『キツツキと雨』あらすじ・ネタバレ感想!役所広司と小栗旬が初共演でダブル主演を果たした話題作

映画『キツツキと雨』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:映画.com

キャッチコピーは「雨でもきっと…晴れるさ。」

映画『キツツキと雨』の沖田修一監督は『南極料理人』や『横道世之介』など、笑って泣ける映画を撮る天才です。

また本作は、東京国際映画祭・審査員特別賞を受賞した専門家お墨付きの作品でもあります。

ポイント
  • 始まって30分も経たないうちに役所広司がゾンビに!ズルズル巻き込まれる、お人よしの役所広司が笑える。
  • No恋愛、キュンとするのは恋愛映画だけじゃないと教えてくれた。おじさんと青年の友情。
  • 人間と人間、本当の交流ってこういうものだと思う…人の持つ「優しさ」に感動する。

それではさっそく映画『キツツキと雨』をネタバレありでレビューしたいと思います。

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『キツツキと雨』作品情報

作品名 キツツキと雨
公開日 2012年2月11日
上映時間 129分
監督 沖田修一
脚本 沖田修一
守屋文雄
出演者 役所広司
小栗旬
高良健吾
臼田あさ美
古舘寛治
黒田大輔
森下能幸
音楽 omu-tone
主題歌 星野源「フィルム」

【ネタバレ】『キツツキと雨』あらすじ・感想


妻が亡くなって3年、父と息子の確執…

見るからに無骨な父・岸克彦(役所広司)の職業は木こり。

ニートの息子・岸浩一(高良健吾)と開始早々に掴み合いのバトル勃発。

妻が亡くなってもうすぐ3年、まだこの親子は悲しみから抜け出せていないような雰囲気が漂います。

前を向け!と必死に鼓舞する父ですが、息子は仕事を辞めてしまい無職状態が続いています。

そのことで取っ組み合いのケンカになってしまいます。

しかし、力ではもう息子の方が上、父の方が負けてしまい…何か締まらず。

『キツツキと雨』

(C)2011「キツツキと雨」製作委員会

埋めるものが見つからない父と息子の溝があります。

男同士ロクに会話がなく、微妙な距離が伝わってきます。

決して憎いわけじゃないけれど、現状にお互い納得できていない…どこの家庭でも直面し得るギスギス感。

その割に、父は息子のために美味しそうな朝飯を準備してから仕事へ向かいます。

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家族って意外とややこしかったり、複雑なところありますよね。

やがて、克彦の息子・浩一は「東京へ行く」と家を出て行ってしまいます…。

この親子は分かり合える時がくるのでしょうか。

明らかに荷が重そうな…新人監督・田辺(小栗旬)

田辺(小栗旬)は、新人映画監督。

伏し目がちで見るからに自信なさそうで頼りない感じ、田辺が監督だと気が付かないだろうな~という存在の薄さです。

デビュー作品を撮りに、岸克彦の住む山村へ撮影隊を連れてやってきたのですが…山奥の道がわからない。

偶然出会った土地勘のある克彦は、道案内をお願いされてしまいます。

軽トラに田辺とベテラン助監督・鳥居(古舘寛治)を乗せて、親切に道を教えてあげる克彦。

年配の鳥居が慌ただしく電話をかけたり忙しくしている中、若い田辺はチョコンと座って地蔵のように動かない。

息子と同じくらいの歳の田辺の様子が気に入りません。

真面目な克彦は「アイツはどうして何もやらないんだっ!」と田辺を下っ端だと思っているので、動かないことにイライラしちゃいます。

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2人のファーストコンタクトは最悪でした…。

それにしても小栗旬の気弱で不甲斐ない演技が光ります。

軟弱だけど、いい映画撮るために大好きな「甘いモノ断ち」する純粋な心の持ち主でもあります。

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主役の派手なキャラクターを演じることの多い俳優さんなので、なかなか地味な役を演じるのは珍しいですよね!

いつ克彦に怒られるかヒヤヒヤしていたら…怒鳴られて、ちょっとビクビクしている姿がコミカルでクスッとしてしまいました。

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覇気のない小栗旬、いい味出してます。

絶対お互い苦手なタイプ。

この時点では想像だにしない…この2人にアツい信頼と友情が生まれるなんて!

撮影隊のグイグイ感にクスッとしてしまう

一度の道案内のはずが…ズルズル撮影隊に巻き込まれるお人よしの克彦。

コワモテの顔なのに、頼まれたらNOと言えない優しさがあるのです。

そこにグイグイ付け込んでくる助監督・鳥居。

『キツツキと雨』

(C)2011「キツツキと雨」製作委員会

物腰柔らかく低姿勢で頼むくせに、頼みごとは結構めんどくさい無理難題ばかり。

親切心が仇となり、克彦は序盤からゾンビメイクされ、なぜか映画に出演することになっちゃいます!

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戸惑いながらも、ゾンビになりきるシーンがおもしろい。

他のゾンビ役者との小さな絆が生まれたりと、ほっこりします。

圧の強いオーラからは分からない流されやすさに、克彦が愛おしく思えてきます。

「いい人だな~」と思いながらも、それに見合わない扱われ方の雑さに笑ってしまいます。

役所広司さんのゾンビメイク、きっと二度と拝めるチャンスはないでしょう。

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インパクト大ですよ。

田辺(小栗旬)逃走はかる!一方、克彦(役所広司)は映画の台本読んですすり泣く

ラッシュを観た田辺は重圧に耐えきれず…現場から逃げ出します。

そうとは知らずに、克彦は駅まで送ってあげます。

「もらってください」と、映画「UTOPIA ゾンビ大戦争」の台本を渡され、映画の内容が気になっていた克彦はすぐに車の中で読破。

田辺のゾンビ映画のストーリーに感動し、グスングスンと大泣き。

おじさんの心に刺さり、気に入ってしまうのでした。

逃走をはかった田辺は、抵抗むなしくあえなく駅で捕獲されます。

しかし、田辺のかわりに電車に乗って逃げた奴が…。

感動して泣く克彦の姿、田辺の映画のあらすじがわかります。

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亡き妻を想って泣いているように感じました。とにかく泣いている姿が愛おしく感じます。

どんなあらすじなのか、気になりますよね。

結構よくできた話なのです…これも映画化してほしい!

田辺を確保するときの「監督できんだぞー!幸せなんだぞ!」の言葉で、田辺が大抜擢のデビュー作だということを知ります。

小さく縮こまって謝り倒す田辺、頑張れるかなと不安になってきます。

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映画撮影、大丈夫でしょうか…。

そして新たな事実…田辺も名前はコウイチ。

克彦の息子と同じ名前だったのです。

『キツツキと雨』

(C)2011「キツツキと雨」製作委員会

克彦の田辺幸一への気持ちが変化してきているのが分かりました。

次々と起こる新しい展開がクセになります。

いい意味で裏切ってくれる感じに楽しみながら、どんどん先に観ていきたくなっていきます。

田辺(小栗旬)限界…救世主のおじさん頑張る!

撮影は続行。

腹痛を起こすほど追い込まれ、マックスのプレッシャーに田辺は精神的に崩れかけます…そこへ救世主・克彦が。

特に田辺に気を遣うこともなく「大丈夫か~」と言いながらも「あの女優さんエエ匂いやな~」と田辺の耳元でささやき…そのKYな言動が田辺を救い、再び奮起します。

木こりのおじさんは、新米監督のためにヒノキの椅子を作ってプレゼント。

エキストラを集める協力をするなど、仕事そっちのけで映画作りに参加していきます。

『キツツキと雨』

(C)2011「キツツキと雨」製作委員会

お尻に爆弾を抱えた大御所俳優・羽場敬二郎(山崎努)を迎え、緊張感ピリピリの現場。

スタッフからも「監督、羽場さんのお尻限界です!」と報告が。

お尻との死闘を乗り越え、撮影は終了。

そして羽場が打ち上げで田辺に言ったのは…。

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逃亡した奴のかぶっていた黄色のニット帽を克彦がかぶって車両誘導していたのにはプって吹き出してしまいました。

毎日を淡々と生きていた男がのめり込みアツくなったパワーを感じます。

山村みんながエキストラ。

普段からみんなゾンビメイク、地域あげての映画作りがはじまり、ワクワクしてきます!

この頃になると、自分も撮影に参加したかったと思うまでに!

次第にスタッフの雰囲気もいい方向へ変わっていくんです。

羽場と田辺の素敵なやりとりは必見!

加えて、ポッキーを頬張る山崎努さんが観られますよ、レア映像です。

雨でもきっと…晴れるさ。本当にそう思えた。

撮影協力に没頭しすぎた克彦は、妻の3回忌を忘れてしまっていました…。

慌てて家に戻ると、きちんと3回忌の準備が整っています。

ケンカし家出していた息子の浩一が全てやってくれていました。

法要が終わり、親戚に無職をなじられる浩一、いっそ克彦の仕事を継げとけしかけられます。

克彦は「こいつの気持ちもあるやろー!」とその親戚を怒鳴ります。

撮影は最終日。

大事なシーンでどしゃ降りの大雨…周囲は雨でも撮ってしまおうと、田辺に言います。

しかし、雨のまま撮りたくないラストカット。

雨空を見上げ悩んでいると、克彦が「晴れるぞ」と背後から声をかけます。

パッと晴れ間が広がりました!

克彦と浩一の雨降りのような親子関係、もうひとりの幸一の雨降りのような映画づくりの葛藤の日々…

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すべてが「晴れた」。

主人公2人が、1人ずつではたどり着けなかった結果に感動!

そこには確かに、おっさんと若者の世代を超えた友情がありました。

今日を生きる元気をもらえる、そんな映画です。

『キツツキと雨』まとめ

以上、ここまで映画『キツツキと雨』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 願掛けに「甘いものを絶つ」なんて純粋な心を忘れていた…「モノづくり」の大変さ・尊さを知る。
  • 映画の撮影隊で町がひとつになった…何の変哲もない山村に起こった小さな奇跡に心が温かくなる。
  • ハリウッド作品のようなド派手さはないけれど、じわじわ心に沁みてくる。

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