「少年ジャンプ+」にて連載中の人気推理マンガをアニメ化した『鴨乃橋ロンの禁断推理』。
類稀な才能を持ちながら探偵資格を剝奪されてしまった天才探偵・鴨乃橋ロンと、ピュアでマヌケで真っ直ぐな警視庁捜査一課の刑事・一色都々丸(トト)がタッグを組み、さまざまな難事件を解決していくミステリー作品です。
村人たちの前で、事件の真相を解き明かすトト。
突き付けられた証拠によって犯人は罪を認めますが、動機についてはまだ謎があるとトトは考えていました。
その時、ロンが”能力”で犯人を追い詰めてしまいます。
危機を救ったのは、ある組織に命を狙われ、村に匿われていたシュピッツの兄でした。
早速、第13話「夜蛇神様殺人事件【後編】」をレビューしていきます。
目次
アニメ『鴨乃橋ロンの禁断推理』前回第12話のあらすじと振り返り
以前、シュピッツから依頼された行方不明の家族の捜索を引き受けることにしたロン。
交換条件として出したのは、ロン自身の謎に関わる「血の実習事件」のファイルの入手でした。
条件を飲んだシュピッツは、ロンとトトを連れて、民俗学者の兄が姿を消した山梨県の夜蛇村を訪れます。
村にはダム建設を推進する役人が来ており、反対する村人たちとの対立構造ができていました。
その夜、役人が宿泊する小屋に、蛇に巻きつかれた人影が現れたのを目撃したロンたち。
翌朝、役人は滝つぼの辺りで死体となって発見されました。
首には蛇の鱗のような絞首痕が残っており、村長をはじめ村人たちは”夜蛇神様”の祟りだとしますが、ロンは事件の真相に辿り着きます。
【ネタバレあり】アニメ『鴨乃橋ロンの禁断推理』第13話あらすじ・感想
犯人は夜蛇神様ではなく……
滝のそばの祠に村人たちを集め、事件の真相を明らかにするトト。
宿泊していた村長の自宅から見えた小屋の中には、蛇に巻きつかれた人影が見えましたが、誰かが侵入した形跡もなければ、そこにいるはずの役人もいませんでした。
小屋に残されていたのは、駆け付けた際にロンが落としてしまった黒蜜のみで、その入れ物と汚れの位置が不自然にズレていたことは確認済みです。
さらに、シュピッツが川で白い蛇を見たと言ったため調べてみると、紐の結びつけられた石が落ちていました。
そして、小屋に入った時の大きな物音、神社の臨時休館という情報も重なり、見出した答え……。
それは、トトたちが見た蛇に巻きつかれた人影の正体は、畳に張られた掛け軸の絵だったということです。
犯人は立てかけた畳の裏に、神社にある夜蛇神様の掛け軸を貼り付け、紐を結びつけました。
片方は扉にくくりつけ、もう片方は石を結びつけて窓の外へ垂らしておきます。
すると、駆け付けた人が扉を開けることによって、掛け軸が貼られた畳は倒れて元の状態に戻り、紐は石の重みで川へ落ちていくので、小屋の中に証拠は残りません。
トトたちが部屋で聞いた大きな物音は畳が倒れる音、黒蜜の汚れがズレていたのは犯人が掛け軸を回収する際に畳を持ち上げたからだと考えられます。
この犯人は、村人たちが罪に問われないよう完全犯罪を目指したものと思われ、そのために村人以外の目撃者を用意する必要がありました。
つまり、犯人の正体はトトたちを宿泊小屋が見える位置の部屋に招いた人物――村長でした。
村長は、滝つぼの死体のそばで「蛇を巻いたやつを見た」と話していたトトたちに、「夜蛇神様」だと言い切りました。
普通ならば被害者のほうを想像しそうなところを、すぐに「夜蛇神様」だと言い切れたのは、掛け軸の絵が頭にあったからでしょう。
トトがここまで話すと、ロンが続きを受け取り、凶器は祠に飾られた綱だと言いました。
よく見ると前日とは巻かれ方が違っていて、何かに使用したような形跡にも思えます。
トトは、綱を調べれば被害者のものとともに、犯人のDNAも検出されるだろうと伝えました。
やがて、村長は罪を認め、ダム建設に加担する役人が憎くなって殺したと自白します。
他にも動機があるのではないかと、納得のいかない様子のトト。
その隣で、犯人を追い詰める発作が起きたロンは「落ちろ」と村長に告げました。
洗脳された村長は崖のほうへ歩いていき、自ら飛び降りようとします。
トトは崖の淵に立った村長の両肩を掴み、「気を確かに!」と声を掛けました。
瞬間、崖の先端が崩れ、二人は滑落しかけますが、突如として森の奥から投げ入れられたロープによって、危機を免れるのでした。
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事件の真相は意外な方向へ
警察に連れていかれる直前、村長は孫娘の巳いに対し、「お前は幸せになっとくれ」と告げました。
騒ぎが落ち着くと、警察や村人たちは帰っていき、村長宅に残るのは巳いとロン一行のみ……。
ロンは後ろを振り返り、「出てきたらどうだい? ロープを投げてくれたのは君なんだろ」と声を掛けます。
すると、物陰から一人の男性――シュピッツの兄であるシェパードが現れました。
いつから気付いていたのかとシェパードが問いかけると、トトは室井が山中で倒れた時に何者かに助けられたという話から、森に誰かが住んでいる可能性を考えたと答えます。
そして、滝の祠にお供え物をしに来た巳いが保温バッグのようなものを持っていたことから、その誰かに差し入れをしているのではないかと考えたことを語りました。
さらにロンは、巳いと初めて言葉を交わした際、シュピッツを見た彼女が「なんでここに……」と呟いたことから、差し入れの相手とシュピッツが似ているのではと予想したのです。
シェパードはロンとトトの推理に感心すると、驚いているシュピッツに責められ、自分の身に何があったのかを語り始めました。
15年前、初めて夜蛇村を訪れたシェパードは、ダム計画に悩んでいた村長に対し、夜蛇神様の消失伝説に基づいたイタズラを仕掛けたらどうかと話します。
冗談のつもりでしたが、実際に村長が重機を隠してダム計画を頓挫させたことを知り、驚かされました。
それから4年後、某国でのフィールドワーク中に知ってはいけない情報を知ってしまったシェパードは、とある組織に命を狙われるようになります。
やがて夜蛇村に流れ着くと、ダム計画を頓挫させることができた礼として、山中に匿ってくれることになりました。
つまり、シュピッツの前から姿を消した、まさにあの日から、村ぐるみでシェパードのことを隠していたのです。
そして現在、あの役人が何らかのきっかけでシェパードの存在を知ってしまい、村で匿っている事実を秘密にする代わりに、村長に金銭を要求したといいます。
その脅迫はエスカレートしていき、最終的に村長が殺人を犯したのでした。
シェパードは村を不幸にしてしまったと言って、自分を逮捕してくれとトトに頼みます。
しかしロンは、村長は巳いのシェパードへの気持ちを尊重して、このような行動を起こしたのではないかと語りました。
孫娘の幸せを願った村長が逮捕され、夜蛇神様が隠していた一人の男性を表に引きずり出してしまった今、バチが当たって「夜蛇神様のご立腹」が来るかもしれないと話すロン。
雨には濡れたくないと言いながら去っていくロンに続いて、トトも村から離れていきます。
シェパードは巳いの自分への想いを知り、彼女に寄り添いました。
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校長からの伝言
兄の一件でロンとトトに感謝の念を抱いているシュピッツは、ロンとの交換条件を果たすため、BLUEへ侵入していました。
「血の実習事件」に関するファイルを手に入れる予定でしたが、早々に作戦は頓挫してしまいます。
校長のエメに先回りされていたのです。
彼女は例のファイルを渡す気はなさそうでしたが、シュピッツがロンへ恩を感じていることを知ると、真剣な表情で「お願いがあります」と告げました。
――後日。
ロンとトトのもとへ戻ってきたシュピッツは、ファイルを手に入れられなかった代わりに伝言があると報告します。
エメから渡されたタブレットにはロンへの伝言が入っていますが、一度開けば消滅してしまうそうです。
伝言は暗号化されていたため、ロンが集中できるように席を外そうとするトトとシュピッツ。
ところが、要求されたパスワードは二人の個人情報であり、二人にも聞いてほしいというエメの考えが反映されているとロンは考えます。
そこで、ロン、トト、シュピッツは、揃って伝言を確認することにしました。
エメは、自体が切迫しているため、ロンに真実を伝えることにしたといいます。
実は、「血の実習事件」の現場にはロンのものでも被害者のものでもない、第三者の血痕が残っており、それらを記す情報はすでに警察からもBLUEからも抹消されていました。
事件から5年の月日が流れた現在、天文台の事件でグリズリーが殺害され、現場にロンの首にあるアザと同じ模様が残されていたことから、エメはひとつの可能性に辿り着きます。
「血の実習事件」においてロンは冤罪であり、首のアザと犯人を追い詰める病は意図的に植え付けられたもの……。
これらを成し遂げられる組織は、世界にひとつだけ――”M家”だと。
すべての事件はM家に通ずると言われ、起こした事件は100%迷宮入りする、史上最悪の犯罪一族……。
そのM家の内通者がBLUE内にいることがわかっているらしく、慎重に事を運ばなければいけないと、このような暗号化された伝言を残したエメ。
彼女はロンの親とは旧知の仲だそうで、生まれた時から知っているロンの才能に期待すると同時に、孤高な彼を心配していたようです。
トトやシュピッツといった友人の存在に安心したらしいエメは、二人にもロンをよろしくというメッセージを残しました。
M家という強大な組織が敵だとわかりましたが、危険を承知で飛び込んでいこうとするロン。
「M家を光のもとに引きずり出す!」
ロンの言葉に、トトとシュピッツも頷きました。
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M家の兄弟たち
モリアーティ家・第一子のマイロを「兄さん」と呼ぶテオ・モリアーティ(CV.堀井茶渡)は、組織が関わっている殺人犯に子供ができ、足を洗いたいと言っていると報告します。
殺人犯を処分して新人に引き継がせると話すテオに、マイロは「15年後に復讐者が育つことがある。 小さな芽も根こそぎ刈っておけよ」と告げました。
すると、第四子のウィンターは「なぜそこまで徹底している組織が”あんなミックス”を生かしているんだ」と強い口調で尋ねます。
その「ミックス」とは、ロンのことでした。
マイロはロンのことを「同じ血が流れている兄弟」だと言い、正確には優秀な兄弟だけが残ると告げます。
そして、ロンはその「兄弟」に値するのか決めかねているのだと語りました。
ウィンターは、モリアーティの血だけでなくホームズの血も流れているロンを「兄弟」とは認められないと返します。
激昂するウィンターの頬を両手で包み込んだマイロは、静かに問いかけます。
「まだアリスを始末したことを怒っているのか?」
ウィンターは顔を歪め、彼の手から逃れました。
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マイロは、ロンに「絶望」を与えるのだと続けます。
ホームズの血を受け継ぐロンが探偵として生きることだけは許されないと考えるマイロにとって、ロンを「兄弟」かどうか見極めるのは、彼がすべての推理を諦めたあと……。
だからこそ絶望を与える、それで廃人になってしまっても構わない、もしそうならそこまでの人間なのだ、と口角を上げました。
その言葉を聞いて、「徹底的にやる」と宣言したウィンターは、日本へ向かうのでした。
アニメ『鴨乃橋ロンの禁断推理』第13話まとめ
いかがだったでしょうか。
最終話で明確になった物語の黒幕――”M家”の存在。
ロンたちだけでなく、おそらくシュピッツの兄・シェパードにとっても、因縁深い相手です。
BLUEにもM家の内通者がいるということで、ロンの味方となってくれているエメの無事も気掛かりですが……。
まずは、M家の第四子・ウィンターとの直接対決が予想されます。
M家内でも闇深い問題がありそうですが、どのような戦い、どのような展開が待ち受けているのでしょうか。
すでに第2シーズンも鋭意制作中と発表されており、ますます期待が高まる『鴨乃橋ロンの禁断推理』。
連載中の原作とともに、引き続き楽しんでいきたいと思います。