前世で乙女ゲームを遊んでいた記憶を持つ公爵令嬢バーティアと、感情に乏しい王太子セシルの恋と成長を描くラブコメファンタジー。自分を「悪役令嬢」と信じ込み、ゲームのシナリオ通りに婚約破棄されようと奮闘するバーティア。しかし、その行動はことごとく周囲を幸せへ導き、本来のゲームシナリオとは全く異なる未来を作り上げていく。一方、そんな彼女を「観察対象」として見始めたセシルも、いつしか彼女に心を奪われ、人を愛し守りたいという感情を知っていく。二人は数々の試練を乗り越えて本当の幸せを掴めるのか。
・バーティアのおかげで少しずつ感情を露わにしていくセシルが微笑ましい。
・本人(バーティア)の知らぬところで周りが救われていく展開がとても平和。

©しき・アルファポリス/バーティア様を愛でる会
目次
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』声優・キャラクター紹介
セシル・グロー・アルファスタ /声優:小林裕介
・冷静沈着、容姿端麗な王太子。
・天才ゆえ日常に退屈さすら感じている。
・婚約者として現れたバーティアのエキセントリックな言動に触れ、「観察」を始める。
バーティア・イビル・ノーチェス/声優:富田美憂
・大好きな乙女ゲームにそっくりな世界に転生した元現代人。
・自称悪役令嬢としてヒロインとセシルをくっつけるため暗躍する。
・その努力がからまわりしつつも、セシルによって勝手にいい未来へと変わっていく。
ヒローニア・インデロン/声優:宮本侑芽
・セシルたちの前に現れた「乙女ゲームの主人公」。
・運命の乙女を自称し、悪役令嬢であるバーティアを邪険に扱う。
・その恋愛攻略方針は意外とド根性・・・?
クロ/声優:鬼頭明里
・バーティアがいつも連れている黒い狐。
・その正体は闇の精霊で幼いメイドの姿をとることもある。
・バーティアが大好き。
ゼノ/声優:田丸篤志
・陰に日向にセシルに仕える従者で精霊。
・日々、主人の無茶振りを健気にこなしている。
・意外と図太い一面も。
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』あらすじ・感想
「悪役令嬢」を名乗る少女との出会いが、感情のない王太子を変えていく
10歳の王太子セシルは、婚約者として公爵令嬢バーティアと婚約する。初対面でバーティアは「私は前世の記憶を持っています」「ここは乙女ゲームの世界で、私は悪役令嬢です」と堂々と宣言。
普通なら荒唐無稽な話として片付けられる内容だったが、感情の起伏に乏しく、何事にも退屈していたセシルは、常識外れな彼女に強い興味を抱くようになる。
バーティアは、自分が将来ヒロインに敗れ断罪される運命だと信じており、悪役令嬢らしく振る舞おうと努力する。しかし、その行動は天然な性格も相まって周囲には善意として受け取られ、誰一人傷つけることができない。
逆にセシルは彼女の発言を利用して未来に起こる事件を未然に防ぎ、本来命を落とすはずだった人物を救うなど、ゲームシナリオを次々と書き換えていく。その結果、本来攻略対象だったクールガンもセシルの側近となり、新たな未来が動き始める。
さらにセシルは学院へ入学し、バーティアとは文通を続けながら互いを意識する関係へと成長していく。一方でヒロインのヒローニアも森で傷ついた小鳥を助ける。この小鳥こそ後に物語の核心へ関わる光の精霊ピーちゃんであり、運命の歯車は静かに動き始めていた。
Mai
そしてそんなぶっ飛んだ言動のバーティアにセシルも興味を覚え、最初は戸惑っていますが、表情には一切でていないのが流石です。
よくある話だと自分がキャラクターに乗り移ったことを隠すことが多いと思いますが、バーティアの元々の素直さというか、自分が大好きなゲームの世界に入り込んだ興奮からか、1話目からキャラ崩壊している様子を見て、逆に続きが楽しみになってくること間違いなしです。

©しき・アルファポリス/バーティア様を愛でる会
学園生活で広がる仲間の輪と、シナリオを壊していくバーティア
成長したバーティアはハルム学院へ入学し、ついに乙女ゲームの舞台へ足を踏み入れる。同じ時期にはゲームの主人公ヒローニアも入学し、バーティアは「セシルとヒローニアを結び付けなければならない」と考え、二人を近づけようと奮闘する。
しかし、セシルにはまったくその気はなく、積極的に近付くヒローニアよりも、一生懸命空回りするバーティアを見守ることのほうが何倍も面白く映っていた。さらにバーティアは、攻略対象たちがヒロインに惹かれる逆ハーレム展開を防ぐため、彼らと婚約者である令嬢たちを応援する恋のキューピッド役を買って出る。
一人ひとりの悩みに真剣に向き合い、誤解を解き、背中を押していく姿は、多くの令嬢たちから信頼を集めるようになる。結果として攻略対象たちはそれぞれ婚約者との仲を深め、ゲーム本来の恋愛ルートは完全に崩壊してしまう。
しかしシナリオが思い通りに進まないことに焦ったヒローニアは、次第にバーティアへ敵意を向けるようになる。セシルが遊学で学院を離れている間を狙い、嫌がらせは日増しに悪質化していく。それでもバーティアは「悪役令嬢だから当然」と考え、一切セシルへ助けを求めようとしなかった。
その姿にセシルは初めて「怒り」という感情を覚える。自分だけに頼ってほしいという独占欲にも似た想いが芽生え始めた矢先、バーティアが階段から転落したという知らせが届き、穏やかだった学園生活は一気に緊迫した空気へと変わっていく。
Mai
しかし、一方でヒローニアは自分がしる展開と違う事に焦り、普段特に関わりのないはずのバーティアへと敵意を向けていきます。
このあたりはゲームのシナリオを知っているがために、悪役令嬢としての立ち位置であるバーティアに自然と意識が向くのだと思いますが、やはりゲームや現実の意識の切り替えは当事者という立場上難しいことなのかと、つい疑問に思ってしまいます。
自分が好きなゲームだからこそなのかもしれませんね。その辺りも自分だったらと妄想がはかどり面白いです。
嫌がらせ事件の真相と卒業パーティで明かされた「本当の味方」
階段から転落したバーティアは無事に意識を取り戻し、周囲は安堵する。しかし、当の本人は誰かを責めることを望まず、自分が悪役令嬢だから仕方がないと考えていた。その優しさに触れたセシルは、これ以上彼女を傷つける者を放置できないと決意し、生徒会メンバーとともに事件の真相究明へ動き出す。
証拠を集めた末、中庭へ関係者を集めたセシルは冷静に犯人を追い詰める。真犯人はヒローニアではなく、婚約者がバーティア親衛隊へ入ったことに嫉妬した女生徒だった。彼女はヒローニアへ罪を着せるため変装までして嫌がらせを続けていたが、その行動はすべてセシルに見抜かれていた。
事件は解決し、バーティアの潔白も証明されるが、「運命の乙女」というヒローニアの言葉を聞いたバーティアは突然倒れてしまう。
高等部へ進学した後も、その言葉が頭から離れないバーティアは、セシルと距離を置くようになる。一方のセシルも「運命の乙女」の意味を探るため父王に相談するが、有力な情報は得られなかった。それでも父王は、これまで誰にも頼らなかった息子が一人の少女のために必死になっている姿を見て、確かな成長を感じ取る。
そして迎えた卒業パーティ。当日はゲームで悪役令嬢が断罪される運命の日であり、バーティアは覚悟を決めてその瞬間を待っていた。しかし、セシルが用意していたのはゲームとは全く違う未来だった。
ヒローニアはバーティアの罪を並べ立てるが、これまでバーティアに助けられてきた令嬢や生徒会の仲間たちが次々と反論し、彼女の主張を覆していく。バーティアが悪役どころか、多くの人に愛される存在であることが証明される中、セシルは皆の前で「彼女を王太子妃とする」と宣言する。
しかし、その瞬間、ヒローニアと共にいた小鳥・ピーちゃんがセシルへ襲いかかる。クロやゼノの結界さえ破る一撃を受け、セシルはその場に倒れ込み、バーティアは絶望の叫びを上げるのだった。
Mai
そしてかたくなにセシルとヒローニアをくっつけようとするバーティアにも違和感を覚えますが、徐々に感情が芽生えてきたセシルがとうとう行動に移すところは、「待ってました!」といった感じです。
実際にはヒローニアではなかったことには驚かされましたが、こういうシーンが含まれることでよりゲーム感が薄れる気がしますね。
問題の断罪イベントでも全く違う展開になりホッとしたのもつかの間、ピーちゃんによる攻撃でセシルが倒れてしまいますし、早く二人には一緒に幸せになってほしいと強く願います。

©しき・アルファポリス/バーティア様を愛でる会
IF世界で知る「本当の運命」と二人が結ばれた瞬間
ピーちゃんの正体は光の精霊であり、その力によってセシルは意識の世界へ導かれる。そこで彼が見たのは、乙女ゲームのシナリオが一切狂わなかった「もしもの世界」だった。
そこでは感情のない王太子として生きる自分がおり、人形のように冷たく周囲を見下ろしていた。婚約者のバーティアも現在とは違い、高慢で意地悪な本来の悪役令嬢として振る舞っており、セシルも彼女へ何の愛情も抱いていない。そしてヒローニアだけが唯一興味を引く存在となり、ゲーム通り二人は距離を縮めていく。
しかし卒業パーティで断罪されるバーティアを目の当たりにした時、セシルは違和感を覚える。「これは自分の知るバーティアではない」という想いが心の奥底から湧き上がり、閉ざされていた感情を少しずつ取り戻していく。
そして彼はその世界のバーティアを抱きしめ、自分が本当に守りたいのは、いつも笑顔で誰かの幸せを願う今のバーティアなのだと確信する。その瞬間、偽りの世界は崩壊し、セシルは現実へ帰還することに成功する。
目覚めたセシルを待っていたのは、取り乱して暴れるほど彼の身を案じるバーティアだった。彼女を落ち着かせた後、セシルはゲームの未来について詳しく話を聞く。各攻略対象のルートを知る中で、自分はヒローニアと結ばれるルート以外では命を落とす運命だったこと、そして世界を救う存在として「運命の乙女」が必要だったことを知る。
しかし、セシルにとってその存在はヒローニアではなく、どんな未来でも自分を救い続けてくれたバーティアしか考えられなかった。彼は改めて「愛している」と真っ直ぐ想いを伝え、バーティアも涙ながらにその気持ちを受け入れる。長いすれ違いの末、二人はようやく本当の恋人として結ばれることになった。
Mai
そして、セシルが体験した本来のゲームシナリオの展開はもはや違和感しか感じないですね。ゲームとは違う。
バーティアもセシルのバーティアではない。
体験するうちに、自分が知るバーティアに出会わなかった時の自身の様子を見て冷静に分析しているセシルは悲しくもありますが、だからこそ、セシルが知るバーティアの存在がとても大きいことがよくわかります。
と同時にセシルもそのことを強く自覚していくシーンがとても良かったです。
目覚めたと思ったら暴走するバーティアを見てむしろ嬉しく思うのもなんだか面白い感覚です。
そしてようやく結ばれる二人には素直に拍手を送ります。
ヒローニアとの決着、そして二人が迎えた最高の結婚式
恋人となったセシルとバーティアだったが、最後に残された問題はヒローニアの処遇だった。セシルは意識世界で消滅するピーちゃんから「彼女を導いてほしい」と託されており、その約束を果たすためヒローニアと向き合う。
彼女へ下された処分は国外追放だったが、行き先は穏やかな土地で静かに暮らす道と、命の危険はあるものの精霊を蘇らせる伝説が残る北方の地という二つの選択肢が用意される。ヒローニアは迷うことなく後者を選び、「もう一度ピーちゃんに会いたい」という願いを胸に、新たな人生へ歩み出す。
それから二年後、ついにセシルとバーティアは結婚式の日を迎える。セシルはクロから渡された「バーティアのやりたいことノート」を読み、彼女が夢見ていた結婚式を一つひとつ実現していく。
憧れだった入場曲、お姫様抱っこ、ブーケトス、新婚旅行へ出発する馬車の後ろへ缶を結び付ける演出など、小さな願いまで決して見逃さず叶えていく姿は、かつて感情を持たなかった王太子とは別人だった。
一方のバーティアも、自分は最後まで悪役令嬢になれなかったと少し照れながらも、世界で一番幸せそうな花嫁として笑顔を見せる。家族や友人、生徒会の仲間、令嬢たち、そしてクロたち精霊に祝福される結婚式は、これまで築いてきた人との絆があったからこそ実現した最高のフィナーレとなった。
Mai
そして待ちに待った二人の結婚式。ここからラストまではただただセシルがバーティアの為に尽力していく様子が映されましたが、出会ったことより本当に変わったことがよくわかります。
とても幸せなシーンですし、バーティアの現代での憧れが、この違う世界でも実現されたこともとても素晴らしいシーンです。
これからもバーティアはセシルの為に奔走するんでしょうし、セシルはそんなバーティアを微笑ましく面白そうに観察し続けるのでしょう。
続きがあるなら是非また見たい作品です。
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』キャラ/声優・あらすじ・ネタバレ感想まとめ
・それぞれの精霊であるクロやゼノのそれぞれの扱いの対比や、他キャラクターの魅力が盛りだくさん。
・バーティアが全てを話してしまう一方で、セシルの基本的に裏で考えているセリフなど見どころ満載。
「悪役令嬢になろう」と努力した少女が、誰よりも優しく誰よりも多くの人を幸せにしてしまったという、ギャップが終始楽しめる展開がたくさんあります。
そして彼女を観察していたはずの王太子は、いつしか彼女なしでは生きられないほど深く愛するようになったり、乙女ゲームの運命を覆し、自分たちだけの未来を選び取った二人の結末などは、最大の見どころですし、見る人の多くの心を温かくする感動のラストとなっている作品ですので、皆さん是非ご覧ください!

