廃品置き場の自動車の中で暮らすリッチマン(又吉直樹)親子。
父と中学生にしては大人びた子供(大沢一菜)はいつもどこか芝居じみた様子で「理想の家」について語り合いながら空き缶回収などの日課をこなしていました。
一方、タツヤ(仲野太賀)は街のカフェ建設に向けて奔走中。ようやくその住民説明会の日取りが決まったある日、街で事件が起こります。
目次
ドラマ『季節のない街』 前回振り返り
島さん(藤井隆)とそのワイフ(LiLico)が街にやってきました。
背広を着て名刺を配り、いつも笑顔を絶やさない島さんですが、時に顔面を痙攣させて「けけけふん!」と奇声を上げる変な発作を持っています。
一方、ワイフは一目見たら忘れられないいでたちで、キレるとダミ声で「ゴルァ!」と怒号を上げるなど、夫婦は街の中でも異彩を放っていました。
しかし実業家の島さんに、カフェ建設の夢を持つタツヤ(仲野太賀)が心酔し、一緒に仕事を始めると、少しだけカフェ建設の夢が近づいて来たのです。
【ネタバレあり】ドラマ『季節のない街』第6話 あらすじと感想
理想の家
廃品置き場の自動車の中で暮らすリッチマン(又吉直樹)親子。
2人が朝の空き缶回収や宮下銀座で食べ物の施しを受けながら話すのは、「理想の家」のこと。
門構えや間取り、部屋のインテリアのイメージなどなど父親が語る中、中学生にしては身体が小さく、小学生にしては大人びた口調の子供(大沢一菜)がそれに相槌を打ちます。
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一方、タツヤ(仲野太賀)はカフェ建設の夢に向けて奔走中。
ついに明日はプレゼンなのだと張り切っています。
しかし、半助(池松壮亮)はあの夜にみたミッキー(鶴見辰吾)と島さん(藤井隆)のことが気になっていました。
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リッチマン親子は金銭的な施しは決して受けず、食べ物を自分たちから要求することは決してありませんでした。
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食料調達は子供の役目です。
メインの調達場、宮下銀座は優しい人もいますが、誰もがウェルカムというわけではありません。路地裏には野良犬や野良猫など敵も多くいます。
えり好みはせず、感謝の気持ちは決して忘れず、いただいた食料はなるべく美味しく食べられるように子供が色々と考えをめぐらせて用意します。
食事中も父親は家について話すことをやめません。
それはまるで、嗅覚や味覚を鈍らせて今食べているものから注意をそらそうとしているかのようでした。
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大学出のエリートと言われている父親は広範囲の知識と話題の持ち主で、子供はその最も良き聞き手でした。
ある悲劇
リッチマンの理想の家の応接間の家具の配置が大体決まり、タツヤのカフェの名前が『カフェ・ド・スタシオン(フランス語で駅)』と決まり、いよいよ住民説明会が開かれるという時、街で一つの事件が起きました。
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1週間ほど前、リッチマンの子供が寿司屋でしめ鯖をもらってきました。
その時寿司屋の大将からは「必ず火を通してから食べるように」と言われていたので、ガスコンロで火を通そうとしましたが、ガスコンロの火がつきません。
ローストビーフなど半生のものが好きな父親はしめ鯖を見つけると「火を通すのは間違いだ」と言ってそのまま口に入れました。
父親とは違い、半生のものが苦手な上に、寿司屋の大将から「必ず」と言われていた子供は「でも・・・」と珍しく反論しますが、父親に促されてしめ鯖をそのまま食べてみると、意外にも美味しく食べられました。
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その夜、親子は腹痛に襲われました。
博識な父親は「これはしめ鯖が原因ではない」と言いますが・・・。
その腹痛は父親は3日で治ったものの、子供は日に日に衰弱し、起き上がることもできず時々襲う刺すような痛みに苦しんでいました。
トラは必死で「病院に連れていけ!手遅れになるぞ!」と訴えますが、残念ながらトラの声は届かず、息子以外の人とのコミュニケーションが苦手な父親は何も出来ず、ロクに食べ物も口にしていませんでした。
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プールのある家
しばらくして、寝込んでいた子供がふと目を覚まし、父親に言いました。
「ねぇ、忘れてたけどさ、プールを作ろうよ」
父親は久しぶりに子供が喋ったこと、そしてそれが珍しく本人の希望だったことから、驚き、そして喜びました。
「何でも君の好きなようにするよ!」
次の日の朝、父親は食料を調達に出かけます。
オカベが子供の好きなパンを差し出すと、父親はそれをその場でむさぼるように食べてしまいました。
雨が降ってきました。
半助はトラを探して廃品置き場へやってきました。トラが何かを訴えているので異変を感じた半助が車の中をのぞくと、子供がぐったりしているのが見えます。
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車にはロックがかかっていたので、半助は急いでタツヤや街の人に知らせ、助けを呼びました。
半助が救急車を呼ぼうとすると、タツヤがそれをすごい剣幕で止めます。また自治体に連れ去られて親子が引き離されてしまうかもしれないからです。
半助が「そんなこと言ってる場合じゃない」と言うと、タツヤは「お前が呼んだんだろう!」と怒鳴りつけました。
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タツヤは放っておいてやろうと言いますが、死んでしまっては元も子もありません。
そうこうしているうちにたんばさん(ベンガル)が医者を呼んできてくれました。
急いで車のドアを開け、半助が子供を抱き起こすと、子供は意識が朦朧とする中で何かつぶやいていました。
「プール出来たね。ありがとう・・・」
子供は幻想の中で豪邸のプールに浮かんでいます。泣けます・・・。
間もなく医者が到着しました。けれど、間に合いませんでした。
住民説明会
翌日、タツヤのカフェの住民説明会が開かれます。
しかし、街の人は3名しか集まらず、完全に不発でした。
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結局、タツヤのカフェもプールがある家も夢で終わってしまいました。
リッチマンは廃品置き場から橋の下で暮らし始めました。リッチマンは誰に言うでもなく、家の話を続けています。
「大丈夫さ。きっと作るさ。約束する」
何しろ、息子が父にねだったのはプールだけだったのです。
「君はもっと欲しいものをなんでもねだれば良かったのさ」
ドラマ『季節のない街』 第6話 感想&まとめ
今回はなんとも言えない気持ちになるお話でした・・・。
親子の幸せとは何か、半助たちはどうすれば良かったのか。答えは見つかりません。
タツヤの夢が潰えてしまったのも可哀想でしたね。
その間もオカベ(渡辺大知)は好きな女の子にいそいそとアピールを続けています。
お相手はこれまで一言も口をきいていませんが・・・オカベの恋は上手く行くのでしょうか?