ドニー・イェンが主演を務め、日本では2011年に公開された『イップ・マン 序章』から9年、『イップ・マン 完結』にて物語はついに終わりを迎えます。
世界的アクションスター、ブルース・リーの唯一の師匠であるイップ・マンですが、完結編ではどのような戦いに挑むのでしょうか?
- 実在した武道家・葉問(イップ・マン)の生涯をドニー・イェンが演じるシリーズ作品の完結編
- ついに弟子のブルース・リーとイップ・マンが再会!
- ドニー・イェンの美しいアクションに魅了され、テーマのある物語に心も動かされる
マルコヤマモト
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目次
『イップ・マン 完結』作品情報
作品名 | イップ・マン 完結 |
公開日 | 2020年7月3日 |
上映時間 | 105分 |
監督 | ウィルソン・イップ |
脚本 | エドモンド・ウォン |
出演者 | ドニー・イェン ウー・ユエ ヴァネス・ウー チャン・クォックワン スコット・アドキンス クリス・コリンズ ケント・チェン ヴァンダ・マーグラフ リン・ホン ワン・シイ サイモン・シャンバ |
音楽 | 川井憲次 |
▼過去シリーズを振り返りたい方はこちら▼
『イップ・マン 完結』キャスト
ドニー・イェン / イップ・マン
- ブルース・リー「唯一の師匠」と言われた詠春拳の達人で武道家
- 咽頭がんを患っている事が発覚
- 妻のウィンシンが亡くなった後、一人息子のチンを心配してアメリカに留学先を探しに行くことに
ウー・ユエ / ワン・ゾンホア
- ゴールドラッシュ時に祖父が渡米してからアメリカに住んでいる移民3世で太極拳の達人
- 長年の人種差別や不平等に対し耐え抜き、サンフランシスコの中華街に「中華総会」を設立した
- アメリカでのブルース・リーの行動を問題視しており、イップ・マンと対立する
チャン・クォックワン / ブルース・リー
- イップ・マンのもとで詠春拳を学んだ弟子で、アメリカで西洋人相手に中国武術の普及を試みている
- 国際空手選手権にイップ・マンを招待し、再開を果たす
- 中華総会からは目の敵にされているが、イップ・マンからはその武術哲学に対してお墨付きをもらっているほど
ヴァネス・ウー / ハートマン・ウー
- ブルース・リーのもとで中国武術を学ぶ、中国系アメリカ人の海軍軍曹
- 異なる文化にはそれぞれ長所があると考えており、アメリカ海軍に中国武術の導入を検討している
クリス・コリンズ / コリン・フレイター
- アメリカ海兵隊に空手を指導する外部の教官
- 空手こそが無敵と信じ、中国武術を見下す
- バートンの命令により中華街の中秋節の祭りに乱入するが…
スコット・アドキンス / バートン・ゲッデス
- アメリカ海兵隊の一等軍曹で接近戦の達人、白人至上主義者
- ハートマンの上司であり、彼が海軍に中国武術を導入しようとしていることが許せない
- 中国武術を見下し、自分たちの優位性を見せるためにコリンズたちを送り込むが…
ケント・チェン / ポー刑事
- イップ・マンが香港に移住してきて以来の友人
- イップ・マンが渡米している間、息子のチンの世話をすることに
- うまく意思疎通ができないイップ・マン親子の橋渡し役
【ネタバレ】『イップ・マン 完結』あらすじ・解説
イップ・マン、アメリカへ
『イップ・マン』シリーズは、実在した武道家・葉問の生涯を基に描かれたオリジナルの物語で、『イップ・マン 完結』はシリーズ4作目に当たります。
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そして、『イップ・マン 完結』の舞台は、前作『イップ・マン 継承』から5年後の1964年。
妻のウィンシン(リン・ホン)が亡くなった後、イップ・マン自身も喉に腫瘍があり、咽頭がんになっていることを医師から告げられます。
そんな折、次男のチンが学校で喧嘩騒ぎを起こし退学騒動に。
学校長からはのびのびと勉強ができる海外の学校へ留学することを進められますが、チン(ワン・シィ)の夢はイップ・マンと同じく武道家になることで、留学を頑なに拒みます。
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ウィンシンを亡くし、自分もがんを患っていることから、残された息子のためにアメリカ留学を考えたイップ・マン。
その時、タイミングよくアメリカで活躍している弟子のブルース・リー(チャン・クォックワン)から航空券が届きます。
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イップ・マンはブルース・リーが出場する空手大会の見学がてら、友人のポー刑事(ケント・チェン)にチンを預け、チンの学校を探しにアメリカのサンフランシスコへ旅立ったのです。
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『イップ・マン 完結』は、イップ・マンと息子のチンの物語を中心に描かれます。
ブルース・リーとの再会
サンフランシスコへ向かう機内、隣の人がタバコを吸っていてイップ・マンが咳き込む描写があります。
今では信じられないかもしれませんが、昔は意外とどこでもタバコが吸えたんですよ。
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もともとはゴールドラッシュ時代に、中国人が大陸横断鉄道建設のための工力として移住したことが始まり、その後定住したことで各地にチャイナ・タウンが作られました。
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サンフランシスコに渡ったイップ・マンは、アメリカに移住した香港の新聞社の編集長の案内で、チャイナ・タウンにある中華総会へ向かいます。
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アメリカの学校に留学させるためには、中華総会からの紹介状が必要でした。
サンフランシスコの様々な師匠たちが待ち受けるなか、イップ・マンは太極拳の師匠であるワン・ゾンホア(ウー・ユエ)から、弟子のブルース・リーについて言及されます。
なんでも、チャイナ・タウンには中国武術を西洋人に教えてはならないという掟があり、ブルース・リーに西洋人相手の稽古を止めるよう、忠告してほしいと言われたのです。
イップ・マンは、師匠たちに対し「ブルースを誤解している」と告げ、その場を去りました。
空手大会を見学したイップ・マンは、大会の後にブルース・リーと再会しチンの留学の件を伝えると、ブルース・リーは、知り合いの弁護士に力になってもらうよう約束。
その後、ダイナーで空手着姿のアメリカ人に絡まれたブルース・リーでしたが、相手のヌンチャクを奪った華麗なカンフーで、相手を一網打尽にしたのでした。
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顔に仕草から怪鳥音、何から何までブルース・リーにそっくりで驚かされます。
チャン・クォックワンのブルース・リーは、『イップ・マン 継承』以前にも『少林サッカー』やテレビドラマ『ブルース・リー伝説』でも登場。
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イップ・マンが見たアメリカ
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散々待たされた挙げ句、不成功に終わった学校との面談の後、イップ・マンはアメリカ人からいじめを受ける中国系の女生徒の姿を見かけ、自分の手に怪我を負うこともいとわず、すかさず助けに入ります。
いじめを受けていた女生徒・ルオナン(ヴァンダ・マーグラフ)は、なんと中華総会の会長であるワンの娘だったのです。
ルオナンを家まで送ったイップ・マンは、偏見や差別が存在するアメリカで生きるために西洋人への反撃を禁止する父親と、「耐えるだけならば武術に何の意味がある?」と反抗する父娘の対立を見ることになります。
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また、紹介状ほしさにルオナンを助け、利用したと誤解したワンから実力での勝負を挑まれたイップ・マンは、ワンからの申し出を受けますが、2人の戦いは地震によって中断されます。
日本での十五夜に値する中秋節の際にチャイナ・タウンで行われる祭りでの決闘を再度申し込むワンでしたが、イップ・マンは「大切なことは武術を通して中国人への偏見を変えることだ」と言って帰ってゆきました。
そして中秋節の祭りの日。
会場には中国武術をアメリカ海軍に広めようと考える、ブルース・リーの弟子で海兵隊の軍曹であるハートマン(ヴァネス・ウー)が、中国武術の演舞を撮影していました。
ハートマンは軍での差別や偏見にも負けず、自らの力でアメリカ海軍に中国武術を取り入れるために上層部に掛け合う段階まで漕ぎ着けていたのです。
しかし、それをよく思わない上官のバートン(スコット・アドキンス)は空手教官のコリンズ(クリス・コリンズ)を祭りに忍び込ませ、ステージ上は中国武術対空手の対決の場になってしまいます。
コリンズの空手に次々となぎ倒される中国武術の師匠たちですが、イップ・マンが立ちはだかり詠春拳でコリンズを倒すと、会場には盛大な歓声が沸き上がりました。
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『イップ・マン 完結』の結末
中国武術を蔑むバートンは、コリンズが負けたことへの報復のためにワン師匠を海軍基地へ連行しました。
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そのことを知ったイップ・マンは、様々な人々の思いを背負って立ち上がることを決意。
そして息子のチンに国際電話を掛けるイップ・マンは、電話の先でチンが木人椿を打つ音を聞き「自分がガンである」ことを告白したのです。
イップ・マンは、人々の尊厳を守るため、未来を守るためにバートンとの戦いに挑みます。
イップ・マンの流れるような詠春拳に対し、身体も大きく重厚感があるバートンの空手の闘いはほぼ互角に進みますが、的確に急所を攻めるイップ・マンのほうが一枚上手。
ボロボロになりながらも見事バートンに勝利したイップ・マンに、会場から拍手が起こりました。
闘いの後、ワンから学校の紹介状を渡されたイップ・マンでしたが、アメリカがチンにふさわしい場所ではないとわかり、香港へ帰ることを決意。
帰宅したイップ・マンは、チンを詠春拳の正式な後継者にするための修行を始めました。
イップ・マンがチンに自分が木人椿を打つ姿を撮影させていると、過去の『イップ・マン』シリーズの映像が映し出されます。
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イップ・マンは1972年、79歳で亡くなりました。
その後、アメリカ軍が中国武術を導入したのは2001年になるということです。
ブルース・リーはイップ・マンの死後から1年後、1973年に亡くなりました。
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『イップ・マン 完結』感想
『イップ・マン』シリーズ有終の美!
マルコヤマモト
映画を観た方は、ラストシーンとリンクして涙がこみ上げてくるような映像ですね。
イップ・マンの生涯を描いた『イップ・マン』シリーズも、『イップ・マン 完結』を持って終りを迎えました。
マルコヤマモト
今作は完結編として、アクション映画ファン、ブルース・リーのファン、ドニー・イェンのファン、全てが納得する結末になっています。
中華街での闘いの後は思わず「イップ師匠!」コールをしたくなりますし、ラストシーンのブルース・リーとともに、観ている私たちも9年分の感謝の気持で頭を下げたい気持になります。
マルコヤマモト
思えば、イップ・マンはシリーズを通して不正や不公平に立ち向かうために戦ってきました。
怒りを内に秘めながらも、決して放出せず、流れるような詠春拳で勝利を得てきたイップ・マンは、どんな時も謙虚。
椅子の座り方からタバコの吸い方まで1つ1つが優雅で温厚で、キャラとしても引き込まれる要素がたくさんあるイップ・マン。
その完璧ながらも人間味溢れる魅力たっぷりなキャラだけに、今後スクリーンで見れないと思うととても寂しい気持ちです。
マルコヤマモト
人種差別というテーマがタイムリーだった
マルコヤマモト
『イップ・マン 序章』では、イップ・マンの故郷である佛山を支配した日中戦争時の日本軍、『イップ・マン 葉問』では、香港を統治しているイギリス人たちが、いわゆる敵役として登場します。
マルコヤマモト
そして、『イップ・マン 完結』での敵役はアメリカ。
ブルース・リーと再会することでも、アメリカが舞台になることは必然だったのでしょう。
バートンや、ルオナンに対してイジメを行う少女など、わかりやすいくらいの白人至上主義者が登場します。
マルコヤマモト
アメリカでの事件をきっかけに、「BLACK LIVES MATTER」が叫ばれている2020年ですが、差別されているのは黒人の方だけではありません。
同じアジア人としても、差別は身近にあるものだと改めて感じさせてくれます。
マルコヤマモト
差別や不正に立ち向かうために武道家になったイップ・マン。
『イップ・マン 完結』でも、助けてほしい時に来てくれる最高の人でした。
『イップ・マン 完結』の香港での公開日は2019年12月20日でしたが、いろいろな理由があって日本での公開日が2020年7月3日にズレたことで、かえってタイムリーな内容として見ることができてよかったです。
マルコヤマモト
SNSでのみんなの感想・評判
#イップ・マン完結
前作。継承から登場の弟子のブルース・リーの招で米国へやってきたイップ・マン。そこで彼を待ち受けるのはシリーズテーマともなっている人種差別。自分の余命を知りながらもラストまで中国拳法への誇りと残された息子への愛に涙した。ありがとうイップ・マン #映画見聞録 pic.twitter.com/CjfITs25oV— 映画野郎★赤足☆ (@MITEEEEEEZOOO) July 3, 2020
父として師匠として。苦悩し渡ったアメリカで見た差別偏見。武術とは不公正に立ち向かう力。握った拳に宿るのは信念、あるいは誇りか。その背に武人の哲学を纏い、最後の戦いに発つ。息子。弟子。彼らに伝えたかった想い。木人の響きに生き様が重なる。 pic.twitter.com/KVYOCoA6lJ
— deadcell (@deadcell11) July 8, 2020
#イップ・マン完結
フィナーレ!!!4作目製作報を見た時の「『継承』が終章として完璧だったのに何故…」という不安をかき消してくれる終着点でした。過去3作へのオマージュも熱く美しく。終わってロビーまで歩いてる途中で嗚咽がこみあげてきて、ちょっと声を出して泣いてしまった。こんなの初めて。 pic.twitter.com/LApOvjSod8— ゆか (@yuka) July 3, 2020
マルコヤマモト
妻のウィンシンが亡くなってシングルファザーになったイップ・マンと、息子のチンのすれ違いというドラマも見ごたえがありました。
自分ががんを患っていることから「息子に何が残せるのだろう?」と考えるイップ・マンの姿は、息子を持つお父さんたちの胸にも刺さることでしょう。
『イップ・マン 継承』よりも、さらに継承感が強かったように思えたので、やはり『イップ・マン 完結』は製作されてよかったと思いました。
マルコヤマモト
『イップ・マン 完結』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
マルコヤマモト
- 言うことなしの有終の美!だがシリーズが終わってしまうのはとても寂しい!
- 今までで最も重い人種差別をテーマにした物語だったが、かえって今の時代には合っている内容になった
- 主演のドニー・イェンが自他ともに認める代表作!気になった方は全作品鑑賞しよう!
マルコヤマモト
めちゃくちゃ強いのにこんなに謙虚で思いやりのあるイップ・マンに誰もがなりたいと思うはず!