2020年、朝鮮戦争勃発から70年が経ちますが、未だ韓国と北朝鮮の軍事境界線は休戦状態で今も緊張感が漂っています。
中国など共産主義国から支援を受ける北朝鮮が、事実上国境化していた38度線を超え、韓国側へ攻め込んだのが始まりと言われている「朝鮮戦争」。
それから3年、朝鮮戦争停戦が決まり、生きて故郷に戻れると喜ぶ隊員たち。
ですが、上層部からは「停戦までの12時間の決死で戦え」と指令が来て、喜びもつかの間、隊員たちは最後の死闘を繰り広げることになるのですが…。
主人公のエリート将校でとある調査のために高地への移動になるカン・ウンピョ中尉役にドラマ『悪い刑事〜THE FACT〜』のシン・ハギュン、心優しいビビリな性格から一転してしまう「ワニ中隊」のキム・スヒョク中尉役に映画『尚衣院 -サンイウォン-』のコ・ス、スヒョク中尉の上官でモルヒネ中毒でありながら適格な指示ができるシン・イリョン大尉役にドラマ『輝く星のターミナル』のイ・ジェフン、また北朝鮮のヒョン・ジュンヨン中隊長役には映画『エクストリーム・ジョブ』のリュ・スンリョンと、かなり豪華なキャストが集結しました。
- 『プライベート・ライアン』に匹敵する死闘シーンに注目!
- 若きイ・ジェフンの今までに見たことのない演技に要注目!
- 実話を元にした手に汗握る大作
それではさっそくネタバレありで映画『高地戦』をレビューしていきたいと思います。
目次
『高地戦』作品情報
作品名 | 高地戦 |
公開日 | 2012年10月27日 |
上映時間 | 133分 |
監督 | チャン・フン |
脚本 | パク・サンヨン |
出演者 | シン・ハギュン コ・ス イ・ジェフン イ・ダウィ コ・チャンソク チョ・ジヌン |
音楽 | チャン・ヨンギュ タル・パラン |
【ネタバレ】『高地戦』あらすじ
高地で戦う謎の部隊「ワニ中隊」を捜査せよ
1953年、朝鮮戦争が泥沼化する中、南北の境界線上にあるエロック高地では幾度も領地を奪い合う激しい戦いが起きていました。
そんな中、その高地で誰かが北の軍人と内通しているとの噂が流れ、さらに北側の軍人の書いた手紙が韓国軍経由で郵送されている証拠もあり、その事実を追求するためにカン・ウンピョ中尉(シン・ハギュン)が派遣されることになります。
さらにウンピョは上官から、「キム・スヒョク(コ・ス)とは友人だったな?」と聞かれるのですが、彼は北側に連れていかれ亡くなったはずと答えます。
しかし上官は「スヒョクは生きている、お前が今から向かうワニ中隊にいる」と言い、ウンピョは衝撃を受けます。
同行するユ・ジェホ大尉(チョ・ジヌン)と共に高地へ来たウンピョはそのスヒョクと再会を果たします。
ですが、ウンピョはしばらくスヒョクと共にしているうちに、あの心優しくいつもおびえていた自分の知るスヒョクではなくなっていることに気づき、何が起こったのか気になって仕方がありません。
スヒョクの他にも、常にモルヒネを注射している冷酷な男、シン・イリョン大尉(イ・ジェフン)がいました。
イリョンもスヒョクと同じく、どこか影のある上官で、しかも新任上官のジェホにも悪態をつくような人物でした。
そして、またいつものように高地戦での激戦が繰り広げられる中、今回は高地を韓国軍が占領することになり、そこでウンピョはついに隊内の誰かが北側と内通している証拠を突き止めるのです。
内通ではなく「双方が心通わせる交流の場」
高地の上部にある隠れ家のような洞窟、そこには木の箱が置かれ、中にはお酒や変わったコップ、そして手紙も入っていました。
それを見たウンピョは、すぐさま銃を隊員に向けますが、スヒョクが止めます。
高地を取り合って戦う一方、その箱の中には南側からはチョコレートやマッチ、北側からはお酒が提供されていたり、さらには手紙まで交換するようになっていたのです。
あくまでも両軍が心を通わせたいと思っての行動でした。
朝鮮戦争当時に流行していた歌「戦線夜曲」の歌詞を書いて箱に忍ばせると、北側の兵士たちにもあっと言う間に広がるなど、ただただ「同じ民族」として交流をしていただけだったのです。
かとリーニョ
スヒョクが事情を説明すると、ウンピョは自問自答するように銃をしまい外に出ます。
スヒョクとイリョンの人格を変えてしまったのは?
ウンピョの知るスヒョクは、キリスト教信者でメガネをかけた気の弱い心優しい青年でした。
別人化してしまったのはなぜか?イリョンがモルヒネ中毒なのは?
それはある事件がキッカケだと、黙っていたスヒョクが教えてくれたのです。
浦項近辺での戦いの後、到着した船に乗って帰還するはずでしたが、その船が手違いなのか1隻しかこず、しかも船があまりにも小さくて全員は乗れない状態。
乗れない隊員は見殺し状態になってしまいます。
スヒョクたちは、なんとか船に乗り込もうと必死に船に上り、結果的に味方同士で銃撃戦まで起きる大惨事になってしまったのでした。
その時に最初に銃を乱射したのがイリョンでした。
味方の別部隊を殺害し、何とか船に乗ったスヒョクたち。
しかしイリョンは味方から白い目で見られるのでした。
そこでスヒョクが「イリョンのおかげだろ!?船に乗れて、生きてられるのは?」と叫ぶと、次々に隊員たちが感化されイリョンに感謝します。
そんな経験をした「ワニ中隊」は、普通の隊より絆が強くなっていました。
かとリーニョ
戦争とはここまで人を追い込んでしまうのです。
南北で同じ民族同士で戦っているだけでも悲惨なのに、さらに自軍内でも助かりたいがために殺し合いが起きてしまう。
かとリーニョ
誰のために、何のために戦っているのか?
同じ民族が、なぜ戦わないといけないのか?
人をも変えてしまう戦争は、誰のために?何のために行われているのか?
戦場に向かいながらますますわからなくなるウンピョ。
そして幾度もの死闘を繰り返す中、ついにスヒョクも北の「2秒」に撃たれて亡くなってしまうのです。
北の「2秒」とは、撃たれてから2秒後に銃声が響くというほどの腕前でその呼び名がついた凄腕スナイパー。
ですがそれは、スヒョクが憧れラブレターまで書いていた北朝鮮軍の女性兵士テヒョン(キム・オクビン)だったのです。
そんな彼女も、最後の死闘ではウンピョと真っ向から戦います。
ですが、ウンピョは有無も言わさずテヒョンをナイフで刺します。
スヒョクも死に、ますますモルヒネの量が増えたイリョンも最後の死闘で戦死してしまいます。
しかも、「民主主義」を唱えるアメリカ軍の空爆の巻き添えになり殺害されてしまうのです。
そして最後にウンピョは、今まで疑問に思っていたことの結論が出ました。
「戦争は無意味だ」と。
【ネタバレ】『高地戦』感想
二度と同じ過去を繰り返さないために
毎年8月になると、日本も一気に終戦記念日モードになります。
かとリーニョ
そして、2020年で朝鮮戦争勃発から70年を迎えます。
もともと日本の統治から解放され一体となって国を再建していくはずだったかと思いますが、北はソ連・中国などの共産主義、南はアメリカなどの民主主義と、主張の違う国の争いに巻き込まれ代理戦争状態となってしまった朝鮮半島。
太平洋戦争と同じように、若者たちは徴兵され「なぜ同じ民族が戦うのか?」と疑問に思った人々も多かったでしょう。
同じ民族同士で殺しあうだけでなく、さらに自軍内でまで争いが起きてしまう狂気の戦争。
どうしても、この手の映画は目をそむけたくなるようなシーンが多いです。
ただ、コロナ自粛中大ブレイクした『愛の不時着』では南北関係を取り上げていましたが、そもそもなぜ南北が分かれているのか知るきっかけとして『高地戦』のような映画も広く見られてほしいです。
かとリーニョ
『高地戦』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
- 朝鮮戦争の過去を忘れないでほしい
- 戦争は無意味
- 同じ民族である以上、再び心通わせる日がくるのを切に願います
以上、ここまで映画『高地戦』についてご紹介させて頂きました。