韓国の代表する映画『タクシー運転手~約束は海を越えて~』『1987、ある闘いの真実』などに次ぐ、衝撃の社会派映画『国家が破産する日』が日本でも公開されました。
1997年韓国を襲った通貨危機(IMF経済危機)を題材に、3人の立場の違う視点から描いた作品です。
韓国では、政府の“赤裸々な事実”を映画として作品にすることが多いのですが、この“通貨危機”がどのようなものだったのか、またはそれによって国や国民がどのような状態になってしまったのかという知られざる歴史をまた一つ知ることのできる貴重な作品でもあります。
先が読めない展開と、キャスト全員の緊迫感あふれる迫真の演技を、ぜひご覧頂きたい話題の作品です。
- 実話である”通貨危機”を題材に、立場の違う3人の視点から描がかれている
- 『タクシー運転手~約束は海を越えて~』などに代表される社会派映画に次ぐ衝撃的な作品
- 韓国では予想外の大ヒット映画となっている
それでは、衝撃の作品と名高いこの映画『国家が破産する日』をネタバレありでレビューしていきたいと思います。
▼動画の無料視聴はこちら▼
目次
『国家が破産する日』作品情報
作品名 | 国家が破産する日 |
公開日 | 2019年11月8日 |
上映時間 | 114分 |
監督 | チェ・クッキ |
脚本 | オム・ソンミン |
出演者 | キム・ヘス ユ・アイン ホ・ジュノ ヴァンサン・カッセル チョ・ウジン チョ・ハンチョル パク・ジンジュ キム・ミンサン ドンハ リュ・ドックァン |
【ネタバレ】『国家が破産する日』あらすじ・感想
題材になっている「アジア通貨危機(IMF経済危機)」とは!?
出典:アジア通貨危機
出典:IMFによる韓国救済
自国内で通貨の価値が急激に下落し、国内で通貨の周りが悪くなり経済に多大なる悪影響を及ぼした事件だということがわかります。
この事件では、日本は対象にはならなかったのですが、タイを始め韓国までのアジア諸国が多大なる被害を得たのはいうまでもありません。
韓国国内でのこの事件での被害は、悲惨なものだったようで、多くの中小企業の破綻やそれに伴い自殺者が多発したようです。
現在の韓国経済を立て直した要因には「この1997年の悲惨な状況から這い上がるため。」という信念が深く刻まれているように思います。
かとリーニョ
日本は通貨危機の影響はなかったようですが、バブルが崩壊したのはこの1997年でしたので、全くもって被害がなかったということではなかったようですね。
映画の中でも登場する、韓国銀行と政府で構成された「対策チーム」が発足されますが、実際にもこのチームは存在していたようで本作『国家が破産する日』の脚本がいかに史実に沿って描かれているかがわかります。
脚本家の方も当時の資料などを事前に読み漁り、そしてその時代に生きた方々の気持ちを汲み、慎重に作業されたとのことです。
かとリーニョ
韓国を代表する“演技派”が勢ぞろい!そしてグローバルなキャストも。
『国家が破産する日』は衝撃的な社会派映画だけに、キャストも韓国を代表する“実力派俳優陣”と豪華です。
まずは、韓国銀行のやり手の女性チーム長役にキム・ヘス。
強い信念と熱意のある役柄を演じます。
彼女の年齢を感じさせないエネルギッシュな演技と英語力にも注目です。
そして、元銀行員で“通貨危機”のピンチをチャンスに変えていく男役にユ・アイン。
かとリーニョ
金融コンサルタントと名乗りだすと一気に野心を抱く強烈な演技を見せます。
平凡な町工場の社長役にホ・ジュノ。
最近ドラマに映画に大活躍の素晴らしい俳優が、今回は通貨危機で崖っぷちとなった小さな町工場と最愛の家族を守り抜こうとする中小企業経営者を熱演しています。
韓国政府の財政事務次官役のチョ・ウジンは、この映画では本当に政治家や財閥と人脈があり、かなり鋭い役柄です。
そして、IMF専務理事役にハリウッドでも活躍中のフランスの国民的大スターであるヴァンサン・カッセルが韓国映画に初出演。
その他、脇を固める俳優陣も実力派ばかりです。
3人の立場の違う視点から描かれる「通貨危機」
冒頭にも書きましたが、『国家が破産する日』は「通貨危機」によってどのような影響があったのかを3人の立場の違う視点で描かれています。
1人目は韓国銀行の通貨政策チームのリーダーのハン・シヒョン(キム・ヘス)。
まだまだ保守的な官僚社会の中、女性への偏見と戦いながら、いち早く気づいた国家破産の危機を国民に知らせるべき!と楽観的に構える政府に主張します。
さらに国家破産の危機をチャンスに経済構造改革を主張する財務局次官のパク・デヨン(チョ・ウジン)は、シヒョンと対立。
追い討ちをかけるように、IMF専務理事(ヴァンサン・カッセル)は韓国政府に過酷な支援条件を提示し、一切の譲歩を拒否。
政府と韓国銀行は緊張状態となります。
この危機を「チャンスに変えよう!」とする元銀行員で金融コンサルタントのユン・ジョンハク(ユ・アイン)は、勤務していた銀行に辞表を提出し顧客を集め数々の投資を始めさせます。
そして、政府の発表を素直に信じた、町工場の社長ガプス(ホ・ジュノ)。
かとリーニョ
『国家が破産する日』の気になるラスト:最悪の事態となった「通貨危機」
政府のIMFとの非公開対応の先に、韓国市場は一気に暴落。
この時「ピンチをチャンスに」とばかりに陰謀を企てたパク財務局次官は、シヒョンの上司たちを次々と左遷します。
そこから財務局は一気にIMF援助案へと方向を定めます。
その対応に唖然とするシヒョンたちですが、なんとか最良の改善策を探し練っていきます。
そんな中、シヒョンはIMFのバックに不穏な影が見え隠れするのに気づきます。
それはアメリカ政府の関係者も関わっているということだったのです。
アメリカも政府ごと関わり、韓国の経済をアメリカの力で乗っ取ろう、という事態になっていたのです。
その事実を知ったシヒョンたちは愕然とし、辞表を提出します。
そして、この危機をチャンスに莫大な資産を手に入れたユンは、事態をうまくすり抜ける結果になり、ほくそ笑みました。
その一方ガプスは、不況により買い付けた手形が不渡りとなり、一気に窮地に追い込まれます。
家族にも言えない不安と絶望に毎日悩まされ、挙句の果てに自宅のベランダから自殺を図ろうとしますが…。
結局死ぬことはできず、そんな彼が最終的に会いに行くのが、なんとシヒョンなのでした。
そう2人は兄妹だったのです。すっかりやつれてしまった兄を目の前に、何もできなかった自分に悲しくなるシヒョン。
ここまで「中小企業や個人主」のために頑張ってきたのですが、結局兄も救えず、国民も救えず。
この後、政府の思うとおりにIMFとの交渉が進んでいったようです。
かとリーニョ
『国家が破産する日』感想:歴史的大事件を改めて考えさせられる「パニック」映画!
1990年代にアジア諸国で多発した「通貨危機」。
ですが、2000年代に入っても韓国では同じ事態が繰り返されたようです。
いつまたやってくるかもわからない事態に、政府も国民もどのような対応をすればいいのかを知るために、日本のみなさんにもぜひ見て頂きたい内容の映画だと思います。
この衝撃の内容を映画化するのにも、大きな課題や問題があったと思います。
かとリーニョ
この危機によって、国民の自殺が多発したと言われています。
このような時に一番被害を被るのはやはり「国民」なのです。
かとリーニョ
「この通貨危機での苦しみを糧に頑張ってきた」という方も少なくはないようです。
多くの人の心に「ショックとパニック」を感じさせる衝撃的な映画だったと思います。
『国家が破産する日』まとめ
【森永卓郎さんよりコメントが到着!】
残された時間は7日間。未曽有の危機に直面した、国の裏側を描く衝撃作『 #国家が破産する日』🎬
これは韓国だけの話ではない―
いよいよ明日!8日(金)公開🗣🗣🗣https://t.co/hJJrA7pup6 pic.twitter.com/lNrZyerwe2— 映画会社 ツイン (@movietwin2) November 7, 2019
以上、ここまで韓国映画『国家が破産する日』についてご紹介させて頂きました。
- 色多くに人の心に「ショックとパニックを感じさせる」内容の作品。
- いつかまたやってくるかもしれないのため、ぜひ知っておいてもらいたい内容。
- 非公式とされてきた政府とIMF交渉の裏側を改めて知ることができた。
ぜひ、ご覧いただくことをオススメします。
▼動画の無料視聴はこちら▼