ウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」にて連載され、シリーズ累計発行部数400万部を突破した賀来ゆうじ先生の同名作品をアニメ化した『地獄楽』。
全ては亡き弟弟子の無念に悔いるため……士遠は己が命を懸け、怒りの刃を牡丹(ムーダン)へ振るいます。
大切な者たちが倒れる中、佐切は皆でともに帰ることを願いますが、その想いを裏切るように、画眉丸にはある異変が起きていました。
早速、第13話「夢と現(うつつ)」をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『地獄楽』前回第12話のあらすじと振り返り
画眉丸を探す佐切たちは、天仙の城・”蓬莱”へと足を踏み入れます。
そこに待ち受けていたのは、天仙・牡丹。
人を実験動物として扱う狂気の笑みが、杠へと向かいました。
その杠を守るべく仙汰が立ち上がり、共闘の末に一時は退けたものの、隙をついて巨大な怪物と化した牡丹の奇襲に遭います。
杠と佐切を庇った仙汰は、花化してしまいました。
【ネタバレあり】アニメ『地獄楽』第13話あらすじ・感想
士遠vs牡丹
牡丹は二つの胴体を有する巨大な植物の化物へと変貌し、仙汰は攻撃を受け花化……目の前の状況に、佐切と杠は絶望してしまいます。
そこへ現れ、彼女たちを庇ったのは、士遠でした。
士遠は花化した仙汰に気付き、ヌルガイに「彼の花と根に刀で切込みを」と指示すると、佐切や杠にも離れているよう言いました。
そして、牡丹の波(氣)の動き、香り、音から察するに、典坐を殺した者――朱槿と同族だと感じ取ります。
ここまでの道中、竈神を倒しながら、その倒し方や氣の使い方を試していた士遠は、牡丹を倒すべく攻略を開始するのでした。
一方、士遠の指示通りに処置された仙汰は、花化は止まっているものの、かろうじて一命を取り留めている状態です。
杠は「手遅れかもしれない」と言いながら、止血用の軟膏を塗布しました。
その頃、士遠は牡丹を相手にほぼ互角の戦いを繰り広げ、杠たちはその姿に驚きます。
さらに、仙汰が受けたものと同じ、触手のように伸びる蔦での攻撃を喰らい、身体に花が生えてしまいますが、その花の根を自分で切り落とし、花化を防いでいました。
しかし、花化を防いだところで、それは重傷と同様。
出血が激しく、このままでは倒す前に自ずと倒れてしまいます。
一人で戦うには分が悪いすぎると感じた佐切とヌルガイは加勢することに。
残る杠は体力の限界だと言って、戦いを回避しようと座り込みますが、そんな彼女にヌルガイが抱きつきました。
佐切にも同じように抱きつき、「治った?」と問いかけます。
どうやら氣の相性によっては触れた相手の体力を戻すことも期待できるらしく、佐切と士遠はヌルガイから回復効果を得られるようでした。
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弱点を捉える
加勢した佐切とヌルガイは、触手での花化攻撃を防御するため、包帯と杠の忍術による粘液で肌を覆っていました。
敵の弱点は丹田……怪物と化した牡丹は胴体を二つ持っているので、弱点である丹田を同時に斬ることが必要でした。
士遠の剣速なら二ヶ所同時に斬れると考えた佐切は、ヌルガイとともに囮役を買って出ます。
士遠は佐切が自分と同じように波の流れを読んで戦っていることに気付き、彼女の成長を感じ取ると、先の提案に乗ろうと決めました。
激しい戦いの中、佐切とヌルガイの協力で急所を狙えるところまで来た士遠は、典坐の死を思い、「身体を流れる波を一ヶ所に集める」ことを意識します。
波を扱う強い力によって、下手をすれば自らの命にも関わると気付いていた士遠は、覚悟のうえで刀を振り上げました。
その時、士遠を呼んだのは、仙汰でした。
杠に支えられ、何とか声を上げている状態の仙汰は、化物たちの弱点が丹田ならば、植物の場合は「胚珠」だと教えます。
仙汰の言葉を信じ、士遠が全力で胚珠を斬り裂くと、その中には牡丹の顔がいくつも詰まっていました。
すると、顔のひとつが微笑みます。
「決死の姿……生と死の狭間、僕らでは辿り着けない完璧な陰陽」「蓮(リエン)に教えてあげたいなあ」
牡丹は士遠の姿から、最期に何かを得たようです。
「千年待ったよ、ありがとう」
それは穏やかで、満足気な一言でした。
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仙汰の最期
仙汰はもう長くないと悟った杠は、先ほど使った止血用の軟膏は残り少なく、仙汰ではなく士遠に使ったほうがいいと言いました。
佐切は「命さえあれば何とかなるって言ったじゃない」と涙を浮かべますが、杠は「忍は現実主義なの」と告げ、あくまで合理的判断なのだと冷たく言い切ります。
杠は仙汰のそばに座ると、「役目とか侍の教示とか、そういうのもう要らない、もう楽にしていい」「最後くらい正直に好きなことだけ考えてればいい」と声を掛けました。
杠に促され、好きなものを思い浮かべる仙汰。
「故郷の家族、金平糖……憧れの人の、胸の中」
憧れの人――杠の腕の中で、仙汰は息を引き取りました。
仙汰を看取った佐切は、執行人も死罪人も、もはや立場は関係なく、全員が生きて帰ることを願います。
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そうして、佐切が「もう誰も死なせない」と覚悟を新たにする頃、画眉丸に異変が……。
道士との戦いで氣を使い、その影響で意識を失っていた画眉丸は、目覚めてすぐに警戒態勢に入ります。
目の前にいる巌鉄斎、付知、メイに、「ここは?」と冷静に尋ねる画眉丸。
普通に話しているように見えて、頭の中では「思い出せない」と考え込んでいました。
現実か、幻想か
奇妙な造形の建物を見つけた佐切たち一行は、休めるところや着替えを求めて、警戒しつつも侵入します。
はしゃぐ杠とヌルガイの緊張感のなさを咎める佐切でしたが、士遠に「少し気を緩めても罰は当たらない」と労わられました。
そして、「ながらでいいから話だけ聞いててくれ」と場を取り仕切る士遠は、情報の整理を始めます。
自らが感じていた波――「氣(タオ)」は天仙対策になる一方で、使い方次第では精神や身体、意識や記憶に影響が出たり、最悪死に至る可能性もあるだろうと予想していました。
さらに、杠が不老不死の仙薬は存在しないという事実を士遠に伝えると、それでは幕府は納得しないと言います。
佐切は画眉丸の里の長が不死身だったという話があるため、どこかには存在しているはずだと主張しますが、杠はそこから疑っていました。
忍は幻術を使って支配関係を作ることがあるといいます。
幼いうちから幻術で超常現象を見せ、逆らえないと思わせることで厳しい上下関係を植え付けるのだそうです。
加えて、画眉丸の妻の存在も、幻なのではないかと推測しました。
恐怖だけでは支配しきれない部分を補うため、愛する者の存在を植え付けたのでは、と。
その頃、士遠の予想にあった通り、氣を使ったことが記憶に影響してしまった画眉丸は、ここがどこなのかだけなく、自分以外のことがわからなくなっていました。
なぜ自分がここにいるのか、何をしていたのか、目の前にいる人たちは誰なのか……そして、妻の顔さえ思い出せません。
巌鉄斎や付知と話を合わせながら情報を得ようとする中、メイが「からだ大丈夫?」と尋ねてきます。
画眉丸は「問題ない」と答えますが、メイは画眉丸の氣が脳の部分だけ欠損していることに気付き、驚いて怯えたようにハッとするのでした。
一方、士遠は佐切が画眉丸を特別気にかけていることを知り、佐切にとって画眉丸とはどんな存在なのか問いかけます。
佐切はよくわからないとしながらも、人殺しだけど悪人とは思えない、愛を知ってもそれがまた過去の自分を苦しめる、そんな画眉丸の愛する妻すら幻ならば悲しすぎると涙しました。
だからこそ、画眉丸と妻との再会を願う佐切は、彼なら決して諦めないだろうと語るのでした。
アニメ『地獄楽』第13話まとめ
いかがだったでしょうか。
士遠が主人公かと思ってしまうほどかっこいいバトルシーンに惹きつけられる中、仙汰の死、画眉丸の記憶喪失と、衝撃の展開が続いた最終話。
佐切と画眉丸が合流することも叶わず、さらには画眉丸の妻の存在が幻ではないかという疑惑まで浮上し……これで第1期完結なんて、やきもきしてしまいますよね。
そんな中、エンディング後のCパートでは新たな執行人・山田浅ェ門殊現の姿が描かれ、今後のストーリーの広がりに期待が……!
アニメ第2期の製作も発表され、まだまだ『地獄楽』の世界を楽しませてもらえるようです。
続報に注目していきたいですね。