『決算!忠臣蔵』あらすじ・ネタバレ感想!赤穂浪士討ち入りの予算をシミュレーションした生々しいコメディ!

映画『決算!忠臣蔵』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『決算!忠臣蔵』公式Facebook

日本人にはおなじみの仇討美談『忠臣蔵』。

しかし、どんなことをするにもお金はかかるもの。

あえて美談に対し「実際のとこいくらかかったの?」「討ち入り本当にしたかったの?」と突っ込んでみせたのが映画『決算!忠臣蔵』です!

ポイント
  • それっぽく見えるけどなんか頼りない、絶妙な赤穂浪士たちのキャスティング
  • 具体的すぎるし、生々しすぎる討ち入りまでの予算事情をバラエティタッチで描く
  • 最後にはなんだかんだ赤穂浪士たちを尊敬してしまう

それではさっそく映画『決算!忠臣蔵』をネタバレありでレビューしたいと思います。

▼動画の無料視聴はこちら▼

『決算!忠臣蔵』作品情報

『決算!忠臣蔵』 作品情報

出典:映画.com

作品名 決算!忠臣蔵
公開日 2019年11月22日
上映時間 125分
監督 中村義洋
脚本 中村義洋
成島出
出演者 堤真一
岡村隆史
濱田岳
横山裕
妻夫木聡
荒川良々
竹内結子
石原さとみ
橋本良亮
西村まさ彦
寺脇康文
上島竜兵
堀部圭亮
山口良一
鈴木福
鈴鹿央士
千葉雄大
滝藤賢一
笹野高史
木村祐一
板尾創路
村上ショージ
西川きよし
桂文珍
阿部サダヲ

【ネタバレ】『決算!忠臣蔵』あらすじ・感想


最近増えてきたお仕事&予算やりくり系時代劇

映画『決算!忠臣蔵』

出典:映画.com

ここ最近の日本映画は、昔ほどは時代劇が作られなくなり、殺陣師や所作の先生、美術の仕事も減って、日本が誇るコンテンツのクオリティが維持できなくなってきています。

おまけに我々観客側も昔の時代劇の観客ほどには歴史や時代劇の用語に関するリテラシーがなくなってきてもいるのです。

しかし近年、時代劇がメジャーでなくなり、格調の高さを維持できなくなったことを逆手に取った異色時代劇が増えてきました。

シライシ

北野武の金髪やタップダンス演出が際立つ『座頭市』や、紀里谷和明監督の『GOEMON』などCGビジュアルバリバリの時代劇もありましたし、昨年だと『パンク侍、斬られて候』なんてのもありましたね。

そういう時代考証をあえて無視した好き放題な時代劇もあれば、江戸時代の武士と言えどもただの人間でありサラリーマンだということを強調し、チャンバラ以外の普通のお仕事のやりくりにフォーカスを当てる映画も増えています。

そして、そういう映画は軒並みコメディです。

『武士の家計簿』や『超高速!参勤交代』や『引っ越し大名』、いずれも予算のやりくりがテーマであり、それに伴うごたごたを扱うコメディになっていました。

『決算!忠臣蔵』もその系譜の一つであり、中村義洋監督は“仙台藩の宿場町の一商人が藩にお金を貸して利息で儲けて街の再興を図る”という驚くべき実話の映画化『殿、利息でござる!』も撮っているので、こういうお金にまつわる時代劇は得意分野なのです。

あの忠臣蔵の収支を明らかにする面白さ

映画『決算!忠臣蔵』

出典:映画.com

しかし、やはりそれまでのお金やりくり系時代劇と比べても「忠臣蔵」という題材の大きさと、その討ち入りまでの予算の徹底的シミュレーションという内容はインパクトが大きい。

シライシ

なにせ日本人の間で一二を争うほど人気のある時代劇の王道中の王道の題材ですから。

ここまで『忠臣蔵』をコメディタッチで描いた映画は過去なかったのではないでしょうか。

大石内蔵助をはじめとする赤穂浪士たちは、ただの武士の鑑のような立派な忠臣ではなく、目先のことに悩み、欲望に流されたり、見栄を張ったり、愚痴を言いまくる人間臭いキャラクターとして描かれています。

映画『決算!忠臣蔵』

出典:映画.com

そして彼らが何か行動を取るたびに、いくらかかったのかが画面にどでかく表示されて笑ってしまいます。

演出ははっきり言ってバラエティ的で映画っぽくはないです。

しかし、原作にあたる「忠臣蔵の決算書」は大石内蔵助が撃ち入りまでの間に各浪士の生活費、行動費、武器などの準備費の出入りを余さず記録していた収支決算報告書「預置候金銀請払帳」を元にリサーチをしっかり行われて書かれた歴史書であり、それに忠実に作ってある『決算!忠臣蔵』は、実は今までの中でもかなり史実に近い忠臣蔵映画になっています。

シライシ

そもそも『忠臣蔵』は歴史の教科書に載っている赤穂事件とはちょっと違います。

この事件は元禄14年3月14日(1701年4月21日)に、江戸城内で赤穂藩藩主・浅野内匠頭が賄賂などの不正や自身への嫌がらせを行ってきた吉良上野介に怒って斬りかかり、殿中での人傷沙汰御法度の原則によって同日中に切腹を申し付けられたところから始まります。

そして赤穂藩はお家取り潰し、藩士たちは路頭に迷い、お家再興を試みるも実現せず、約2年後の元禄15年12月14日(1703年1月30日)に四十七人で吉良邸に討ち入って吉良上野介の首を取り、その後将軍綱吉の命で全員切腹となったのです。

耐え忍んで主君の仇を討った赤穂浪士四十七士の姿は侍の手本だともてはやされ、寛延元年(1748年)8月に歌舞伎の演目「仮名手本忠臣蔵」として上映され、それから長く日本人の間で親しまれてきました。

とにかく赤穂浪士たちが損得勘定抜きで浅野内匠頭の仇を討った点が、この話の感動ポイントなので『忠臣蔵』はフィクションとしての誇張や都合の悪い史実のカットも行われています。

大げさな言い方をすれば、古代ギリシア時代のスパルタ王国の史実のテルモピュライの戦いに対する『300』のようなものです。

しかし最近の研究では、大石たちはあくまでもお家再興の方に力を注いでいたとか、討ち入りを決行したのは立派な侍であることをアピールして再就職を狙うためだったなんて説も出てきているのです。

シライシ

生々しい話ですが、正直信ぴょう性はある気がしますよね(笑)

そもそも2年間もの間、無職の侍たちがどうやって食いつないでいたのか気になるところです。

今まで私が見たドラマなどの忠臣蔵でもその2年間を描いてはいましたが、イマイチ生活感がなかったりした気がします。

『決算!忠臣蔵』の見どころは、その細かい準備期間のお金の出入りを描いているところです。

ていうか、ほとんどそこしか描いてません(笑)

シライシ

思ったのですが、忠臣蔵に限らずフィクション全般を見ていて「この人たち生活の収支どうなってるんだろう」って思うことありますよね。

そんな普通の作品が目をつぶっているポイントをえぐっている斬新な映画です。

ぎりぎり時代劇の体裁を保った絶妙なキャスティング

斬新な映画ではありますが、主人公は普通に大石内蔵助です。

ただW主人公で矢頭兵助という勘定方(現代の会社で言う経理)の下級侍もいます。

藩の老中でありNo.2の大石と、ただの経理の矢頭が実は幼馴染という設定も面白いです。

今すぐ仇討だと番方(戦闘専門の侍たち)が血気盛んに叫んで乗せられそうになる大石に対し、ひたすら現実的な金の話しかしない矢頭という構図が笑いを生みます。

そして大石役の堤真一と矢頭役の岡村隆史が実にいい演技アンサンブルを見せるのです。

映画『決算!忠臣蔵』

出典:映画.com

堤真一は普通に貫禄はあるしかっこいい俳優ですが、大石内蔵助役をやるには少し軽いし若く見えてしまうというバランス。

しかし、それが状況に流されて四苦八苦する今回の大石役にはハマっています。

シライシ

ちゃんと締めるところは大石らしく締めてくれるし、軽すぎず重すぎないベストなキャスティングではないでしょうか。

岡村隆史は芸人らしさは一切捨てて、ひたすらボソボソ冷静に喋る役人気質の矢頭を演じていますが、彼が実は普段は根暗ということは有名なのでそういう人にしか見えません(笑)

堤真一が表情豊かで部下にツッコミを入れまくる役で、岡村隆史がひたすら真面目な役というのも新鮮です。

ちなみに浅野内匠頭は阿部サダヲが演じており、こちらも通常の忠臣蔵よりも軽薄めな人物として描かれています。

有名な吉良による内匠頭へのいびりの描写も一切なく、いきなり松の廊下で斬りかかるシーンがはじまるので、忠臣蔵を知らない人が見たら内匠頭が突然キレたようにしか見えないでしょう(笑)

阿部サダヲはあえて重厚感はないけどなんだか憎めないバカ殿として浅野内匠頭を演じており、大石たちがその後「あの人のために命がけで討ち入りするのか?いや、でもなんだかんだ好きだったし…」みたいに悩む理由付けにもなっているのが巧いところです。

そして制作に吉本が入っているので木村祐一西川きよし桂文珍板尾創路と関西の芸人キャストがたくさん出てきますが、これも『決算!忠臣蔵』には合っています。

赤穂は現在の兵庫県に当たるので、当然藩士たちは関西弁を話すはずなのですが、今までの忠臣蔵はそこを無視して標準語というか関東の言葉を喋らせていました。

しかし、今回はちゃんとみんなバリバリの関西弁で喋るので、そこもコミカルさを生む要因になっています。

シライシ

実は兵庫県生まれの堤真一によるコテコテの関西弁によるツッコミも絶品です。

とにかく討ち入りにはお金がかかる

映画『決算!忠臣蔵』

出典:映画.com

そして何よりも本作『決算!忠臣蔵』で見どころで驚かされるのは、撃ち入りにかかる各種費用の額そのものです。

シライシ

最近、金欠気味の筆者にとっては目が回る様でした(笑)

具体的な金額は実際に見てびっくりしていただきたいのですが、最初にナレーションで江戸時代の蕎麦は一杯十六文(480円)と説明が入り、それを基準に金額が提示されていくので貨幣換算もわかりやすいです。

とにかく江戸時代は交通手段がろくにないので、ちょっとした移動にも宿泊費やら食費が絡んでかなりの額になりますし、労働基準法もないのでヒラ藩士と重臣たちの賃金格差もエグイことになっていていちいち驚きます。

おまけに我々にはもはや馴染みのない武器の数々も「え?一個そんなに高いの?」とびっくり。

時代劇を見ていればよく見る武器しか出てこないのですが、それの値段を出す時代劇は初めてじゃないでしょうか。

とにかくかさむ費用に対応する大石たち。

きれいごとはほとんどなく、生臭いエピソードだらけですが、だからこそそんな状況でも結局大石たちが見事討ち入ったという史実への感動と敬意も増すようになっており、ただ単に忠臣蔵を茶化した内容にはなっていません。

シライシ

むしろ『決算!忠臣蔵』の赤穂藩士たちの方が普通に人として尊敬できます。

ちなみに『決算!忠臣蔵』のクライマックスは時代劇に慣れている人ほど驚くでしょう。

普通だったらカットか1分くらいで済まされそうな場面が大クライマックスになっていてとても新鮮でした。

ぜひ劇場でご確認ください!

『決算!忠臣蔵』まとめ

以上、ここまで映画『決算!忠臣蔵』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 今までよりもちょっと情けない藩士たちを演じる役者陣がドハマり
  • 分かりやすい忠臣蔵の金銭事情。単純に金額にびっくりします
  • ちゃんと忠臣蔵の魂は入っており、敬意も払っています

▼動画の無料視聴はこちら▼