アニメ映画『海獣の子供』あらすじ・ネタバレ感想!圧巻の海洋映像絵巻!すごい映像が見られることは保証します

出典:『怪獣の子供』公式ページ

国内屈指のアニメ制作会社スタジオ4℃が、あの五十嵐大介の代表作を映画化!

期待を超える圧巻の海洋映像の絵巻!

ポイント
  • 狂気のレベルで作りこまれた圧倒的アニメーション。その世界が確かにそこにある
  • ミクロな少女の成長譚が、宇宙や生命の起源に迫る壮大な物語になっていく
  • 芦田愛菜の見事な演技と世界観を彩る米津玄師の曲

不朽の名作『2001年宇宙の旅』や『ファンタジア』に匹敵する壮大な“感じる”映画です。

アニメ映画『海獣の子供』作品情報

アニメ映画『海獣の子供』

出典:映画.com

作品名 海獣の子供
公開日 2019年6月7日
上映時間 111分
監督 渡辺歩
原作 五十嵐大介
声優出演 芦田愛菜
石橋陽彩
浦上晟周
森崎ウィン
稲垣吾郎
蒼井優
渡辺徹
音楽 久石譲
主題歌 米津玄師

アニメ映画『海獣の子供』あらすじ


自分の気持ちをうまく言葉にできない中学生の琉花は、夏休みの初日に部活でトラブルを起こし、居場所がなくなってしまう。

彼女が父親が働く水族館を訪ねると、ジュゴンに育てられたという不思議な少年・海とその兄・空と出会い、彼らを通じて見たことのない世界に触れる。

同じころ、海の生き物たちが日本へ移動し始めるなど、地球上でさまざまな異変が始まる。
出典:シネマトゥデイ

アニメ映画『海獣の子供』みどころ

アニメ映画『海獣の子供』みどころ

「リトル・フォレスト」などで知られる五十嵐大介のコミックを、『鉄コン筋クリート』などのSTUDIO4℃の制作でアニメ映画化。

居場所がない14歳の少女と不思議な兄弟の交流を描く。

声の出演に『うさぎドロップ』などの芦田愛菜をはじめ、石橋陽彩、浦上晟周、稲垣吾郎らが集結。

監督を『宇宙兄弟#0(ナンバー・ゼロ)』などの渡辺歩、音楽を久石譲が担当している。
出典:シネマトゥデイ

アニメ映画『海獣の子供』を視聴できる動画配信サービス

『海獣の子供』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。

なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。

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注意点
  • 動画の配信情報は2019年6月20日時点のモノです。
  • 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。

ご覧のとおり、2019年6月20日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。

動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。

【ネタバレあり】アニメ映画『海獣の子供』感想レビュー

圧巻のアニメーション

難解だなんだと言われている本作『海獣の子供』ですが、話が分からなかった人でも文句のつけようがないくらい凄いのがアニメーション表現です。

そもそも今の漫画界で一番画が上手いのでは、とも言われる五十嵐大介先生の作品の中でも最高傑作と言われ、圧倒的な書き込みで知られる『海獣の子供』。

読めば分かりますが、ボールペンを使って書かれている一本一本の細やかな線の表現がとにかく凄い。

匂い立つような風景描写、海や魚の表現、人物の表情のニュアンスまで細やかに書き込まれ、世界観に吸い込まれるようです。

そんな画をアニメーションとして動かすことになる以上、この映画の製作者たちは膨大な作業との戦いを強いられたそうです。

製作期間は企画から考えると、なんと8年とのこと。

しかし、本編を見ればそれだけ製作期間がかかるのも納得ですし、時間と手間をかける価値があったアニメだと感じました。

とにかく見ていると画面にあるものがアニメであることを忘れるような実在感でありながら、しかし絶対にアニメでしかできないような表現も連発され、圧倒されます。

そして絵柄が、大介先生の絵そのもの。

時折ボールペンで書かれたあの質感で、人物や魚たちや風景が荒々しくかつ繊細に表現されており「ああ、海獣の子供が動いている!」と、それだけで感動できます。

まさに絵に生命を宿す本来の意味での「Animation(生命を宿らせる)」表現といえるでしょう。

とにかく全カットで普通のアニメではやらないような表現に挑戦しています。

部屋に差し込む太陽の光の微細な変化、扇風機にわずかにそよぐ髪や衣服、空気中に舞うほこりや粒子、水の反射、人物の目に映る風景、水をはじく肌、モノを動かすときの重量感、画面奥の坂に上っていく車や、逆にワンカットで坂を駆け降りてくる主人公など、普通の実写だったら何でもないことをとんでもない労力をかけてアニメで表現しており、これが紙に書かれたことではなく本当に存在する世界なのではないかと信じさせてくれます。

どのカットを見ても常に何かが動いており、世界そのものが息づいているような感覚を味わえます。

たくさん出てくる魚の泳ぎ方の表現まで、種類やいる場所によって細かく違っており、集中して見ていると目眩がしてくるような作り込みです。

いろいろな映画がありますが、一番高度で手間のかかることをやっているのは本作以外だと『スパイダーマン:スパイダーバース』くらいではないでしょうか。

間違いなく海外でも高い評価を受けるでしょうし、今後のアニメ表現は『海獣の子供』以前と以後で大きく変わるかもしれません。

まあ、ここまでのレベルになると真似しようと思っても無理かもしれないですが(笑)

STUDIO4℃という表現にこだわる製作会社だからこそ、ここまで根気強く作れたということもありますし、こんな製作体制を作ること自体なかなか実現しないでしょうからね。

少女の成長物語から壮大な生命の神秘の物語へ

よく生命の歴史を考えるNHKの特番とかで「我々はどこからきてどこへいくのか」というような進化の歴史に関する問題提起を聞くと思いますが、それを非常に高度な形で映像化したのが本作なのではないでしょうか。

似たような人間の進化や、宇宙の歴史を扱った難解な映画では、かの有名な『2001年宇宙の旅』がありますが、実は『海獣の子供』のほうが難解で、且つスケールも大きいと思います。

2001年宇宙の旅』は、原作を読めば「ああ、こういうことか」とわかるような内容になっています。

異星人の置いていったモノリスが猿人類を進化させ、文明が発展した人類が残されたモノリスというシグナルを追っていって木星まで行った結果、また異星人によって新たな形の生命まで進化させられ地球に帰ってくるというのが『2001年宇宙の旅』の大まかなストーリーです。

説明が入っていないから難解になっていたのがあの映画ですが、『海獣の子供』は表面上は2001年~よりも少女・瑠花のひと夏の物語という基本設定があるので取っつきやすいはずなのに、より難解に感じます。

原作でも終盤に起きる“誕生祭”は詩的なセリフの断片と、後は圧倒的な画力だけで表現されるので、正直納得がいく理解は得られません。

おまけに『2001年宇宙の旅』が人類の進化とそれを促した異星人の話だけに絞られているのに対し、『海獣の子供』は宇宙全体と人間や生命の類似点を描き、そして生命そのものがどこからやってきたのか、海はどんな役割を持つのかなどに言及しているため、よりこんがらがります。

しかし、五十嵐大介先生も、本作の作り手も、すべてが理知的に読み解けるように作っているとは限りません。

この映画のキャッチコピーは「一番大切な約束は言葉では交わさない」です。

そして原作ファンの米津玄師が書き下ろしたテーマ曲「海の幽霊」のサビ歌詞にも「大切なことは言葉にならない」というフレーズがあります。


要するに、本作の主題は言葉ではとても表現できないということなのかもしれません。

だからこそアニメーション表現の細部にまで異常なくらいこだわって作り、観客が左脳ではなく右脳で感じるようにしているのだと思います。

もともと言葉と言うのは知能を持ち始めた人類が、わからないことだらけの世界や他者を少しでも理解し、それに対する不安を取り除くためにできたもの。

科学が進んだ現代でも、言葉や理屈で全てが理解できるわけがない。

深く広い海のことも、宇宙のこともまだまだ分からないことだらけ。

生命が生まれる理由もまだはっきりとはわかっていないといわれています。

そんな謎だらけの世界を理解するのではなく、感じるきっかけをくれるのが『海獣の子供』だと思っています。

ただ、原作だと世界中の海にまつわる怪異や、数十年にわたる時制の転換など、より膨大で複雑な要素が絡んでいるのに対し、映画では主人公の少女・瑠花が見たひと夏の物語に視点も時制も限定しており、宇宙と海の関係性や生命の神秘に触れて成長する物語に整理されているので、全部は分からなくても爽やかで感動的な印象を受けます。

先ほど述べた「言葉では理解できない世界の全て」というテーマが、最後に活きてきます。

他者とうまく交流できない少女が、周囲のことは理解できなくて当たり前で、それでもみんな海と宇宙から生まれてきた兄弟なんだから歩み寄ることはできると知って成長する、というマクロからミクロへ視点が移行します。見事な幕引きです。

また瑠花の声を担当した芦田愛菜の瑞々しい演技が光り、より主人公に感情移入できます。

漫画を未見の方は、映画版を見てから読んで考えるのがいいかもしれません。

母なる海の本質に迫る物語

一応、私の解釈を載せておきます。

原作や映画の重要なセリフで「海は子宮、隕石は精子」というフレーズが出てきます。

よく“母なる海”という言葉が使われますが、母だけでは子供(生命)は生まれません。

本作では、生命の源となる精子は、死んだ星々の破片である隕石に付着していた微生物などの生命の元で、我々生物はその星々の生まれ変わりだという考えを提示しています。

これは昨今の学説でも生命起源説として語られていることです。

また、この映画では海から新たな星が生まれるということも語られています。

つまり星も我々生物も、元は一緒だということ。

原作では宇宙を生物に例えると、海のある星は子宮になるという言葉も出てきます。

生命が生まれることと星が生まれることは同じで、大きさに差があるようでも同じように、神秘的で尊いということが言いたいのでしょうか。

我々はゼロから生まれたのではなく、今まで生まれては死んできた星や生物の延長線上にある、だから我々がいつか死んでもそれは無になるということではない。

前向きになれるメッセージを受け取ろうとすれば、こういうことになるのではと思います。

もちろん、これ以上に言いたいことは山ほどある映画でしょうし、洪水のようなビジュアルイメージの数々にもヒントはあるでしょうが、すべてを読み解くことも書くことももう無理なので、私の記事はここで終わらせておきます。

考察もできますが、あくまでも感じる映画であると考えています。

このような映像体験や思考を試される経験ができる映画は稀有なので、劇場の万全な環境で集中してご覧ください。

とにかく、凄いものが見られるということは保証します。

アニメ映画『海獣の子供』まとめ

以上、ここまで『海獣の子供』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • すべてが息づいているかのようなアニメーション、かつてない映像体験です。
  • 考察してもしきれない圧倒的な情報量が言葉以外でも雪崩れ込んできます。
  • しかし、あくまでも少女のひと夏の冒険成長譚として描かれており、なんとなくでもさわやかな気分にはなれます。