映画『家族を想うとき』あらすじ・ネタバレ感想!父親が流す涙が、すべてを物語る。

映画『家族を想うとき』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『家族を想うとき』公式サイト

仕事をすることが世間ではもっとも大切なことで、生活をする上では切っても切り離せないことは明白の事実でしょう。

本作『家族を想うとき』は、イギリス在住の中流家庭の労働をテーマにしていて、家族の大切さを訴えた作品です。

ポイント
  • 働くとは何かを問う社会派ドラマ
  • 代弁者、ケン・ローチ監督が吠える
  • タイトルに秘められた現代の家族の姿

それではさっそく『家族を想うとき』をネタバレありでレビューしたいと思います。

映画『家族を想うとき』作品情報

映画『家族を想うとき』作品情報

出典:映画.com

作品名 家族を想うとき
公開日 22019年12月13日
上映時間 100分
監督 ケン・ローチ
脚本 ポール・ラヴァーティ
出演者 クリス・ヒッチェンズ
デビー・ハニーウッド
リス・ストーン
ケイティ・プロクター
音楽 ジョージ・フェントン

【ネタバレあり】映画『家族を想うとき』あらすじと感想


どの国にもある雇用問題に胸が締め付けられる

近年、日本でも働くことに対する考え方が少しずつ改善されようとして来ています。

世間では働き方改革と言う言葉も出てくるほど、労働への意識に変化が起きています。

本作『家族を想うとき』は、仕事とは何かと私たちに考える機会を与えてくれている作品です。

物語は、本作の主人公リッキーが運送会社にフランチャイズとして雇用される場面から始まります。

彼は、一家の主として家族を養っていかなければなりません。

自家用車を売ってまで次に選んだ仕事は、自営でできる運送業でした。

でもその職場環境は最低最悪で、個人経営なんて名ばかりのブラック企業だったのです。

映画『家族を想うとき』

出典:映画.com

家族との時間を持ちながらもう少し自由に働けるとばかり考えていた彼にとって、理想と現実のギャップは広がっていきます。

子供の問題に翻弄され、膨らんでいく借金に追われるリッキーや彼の家族に幸せは訪れるのでしょうか?

『家族を想うとき』はイギリスで実際に起こった事件から着想を得て製作された物語で、日本から離れた遠方の国の話だとまったく別の次元に感じられるかもしれません。

鈴木友哉

けれどイギリスだけに限られた話ではなく、ここ日本でも同じように雇用問題や会社の激務に悩まされている人は大勢いると思います。

今年もまた、ブラック企業ランキングと言う比較的世間で注目されれるようなニュースが発表されたばかりです。

また、コンビニエンスストアの人手不足による経営難など、日本でも労働する上での社会的問題が浮き彫りになってきました。

本作『家族を想うとき』は、遠い国の話だと思わずに、日本に置き換えて考えながら観て欲しい映画です。

名匠ケン・ローチが伝えたいこと

映画『家族を想うとき』を製作したのは、ケン・ローチというイギリスを代表する名監督です。

鈴木友哉

個人的には彼が作る映画は好きで、どれを観ても心に刺さる題材ばかりです。

彼の作品に派手さがまったくありませんし、スーパーヒーローなんまったく出てきません。

ケン・ローチの作品に登場する人物は皆、イギリスの地方都市で暮らす中流、あるいは下流階級の人々で、すべてマイノリティに寄り添った映画ばかりです。

また各々の作品のテーマも多岐に渡り、労働階級、福祉、人種問題、移民問題、シングルマザーなど、社会的弱者やマイノリティからの眼差しを通して世の中の不徳を訴えています。

近年、イギリスでは政治体制が変わりつつあり、その変化が雇用や年金、社会保険にも大きく影響しています。

ケン・ローチは、現代イギリスが抱える社会問題を映画で表現し、全世界に発信しようとしています。

その想いは、前作『わたしは、ダニエル・ブレイク』から引き継がれ、今回の『家族を想うとき』もメッセージ色の強い作品に仕上げています。

映画『家族を想うとき』

出典:映画.com

鈴木友哉

彼は「映画で世界を変えられるなんて幻想は抱いていない。映画はひとつの声に過ぎないと思うから。それでも声を上げ続けることが大切なんだ。」と語っており、この彼の考えには私も賛同したいです。

そんなイギリスの名匠ケン・ローチが選んだテーマは、貧困に喘ぐ市民の声なき声です。

原題『Sorry We Missed You』の意味を違う視点から汲み取ってみる

最後に本作の原題『Sorry We Missed You』について、どのような意味合いがあるのか考えてみました。

この言葉は英語では慣用句のように用いられ、意味としては直訳すると「ごめんなさい。あなたを見つけられなかったです」となります。

この言い回しは、運送業者の方がよく家主が留守の時にポストに投函している“不在票”を指しています。

ただ、少し違った視点で考えてみると、まったく異なった意味を見つけることができます。

「Sorry We Missed You」のweは本来ここでは、運創業者のドライバーを示しています。

またyouはあなた方となり、荷物を受け取るお客さんのことを指していることがわかります。

でも、weを家族にして、youを父親に置き換えて考えると、私たち家族は本来の父親を失ってしまったと言う解釈もできます。

彼らには運送業に身を置くようになってから、日毎に変わってきた父親の姿が目に焼き付いてしまっています。

映画『家族を想うとき』

出典:映画.com

ラストの場面で、強盗に襲われても尚、自身を省みて家族のために泣きながらトラックを走らせるリッキーの姿に胸が締め付けられます。

鈴木友哉

また、ボロボロになってまで出勤しようとする彼を必死に引き留める妻や子供達の姿が、印象的でした。

家族の制止を振りきってまで何を得ようとしたのか、ハンドルを握るリッキーの目には大粒の涙が溢れ、その涙に一体どんなドラマがあり、どんな意味があるのだろうかと考えてしまうのです。

映画『家族を想うとき』まとめ

以上、ここまで映画『家族を想うとき』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 死ぬまで切り離せない労働とは、何かを問うています
  • ケン・ローチの視点は、鋭くて温かいものです
  • 仕事と家族の在り方について問える作品です