2023年、小説投稿サイト「カクヨム」に突如現れたホラー作家、背筋氏。
デビュー作となる「近畿地方のある場所について」が、この度2年の時を経てついに実写映画化されました。
タイトルにも書いた通り、背筋氏を始めとした様々な鬼才たちのアイデアが混ざりに混ざった、なんとも味の濃ゆ~い作品に仕上がっております。
ホラー、オカルト、都市伝説好きは特に必見!
・オカルト好きにはたまらない、こだわりを感じる映像たち
・白石監督節が炸裂!ホラーはやりすぎているくらいの方が気持ちいい!
それでは『近畿地方のある場所について』を簡単なあらすじ以外のネタバレはなしでレビューします。
目次
『近畿地方のある場所について』作品情報
監督:白石晃士
脚本:大石哲也 白石晃士
主演:菅野美穂 赤楚衛二
製作年:2025年
公開日:2025年8月8日
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/kinkimovie/
『近畿地方のある場所について』あらすじ

(C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会
とあるオカルト雑誌の編集者が、突然行方不明になった。
デスクに残されていた資料は、幼女失踪事件やネット配信中に起きた怪現象の映像、中学生の集団ヒステリー事件の記録、はたまたTVのインタビュー映像や都市伝説まで、一見すると関連性の無いものばかり。
編集部員の小沢悠生(赤楚衛二)は、居なくなった編集者が担当する予定であった特集記事の穴埋めをしなくてはならず、オカルトライター瀬野千紘(菅野美穂)の手を借りて、共に残されていた資料のつながりを紐解いていく。
するとそれらの事件や映像、都市伝説は全て近畿地方の「とある場所」を示している事がわかった。
真相を確かめるべく、2人は導きだされた場所へと向かう。
しかしそこは、決して辿りついてはならない禁断の場所だった。
『近畿地方のある場所について』作品の見どころ
気持ちいいスピード感!どんどんつながって真実に近づいていくストーリー展開
まず伝えたいのは、なんと言っても緻密で魅力的なギミック満載のストーリー。
原作となる小説版が、背筋 氏のデビュー作にしてさっそく大きな話題を呼び、すぐに映画化されたことからも、その凄さが伝わりますね。
ホラーの王道を押さえつつも、他にはない斬新な展開の連続。
見ていると、思わぬ方向に何度も想像を裏切られます。
次から次へおそってくる“違和感”に、どんどん続きが気になってしまいます。
野元ミナギ
物語を支える、実力派俳優達の名演技
そして今作は、出演俳優も豪華。
数々の名バイプレイヤー達が演技を光らせる中、やはり強く印象に残ったのは主演の2人。
小沢悠生役を演じた赤楚衛二 氏は、若く無鉄砲ながらも、仕事に情熱を持った編集者を熱演。
瀬野千紘役を演じた菅野美穂 氏は、クライマックスに向かうにつれどんどん狂気的になっていく演技の振り幅が見事でした。
冒頭から、まるで演技であることを忘れさせるくらいに自然で、まさに役にピッタリのキャスティングだなと思わされました。
一人の女性として、なんとも魅力的。
野元ミナギ
オカルト好きにはたまらない!こだわりを感じる映像たち
今作は、失踪した編集者が残した資料が大きなカギを握ります。
作中に出てくる資料映像はそのまま画面を通して映し出されるので、まさに主人公の2人と共に真相を追っている様な気持ちになります。
資料映像たちは、ホームビデオ風のものやテレビのインタビュー、「日本昔ばなし」の様なタッチで描かれる都市伝説など様々。
それぞれにあった映像の質感やセリフ、カメラワークなどのおかげで全ての映像にリアリティがあり、とてもこだわりを感じました。
野元ミナギ
こういうの、よくあったな~!と、ニコニコ動画なんかに張りついて怖い動画を見漁っていた学生時代を思い出しました。(笑)
平成生まれのホラー好きには、より刺さりそうだなと思います。
白石監督節炸裂!やり過ぎ?なホラー演出
今作の監督は、白石晃士 氏。
白石監督と言えば、カルト的な人気を誇るモキュメンタリーシリーズ「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズなどを手掛ける、現代ホラー映像監督の第一人者。
昨年公開された「サユリ」も、その斬新な作風から大きな話題を呼びましたね。
白石監督作品の特徴といえば、なんといっても演出の派手さ!
日本のホラー映画と言えば、静かに怪異が迫ってきてゾクゾク…といった、スローテンポでじわじわ恐怖をかき立てられる作品が多いイメージがありますが、白石監督の作る映像はまさにその真逆といっていいでしょう。
とにかくド派手にいろんなことが起きて、いろんなものが出てくる。
それはやりすぎでしょ!と笑ってしまうくらい、とにかく派手にめちゃくちゃやってくれる作品が多いです。
溢れんばかりのオーバーなB級感こそが、白石監督の持ち味なのです。
しかし、だからと言ってあなどってはいけません。
そう、今作はド派手な上にしっかり怖いです。
最近公開されたいくつかの白石監督の作品を見ましたが、間違いなくホラーの部分の要素がどんどんパワーアップしているのを感じます。
怪異たちや衝撃的な描写が惜しむことなくどんどん出てきてくれるので、ホラー好きならば逆にスカッとしますね。
野元ミナギ
野元ミナギ
映画を見終わったあと、
「かなり好きだったな…。
でも、この既視感はなんだろう…?
この、なんでもやってくれる!という爽快感は、一体どこで感じたものだろう…?」
としばらく考えこんでいましたが、
エンドロールの「監督 白石晃士」のテロップを見て全てに納得がいきました。(笑)
そのくらい、私は白石監督作品が好きなのです。
・ホラー、オカルトファンにはたまらない、こだわりの数々!
・もったいぶらずに次々と襲ってくるホラー描写が気持ちいい!
『近畿地方のある場所について』まとめ
以上、ここまで『近畿地方のある場所について』をレビューしてきました。
始まりからラストまで、余すことなく楽しめて、私は総合してとても好きな作品でした。
最近の日本のホラー映画は、どうしても良いものが少ない…という方にこそ、新しい切り口として見てみて欲しい作品ですね。
ネタバレはなしで書いてきましたが、ラストの方の展開が少し難しいため、見終わったあと少し混乱してしまう方もいるかもしれません。
既に色々な方が考察などを発信されているので、原作の小説や映画のパンフレット、公式のHPなどと合わせてじっくり見てみると、より作品の面白さが倍増するかと思います。
そして、白石監督や背筋 氏の今後の作品にも大いに期待ですね!
それでは最後に、この記事を見つけてくださってありがとうございます。。。