10年前、イジメに遭い崖から飛び降りたミユキは、タクマに「ただ愛されたい」という一心で、17歳のままの姿で海底にいる。
10年後、高校卒業後初めて島を訪れたタクマたちに待っていたのは…。
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017のゆうばりチョイス部門にてワールドプレミアを行い、第12回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門で上映された日仏合作映画『海の底からモナムール』が、ついに日本で公開!
この度、公開に先駆けて主演の桐山蓮さん、清水くるみさんにインタビューをさせていただきました。
『海の底からモナムール』桐山漣×清水くるみインタビュー
−−本作『海の底からモナムール』はフランス人のロナン・ジル監督が手がけられているので全体的にゆったりと流れる展開など邦画とは違うフランス映画らしいテイストを感じました。桐山さん、清水さんが最初に脚本を読んで受けた印象をお聞かせください。
桐山漣(以下、桐山)「まず邦画だと幽霊のルックスで怖がらせる演出をすると思いますが、本作の幽霊のミユキは幽霊でありながらもハッキリ人間らしい姿で、それによく喋ります。」
清水くるみ(以下、清水)「最初は台本がかなり直訳だったので修正していきました。『私は〜何々を〜しました』みたいな文章だったんです(笑)翻訳サイトで訳したのがそのままだったので、『こんなこと言わないよね?』という部分から直していったのはとても覚えています。そのおかげでセリフはかなり自然になりました。私が演じたミユキは基本的に『愛されたい』というようなセリフしか言わないので、そこまで直す部分はなかったですが、キャンプをするタクマ、マツ、カオリ、トモヨの4人の会話は『ちゃんと伝わるようにしたいね』と結構直している時間がありました。」
桐山「その直しの作業がコミニュケーションにつながっていたので、撮影の最初の頃からキャストの結束力はでき上がっていました。もともとようこちゃん(三津谷葉子)以外は、共演したこともありましたし。」
−−お二人は2014年のドラマ『セーラー服と宇宙人(エイリアン)〜地球に残った最後の11人〜』に続いての共演ですが、撮影中の印象的なエピソードや記憶に残っていることはございますか?
清水「キスシーンがめちゃくちゃ大変だったんですよ」
桐山「ああ〜ローリングキス(笑)」
清水「そうローリングキス(笑)後にも先にもあんなキスシーンはないです…。浜辺で砂まみれになりながら転げ回って、とても腹筋を使ったキスシーンでした。しかも、使われていない部分ですが、転がった状態から『上に戻ってきて』と言われたんですよ(笑)それで桐山さんと一緒に転がりながらキスして、最初の場所に戻って…。『え?戻るの』と思いましたね(笑)」
桐山「なんでローリングで戻ってるんだろうなと思いながらやりましたね。でもこれがフランスと日本の違いかと感じました(笑)」
清水「結構ハードだったのですが、使われなかったという話です(笑)」
−−桐山さんが演じられたタクマは、高校生だった時のシーンも含めてなかなか自分の友人にも本音を出さないキャラクターが印象的でした。監督からの役作りの指示はあったのでしょうか?
桐山「あまり監督から役についてのオーダーはなかったですね。ざっくりとした演出で、これがフランスの監督のやり方なのかと思いました。やっぱり、日本だと監督の『OK』や『今のお芝居はこうしてほしい』と演出がつくのですが、ロナン監督の場合はそれもなかったです。」
清水「撮影のスタートも普段とは違っていて。会話をしながら『スタート』の合図をナチュラルに言われて、『ああ、始まるんだ』とこちらも演技を始めるのが、驚きでした。」
桐山「『3、2、1スタート!』や『よーいアクション!』もないんです。『(弱々しく)…アクション』みたいな(笑)OKも『(優しく)OK…』という(笑)だからカットが終わった後にもみんな『終わった?』となりましたし、始まる時も『始まったよね?』と演技を始めていました。みんな『これが普通なんだ』と言い聞かせながら、最初は少しクスクスしてましたが、撮影を重ねるごとにだんだんと染み付いてきていきましたね。」
−−島に来た4人の会話のやりとりに関して、特にまだ恐怖に脅かされる前の自然な会話があまりにも自然で驚きました。あれは台本通りだったのか、それともアドリブだったのでしょうか?
桐山「アドリブもあったとは思いますが、くるみちゃんが話していた通り直訳の台本を直してお芝居をしていたので、空き時間で何回も練習していました。練習の他には撮影時間外はバックヤードでみんなでふざけ合っていましたね。前野っち(前野朋哉)をいじったり…(笑)」
清水「前野さんは、私もいじってました。控室も一緒でしたよね。」
桐山「それにキャンプ組の4人は同世代ですし、本当のクラスメイトみたいでしたね…。」
清水「控室ではずっと一緒だったのですが、完成した映画を見て、『あ、私こんなにみなさんと一緒に出てなかったんだ』という気持ちになりました。」
−−タクマの本心はわからないのですが、ミユキのことが好きだったんじゃないかという描写があったと思います。桐山さんはタクマの気持ちはどのように落とし込んで演じていたのでしょうか?
桐山「僕は、タクマにとってミユキは気になる存在ではあったと思います。その人を好きになる前の気になる存在という感じですね…。タクマがミユキに対して素直な気持ちになれなかったのは、彼女がいじめられていたのも大きいと思います。いじめの対象になっている女の子を気になっていても、高校生のタクマにとって、周りの目も気になって自分の気持ちに素直になれないと思うんです。『ミユキと仲良くしてたら自分がいじめられるかもしれない』というよく学校でありそうなことだと思って、そういう感情を意識して演じるようにしていました。」
−−大人になって4人で島を訪れたタクマは、ミユキに関する過去の十字架を背負っているように見えました。桐山さんは後悔の感情を演技で見せていこうという思いはあったんでしょうか?
桐山「邦画だと表情や話の展開で心情を見せていくと思うのですが、本作では感情を口に出して言っていますよね。もちろん感情を抱え込みながら演じていますが、割とセリフで喋っているので、そこまで考えて演技はしていないですね。」
−−清水さんは高校生として生きていたミユキと死後のミユキを演じ分ける上で意識されていたことはありますか?
清水「自分で演じ分けを意識することはなかったです。周りの出演者の方々が演じ分けてくれるだろうなと思ったので…。監督にも『等身大のまま演じてくれ』と言われて、言われたとおりそのまま演じていました。やっぱりメイクでも印象は変わりますし。でもミユキは生きている時はちゃんと人と会話をしているんです。ただ、幽霊の時は人と会話しているというよりは自分が一方的に話していて会話になってないんです。会話やシーンの意味合いで、ミユキの見え方は自然に変わっていくと思います。」
−−撮影の8割が水中のシーンだったとお聞きしました。水中での演技で苦労された点、難しかったなと思う点はありますか?
清水「まず、目が良い人でも水の中ではそんなに見えないのに、私はコンタクトだったので、裸眼になったら本当に何も見えなくて『カメラはどこだ?』と思いながら動いていました。陸上でもスタートとカットが緩いのに、水中だとその声も聞こえないので、潜ったらすぐにスタートしていると思って演じていたんです。手足がふにゃふにゃになりましたし、夜のシーンは結構、寒かったですね。」
−−本作の面白いところは、邦画との幽霊の解釈の違いにあると思います。ミユキは幽霊になった後も物質的には生前と変わらないように見えていましたが、それでもあきらかに瞬間移動している場面もありました。ロナン監督からは監督自身が考えている幽霊像や見せ方のこだわりについての説明はあったのでしょうか?
清水「説明はなかったですが、たぶん生きているようにも亡くなっているようにも見せたかったんだと思います。だから先ほどお話したとおり、『等身大でナチュラルなままで演じて欲しい』と言われたんだと思います。幽霊だからと安易に顔を白塗りにすると、『ここは生きてるんだ』『ここは死んでるんだ』とわかってしまいますし、ロナンの中ではミユキの思いは地上に残っているわけだから、幽霊でも生きているように演じて欲しいと思っていたのかなとは感じました。」
−−ミユキの生前と幽霊の姿をあえて変えないことに関するロナン監督との意見の共有はなかったんですか?
清水「なかったですね。見せ方を私たちにゆだねない方が良いと思ったのではないでしょうか。それはうまく編集で表現する予定だったので、私には『全部そのままで演じて』と言ったんだと思います。」
−−本作は撮影が2015年に行われて、夕張や大阪の映画祭で上映されたのが2017年で、ようやく2020年に公開されます。3年前に完成品を見た時と、2020年に見た時でご自身の演技を見ての変化は感じましたか?
桐山「5年も経っているので今演じたらまた違うんだろうなとは思います。5年分の経験や学びをふまえて考えると、5年前にみんなで力を合わせて作ったという団結力は映画に出ていると思うので、温かい目で見てもらえたら嬉しいですね。」
清水「私も性格が年々明るくなっているので、今演じたら違うなと思います。だから5年前の時のトーンを今出せと言われたら時間がかかると思います。5年前はミユキみたいな影のある役をたくさん演じていたのですが、最近はコメディばかりが続いて、性格が太陽に近づいていってると友達に言われるくらい明るくなってしまったので、あの時のミユキに戻すのは大変でしょうね。」
−−お2人の本作での好きなシーンや見どころを聞かせていただけますでしょうか?
桐山『ミユキを尋ね人として探している張り紙が落ちているのを見るシーンの撮影で、監督から張り紙を見て考え込んでから捨ててくれという指示があったんですよ。でも『俺はタクマだったら捨てはしないと思います。』と言いました。タクマだったらもう一回貼ってあげるんじゃないかと思ったので、僕は唯一そこで監督に意見を言いました。それでそこは貼り直すというシーンになったんです。監督と話し合って決まったそのシーンは僕にとって思い出深いですね。」
清水「一見ホラー映画ですけれど、女子高生の切ない純愛ラブストーリーとしても観れるので、構えずに観て欲しいなと思います。」
(桐山漣さん)ヘアメイク:江夏智也(raftel)
(清水くるみさん)ヘアメイク:堀川知佳
(清水くるみさん)スタイリスト:吉田ナオキ
(清水くるみさん)衣装協力:WYM LIDNM、REV、GARNI、NUG
インタビュー・構成 / 佐藤 渉
撮影 / 白石太一
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— ミルトモ【映画・ドラマ・アニメ総合情報サイト】 (@mirtomo_jp) November 26, 2020
『海の底からモナムール』作品情報
出演:桐山漣、清水くるみ、三津谷葉子、前野朋哉、杉野希妃
監督:ロナン・ジル
エグゼクティブプロデューサー:田中弘樹、小野光輔、ロナン・ジル、門田大地
プロデューサー:福島珠理、近藤まほ
コプロデューサー:ニコラ・ポラキ、サンドリン・ポラキ、オリビエ・ガルシア
脚本:ロナン・ジル
撮影:ドミニク・コラン
音楽:RONAN GIRRE & ASWEFALL
照明:村地英樹
録音:國分玲
美術:竹島卓也、木元哲治
助監督:市原大地
編集:パスカル・ラティル
特殊効果:ヴァンサン・ヴァカリザ
記録:夏都愛未
衣装:福島瑞栄
ヘアメイク:元村玲花
制作担当:和田裕也
制作プロダクション:和エンタテインメント、LES PRODUCTIONS CRESSAC
共同制作プロダクション:HD SYSTEM
配給:アルミード
協賛:広島マツダ、鉄板焼お好み焼き 元就
2017 / 日本・フランス / カラー / シネマスコープ / 5.1 / 84分
公式サイト:uminosoko-movie.com
Twitter:@uminosoko_movie
Facebook:@uminosoko.movie
あらすじ
10年前、イジメに遭い、島の崖から飛び降りた女子高生・ミユキ(清水くるみ)は、「ただ愛されたい」という想いを抱き、17歳のままずっとこの瀬戸内海の浜にいる。
当時、ミユキが想いを寄せていたタクマ(桐山漣)は、同じく島出身のマツ(前野朋哉)に連れられ、それぞれの彼女・カオリ(三津谷葉子)とトモヨ(杉野希妃)と一緒に、卒業後初めて島に戻ることに。
その島では去年、かつて近所に住んでいた同級生のリカが溺れて死んでいた。
「あの浜に行くな」と言う忠告を聞かず、浜でキャンプをする4人。夜、浜でミユキを見て、テントに駆け込むタクマ。
海で泳いでいたカオリは、誰に足を引っ張られ、危うく溺れそうに。
果たして4人は、無事に帰京できるのか?
Gallery
12月4日(金)よりアップリンク吉祥寺にて他全国順次公開!
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