大同銀行の三雲頭取(石黒賢)は、大蔵省で永田大臣(石坂浩二)から、阪神銀行との合併を勧告されます。
大介(中井貴一)は、既に綿貫(六角精児)を通して大同銀行のほとんどの役員を掌握していました。
役員会では合併に賛同する連判状が突き付けられ、ここに大介の野望であった“小が大を食う”合併が成し遂げられました。
それは鉄平(向井理)の耳にも入ります。
全てを手に入れた万俵大介。彼が失ったものはないのでしょうか?
欲望の果てに訪れる結末。注目の最終話です。
目次
ドラマ『華麗なる一族』前回第11話のあらすじと振り返り
ついに阪神特殊製鋼が会社更生を申請することとなりました。
鉄平(向井理)は、大介(中井貴一)が意図的に会社を経営不振に陥れ、それには自分の出生の秘密が関わっているのではないかと詰め寄りますが、大介は激高して反論します。
鉄平は、大介が阪神特殊製鋼への不利益行為を行ったとして、大介を告訴すると宣言。
大介はそれに対しすぐに対策を打ちますが、それはあまりにも非情なものでした。
鉄平は万俵家の敷地内にある自宅を出ることを決意し、寧子(麻生祐未)に出生の真相を尋ねに行くと、寧子は鉄平に対し「許しておくれ・・・」と泣いて謝ります。
失意のどん底に落ちた鉄平は、兄弟たちと涙の別れをし、万俵家を後にしたのでした。
【ネタバレ】ドラマ『華麗なる一族』第12話あらすじ・感想
委員会での追及
阪神特殊製鋼の倒産を受けて、阪神銀行の頭取である大介(中井貴一)と、大同銀行の三雲頭取(石黒賢)は、国会に召集され、追及を受ける事になりました。
そのことを事前に娘婿の美馬(要潤)から聞いていた大介は、対策をとります。
委員会で、三雲頭取は阪神銀行が見せかけ融資をして阪神特殊製鋼を追い込んだと主張しますが、大介はそれを真っ向から否定し、事前の根回しもあってそれ以上そのことを追及されることはありませんでした。
一方の三雲頭取は、阪神特殊製鋼に騙されていたのではないかとまで言われてしまいます。
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万俵家では、二子(つぎこ 松本穂香)が婚約者の細川(宮田俊哉)に対して勝手に婚約解消を申し入れ、相子(内田有紀)はその対応に追われていました。
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合併勧告
永田大蔵大臣(石坂浩二)は、三雲頭取を呼び出し今後はどうするつもりなのかと聞きます。
三雲頭取としては、倒産後の阪神特殊製鋼が再建するのを見届けてから引責辞任をしたいと思っていました。
しかし、春田銀行局長(飯田基祐)は、今の大同銀行が独力で持ち直すのは難しいだろうと言いました。
そこで永田大臣は、阪神銀行との合併を提案します。
三雲頭取は驚き、合併に賛成する役員はいないと訴えます。
大臣は、ともかく役員会にかけて、じっくり考えてから答えを出すようにと言いました。
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全て終わった
三雲頭取は早速役員会議を開き、役員たちの意見を伺います。
すると、日銀派の専務以外は全て合併に賛成をしました。
綿貫専務(六角精児)は、三雲頭取に連判状を叩きつけます。
三雲頭取は、全てを悟り、「あとは君たちに任せる」と言って会議室を出て行きました。
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一方、万俵家では、銀平(藤ヶ谷太輔)が大介に、改めて万樹子(吉岡里帆)との夫婦関係が破たんしていると話していました。
銀平は、大介に閨閥結婚はもうやめた方がいいと意見をします。
「家のために子供が犠牲になるなんて、時代遅れですよ」
銀平は、二子や三子(福本莉子)には自由な結婚をさせるべきだと訴えますが、大介は婚約解消なんて絶対に許さないと頑なです。
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「万俵家に生まれたからには、そんな勝手は断じて許さん!」
安田家にて
大介は1人で万樹子の実家へ向かいました。
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茶室で万樹子の父・安田太佐衛門と向かい合った大介は、まずは大同銀行との合併が決まり、新銀行の頭取になったことを筆頭株主の安田氏に報告します。
安田氏はそれを了承し、一呼吸入れてから万樹子の話へと移りました。
安田氏は、大介が訪ねてくるのは、万樹子のことで来るものだと思っていました。
しかし万樹子が実家に戻って来て3ヶ月。
はじめこそ銀平に迎えに来てもらい、再出発させたいと考えていましたが、今は考えが変わっていました。
「万樹子はもう、お宅へは返しません」
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東洋銀行誕生
大介があらゆる工作をして、”小が大を食う”合併を成功させた新銀行の名称は『東洋銀行』と決まりました。
それは大々的に報じられ、阪神特殊製鋼を去ってから京都の丹波篠山に入っていた鉄平も知る事となりました。
合併のことを知った鉄平は慌てて銀平に電話をします。
「お前は知っていたのか!?」
銀平は2ヶ月前に大介から聞かされていましたが、いくら兄弟だからと言って自社のトップシークレットを軽々しく話すわけにはいきませんでした。
そのことを銀平が知ったのは阪神特殊製鋼の倒産前だと知って、鉄平はショックを受けます。
しかも、三雲頭取は辞職したと聞きさらに衝撃を受けました。
銀平は鉄平がどこにいるのか知らず、会って話そうとしましたが、鉄平はそれを断ります。
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鉄平の覚悟
次の日の朝、鉄平は銃を持って1人で山歩きに出かけます。
管理人は銃を大晦日は殺生を行ってはならないから置いて行けと言いましたが、鉄平は威嚇用にしか使わないと言って祖父譲りの銃を持ち出しました。
そして、氷瀑が覆いかぶさるかのように垂れた静かな場所で、鉄平は腰を下ろします。
手袋を取ると、手が震えていたので、鉄平は必死でそれを止めようとします。
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鉄平は片方の靴と靴下をぬぎ、足の指を引き金にかけます。
そして、涙を浮かべ、深く息をしながら銃口を顎に当てます。
大晦日の静かな篠山に、銃声が響き渡りました。
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鉄平の血液型
大介が役員会議で新銀行への意気込みを語っている中、鉄平自殺の報は入りました。
鉄平はすぐさま京都へ急行します。
警察には既に万俵家の全員が集まっていました。
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早苗(笹本玲奈)は、大介の顔を見るなり、掴みかかりました。
「どうしてここまで鉄平さんを追い詰めたんですか!」
大介は何も言い返せません。
銀平は、兄は追い詰められたのではなく、死をもって父を追い詰めようとしたのだと言います。
「そこまで父親を憎んでいた。そうさせたのはお父さんです」
その時、警察の検案書から鉄平の血液型がB型だったことがわかります。
「鉄平はA型のはずでは・・・」
警察は、専門機関で調べたので間違いはないと言います。
実は、鉄平は集団疎開の時の検査でA型だということが判明していましたが、それは戦時中によくある間違いだったのです。
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鉄平の家
大介は、自分の子を嫌ったあげくに追い詰め、自死にまで追いやってしまいました。
衝撃の中、眠る鉄平の顔を見つめる大介。
しかし、ついに顔に触れることは出来ませんでした。
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葬式の後、大介は鉄平が住んでいた家に足を運びます。
そこへ、三雲が入ってきました。
三雲は、何故意志が強くてたくましい鉄平が自殺などしたのか、合点がいかないと話すと、大介は人一倍責任感の強い男だっただけに、倒産を苦にして死を持って詫びようとしたのだろうと答えます。
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三雲はもしそれが原因ならば、自分の銀行家としての不明と、大介の企業的野望が鉄平を死に追いやったのだろうと考えました。
三雲の忠告
そうだとしても、親子といえども致し方ない時もあると大介は言います。
「人間性を置き忘れた企業はいつかどこかでつまずく。そんな気がします」
三雲は静かに返します。
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大介は万俵コンツェルンの総裁として、その中核を担う阪神銀行が、座して死を待つのみという状況になった時、相手を取って食おうと考えるのは当然だと反論しました。
三雲は、孟子の教えを一言告げ、鉄平の家を後にしました。
「天下を得るには一つの不義もなさず。1人の罪なき者も殺してはならぬ」
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三雲が去った後、大介は阪神特殊製鋼の社員バッジが床に落ちているのを見つけます。
その時、大介の脳裏に鉄平が阪神特殊製鋼に就職した時のことが浮かびます。
鉄平は祖父が作り、父が育てた会社に入れたと喜び、「鉄は僕の夢です!」と笑顔を見せていました。
大介はバッジを握りしめ、声を押し殺して泣きました。
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二子 アメリカへ
しばらく経ち、二子と四々彦がアメリカに立つ日がやってきました。
空港へは、一子(美村里江)、銀平、三子が見送りにやってきます。
一子は、二子が望んだ結婚をして、鉄平が喜んでいるだろうと話すと、二子は顔を曇らせます。
「なんだか自分だけが幸せになったみたいで悪いわ・・・」
でも、二子と三子には自分たちのような閨閥結婚の犠牲になって欲しくないというのは一子と銀平の強い願いでもあるのです。
「気にしなくていいの。あなたと三子ちゃんには幸せになって欲しい」
二子と四々彦は、手をつなぎ、笑顔で搭乗口へと向かっていきました。
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新たな生活
大介は、これから東洋銀行の頭取として主に東京を拠点にしていくことになります。世間の注目度も今よりもっと上がる事になります。
そこで大介がまず手始めにしたことは、『相子の精算』でした。
これからは第5位の都市銀行の頭取として、社会的責任とモラルを自分に課さなければならないのと、鉄平の死によって色々と詮索がなされているという理由で、大介は相子に手切れ金1千万円を渡しました。
「こんなものであなたと私の20年間が精算出来ると思っているんですか!」
相子はさらに、自分がこれを受け入れず、外にスキャンダルを漏らしたらどうなるかと大介を脅してみせました。
「相子らしくないね」
大介は薄く笑います。
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でも、相子は合併が決まってから、こうなることは薄々わかっていました。
「長い間お世話になりました」
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新たな銀行局長
美馬は大蔵省で大臣室に呼び出され、春田局長が次官に昇進するため、次期銀行局長を任ぜられました。
大臣は、東洋銀行頭取の娘婿ということは置いておいて・・・と前置きをして、新局長として東洋銀行は上手く行くと思うかと質問をします。
美馬がこれから見て行く事だと思うと答えると、大臣は「弱い者同士がくっついて図体がデカくなっただけの銀行に期待は出来ない」と言います。
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そもそも、大介には新銀行の頭取にしては、阪神特殊製鋼への疑惑や長男自殺など暗い側面が多すぎるのです。
「では、何故ご認可されたのでしょうか?」
「金融再編の火蓋を切るためには、とにかく都市銀行の合併が必要だったんだよ」
春田局長は、それを手土産に次官に昇進したのだと大臣は微笑みます。
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設立パーティー
新局長としての美馬の仕事は、まずは東洋銀行の体質改善を図り、名実ともにワールドバンクたる銀行を作る事。
そのためには上位4行の一つと再合併させるつもりだと、大臣は言います。
すでに合併先とは話がついているとのことで、美馬は東洋銀行と合併させるように仕向けるのが仕事となります。
「君もいずれ政界入りを考えているんだろう?それとも東洋銀行にでも入るつもりかね?」
「いえ、大臣。お受けいたします!」
その後、東洋銀行の設立パーティーに参加した大蔵省の3人。
永田大臣は乾杯の音頭を取った後、笑顔で大介と握手をし、美馬と春田はそこで盛大な拍手を送るのでした。
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最後の晩餐
万俵家の本館では、翌日の神戸で開かれる東洋銀行の設立パーティーを控え、大介、寧子、万俵家を去る相子の3人での『最後の晩餐』が開かれていました。
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「お正月の万俵家の晩餐会は、もう無くなるんですね・・・」
相子がポツリとつぶやきます。
万俵家では、元日には必ず家族全員が集まり、夕食を共にしていました。
大介は鉄平の席を見つめながら楽しそうにしていた鉄平の顔を思い浮かべます。
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その時、美馬から電話がかかってきました。仕事が忙しく、神戸には行けないというのです。
大介は、大蔵省の銀行局長が変わるから、その後の動きを話し合いたいから顔だけでも出せないかと言いますが、美馬はそれでも行けないと断ります。
電話先でほくそ笑む美馬の家のリビングには、バベルの塔の絵がかかっていました。
大介は、何も知らず最後の晩餐を続けました。
ドラマ『華麗なる一族』 第12話 感想&まとめ
最後は「ひ~!」と言いたくなる終わり方をしました。
なんでも大介に情報を流していた美馬は、局長になるにあたってその情報を流さなかったのです。
万俵コンツェルンのお家騒動を全12話に渡って描いた今作。
最終的にはさらに巨大なものに飲み込まれるであろうことを示唆されては、思わず悲鳴が出てしまいます。
まさに因果応報。三雲さんが忠告した通りになってしまいました。
鉄平の死は、重ね重ね残念です。
今はDNA鑑定がありますから、親子関係はすぐに実証出来ますが、当時は血液型と既成事実しか判断材料がないので、このような不幸が起きてしまいました。
でも、もしかしたら鉄平はどう転んでも死を選んだかもしれません。
万俵家の呪縛から解き放たれた残りの兄弟たちの幸せを願うばかりです。