『かしこい狗は、吠えずに笑う』あらすじ・ネタバレ感想!人間の生々しい感情を描いた低予算自主制作ムービー

映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:U-NEXT

これ本当に低予算自主制作なの…?

映画『カメラを止めるな!』で低予算映画や自主制作映画が注目を集めるようになりましたね。

これから紹介する映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』も低予算の自主制作映画です。

2013年に公開された映画で、日本の低予算自主制作映画の先駆けと言っても過言ではありません。

ポイント
  • 予算は?キャストはどうやって集めたの?
  • よくあるシチュエーションからどう展開する?
  • まさかの結末に驚愕

『カメラを止めるな!』とは、また違った衝撃的を受ける映画でした。

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『かしこい狗は、吠えずに笑う』作品情報

作品名 かしこい狗は、吠えずに笑う
公開日 2013年6月22日
上映時間 94分
監督 渡部亮平
脚本 渡部亮平
出演者 mimpi*β
岡村いずみ
石田剛太
音楽 近谷直之

【ネタバレ】『かしこい狗は、吠えずに笑う』あらすじ・感想


予算は?キャストの集め方は?

映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』は、150万円という低予算で製作されました。

私は映画で150万の予算と言われてもピンときませんでした。

調べてみると、なんと同じく低予算映画である『カメラを止めるな!』の半分の予算だったのです。

監督はテレビドラマ『アザミ嬢のララバイ』の脚本を手がけた渡部亮平。

獲得した賞金や、なけなしの貯金を資金にあて、自作脚本を自主制作で初監督として完成させました。

キャストはTwitterとmixiを使って募集したとのこと。

また、熊田美沙役のmimpi*βは、シンガーソングライターでもあり、主題歌も担当しました。

私は、美沙はあだ名が「ブーさん」のイジメられっ子にしては可愛いくないか?と思いながら観ていました。

しかし、低予算映画だということを知り、主題歌も担当できるキャストにしたのかな?と思いました。

少年刑務所で弁護士と会話しているのは誰?

少しぽっちゃりした容姿から「ブーさん」と呼ばれ、イジメを受けている女子高校生の熊田美沙(mimpi*β)。

美沙とは対照的な美しい容姿ゆえに、嫉妬心からイジメを受けているクラスメイトの清瀬イズミ(岡村いずみ)。

美沙が生理痛に苦しむ場面から、この映画は始まります。

そこから少年刑務所で弁護士と誰かが会話をする場面へと移りました。

私はその女性弁護士の容姿がなんとなく美沙と似ていたり、生理痛がひどいという美沙との共通点があることから、弁護士の女性が大人になった美沙だと思っていました。

ですが最後まで観ると、取り調べを受けている側が美沙だったのです。

また、時折ナレーションみたいに美沙の声が入ります。

私はその声に疑問を持ちながら観ていました。

映画の終盤で気づきましたが、時折入る美沙のナレーションみたいな声は、美沙が弁護士に話している内容か、裁判での言葉でした。

よくあるシチュエーションからどう発展する?

一緒に帰ったり、お揃いのキーホルダーを付けたり、家で宿題を一緒にしたりと、友情を描く青春映画かと思う描写が続く前半です。

ですが、すでに時折その狂気な顔を見せていました。

「何かしてほしかったら、恐怖か利益のどっちかが必要」

「私はチワワに生まれて、熊田さんはブルドッグに生まれただけ」

など、前半からトゲのある言葉をイズミは口にします。

私は、その時はただ素直に口が悪いだけだと思って観ていました。

ですが、「貸せよ」など、だんだん命令口調になっていくイズミを見て、ただのほんわか青春ではないと気づいたのです。

行方不明になっている同じクラスの西尾アヤ(瀬古あゆみ)の香水と同じものがイズミの部屋にあったところを見たあたりから、美沙はイズミに恐怖心を抱きはじめます。

ある日、イズミは「ホワイトハウスへようこそ」とアパートの一室に美沙を招きます。

そこからほんわかしていた前半とは一転、狂気に満ちた描写の幕開けです。

まさかここまで発展していくとは。

なぜ美沙(mimpi*β)は取り調べを受けているのか

結末から言います。

美沙はイズミを殺したからです。

招かれた「ホワイトハウス」の中に、アヤが監禁されているところを美沙は見つけてしまいました。

そして、「ホワイトハウス」というのは、美沙とイズミが通う学校の数学非常勤講師・栗田(石田剛太)の家だったのです。

イズミは先生とプリクラを撮ったりし、バレたら教師を続けられないという恐怖を与え、言うことを聞かせていました。

栗田先生はイズミに言い寄られ、自分の欲を抑えることができずこういったことになってしまったのです。

また、栗田先生は学校の女子トイレを盗撮していました。

イズミは「美沙のもあるんだって」と美沙を脅します。

身の危険を感じた美沙は逃げ出しました。

ここの描写が、イズミと栗田先生の日常として、ごく自然と描かれていて人間の怖さを感じました。

驚愕のラスト

美沙は監禁されたアヤを見た恐怖や、盗撮したものがあると脅されたことで、誰にも言うことができませんでした。

私は、警察に行けよ!と思いまいしたが、美沙にとってはものすごい恐怖で警察の顔さえも警察に見えず…。

本当に怖い時は人間ってこうなるのだろうな…と思いました。

イズミは美沙をこのままにするはずがなく、再び栗田先生の家へ呼び出します。

そこで美沙は、イズミが栗田先生を殺した現場を目撃したのです。

そしてイズミはアヤまで殺してしまいました。

イズミは自分の言うことを聞かない人を排除しないと気が済まない性格です。

イズミは美沙に一緒に逃げようと言いますが、美沙は拒否します。

言うことを聞かない美沙に、イズミは包丁を向けながら「親友でしょう?」と言いました。

ですが美沙は「包丁を向ける人が親友なわけないでしょう」と言い放ちます。

その場面から、再び少年刑務所の場面へ移動します。

調書の読み上げからわかったことですが、美沙は包丁を持って襲いかかってくるイズミから、自分の身を守るため、ビニール傘で何度もイズミを刺し、殺していたのです。

裁判では正当防衛が認められ、無罪で釈放されました。

この映画はイズミの席に美沙が座っている場面で幕を閉じます。

少なからず、イズミの影響を受けていた美沙は、イズミの思考になって生きていくのでした。

『かしこい狗は、吠えずに笑う』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』まとめ

出典:U-NEXT

いかかがでしたでしょうか。

低予算自主制作映画ならではの、ストーリー重視の作品。

限られたシチュエーションで見事にそのストーリーを魅せてくれた映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』。

人間の心理をついた映画で、観終えた後の暗い気持ちが大きいですが、私はこういった映画が好きです。

ダークな映画が好きな方、低予算自主制作映画に興味を持った方は、観てみてはいかがでしょうか。

ほんわか描写から狂気へ一転するので、覚悟して観ることをお勧めします。

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