『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』あらすじ・感想!全員容疑者?予測不能のミステリー

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』公式ページ

世界中で賛否両論を巻き起こした『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の監督ライアン・ジョンソン。

ミステリー好きのジョンソン監督自ら「ミステリーの女王」アガサ・クリスティに捧げてオリジナル脚本を描きあげ、自らがメガホンも取ったのが映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』です。

クセ者しかいない容疑者たちと、先の読めない展開にスクリーンから目を離せなくなること間違いなし。

ポイント
  • 推理小説好きも満足できる、質の高いオリジナル脚本!
  • ダニエル・クレイグやクリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマスという豪華キャストにも注目
  • 散りばめられたオマージュや提起される社会問題など、遊び心に皮肉、ユーモアもたっぷり。

ライアン・ジョンソン監督のユーモアとアガサ・クリスティへの愛に溢れた、ハイテンションな密室殺人ミステリーをネタバレなしでレビューしたいと思います。

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『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』作品情報

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』作品情報

(C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

作品名 ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
公開日 2020年1月31日
上映時間 130分
監督 ライアン・ジョンソン
脚本 ライアン・ジョンソン
出演者 ダニエル・クレイグ
クリス・エヴァンス
アナ・デ・アルマス
ジェイミー・リー・カーティス
マイケル・シャノン
ドン・ジョンソン
トニ・コレット
ラキース・スタンフィールド
キャサリン・ラングフォード
ジェイデン・マーテル
クリストファー・プラマー
音楽 ネイサン・ジョンソン

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』あらすじ【ネタバレなし】


時は現代、場所はNY郊外の豪邸。

世界的なミステリー作家で富豪でもあるハーラン・スロンビーが85歳の誕生日パーティーの翌朝、自宅の屋根裏で遺体となって発見されます。

匿名で依頼を受けた私立探偵ブノワ・ブランは、スロンビーの邸宅で調査を開始します。

すると自殺と思われたハーラン・スロンビーは、誰かに殺されたのかという疑いが出てきます。

ブランの調査が進むうちに、事件の真相と共に明らかになる資産家一家の複雑な人間関係。

ハーラン・スロンビーの莫大な遺産が生む、新たな火種。

ブノワ・ブランは、果たして事件の全容を解き明かせるのか!?

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』感想

ライアン・ジョンソンのオリジナル脚本!巧みなストーリーテリングに舌を巻く

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

(C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

アガサ・クリスティと言えば、推理小説好きなら一度は通った道。

まさに「ミステリーの女王」の名に相応しい、ミステリー作家です。

そして、アガサが生み出した名探偵と言えばエルキュール・ポアロでしょう。

くりす

シャーロック・ホームズ同様、時代を越えて今なお愛されている名探偵の一人です。

2017年にはポアロ主役の『オリエント急行殺人事件』が、ケネス・ブラナー主役・監督でリブートされたばかり。

そんなアガサ・クリスティを愛するライアン・ジョンソンは、自らが描き下ろした脚本にも名探偵を登場させました。

それが『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』のブノワ・ブランです。

南部訛りで、スーツを着こなした私立探偵。

ものすごく変わり者ではないけれど、どこか人とは違う雰囲気を漂わせ、鋭い観察眼を持ち、妙なところにこだわりを見せる紳士。

無言でソファに座っているだけでも、やけに様になって人目を引くブラン。

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

(C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

くりす

ミステリーの探偵は個性的かつどこか魅力的でないと、話しが始まりませんよね。

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』には個性的な名探偵という存在の他にも、ミステリーの定石とも言える状況が揃っています。

ぽつんと建っている豪邸での資産家の死、遺された莫大な遺産、その遺産を狙う親族たち。

ライアン・ジョンソンは、アガサ・クリスティの世界を現代に蘇らせたとも言える物語の中に、現代社会ならではの問題も取り入れ、斬新なミステリーを作り上げています。

ミステリー好きならトリックや犯人、その動機など考えながら物語を追ってしまうのは当然のことですが、実は『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』は序盤で「事件の夜に何が起こっていたか」は明かされます。

くりす

しかし物語が面白いのは、まさにここから。

事件の夜に起きたことがわかってからも、新たな謎や一族の秘密が次々に明らかにされていき、スクリーンから目が離せません。

二転、三転するストーリーは、ジョンソン監督ならでは。

くりす

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は意表をつくための展開が目立ちすぎて賛否両論を巻き起こしましたが、ミステリーというジャンルにおいては良い方向に作用した、という感じでしょうか。

本格的な謎解き、ありえないほどのトリックを期待して観ると、肩すかしをくらうかもしれませんが、ミステリーとしては充分に楽しめる作品に仕上がっています。

様々な伏線は綺麗に回収されて終わるので、鑑賞後もすっきり。

くりす

特にまさかの偶然だったラストシーンも、ジョンソン監督の皮肉が効いていましたし。二度鑑賞しても楽しめる作りで、これは見事な脚本。少々引っかかる点はあるにしろ、そこは目を瞑って謎解きを存分に楽しむのがきっと正解!

誰もが怪しく見えてくる、豪華な顔触れのキャスト陣。

脚本に惚れ込んで出演を決めたというダニエル・クレイグとクリス・エヴァンスを筆頭に『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』に出演している俳優は、なかなかに豪華メンバーが顔を揃えています。

特に看護師マルタ役のアナ・デ・アルマスが、大変良い味を出しています。

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

(C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

派手な美しさがあるわけではないのに、スクリーンに映ると目がいってしまう、不思議な魅力を持つアナ・デ・アルマス

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『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』は彼女がいたからこそヒットしたと断言したいくらいです。嘘をつくと嘔吐してしまう役とかどんな設定?と思いましたが、これがまた映画の中では重要なポイントになっているんですよね。

事件の被害者でもあるハーラン・スロンビー役のクリストファー・プラマーを始め、大金持ち一族は誰もが「みんな怪しく見える」ほどの、クセ者揃い。

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

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出演陣の名前を見て、すぐに犯人がわかってしまうというそんなキャスティングでないのもポイントが高いところ。

さて、豪華な容疑者たちと対峙する名探偵ブノワ・ブラン役を演じているのがダニエル・クレイグです。

ダニエル・クレイグと言えばすっかりジェームズ・ボンドのイメージが定着していますが、ブノワ・ブランはボンドとはまったく違うキャラクターです。

どちらかと言えば、何だか可愛くて、変なこだわりがあるけれど根は善良で穏やかそうな人物。

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

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今までとは一味違うダニエル・クレイグが観られるので、ファンとしては嬉しい役でした。

そして、清廉潔白なキャプテン・アメリカを何年も演じてきたクリス・エヴァンスの今作の役割は「富豪のどうしようもない放蕩孫息子ランサム」という、まさに真逆な男。

思っていたよりもピッタリはまっていて、こちらもナイスなキャスティングでした。

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

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白いケーブルニットが大変お似合い。萌え袖は罪。

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今後もぜひ、嫌なキャラは演じて欲しいと思いますね。

しかし、キャラクター的に惜しいのは、極右らしき次男息子とワグナー巡査の出番が少ないこと。

次男息子のジェイコブは『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の子供時代のビル役ジェイデン・マーテルが演じていましたし、ワグナー巡査はあまりにいいキャラをしていたので、この点がちょっともったいなかったです。

「ミステリー」でありながら、人間ドラマとしても楽しめる

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』は傑作ミステリーと謳われていますが、視点を変えると現代社会の抱える問題を下敷きにした人間ドラマでもあります。

ハーラン・スロンビーという世界的に有名なミステリー作家は、莫大な資産があるが故の苦悩がありました。

家族は彼の財産を当てにしていて、嘘や秘密をみんなが抱えているのです。

ハーランが看護師のマルタを大切に思うのも無理がないと思うほど、とにかくまぁ酷い家族なのです。

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

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そんなスロンビーの一族と違い、マルタには一切の嘘がありません。

くりす

何せマルタは嘘がつけない(嘘を言うと嘔吐する)ので、ハーランにとってマルタという存在はきっと救いでもあったのではないかと思うのです。

そう考えると、ハーランが遺した遺言状や一連の行動が必然だったとわかります。

マルタを家族の一員と言いながら、悪気がないにしろ無意識に見下しているハーラン以外のスロンビーの面々。

成功者だとセレブぶってリベラルや極右を気取っていても、結局は誰もが選民意識があり、金の亡者で、親のすねかじり。

事件後、欲望をむき出しにする様を見ていると、ハーラン・スロンビー氏に同情を禁じ得なくなります。

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

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くりす

孫娘は悪い子じゃないと思うんですけどね。後が何とも…。

ジョンソン監督らしい皮肉やユーモアで語られる世界中で提起されている、移民や格差などの社会問題も織り込まれており、明確な答えは描かれていないのですが、観客それぞれが「何か」を考えるきっかけになるであろうぎりぎりの匙加減。

くりす

ジョンソン監督自身はSNSでかなり過激な発言もしているので、映画ではあえて抑えたのかなと邪推しますが。政治的主張が行き過ぎるとしらけるか、また炎上しますし(笑)

主軸はミステリーな作品として、上手くまとめられていたのではないでしょうか。

続編製作、正式決定!

さて、アメリカ現地時間での2月6日、続編企画にGOサインが出たとのことです。

製作費4,000万ドルのところ、すでに全世界で3億ドル近い興行収入を記録し大ヒットしていますから、製作・配給を手掛けたライオンズゲートが続編を考えるのは当然のこと。

公開時期(2022年との声も?)や内容はまだまだ未定ですが、ジョンソン監督は以前に「名探偵ブノワ・ブランが新たな事件に挑む様を描きたい」と続編の構想を語っていました。

ブノワ・ブランを演じたダニエル・クレイグは続編に大変意欲的であることをインタビューで語っていましたし、よほどのことがない限り続投は間違いないでしょう。

今作以上のオリジナル脚本をジョンソン監督が描きあげて、続編を製作してくれるのを期待したいですね。

続報を楽しみに待ちたいと思います。

くりす

これはシリーズ化、ありえるかも?

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』あらすじ・感想まとめ

以上、ここまで映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 『ゲーム・オブ・スローンズ』の鉄の玉座さながらのリビングの椅子など、あちこちに散りばめられたオマージュを探すのも楽しみの一つです。
  • 事件の真相が途中でわかった人より、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの出演シーンに気付いた人の方が圧倒的に少ないはず。
  • ミステリー好きなら観て損なし!ダニエル・クレイグファンも必見です。

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