ウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」にて連載され、シリーズ累計発行部数400万部を突破した賀来ゆうじ先生の同名作品をアニメ化した『地獄楽』。
不老不死の仙薬を手に入れるため、幕府に集められた画眉丸ら死罪人たち。
彼らを待ち受けていたのは選別という名の――殺し合い。
血風舞う戦場で、佐切は画眉丸が真に斬るべき罪人か、見極めようとします。
早速、第2話「選別と選択」をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『地獄楽』前回第1話のあらすじと振り返り
処刑執行人・”御様御用”の山田浅ェ門佐切は、刑場で一人の死罪人と出会います。
――超人的な肉体を持ち、大勢の人を殺めた冷血な忍・”がらんの画眉丸”。
どんな処刑を受けても死なない画眉丸は、佐切に「殺してほしい」と言います。
一方、佐切は調書を取っていく中で、画眉丸が真に死を受け入れたわけではないと考えるようになりました。
そして、画眉丸が死なないことの裏には、離れ離れになった妻への想いがあると気付きます。
佐切は画眉丸に公儀御免状の存在を教え、謎の島から仙薬を持ち帰れば無罪放免になると伝えました。
画眉丸は妻に再会するため、極楽浄土と呼ばれる島へ渡ることを決めます。
【ネタバレあり】アニメ『地獄楽』第2話あらすじ・感想
佐切の迷い
かつて、佐切の父である山田浅ェ門吉次は、噺の途中で斬ってほしいと頼んだ噺家の死罪人の提案を受け入れ、その首を斬り落としました。
すると、噺家の死罪人は首が落ちたあとに”さげ”の作法を終え、一部始終を目の当たりにした幼い佐切は衝撃を受けます。
佐切のそばにいた山田浅ェ門衛善(CV.古川慎)は、それを「本人すら斬られたと気付かない 余計な痛みも感情も排除した理想の一刀」だと評しました。
その一刀は佐切の目標となった一方、殺すことの業に悩む彼女の太刀筋には、迷いや恐怖があると言われてしまいます。
そうして佐切は、「迷いなく殺せる命であれば……」と考えずにはいられないのでした。
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そんな中、将軍の前に集められた画眉丸ら死罪人たち。
彼らは仙薬を見つけ出すために島へ渡る者の候補であり、それ故に凶悪犯ばかりでした。
退屈そうにしている画眉丸に声を掛けたのは、同じく死罪人のくのいち・杠(CV.高橋李依)。
忍の世界で画眉丸は有名だと持ち上げながらも、実物が「チビ」で「みすぼらしい」ことにがっかりした様子。
散々な言われようなのにもかかわらず、「期待外れでごめん」と軽く返す画眉丸を見て、佐切は彼が真に斬るべき死罪人なのか見極めようとします。
同行人、山田浅ェ門
公儀御免状についての説明など、おとなしく聞くはずもない死罪人たち。
大勢が騒ぎ立てたところで、何かが運ばれてきます。
面紙を外すよう指示された死罪人たちの目に飛び込んできたのは、身体のいたるところから花や枝が突き出た人体でした。
その人体は、謎の島への上陸調査で唯一生還した与力だったものです。
帰還した際、身体中に出来ていたコブが翌日開花し、今のような状態になったといいます。
さらに、彼以外の60人近い調査団は行方不明のため、島の情報は何もないままでした。
そんな危険極まりない場所だとは知らなかった死罪人たちが非難の声を上げる中、山の民――サンカのヌルガイ(CV.小市眞琴)は、仙薬がなかったらどうするのかと問いかけます。
何はともあれ、一貫して「参加は任意」だと言う幕府側に対し、「俺は御免だ」と立ち去ろうとした死罪人がいました。
すると、去っていく後ろから刀が振り降ろされ、気付けば首が落ちていました。
斬ったのは衛善……なぜなら、山田浅ェ門は島にも監視役として同行し、死罪人が勝手な動きを見せれば、その場で打ち首とするからです。
驚く死罪人たちに対し、幕府はさらに「上陸する前に人数を絞ってほしい」と告げます。
呆気に取られる者が多い中、「殺し合えってことだよ」と言って真っ先に他の死罪人を襲ったのは、亜左弔兵衛(CV.木村良平)。
彼の発言と行動を皮切りに、死罪人たちの殺し合いが始まります。
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手縄を付けたままの殺し合い
死罪人たちの殺し合いが続く中、将軍が「朱印の者」について尋ねます。
役人は朱印の者――人別帖に朱の印が押されている異能の者たちを紹介していきました。
例えば、若くして山奥に賊の村を作り上げた豪傑・弔兵衛や、鷺羽城侵入騒動の下手人であるくのいち・杠、剣龍や八州無双と呼ばれた大剣豪・民谷巖鉄斎(CV.稲田徹)など……。
そして、生きる伝説・”がらんの画眉丸”は、激しい戦場と化したこの場で、ただ静かに立っていました。
殺し合う死罪人たちを見ていた佐切に声を掛けてきた衛善は、佐切にこの仕事は向いていないと言います。
佐切は大きく息を吐き、山田家に生まれたなら自分が斬らずとも、人の死を糧にしているのは同じことだと、自身の幼少期を思い出すのでした。
町の子供に「人殺し」と呼ばれ石を投げられた幼い佐切は、人斬りの業を背負い、石を投げ返すことを決めたのです。
「自分の業は自分自身で見極めたい」
心でそう思う佐切は、女だと油断して向かってくる死罪人たちの首を斬り落としていきます。
そうして深く息を吐いた時、「人を殺して平気なわけあるか」という声が聞こえてきました。
ハッとした佐切の視線の先には、将軍や役人に「できれば殺しなどしたくないって、ごく当然のことだろう」と述べる画眉丸の姿がありました。
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さらに、嫌なら御免状を諦めろと言う役人に対し、「通じんなあ」と溜め息をついています。
役人は他の死罪人に声を掛け、画眉丸を殺せば船に乗せると提案しました。
すると、言われた通り死罪人たちは画眉丸を殺そうとします。
背負う覚悟
自分を殺そうとする死罪人に、話し合わないかと持ちかける画眉丸。
しかし、戦う気がないなら黙って死ね、と返されてしまいます。
すると、画眉丸は「仕方ない」と溜め息をつき、本当に仕方なさそうに「殺すか」と零しました。
殺しはしたくない、でも、自分も死ぬわけにはいかない……そして。
「気が重いんだよ、これから背負うものを考えたら」
死罪人に近寄っていった画眉丸は「ヤダヤダ」と呟き、次の瞬間、相手の首を搔っ切りました。
そこからは、自分を殺そうと立ち向かってくる死罪人たちを惨たらしく殺していきます。
素手で身体を切り裂き、噛み切り、踏みつける……。
大勢を殺し、血まみれになった画眉丸を見て、衛善は「なんと…無惨な殺し方を」と言います。
対して画眉丸は、「きれいにやれば恨まれないのか?」と問うのでした。
その言葉を聞いた佐切は、自分に足りなかったのは殺しを恐れぬ強さではなく、殺した命を背負う覚悟だったのだろうか、と考えます。
気付けば一筋、涙を流していた佐切。
荷が重いのではないかと問う衛善に、きっぱりと言い返します。
「彼は、私が斬ります」
佐切の声を聞いた画眉丸は、返り血を浴びた顔を海水で洗いながら、彼女に視線を向けました。
こうして10人にまで絞られた上陸組と、それぞれに一人ずつ同行する山田浅ェ門は船に乗り、極楽浄土と呼ばれる謎の島へ渡るのでした。
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アニメ『地獄楽』第2話まとめ
いかがだったでしょうか。
ゴア描写が激しめだった第2話。
島へ渡った10組の間でも惨たらしい攻防が行われるのかと思うと、気が重くなる部分もあり、先の展開が楽しみでもあり、何とも贅沢な不安感が漂います。
大勢を殺しながら、殺しはしたくないと考えている画眉丸が、ブレずに人を殺せること。
執行人でありながら、殺しに迷いのある佐切は、そんな画眉丸に影響を受けます。
夕日を背負い、「きれいにやれば恨まれないのか?」と言う画眉丸の姿には、佐切だけでなく多くの人がハッとしたのではないでしょうか。
新キャラクターも多数登場し、島に渡ってからのストーリーが気になるところ!
次回、第3話も楽しみです。