ウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」にて連載され、シリーズ累計発行部数400万部を突破した賀来ゆうじ先生の同名作品をアニメ化した『地獄楽』。
道士との戦いで瀕死の傷を負った弔兵衛は、人ならざる再生力とともに氣(タオ)に目覚めました。
画眉丸もまた、道士との死闘の中で氣を体得しようと試みます。
そんな中、道士はメイを見て「メイ様」と突如ひざまずき……。
早速、第11話「弱イと強イ」をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『地獄楽』前回第10話のあらすじと振り返り
メイの助けによって窮地を脱した画眉丸は、巌鉄斎、付知と共闘の約束を交わします。
天仙を討つ術を探す一行に、メイは天仙の力の源――”氣(タオ)”を教えました。
その氣を操る異形の道士が、画眉丸たちに襲いかかります。
時を同じくして、弔兵衛と桐馬のもとにも道士が現れました。
【ネタバレあり】アニメ『地獄楽』第11話あらすじ・感想
氣に目覚める弔兵衛
「素質はあったが所詮は人間」
道士は弔兵衛を倒し、そう独り言ちます。
しかし、弔兵衛は再び立ち上がり、反撃を開始。
その首元には蔓のような痕が浮かび上がっていました。
「まさか、あの中で混じったのか?」と道士が驚く通り、落とされた深穴の底で花化に差し掛かっていたことや、化物の血肉を口にしていたことが影響しているようです。
人間離れした再生能力を手にしていることに気付いた弔兵衛は、竈神たちを桐馬に任せ、身一つで道士に挑みます。
下半身に弱点があるという予想は当たっており、へその辺りを攻撃すると大ダメージを与えることができました。
さらに、戦闘の中で氣の扱い方を体得した弔兵衛は、道士を圧倒し、情報を得るために拘束を試みます。
竈神を全滅させた桐馬は、そんな弔兵衛の首に浮かび上がった蔓のような痕に異様さを覚え、「大丈夫なのか?」と口には出さず心配するのでした。
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強い、弱い
メイを肩に乗せたまま、竈神をぶった斬っていく巌鉄斎。
氣とは何かを知るために、戦いながら「どうだ?」と問いかけます。
するとメイは、首を横に振りました。
「タオ、つよい、よわい。 つよい、つよい、だめ」
その言葉の意味を理解するのは難しいものでしたが、画眉丸の戦い方を見ても、メイは同じことを言います。
一方、付知は画眉丸や巌鉄斎が倒した竈神を解剖中。
生物学的に不可解な竈神の解剖を楽しんでいましたが、見る限りメイも同様だと言いました。
「そもそもあの子は何者ですか?」という付知の問いに、これまでに見たメイの技は確かに人間離れしたものだったと考える画眉丸。
画眉丸が鋭い視線をよこすと泣いてしまうメイを見て、巌鉄斎は「お嬢を泣かすんじゃねえ」と画眉丸を叱りました。
巌鉄斎とのやり取りから画眉丸の人間臭さを知った付知は、噂とは違う「がらんの画眉丸」の人間像に驚きます。
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そんな中、突如として道士が現れ、巌鉄斎の肩からメイを攫うと、彼女を「メイ様」と呼んでひざまずきました。
メイの境遇と房中術
メイにひざまずいた道士は、「密かに探しておりました」と頭を下げました。
道士によると、メイは「天仙様と同格」「人間を養分とする側」だといいます。
蓬莱から姿を消したというメイを連れ戻そうとしているようですが、メイは怯えているようにしか見えません。
目に涙を浮かべ、助けを求めるように振り返ったメイを見て、画眉丸は衝動的に彼女の前へ出ました。
メイを庇う画眉丸に危険を感じたのか、道士は二人に分裂すると蟲を呼び出します。
蝶の化物のせいで腕を失った巌鉄斎は、道士が蟲たちの親玉だとわかり、好戦的な態度を示しました。
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道士が嫌がっているメイを連れ戻そうとしているのには、彼らの修行のひとつである房中術が関係していました。
陰陽の循環、交媾――つまり、性交を通して氣を高めるのです。
雌雄同体である天仙たちは房中術に加え、自身でも陰陽の循環を繰り返し、転換することで氣を高めていますが、道士は一極しか持たないので房中術が必要になります。
メイは天仙の一人ですが、雌の一極しか持たなかったため、雄の一極しか持たない道士たちの房中術の相手にされていました。
さらに、メイの身体の傷は、蓮がその目印に付けたものだといいます。
メイが蓬莱から逃げ出した理由を理解した巌鉄斎と付知は、驚きとともに不快感を露わにしました。
特に画眉丸は憤り、改めて道士に立ち向かいます。
画眉丸の忍術、そして氣
道士は蟲の集合体のような化物に姿を変え、一人はムカデを、一人は蝶を操ります。
画眉丸は忍術で炎の壁を作りますが、時間稼ぎにしかなりません。
ところが、付知がメイの言葉を解読・翻訳できることがわかり、氣の説明・実演を受けられるようになります。
氣とは生命力の可視化のようなもの……強さと弱さの両方がなければ感じられないそうです。
「心を弱くしなければならない」と言われた画眉丸は、ピンとこない様子。
しかし、「強いは弱いの実、弱いは強いの種」だとメイに教えられ、佐切にも同じような言葉を掛けられたことを思い出します。
一朝一夕には体得できないだろうという付知の予想を裏切り、画眉丸は「大体わかった」と言い捨てて戦場へ向かっていきました。
人間離れした術を使う者もいるという里で、人の心を捨ててまで修行に暮れた結果だろうと評する巌鉄斎に、メイはそっと、首を横に振っていました。
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――頑強な心と繊細な心の狭間、或いは両立……。
葛藤の波の中にいるような感覚に、氣を感知した画眉丸は、それらを忍術へと昇華させます。
道士も驚かせるほどのスピードで氣を体得し、道士の人数や天仙の居場所を聞き出すと、巌鉄斎とともに道士にとどめを差すのでした。
一方その頃、木人の案内で蓬莱へと辿り着いた佐切たち。
重い扉を開けて足を踏み入れた瞬間、木人の首が飛びます。
それはもちろん、待ち受けていた天仙・牡丹によるものでした。
アニメ『地獄楽』第11話まとめ
いかがだったでしょうか。
氣の使い方や天仙たちの修行、弔兵衛の首元に浮かび上がった謎の痕、そしてメイの正体が明らかになった第11話。
メイの言葉を受けて氣を理解し、体得した際には佐切の強さを想った画眉丸。
悲惨な境遇のメイを庇い、邪悪を嫌う画眉丸からは、話数を重ねるごとにヒロイックな面が感じられます。
ラストシーンでは佐切たちが牡丹と遭遇し、戦闘に突入する予感が……。
画眉丸と弔兵衛が氣を体得し、人間側が天仙に立ち向かうための術を見つけ始めた中、感覚としてはすでに氣を身に付けているものの、まだ理解が深まっていない様子の佐切。
どのように天仙に挑み、蓬莱の奥へと足を踏み入れていくのか、見逃せません。
次回、第12話も楽しみです。