『記憶にございません！』あらすじ・感想！三谷幸喜のオリジナル脚本！記憶喪失の首相に爆笑必至コメディ

映画『記憶にございません！』あらすじ・感想！【ネタバレなし】

出典:『記憶にございません！』公式ページ

こんにちは。ミルトモ映画ライターのKAMUIです。ドラマのチェックは欠かさない私ですが、三谷幸喜監督の最新作『記憶にございません！』を、消費税UPされた2019年10月1日に見てきました。

最近だと消費税アップによって現実世界の総理も叩かれていますが、映画の中でも消費税値上げによって総理が叩かれまくっていました。そりゃ石もぶつけられます。

しかし、暴君とも言っていいダメ総理が記憶喪失になったことで政治が変わっていく、その過程は非常に面白かったです。

総理の秘書役にディーン・フジオカ、敵役に草刈正雄、そして重要なポジションに三谷作品では欠かせない佐藤浩市が配置され、もう面白くないわけがないのです！

ポイント
  • 記憶を失った総理大臣は、最低支持率のアホ総理だった
  • 記憶喪失を隠しながら政治活動を続ける姿はハラハラさせられます
  • キャラが強すぎで面白すぎる！一切の妥協がない至極の政治コメディ。

これに加えてなんか見たことあるけど、この人…あの人！？という驚きがあります。

いっさい妥協を許さず作り上げられた至極の一作。リピートしたくなるほど楽しめました！

今回はそんな映画『記憶にございません！』のあらすじ・感想レビューを行なっていきます。

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『記憶にございません！』作品情報 『記憶にございません！』は2019年に公開され、三谷幸喜が監督・脚本を務めま……

『記憶にございません！』の作品情報

映画『記憶にございません！』作品情報

(C)2019 フジテレビ／東宝

作品名 記憶にございません！
公開日 2019年9月13日
上映時間 127分
監督 三谷幸喜
脚本 三谷幸喜
出演者 中井貴一
ディーン・フジオカ
石田ゆり子
小池栄子
斉藤由貴
吉田羊
木村佳乃
山口崇
草刈正雄
佐藤浩市
音楽 荻野清子

『記憶にございません！』あらすじ・感想【ネタバレなし】


記憶を亡くしたことで散々な目に遭うが自業自得

物語の主人公の黒田啓介（中井貴一）は、演説中に何者かに石をぶつけられ、それが頭にクリティカルヒットしたことで、政治家になってからの記憶をなくします。

自分が何者なのかわからずとりあえず病院を抜け出すと、黒服の男たちに追いかけまわされる上、道行く酔っ払いに「消費税上げやがってコノヤロー」という具合に悪絡みされます。

お腹が空いて飲食店に入れば、ご飯は食べられるものの、店の店長（阿南健治）はただただ苛立ち「お代はいらないから早く俺の目の前から消えろ」と言うのです。

ニュースで自分が内閣総理大臣だと知ることができたものの、おまけに支持率2.3％の史上最悪のダメ総理だということも知り、そりゃ嫌われても仕方ありません。

テレビのニュースでも頭に石が当たりましたというニュースなのに、キャスター（有働由美子）は「石を投げたくなる気持ちは私にもわかる！」と言ってしまうくらいです。

記憶喪失の事実は極秘情報！おかげで出てくる珍行動！

チャラい警察官、大関平太郎（田中圭）には総理だと理解してもらえず、乱暴に保護され、そこからさらに秘書官の井坂（ディーン・フジオカ）に保護され官邸に戻っていくわけですが、ここからがまた大変。

黒田内閣は、総理3代にわたって官房長官を務めている鶴丸（草刈正雄）がほぼ牛耳っています。

そして黒田も、鶴丸の後ろ盾があったからこそ総理大臣の椅子に座っていられるのです。

なので！記憶がなくなったことを鶴丸に知られれば、「総理を続けることが困難でしょ？新しい総理を建てましょ」と黒田のポジションが危うくなるのです。

身内にだけは打ち明けても…と思いもしますが、夫人の黒田聡子（石田ゆり子）は口が軽い！知っていることはベラベラ喋ってしまうタイプなので、やはり秘密にしないといけません。

おかげで起こる珍場面。三谷作品らしい笑えるシーンが盛りだくさんとなるのです。妻と思って抱きしめたら官邸料理人の寿賀（斉藤由貴）だったとか。そもそも料理人が公邸内で早々にパジャマに着替え、くつろぎながら雑誌を読みますか（笑）

「いつもの食べますか？」と、寿賀に聞かれ「食べる」と言ったら予想外のものが出てきます。…総理、それ好きだったの？と笑えます。そもそも昼食も「ピザのチーズ12倍」とかいうおかしいメニューを注文していたみたいです。

囲み取材を受ければ記者たちを振り切るために突き進み、総理が入るはずがない部屋に入って行っちゃいますし…そこからどうするのだろうと思えば、これもまた三谷さんが書きそうな感じです。

政治家のイメージといったら「スキャンダル」と「思惑」の嵐？

すでに夫婦仲が冷めていた総理と総理夫人。

聡子は黒田の知らないところで井坂と密会をし、黒田は黒田で野党第二党党首の山西あかね（吉田羊）と不倫。

井坂は聡子や黒田に取り入り、総理に一番近いポジションをキープすることで、政治を自分の想いのままに動かそうと考えます。

また、山西も野党第二党と総理の党との合併を画策し、総理と昼からビールを交わし、真っ赤な口紅を塗ってセクシーな格好に…。しかし、記憶をなくした黒田はこれを全力で拒絶します。

自分には妻がいる！聡子がいるんだーと主張したいのですが、あまりの悪政で聡子も息子の篤彦（濱田龍臣）の心もすでに離れているのです。そのせいで、篤彦は非行に走り、秘書ふたりが駆け回ることもしばしば…。

総理、内に外に大忙し。

しかも、この二つのスキャンダルはフリーライターの古郡祐（佐藤浩市）にすでに掴まれているモノですから「バラされたくなかったら金持ってこい」と言われるのですが、黒田は記憶ないですからどんな写真を撮られたのかわかりません。

記憶をなくしていることを知られれば、またこれもスクープになってしまいますからバレてはいけません。

そのため「なんだっけ？」「なくしちゃった」など、古郡が呆れることを言い出す始末。しかし、黒田はどうにかして写真の内容を知りたいのです。

「じゃあ！あなたがその写真にタイトルを付けるとしたら！？」

こんな聞き出し方する総理がいるかぁ！と、今でも笑えます。

謎の電話はかかってくるし、知らないフリーライターに強請られるし、知らない愛人に「合併しよ」と迫られるし…史上最低のダメ総理の悪行が、記憶をなくしてしっぺ返しのように帰ってきた感じです。

悪いことをしてはいけませんね。

石を投げた犯人もしっかり登場。その理由を聞き、黒田啓介（中井貴一）は決断をする

作中では、黒田に石を投げた犯人も現れます。

総理に対してあんなことをしたなら、どんな処罰されるんだろうなぁーでもまぁ仕方がねぇかー。

それだけのことやったしなぁという具合で登場する南条実（寺島進）。なぜ石を投げたのか、その理由は「生活保護」に関わる問題でした。

黒田は他にも友人の企業に仕事を与えるため、国会議事堂の隣りに”あるもの”を作ろうとしたり画策していたりしていました。

記憶をなくした黒田から見れば、「何を考えているんだ！」と言えるようなことばかりしているのです。

国民のリアルな声を目の前で聞いた黒田は記憶をなくして逃げ回るだけの総理でいることを辞めます。

その第一歩として、小学校の頃に社会科を教えてくれた恩師・柳友一郎（山口崇）を招き、政治の勉強を一から始めます。

悪政をやめ、民衆に対して「うるせぇコノヤロー」というような政治家はさっぱり辞め、黒田は良い政治をしようと方向転換を始めたのです。

熱血な秘書官である番場のぞみ（小池栄子）は、そんな黒田をしっかりサポートし、一緒に明るい未来を目指そうと頑張ります。

さて、ディーン様扮する井坂さん、そして黒田内閣の黒幕である鶴丸官房長官はどうするのか。夫の人格が変わって気味が悪いと騒ぐ聡子はどうするのか。父に失望している篤彦は何を思うのか！

そして、アメリカ初の日系女性大統領のスーザン・セントジェームス・ナリカワ（木村佳乃）との外交問題は？

こう見ると、記憶を失ったからどうしていく？というより、石がぶつかって記憶がなくなった今だからこそ思い切って変わろう！これはチャンスなんだ！と、希望の光が見えてくるようにもなっていたのです。

無言で存在感を放つ人たちが多すぎる（笑）

三谷幸喜作品と言えば、予想しないところで笑いの不意打ちをしかけてくるのが醍醐味ですよね。

今作品でも3人いる秘書官の1人である野々宮（迫田）のネクタイの柄がいちいち気になり、建設会社社長の小野田（梶原善）の頭が気になり、政治家の1人を演じるずんの飯尾さんの福耳、小林隆さんの半ズボンスーツには目が自然と行きます。

小林隆さんにいたっては、三谷さんの劇団時代からの旧友だからというのもあるのですが、いい意味で好き放題されているなという印象です。

また、三谷さんがソウルメイトと呼んでいる斉藤由貴さんの行動は料理人には見えないです。

深夜に厨房で物音がしたから、フライパンで思い切り殴るのですが、それ総理！また記憶なくすんじゃ…なんて思いましたし。

もう一人のソウルメイト、佐藤浩市さんも好き放題されていました！古郡という金のためならどんなスクープも取ってきてやるよという人なのですが…その恰好は…そこまでやるの？と言いたくなるシーンが出てきます。

さらに！この人どこかで見たことあるんだよなぁ～と思う人も出てきます。

聡子の兄の鰐淵影虎。黒田に総理の座を奪われ、実はものすごく僻んでいる人物なんですが、どこかで見たことが…誰？と疑問に思っていたら映画の途中でギターを弾いて歌っているではないですか…その雰囲気…あなた、ROLLYじゃないですかぁあ！？

すっぴんに近いメイクをされていて気づくのに時間がかかりました。

むしろ、弾き語りをされなきゃ気づけなかったレベルです。

そしてもう一人！鶴丸の元にいる政治家の1人、八代です。

正直、地味なんです。

どこにでもいそうな顔で、でもすごく見覚えがあって…「誰だっけー？」と思っていたら、ジャルジャルの後藤さん！どうやら三谷さん、後藤さんの特徴のない顔が好きみたいで今回キャスティングしようと思ったみたいです。

褒めているのか貶しているのかわらない発言ですが、きっと「褒めているよ」と全力で言うと思います。

人物だけじゃなく、個人的にえ！？っと思った上に笑った箇所があります。

デリバリーを取ったピザ屋の名前は「ドミソピザ」。

昔、香取慎吾主演で放送されたシチュエーションコメディドラマ『HR』という作品があったのですが、その時にもこのドミソピザが出てきました。三谷ワールドのピザ屋は常に「ドミソピザ」だということがわかりました。

また南条が着ているとび職の衣装。これも『HR』で國村隼さんが演じたベテラン大工の衣装と非常に似ています。使いまわしなのでは？と疑うほどに。三谷ワールドの大工さんは、よく薄紫のジャケットを着ているとわかりました。

『記憶にございません！』天海祐希の出演シーンは一体どこ？

『記憶にございません！』を見終えた人の大半の謎。

最後のスタッフロールに天海祐希さんの名前があるのですが…どこ！？って事態になっています。

確かに名前は出ているのですが、あっ天海さんだ！と思った瞬間がなかったのです。

さらには、山寺宏一さんの名前も。

あんな特徴的な声、聞き逃さないわけがないんです！思い返しても、思い返しても、頭の中にある作品の記憶をどれだけ探しても！

「記憶にございません」

なのでこの映画は、2周3周と見る必要がありそうです。

まだ見ていないという方は、作品を楽しみつつ「天海祐希」「山寺宏一」探しをしてもらいたく思います。

政治家1年生の質問だが、それが原点！

人が変わったかのように政治との向き合い方を変えた黒田は、鶴丸が操れるような人物ではなくなってしまいます。

表向きには総理万歳と笑顔を見せますが、裏ではもうイライラですし、様子がおかしいとさえ思うようになりました。そりゃ記憶が…。

すでに対立関係に発展しそうになっている鶴丸に対し、黒田は聞きました。

「どうして政治家になりたいと思ったか」

政治家1年生の質問だと笑われますが、正直国民にとってはその答えがかなり大事だと思うのです！

贅沢するためになったと言われ、税金を上げられていてはたまったもんじゃありませんからね。

支持率は圧倒的に鶴丸の方が上ですが、政治家として国民の心に寄り添おうという姿勢を見せているのは生まれ変わった黒田の方が上でした。

『記憶にございません！』感想

『記憶にございません！』のみどころ、伝えたかったこととは？

めちゃくちゃな法案、それいる？というような建物の建設。

そして上がり続ける税金。さらには、不祥事を起こせば「記憶にございません」の一点張り。

おっと！ここでも出てくる「記憶にございません」。

総理黒田の記憶がないことと、悪政をしていた頃の口癖だった「記憶にございません」をかけたということなんだと納得しました。

今回のタイトルになった経緯も調べてみたところ、結構悩まれたみたいです。

「記憶を失った内閣総理大臣」や「忘れたくても、思い出せない」とか色々と試行錯誤した様子。しかし、結果は「記憶にございません」。

作品がヒットすれば、以後政治家たちはこのフレーズを使いづらくなるだろうと、抑止力にまでなるのではないか？とまで考えたみたいなんですが…ここが凄いなぁと思うのです。

確かにこの映画を見て以降、政治家が「記憶にございません」なんて言った日には、黒田かな？みたいに思えて笑えてしまうかもしれません。

つまりこれは、都合の良いことを忘れる政治家への皮肉？と、捉えられました。

政治家の目に留まったら潰されるんじゃないか？と言いたくなりそうな話ですが、税金値上がりや憲法改正、原子力発電云々の問題から目を背けないためにもいいんじゃないだろうか？なんて思います。

石が当たって世間からは様子がおかしいと思われても、ちょっと女性記者を助けたとしても、世論がそう簡単に変わらないのですから。

『記憶にございません！』のレビュー！

この作品を作るにあたり、主演の中井貴一さんは「妥協しないで」と三谷さんに言ったらしいです。

そして中井さんは最悪のダメ総理と、記憶をなくし、一からやり直すことを決めた総理の2役を演じてるかのようにキャラが変わっていました。

草刈さんも見た目の良さで支持率を得ている鶴丸という悪役を全力で演じ、ディーン・フジオカさんは相当三谷さんと役について話したとか。

ベテランたちの「全力」と「妥協なし」で作りに行った笑いだからこそ、非常に面白く、シナリオとしても良いものになったと思います。

役者さんのキャスティングのこだわりなどは、三谷さんのブログで見ることができるんですが、そんな想いがあったからこそ役者人生も受けて立つ！という具合に答えたように見えました。政治がわからなくても見れます！

むしろ、ここを政治の入り口にして、今の日本の政治を見たり、どうなってほしいのかを考えるのも悪くないと思うのです。

きっかけはどこに落ちているかわかりません。冗談で重役につけてくれといった言葉が後に実現したりすることだってあるのですから。

『記憶にございません！』のみんなの感想！

『記憶にございません！』まとめ

以上、ここまで映画『記憶にございません！』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 色々な笑いがうまく盛り込まれ、振り返ると頭が上がらない面白さでクセになる
  • 政治ってなんだろうと考えさせてくれます
  • 天海祐希、山寺宏一を探せ！

コメディというのは作品ができて終わりじゃなく、笑ってもらえて完成らしいです。疲れた時などに見て、大いに笑える作品だと思います。

また、脚本と監督をした三谷幸喜さんは、政見放送風の告知で言いました。

「映画の評価を決めるのは批評家ではありません。ネットのコメント欄でもありません。あなた自身です。」

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『記憶にございません！』作品情報 『記憶にございません！』は2019年に公開され、三谷幸喜が監督・脚本を務めま……