Netflixオリジナルの動物映画『ジューン&コピ』を鑑賞しました。犬映画として珍しいインドネシア制作で、一匹の野良犬とひとつの家族の絆を描いています。
先に結論から言ってしまうと、特定の人にはおすすめできる場合と、全くできない場合のある作品でした。
・涙活目当てならおすすめの作品
・コピの活躍にも注目して!
監督へのインタビューでは「インドネシアで初めて犬を主人公にした映画」と説明されています。
それではNetflixオリジナル映画『ジューン&コピ』をネタバレありでレビューします。
目次
『ジューン&コピ』あらすじ【ネタバレあり】
アヤとジューンの出会い
ある野良犬が子どもにいじめられていたところを、偶然通りかかった漫画家の女性アヤに助けてもらう。野良犬はアヤのあとをついてくるので、アヤはその犬を飼おうと考える。しかし家にはコピという犬がすでにおり、夫のアーレは反対する。
さらに連れてきた野良犬は部屋を荒らしてしまう。しかもその部屋は、生まれてくるはずだったアヤとアーレの子供のために用意していた部屋だった。
後日、しかたなく野良犬をペットショップに預けるアヤだが、結局引き取り手は見つからず、アーレを説得して、我が家で面倒を見ることに。ジューンの名付けられたその犬は子どもを怖がり、アーレには懐かないが、先住犬のコピとはうまくやっている。
そんなある日、アヤは出版社から連載していた漫画の打ち切りを言い渡される。悲観しているところにジューンがやたらと子どもがいるときと同じように吠え続けるので、まさかと思い調べると、アヤは2度目の妊娠をしていた。
子どもが苦手なジューンが、生まれてくる赤ちゃんを襲わないか不安になるアーレだ。やがてアヤは女の子カリンを出産。病院に入るなと言われていたジューンとコピだが、ジューンは病院に忍び込んで、アヤを励ましに来たのだった。
カリンとジューン
アヤとカリンが退院して帰宅してから、ジューンは庭で過ごすようアーレに言われる。
しかしコピの協力も得て、ジューンは室内へ入るとカリンの元までやってくる。不思議なことに、ジューンを見ると、カリンは泣き止んだ。
それを見たアヤは、カリンにとってもジューンは必要な存在になると思い、ジューンが室内に入ることを許すようにアーレを説得する。こうして、カリンはジューンに見守られながらすくすく育つ。
カリンが幼稚園に入った頃、ジューンはカリンが高熱にうなされているとアヤたちに(吠えて)伝える。診断結果は喘息だった。アーレは犬が原因ではないかと疑うが、医師から否定される。
カリンが持病を持ったことで、アヤはジューンに「カリンを守ってあげて」と囁くのだった。
その後、カリンはアヤたちの隣に住む少年が、可愛がっていた犬を亡くして悲しむ様子をみかける。その夜、カリンはジューンやコピもいつか死んでしまうのかとアヤに問う。そんなカリンの話を聞いたアヤは『ジューン・コピ』と題した漫画を描きはじめる。
それからしばらくして、アーレは家族で山の別荘に旅行へ行こうと提案する。ジューンとコピは留守番で、親戚の叔母さんにペットシッターをお願いするも、やはりジューンは脱走。自力でカリンたちの別荘へ向かおうとする。
ところがカリンは別荘先で他の子どもたちにいじめられ、寂しさとジューンの恋しさから、ひとりで別荘から離れてしまう。
アヤたちが気づいたときには、カリンはすでに山奥まで迷子になっていた。そこへ駆けつけていたジューンがカリンの声を聞き、急いで探しに向かう。
さらにジューンの後を追っていたコピは、アヤたちと合流し、ジューンの居場所を案内する。
なんとかカリンを見つけだし、探しに来ていたアーレに居場所を伝えるジューン。しかしアーレが動物用に仕掛けた罠にかかりそうになるところを助けたジューンは、代わりに罠にかかって怪我をしてしまう。
アーレは急いでカリンを助けたあと、ジューンのもとに駆けつけて助け出す。カリンは無事だったが、ジューンは罠に毒があったことで、余命僅かと宣告される。
数日後、アヤはジューンに「カリンを護ってくれてありがとう」 と伝えると、ジューンはアヤに見守られながら息を引き取った。
その後、カリンとアーレは野良犬の保護施設を訪れる。そこにはジューンにそっくりな子犬がいた。
『ジューン&コピ』感想
犬が死ぬトーンの雰囲気じゃないのに…!
文章だけでは伝わりづらいですが、この映画は終始明るくコメディタッチなトーンで続くので、てっきり「なんとかジューンの毒も治って、みんな元気に過ごしましたとさ!」みたいな結末を予想していただけにダメージがデカいです…。
おそらく犬の従順さや命の尊さを伝えたかったのでしょうが、あまりにも急転直下のラストで驚きました。ラスト以外はぶっちゃけ胸焼けしそうなレベルで幸せポップでキャッチーな内容が続いてたし…。
エンドロール後ではなんか謎にコミカルなやり取りのシーンがあったので「いや、ジューン死んだんだぞ?」 と、全く笑えませんでした…汗
従順さならコピも忘れてはいけない
カリンは明らかにコピよりジューンを可愛がっていましたが、ジューン亡きあと、カリンとジューンが一緒にやっていたルーティンをコピが引き継ぐシーンがありました。コピ、いいやつ過ぎる…。
あとからやってきたジューンに対しても優しく接し、カリンがジューンに懐いていても、終始落ち着いた様子を見せ、カリンが迷子になったときも率先してジューンと協力する…。
先住犬なのにヤキモチを焼いたりすることなく、終始大人な対応をしていたコピの従順さにも拍手を送りたくなる作品でした。
涙活目的ならおすすめだけど…
ここからはゴリゴリの個人的意見なので、無視してもらっていいのですが…。
筆者自身ペットを飼っていることもあって、「ペットの死によって成り立つ人間(家族)の生活」みたいな話がすごく苦手だな…と、この映画で再確認しました。
自分のペットがジューンのように守ってくれて命を落としたら、映画のラストのように保健所で子犬探したりなんてできないです…。その直後のエンドロールで「ペットは責任を持って飼いましょう」とか言われても全然説得力ないし…。
犬の従順さや尊さを打ち出して、涙を誘う作品としては間違いないのでしょうが、普段から生き物と触れ合っている人が見ると、だいぶモヤってしまうポイントも多いんですよね。
そもそも「飼い主もペットも幸せにならなきゃいかんだろー!」という精神で生活しているので、フィクションと分かっていても、この映画の結末はなかなか受け入れがたいものがあります。『ジョン・ウィック』みたいに、犬が主役じゃないけど、その犬が死んだことで低評価を付ける人の気持ちが、なんとなく分かります…笑
そんな気持ちを持っている人は、果たしてこの映画で素直に涙できるのか…?という疑問が終始頭に残りました。
『ジューン&コピ』あらすじ・感想まとめ
・子どもと犬のふれあいはとても尊かったです!
・明るいトーンとは真逆の展開に戸惑うことも…
以上、ここまで『ジューン&コピ』をレビューしてきました。
涙活したい、シンプルに動物が主役の泣ける映画が見たい人にはおすすめ。
一方で、ペットを飼ってる人は素直に感動できるかは微妙…(個人的には苦手なジャンルでした)
これまで見たNetflixオリジナルの犬映画(『ベンジー』とか『きっと見つける』)みたいなストーリーが自分にはちょうどいいのかもしれません…汗
ほかにも、動物映画といえば吹き替えの動物を用意して、一役に何頭かの動物をキャスティングします。
しかしジューンの吹き替えがあまりに違いすぎて気になってしまいました…。
ほかにも旦那アーレが上っ面だけの良い夫な感じで鼻に付いたり…いろいろツッコみたいことはあります…。
まあ、泣けるには泣けるんですけど、本当に犬を飼っている方は絶対にこんな形で愛犬を死なせてほしくはないなあと思いました(飼い主だって望んでいないでしょうし…)