冠を返しました。入内してくる娘に渡されるその冠を受け取ったのは壬氏。2人が並んでいるところを見た猫猫は、柘榴宮で阿多妃にあった時、誰かに似ていると思った相手が彼だと納得しました。
服装を入れ替えたほうがよっぽど…その時、ふと猫猫は新たな疑惑が沸き上がってきました。月見酒をしたとき、子どもが死んでからではなく「いなくなってから」と言ったということは、子どもはまだ生きているのではと考えたのです。
出産の時、羅門は阿多妃の出産に立ち会うも、宦官達に皇后の元に生まれる赤子を優先させるため連れて行かれました。この時阿多妃は自分の子が優先されないと身に染みて思ったのでしょう。何が正しいのか判断が出来ない状態だったでしょうが、阿多妃は自分の子どもを守るためにやったのかもしれません。
後日、赤子が取り換えられたとバレたとする。もしそれが赤子が死んだ後だとすれば、気づかなかった羅門が肉系でひざの骨を抜かれた事にも納得がいってしまうのです。
もしそうなら、皇帝の弟が微妙な立場であることも、阿多妃は妃の座に座り続けたことにも合点がいくと猫猫は考えるのでした。
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中世的な美しさを持つ阿多妃の笑顔は母のようで…
阿多妃が後宮を去ろうとするその時、彼女に一目会うため、里樹妃が駆けつけてきました。毒見役は里樹妃を追いかけ、他の侍女は眉をひそめてまた小言を言います。
転んで涙を浮かべる里樹妃に阿多妃がそっと歩み寄ります。その時、青年のような凛々しい妃の顔が母親の顔に見えるのでした。
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中世的な美しさを持つ阿多妃の笑顔は母のようで…
阿多妃と里樹妃の笑顔を見届け、猫猫は後宮へと戻っていきます。
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高順は壬氏の命で風明の関係者を調べ上げてきたのですが、その結果を見て壬氏はため息を一つつきます。
「攫われて売り飛ばされたと聞いたが…」
彼の目の前にある木簡には「翡翠宮 猫猫」と記されているのでした。
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アニメ『薬屋のひとりごと』の次回に期待するもの
園遊会から続く毒殺事件、その前からある炎色反応の事件もここで解決。伏線を長く張り巡らされていた感があるため、このクールのメインという感じがしましたね。
しかし理由が悲しい。後宮という場所に置いて仕方がないことゆえに、亡くなった子供も、自殺した下女も風明も、足の骨を抜かれたおやじも可哀想に思えて仕方がないです。
そんな中、取り換えたという新たな仮説。これもまた今後の伏線になるでしょう。
さて、最後に出てきた木簡。これがこのクールのラストに繋がっていく話なわけですが…最後まで楽しませてくれそうですね!