「少年ジャンプ+」にて連載中の人気推理マンガをアニメ化した『鴨乃橋ロンの禁断推理』。
類稀な才能を持ちながら探偵資格を剝奪されてしまった天才探偵・鴨乃橋ロンと、ピュアでマヌケで真っ直ぐな警視庁捜査一課の刑事・一色都々丸(トト)がタッグを組み、さまざまな難事件を解決していくミステリー作品です。
温泉旅館で宿泊客の女性が死体となって発見されます。
何者かによる殺人と考えられ、ロンは早速、宿泊客たちの証言を聞きながら推理を始めました。
シュピッツはロンの探偵行為の証拠を掴むチャンスを密かに喜びますが、表向きはトトが動き、一時容疑者となった雨宮もトトに捜査を一任します。
早速、第4話「紅染温泉殺人事件【後編】」をレビューしていきます。
目次
アニメ『鴨乃橋ロンの禁断推理』前回第3話のあらすじと振り返り
ホームセンターの抽選会で、1等の温泉旅行ペアチケットを当てたロン。
その旅行にトトが付き合い、二人は紅染温泉の古びた宿・紅染旅館に宿泊することに。
出迎えた番頭は愛想よく接してきますが、彼の正体はロンを調査するためにBLUEから派遣された「追跡学」教官のシュピッツ・ファイアでした。
そんなこと知る由もないトトは、ロンや他の宿泊客とともにラウンジで一晩過ごします。
同じく抽選会でチケットを当てた雨宮も宿泊していましたが、酒に酔った彼女は一足先に部屋へ戻っていました。
翌朝、露天風呂にて女性客の死体が発見されます。
雨宮はすぐ現場に駆け付けますが、昨晩ラウンジにいなかったため、一人だけアリバイがなく、犯人ではないかと疑われてしまいました。
その時、ロンが犯人は雨宮ではないと声を上げます。
【ネタバレあり】アニメ『鴨乃橋ロンの禁断推理』第4話あらすじ・感想
雨宮のアリバイ
宿泊客の一人・幸子が死体となって発見されました。
アリバイがなく、容疑者となってしまった雨宮。
しかしロンは、犯人は雨宮ではなく、ここにいる他の人間だと声を上げます。
そもそも雨宮には現場の状況を作ることが不可能だというのです。
それを証明すると発言したロンを見て、ひっそりと笑うシュピッツ。
早速、ロンの探偵行為の証拠を掴めるのではないかと浮足立ちます。
ところが、ロンは「……と、一色刑事が言っている」と続け、表向きはトトが推理を披露するよう仕向けました。
呆気に取られたのはシュピッツや他の客だけでなく、トト自身もでした。
無茶振りに狼狽えるトトでしたが、ロンは上手く話をまとめていきます。
一同は死体の周囲の紅葉を見て、紅染温泉の裏の伝承に見立てた殺人ではないかと考えていましたが、雨宮だけはしっくり来ていない表情を浮かべていました。
なぜなら、タクシーが捕まらなかったために徒歩で旅館までやって来た雨宮は、タクシーの運転手からパンフレットを貰う機会がなく、伝承自体知らなかったからです。
旅館内では裏の伝承については伏せているので、雨宮が見立て殺人を思い付くはずがありませんでした。
雨宮が犯人ではないと一同が納得したところで、改めて犯人探しが始まります。
すると、一人で来ていた女性客・ミチヨが、昨晩不思議な現象を目にしたと言いました。
部屋へ戻る途中にふと窓の外を見たら、川から奇妙な白いモヤが立ち上がっていたというのです。
それはまるで魂のようで、霊的だったといいます。
トトが話を聞いていると、ロンはいつの間にか川を眺めていました。
そこには昨晩なくしたピンポン球があり、その他にも一昨日の大雨で流されたのであろう木や葉、雨どいが引っかかっていて、ダムのようになっています。
ピンポン球を取ろうとしたロンが周囲を見渡すと、なぜか外にバスマットまで落ちていました。
トトがマイペースなロンを宥めていると、雨宮が近寄ってきます。
自分は一時容疑者になってしまったので、捜査をトトに一任すると命じました。
トトに疑いを晴らしてもらったことに対して礼を言う一方で、普段ならありえないと気に食わない様子の雨宮。
容疑者にされただけでなく、昨晩は女湯と間違えて男湯に入ってしまったりと、確かに雨宮らしくないことばかり起こっています。
その時、ロンは何かに閃き、前髪を指でピンッと弾きながら、雨宮に言いました。
「お手柄だ。 昨日の君は間違ってない」
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揃っていく証拠
地元の警察が到着し、トトや雨宮が捜査を行う中、ロンは部屋へ戻ります。
シュピッツはロンの隣の部屋へ忍び込むと、壁に装置を当てて聞き耳をたて、ロンの探偵行為の証拠を掴もうとしていました。
やがて、トトが部屋へ戻ってきます。
新情報はないかと尋ねるロンに、亡くなった幸子の死因が心臓麻痺だったこと、元々幸子は心臓に疾患を抱えていたと夫が話していることを明かすトト。
ロンは、検視官は他に何か言っていなかったかと促しながら、勢いよく壁をドンッと殴りました。
隣の部屋で盗聴していたシュピッツは、突然の衝撃音に悶え苦しみます。
トトもロンの急な行動に驚きますが、被害者の心臓麻痺の原因は脱衣所と外気の気温差によるヒートショックらしいと続けました。
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ロンは検視結果を聞いて「やはりな」と呟き、証拠は全部揃ったと告げます。
……となれば、あとはトトの出番でした。
大胆な犯行と稚拙な動機
現場に関係者を集めたトトは、推理を披露します。
犯人は、亡くなった幸子が心臓に疾患を抱えていると知っていた存在――彼女の夫でした。
視力の悪い幸子は、露天風呂の入口になっている段差の部分にバスマットが敷かれていたことで、正しい足場が見えず湯船に転がり落ちたと考えられます。
それだけで何故、ヒートショックを起こしてしまったのか……。
湯船に張られていたのはお湯ではなく、冷水だったからです。
この大胆な犯行には、川に捨てられていた2本の雨どいが使われていました。
高低差のある川が流れる地形を利用して、川の上流の水を湯船に引き込み、湯口から注がれるお湯を下流方向へ流せば、湯船の中身が入れ替わり、冷水風呂が出来上がります。
つまり、ミチヨが昨晩見たという白いモヤは、冷たい川に流された温泉水の湯気でした。
犯人にとっての誤算は、ミチヨに川の様子を見られたことだけではありません。
一昨日の大雨で流された紅葉が川の水とともに湯船へ流れ込んできてしまったのです。
さすがに全部は取り切れなかったため、わざと紅葉を大量に浮かべることで、裏の伝承の見立て殺人に仕立て上げました。
さらに、女湯で準備をしている時に誰かが入ってきてしまう危険性があるので、入口にかけられている男湯と女湯の暖簾を入れ替えることで対処しましたが、ここでも誤算が……。
これは、夫以外の男性客――ロンとトトが卓球をしに行き、すぐには温泉にやって来ないということが前提条件となっていましたが、ピンポン球をなくした二人は予想より早く温泉へ。
そのため、ロンやトトが温泉に入っていると気付かないままで暖簾が掛け替えられ、本来の男湯――暖簾は女湯に替えられているところへ、雨宮が入ってきてしまったのです。
幸子の夫はこれらを必死に否定していましたが、暖簾を調べれば指紋が出てくるはずだと言われ、容疑を認めました。
その場に座り込んでしまった幸子の夫は、「ミチヨ……失敗だ」と呟きます。
実は、幸子の夫とミチヨは不倫関係にあり、ミチヨが幸子を邪魔だと発言したことが事件の発端になっていました。
しかし、犯行は夫側の独断だったため、ミチヨは驚き呆れた様子でドン引きしています。
それでも、幸子の夫はミチヨに縋っていました。
二人の様子を見ていたトトは、「奥さんの命を奪ったんだぞ!」と声を荒げます。
その言葉に、幸子の夫は黙り込んでしまいました。
こうして無事に事件は解決し、犯人は連行されていきます。
いつの間にかロンがいなくなっていることに気付いたトトが辺りを見回すと、旅館の裏の森へと消えていく姿が見えました。
シュピッツの目的
ロンの後ろ姿を追って森の中へ進んでいくトト。
そこで会ったのはロンではなく、旅館の番頭――シュピッツでした。
ロンはというと、好物である黒蜜をエサにおびき寄せられ、縛り付けられた状態で木に下げられています。
ロンとトトを前にしたシュピッツは、自身の正体を明かしました。
彼がBLUEの「追跡学」教官だと聞いたトトは、ロンの探偵行為の証拠を掴むために監視されていたと知り、焦りを見せます。
ところが、ロン本人はホームセンターで抽選をした時から気付いていたらしく、BLUEのレベルが落ちたのではないかと揶揄うように言いました。
シュピッツは、トトの推理はロンによるものだと詰め寄りますが、証拠がないため、ますますロンに見下されてしまいます。
さらにロンは、シュピッツには監視以外の目的があるのではないかと問い詰めました。
いよいよ言い返せなくなったシュピッツは、本来の目的を明かします。
推理能力が飛び抜けて高くないシュピッツが必死になって追跡学を磨き、BLUEの教官になった理由こそ、そこにありました。
彼は、失踪した家族の謎を解いてくれる探偵を探し求めていたのです。
BLUEで噂を聞き、ロンのことを調べ上げたシュピッツは、ロンに接触して依頼を受けてもらおうと今回の任務に就きました。
ロンは出会ったばかりのシュピッツは信用がないとして、即座に依頼を断りますが、トトが「悪いやつじゃない」と評したことで、一旦様子を見ることに決めます。
シュピッツも信用してもらえるように努めるつもりらしく、BLUEにはロンが探偵行為をしていないと虚偽の報告をすること、トトの捜査を手伝うことなど、二人に協力する姿勢を見せました。
元気に去って行ったシュピッツを見送り、トトはなんだかんだ困っている人を放っておけないロンに笑顔を見せます。
ロンも責務を果たしたまでと言いながら、笑みを浮かべました。
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アニメ『鴨乃橋ロンの禁断推理』第4話まとめ
いかがだったでしょうか。
温泉旅館での殺人事件は、痴情のもつれが原因で発生したものでした。
大胆な犯行に及んだ犯人でしたが、数々の誤算もあり、ロンの鮮やかな推理によって暴かれてしまいます。
犯人の態度を見て声を荒げるトトからは普段の頼りない雰囲気が感じられず、正義感の強さが垣間見えました。
また、シュピッツの正体と目的が明かされ、仲間(?)になりましたね!
ラストシーンでは謎の男が登場し、次なる事件が匂わされましたが、こちらの事件では仲間としてのシュピッツが見られるのでしょうか。
次回、第5話も楽しみです。