ウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」にて連載され、シリーズ累計発行部数400万部を突破した賀来ゆうじ先生の同名作品をアニメ化した『地獄楽』。
……「クズ」と呼ばれていた。
そんなガキに侍の誇りを与えてくれた先生がいた。
そして、心の底から守りたいと思う人ができた。
だから、自分は――典坐は刀を振るい続ける……。
早速、第8話「弟子と師」をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『地獄楽』前回第7話のあらすじと振り返り
謎の少女・メイと木人に連れられ、村に案内された画眉丸と佐切たち。
木人は、島を統べる仙人――「”天仙”様」の存在を語ります。
一方、天仙と遭遇した弔兵衛と桐馬は、人智を超えた力の前に倒れ、深き穴へと落とされました。
そこで、桐馬は花化した人間たちを目にします。
【ネタバレあり】アニメ『地獄楽』第8話あらすじ・感想
典坐の過去
貧民の子として生まれ、無頼の日々を過ごしていた少年期の典坐。
生きているだけで、道行く人に「クズ」「ごくつぶし」と言われる生活の中、腹が減れば盗んだり、暴力で奪ったり、殺し以外は何でもしていました。
ある日、通りすがりの侍たちからいつものように「クズ」呼ばわりされた典坐は、虫の居所が悪く、3人の侍を相手に暴行を働きます。
腕っぷしの強かった典坐が3人まとめてボコボコにした時、とある侍がやって来て、典坐に刀を向けました。
その侍こそ、のちに典坐の師となる山田浅右衛門士遠(CV.小林親弘)だったのです。
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盲目の侍
島を囲む浜辺を歩き回り、魔の海域を抜けられる海流を探っていた典坐とヌルガイ。
ヌルガイが女性だとわかった以上、危険は避けたいという典坐の思いに反して、事態は悪化します。
目の前に、天仙の一人・朱槿/如イ元君(CV.諏訪部順一、甲斐田裕子)が現れたのです。
珍しく森が騒がしいことに気付いて出てきたらしい朱槿は、典坐とヌルガイを見て「お前らの仕業か?」と睨みをきかせます。
海上に立っている姿、瞬時に女から男へ変貌する身体……どう見ても危険な朱槿から、逃げようと駆け出す典坐とヌルガイ。
しかし、朱槿は一瞬で典坐の前に回り込み、波動のような攻撃を仕掛けてきます。
文字通り吹っ飛ばされた典坐は地に伏せながらも、隙をついて刀を抜き、朱槿の眼球を斬り裂きました。
すると、血の流れる傷口から植物が生えてきて、すぐに再生します。
典坐は動揺しつつも朱槿の手足や首を斬り落とし、ヌルガイを連れて森の中へ駆け出しました。
ところが、朱槿は首の再生が間に合わないまま追いかけてきたのです。
頭と身体が蔦で繋がっている状態で襲ってきた朱槿にギョッとしていると、背後から刀が飛んできます。
再生中の蔦部分を貫いた刀の持ち主は、士遠でした。
士遠の目が潰れていると気付いたヌルガイは、盲目なのに機敏な動きを見せていることに驚かされます。
典坐は、士遠が「匂いや音で見ている」こと、そして、自分が「先生」と呼び慕う師匠であることを教えました。
朱槿が追ってくる気配もなくなり、無事に合流した3人。
士遠は最初こそ典坐の刀を指導したり、冗談を言ったりしていましたが、すぐに「なぜ罪人を庇っているのか」と問いかけます。
士遠自身は担当していた罪人が籠絡しようと仕掛けてきたため、処刑したらしく、ヌルガイにも刀を突き付けました。
ヌルガイにどんな事情があろうとも、「罪とは得てして時代が決めるもの」だと言う士遠に、典坐は言い返します。
無頼で無宿人だった典坐に、士遠が可能性を感じたのと同じように、ヌルガイが自由に生きられる時代に可能性を感じているのだと。
必死にヌルガイを庇う典坐を見た士遠は、「人助けとか意味わかんねえ」とやさぐれていた過去の典坐を思い出し、フッと小さく笑いました。
そして、刀を鞘に戻すとヌルガイの処刑を保留にし、改めて挨拶をします。
盲目にもかかわらず、ヌルガイのことを女性だと認識していた士遠に驚かされながらも、ヌルガイは「よろしく、先生」と言います。
すると士遠は、自分はヌルガイに何も与えていないから、「先生」と呼ぶ必要はないと優しく返すのでした。
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朱槿の殺意
士遠は魔の海域を抜けられそうな海流を見つけたものの、さすがに一人で行くのは危険だと思っていたといいます。
3人になったところで海流を調査しに行こうとした矢先、朱槿が追いついてきました。
いつの間にか背後を取られた典坐とヌルガイを抱え、朱槿と距離を取った士遠。
無事に見えたものの、実は朱槿からの攻撃を受けており、首が切り裂かれていました。
血を吐いて座り込んでしまった士遠を見て、典坐は朱槿に向かっていきます。
スタミナはないけれどスピードに自信があるという典坐の剣技は確かに速いものでしたが、朱槿はすでに慣れてしまい、反撃してきました。
またしても波動のような攻撃を受けた典坐は、血を吐いて倒れたのでした。
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弟子と師
少年期の典坐を拾った士遠は、山田浅右衛門として育てようと日々稽古を付けていました。
しかし、典坐は自分の可能性なんて信じておらず、道場を出て行こうとします。
士遠は自分から一本取ることを条件に、それを認めるのでした。
典坐は課された条件を無視して夜明けに抜け出すと、そこで衛善に遭遇。
士遠と典坐のやり取りを知っていた衛善は、典坐を墓に連れて行きます。
その墓は、かつて士遠の弟子だった鉄心という男のものでした。
鉄心は「好きに生きる」と言い捨てて道場を出ていった挙句、やがて食うに困るようになり罪に手を染め、死罪人となったのです。
ある日、何も知らなかった士遠は目の前にいる、自分がこれから処刑しなければならない死罪人が、鉄心だと気付きました。
しかし、浅右衛門としての仕事を全うし、刀を振り降ろします。
首を斬る直前、鉄心が言い残したのは「先生、ごめんなさい」という言葉でした。
以降、それまで自分の技術向上に執心していた士遠は、弟子の指導に熱を入れるようになったといいます。
衛善から、一連の士遠の過去を聞いた典坐は、士遠から一本を取るために鍛錬するようになりました。
そして、ついに士遠から一本を取り、「先生」と呼び慕うようになったのでした。
自分に可能性を感じてくれた士遠が言うように、いつか守りたいと思う人ができるのだろうかと考えていた典坐は、青年となった今、死を前に全力を尽くしていました。
声も出せぬほどになっても尚、朱槿に殴りかかり、士遠とヌルガイが逃げる時間を稼ぎます。
士遠も刀を手に朱槿へ挑もうとしますが、声にならない声で「逃げてくれ」と伝える典坐を見て踵を返し、典坐の名を呼びながら泣きわめくヌルガイを抱え、駆け出しました。
士遠に思いが伝わったことを認め、薄く笑った典坐は、最期まで全力で戦います。
死の間際、士遠とヌルガイに思いを馳せながら、自分にはどんな可能性があったのかと未来を想像していました。
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逃げ切ったところで、ヌルガイは典坐を見捨てた士遠を責めます。
しかし、士遠が声を荒げ、典坐のことを弟子以上の存在だと思っているとわかったところでハッとし、再び涙を流しました。
今はあの化物には勝てない、あのままでは全滅していたと冷静に考えながらも、大切な弟子を失ったことに胸を痛める士遠は、「必ず落とし前はつける」と誓うのでした。
アニメ『地獄楽』第8話まとめ
いかがだったでしょうか。
典坐と士遠の過去のエピソードと、強い信頼で結ばれた師弟関係がじっくり描かれた第8話。
典坐の最期を描くための流れだったと考えると、本当に胸が痛くなります。
丁寧に描かれれば描かれるほど、視聴者は苦しくなりますよね。
遺された士遠とヌルガイは、典坐への想いを共有し、新たに師弟となっていきそうです。
残るエピソードも数話となり、生存者も減ってきてしまい、天仙は強すぎるのにまだまだ出てきそうで……今後の展開から目が離せません。
次回、第9話も楽しみです。