ウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」にて連載され、シリーズ累計発行部数400万部を突破した賀来ゆうじ先生の同名作品をアニメ化した『地獄楽』。
江戸時代末期を舞台に、抜け忍として囚われ死罪人となった元”石隠れ最強の忍び”・画眉丸が最愛の妻と再会するため、極楽浄土と噂される謎多き島から「不老不死の仙薬」を見つけ出し、無罪放免を目指す物語です。
『呪術廻戦』『チェンソーマン』などのジャンプ作品を手掛けてきたMAPPAの制作ということもあり、原作の世界観や独特で美しい絵柄がどのように表現されていくのか、ファンにとっても期待大なアニメとなりました。
第1話は、処刑執行人・”御様御用(おためしごよう)”の山田浅ェ門佐切が、刑場で一人の死罪人と出会うところから始まります。
超人的な肉体を持ち、大勢の人を殺めた冷血な忍・”がらんの画眉丸”。
その画眉丸は佐切に言います、「殺してほしい」と……。
早速、第1話「死罪人と執行人」をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『地獄楽』主な登場人物・キャスト
画眉丸/CV.小林千晃
・”がらんの画眉丸”として畏れられていた元石隠れ衆最強の忍。
・死罪人として囚われたが、愛する妻のため”仙薬”を探すことに。
山田浅ェ門佐切/CV.花守ゆみり
・斬首刑などの処刑執行を務める浪人”山田家”の娘。
・女性ながら剣技に優れるが、殺すことの業に囚われ悩む。
・試一刀流十二位。
亜左弔兵衛/CV.木村良平
・”賊王”の呼び名で、伊予の山奥に賊の村を持つ傑士。
・その残忍な性格と適応能力の高さで、数々の修羅場を潜り抜けてきた。
山田浅ェ門桐馬/CV.小野賢章
・山田浅ェ門、試一刀流、段位未定。
・亜左弔兵衛の監視役で、実の弟。
・山田家へ潜入し、1ヶ月という速さで代行免許を得た。
杠/CV.高橋李依
・”傾主の杠”という呼び名を持つくのいち。
・鷺羽城侵入騒動を起こし、家臣を一人残らず制圧した。
・その性格は冷酷で強か。
山田浅ェ門仙汰/CV.山下大輝
・山田浅ェ門、試一刀流五位。
・杠の監視役。
・気弱で心優しく、勤勉かつ博学で、島にも探索に必要となる書物を持ち込んでいる。
ヌルガイ/CV.小市眞琴
・独自の文化によって山野を生きる”山の民”最後の生き残り。
・幕府に帰順しない逆賊として、死罪人となる。
山田浅ェ門士遠/CV.小林親弘
・山田浅ェ門、試一刀流四位。
・盲人だが、匂いや音で視ることができる。
・剣技もさることながら、駄洒落の切れ味も抜群。
山田浅ェ門典坐/CV.小林裕介
・山田浅ェ門、試一刀流十位。
・ヌルガイの監視役。
・士遠に拾われて山田家に入門した過去があり、士遠を尊敬している。
民谷巌鉄斎/CV.稲田徹
・”八州無双の剣龍”という呼び名を持つ剣豪。
・天下に轟く偉業を成し、後世に己の名を残すことを至上の目的としている。
山田浅ェ門付知/CV.市川蒼
・山田浅ェ門、試一刀流九位。
・民谷巌鉄斎の監視役。
・解剖が得意で腰には解剖道具をしているため、二本の刀は肩に掛けている。
【ネタバレあり】アニメ『地獄楽』第1話あらすじ・感想
死罪人と処刑人
――時は江戸時代末期。
抜け忍として囚われたのは、元”石隠れ最強の忍”である画眉丸(CV.小林千晃)。
斬首刑では首より先に刀が折れ、火刑では業火に包まれても燃えず、牛裂きでは牛の力に勝るなど、強靭な生命力を持つために処刑することができません。
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そんな画眉丸の調書を取るために派遣されてきたのは、死罪人の監視兼処刑執行の役目を務める”御様御用”の山田浅ェ門佐切(CV.花守ゆみり)でした。
佐切に「殺してほしい」という画眉丸は、生まれてすぐ里長(CV.麦人)に両親を殺され、忍として育てられたそうです。
そして、里を抜ける代わりに請け負った最後の任務で仲間に裏切られ、抜け忍として囚われたといいます。
生に執着がなく、淡々と生い立ちを語る画眉丸でしたが、なぜ抜け忍をしようと思ったのか尋ねた際には口を閉ざしました。
”がらんの画眉丸”
残酷な処刑を以てしても、相変わらず死なない画眉丸。
その様子を見ていた佐切には、「殺してほしい」と言いながらも抵抗しているように見えました。
「生きる意欲もない者がなぜ」「そもそも里を抜けようとした理由は」と疑問を呈すると、画眉丸は妻(CV.能登麻美子)の存在を明かします。
里の長の娘と結婚することになった画眉丸は、「普通」を重んじる彼女のことを、平和ボケの世間知らずの箱入り娘で、とんだ愚鈍だったと評しました。
そんな妻と一緒にいると鈍る、そんな理由で里を抜けようとし、里長に申し出たといいます。
そして、最後の任務は抜け忍をしようとした自分への罠であり、それに嵌まった、里長に逆らった自分が愚かだったと、やはり淡々と語るのでした。
画眉丸の調書を取り続ける佐切に、あまり関わろうとしないほうがいいと進言する役人。
なぜなら画眉丸は、”がらんの画眉丸”と呼ばれるほど冷酷で残虐非道な忍であり、捕縛の際にも20人を殺した危険人物だったからです。
さらに役人は、石隠れ衆は神仙郷にあるという不老不死の薬・”仙薬”を飲んでいるため、不死身だという噂の存在も明かしました。
しかし佐切は、がらんどうの男がなぜ20人も殺すほど抵抗したのか、という部分に疑問を抱きます。
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虚無と愛
翌日、釜茹での刑が執行されるも、やはり死ななかった画眉丸。
画眉丸自身もなぜ死なないのかと疑問を抱く中、連れてこられたのは刀を構える佐切のもとでした。
佐切をただの目付け役人だと思っていた画眉丸は、山田浅ェ門の名を聞いて驚きます。
そして、佐切から本物の雰囲気を感じ取ると無意識に身体が動き、刀を避けていることに気付きました。
佐切は虚無を抱えた画眉丸のことを「死を受け入れたと自分を偽る者」だといい、「生に執着している」「妻を愛している」と彼の本心を見抜くのでした。
画眉丸は妻の姿を思い浮かべ、役人の刀を奪い取ります。
石隠れでは男は兵、女は子種の器……。
画眉丸の妻は普通の女性の生き方を諦めるようにと、父である里長に顔を焼かれていました。
そんな酷い仕打ちを受けてもなお、「あなたはがらんどうじゃない……そう簡単に人の心は死なないわ」と画眉丸を優しく諭すのでした。
画眉丸は妻とともに里を抜け、誰も殺さず静かな土地で普通に暮らそうと、抜け忍を決めます。
それが現状に繋がるとも知らずに……。
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ただ、人並みの生活を送りたかっただけの画眉丸は激情を露わにし、佐切に斬りかかりました。
すると佐切は、幕府発給の公儀御免状を突き付けます。
それは、いかなる罪も無罪放免にし、将軍の加護が約束されるものでした。
不老不死の”仙薬”
無罪放免となる条件は、極楽浄土といわれる神仙郷と思しき島へ赴き、不老不死の”仙薬”を見つけ出すことでした。
なぜなら、お伽噺のような謎の島が最近になって発見され、幕府が計5回も調査団を派遣したものの、誰も帰ってこなかったからです。
戻ってきたのは、鮮やかな花となってしまった「彼らだったもの」のみ……。
それを聞いた将軍(CV.茶風林)が次は死んでも困らない者を派遣するよう言ったため、佐切たち執行人は適任者――能力と生きる意欲のある者を探していたのです。
佐切は、画眉丸の妻がまだ石隠れの里にいること、画眉丸の捕縛後は心を閉ざし、誰とも口を聞いていないことを明かしました。
きっと画眉丸の帰りを待っているのだろうということも。
佐切は改めて画眉丸に「生に執着はありますか」と問いかけました。
すると、このままでは奉行所の名が廃ると思った役人たちが画眉丸と佐切に襲いかかります。
画眉丸は妻を想い一筋涙を零すと、調書を取っている際に忍術を見せてほしいと言っていた佐切に、「こんなものでいいなら、とくと見よ」と呟きました。
そして、身体から放つ火炎によって、役人たちを一網打尽にしてしまったのです。
こうして画眉丸は妻と再会するため、”仙薬”を探しに行くことを決意します。
「必ず生きて帰る……君のために……!!」
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アニメ『地獄楽』第1話まとめ
いかがだったでしょうか。
ツカミはバッチリな初回にワクワクした人も多かったことと思います。
ネット上では、画眉丸が忍術を使う場面の迫力ある作画に驚いたという声も上がっていました。
妖しくも美しく残酷な世界観を表現した色鮮やかなオープニングに感銘を受ける人も続出。
millennium parade×椎名林檎による楽曲「W●RK」も作品の雰囲気とマッチしていて、この先の展開に期待が高まる第1話となりました。
画眉丸や佐切としのぎを削ることになる個性豊かなキャラクターたちの登場も待ちきれません。
次回、第2話も楽しみです。