『生きてるだけで、愛。』あらすじ・ネタバレ感想!躁うつ病に悩む人、知人がいる人全員に観てほしい傑作

映画『生きてるだけで、愛。』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:CINEMA520

芥川賞や三島由紀夫賞の候補となった、本谷有希子の小説「生きてるだけで、愛。」が映画化されました。

映画『生きてるだけで、愛。』公式のあらすじを読み、「ふーん」くらいのテンションで観はじめましたが、とんでもない傑作で観てよかったです。

良い意味で、恋愛映画っぽくない恋愛映画でした。

ポイント
  • 躁うつ病からの自立模様
  • 要所に散りばめられる素敵なセリフ
  • 寧子役である趣里の演技

それではさっそく『生きてるだけで、愛。』をネタバレありでレビューしたいと思います。

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『生きてるだけで、愛。』作品情報

『生きてるだけで、愛。』

(C)2018「生きてるだけで、愛。」製作委員会

作品名 生きてるだけで、愛。
公開日 2018年11月9日
上映時間 109分
監督 関根光才
脚本 関根光才
原作 本谷有希子
『生きてるだけで、愛。』
出演者 趣里
菅田将暉
田中哲司
西田尚美
松重豊
石橋静河
織田梨沙
仲里依紗
音楽 世武裕子

【ネタバレ】『生きてるだけで、愛。』あらすじ・感想


躁うつ病の無職女性と週刊誌記者の男性

躁うつ病になり、過眠の症状に悩む女性・寧子(趣里)と、週刊誌記者の男性・津奈木(菅田将暉)。

二人はコンパをきっかけに、成り行きで同棲し始め、津奈木の部屋で暮らしています。

寧子は津奈木に訳の分からないことで怒ってばかりです。

津奈木は日々増えていく仕事量に疲れはじめていました。

そうやって、二人の関係は側から見たら良いものとは言えなくなっていきます。

気持ちはあるのに起きられない寧子(趣里)

寧子の姉は妹をを心配する気持ちからか、寧子に「バイトとかしないの?」と聞きます。

姉の言葉が気になった寧子は、次の日にコンビニバイトの面接を受けることにしました。

寧子は起きられるようにと目覚ましを何個もかけましたが、結局起きることができず面接をドタキャンしてしまいます。

「面接どうだった?」という姉からの連絡に対し、「そこにすらたどり着けなかった」と寧子は言います。

私はこの「そこにすらたどり着けなかった」という表現がとても好きです。

また、姉の言葉で面接を受けることにしたという寧子のその行動に、もう100点をあげたい…。

私自身、過眠ではなく不眠なのですが、躁うつを繰り返しています。

なので、寧子の気持ちが痛いほど刺さって、刺さって…。

面接に行けなかった日、寧子は夜ご飯を作ろうと買い物へ行きます。

しかし、寧子はちょっとしたことで心が動揺してしまい、買い物すら上手くできずに帰宅しました。

寧子が料理をしようとするとブレーカーが落ち、家の中で泣き叫ぶシーンで私も泣きました。

ここから寧子(趣里)の自立への道が始まる

そんなある日、寧子のところへ津奈木の元恋人・安堂(仲里依紗)が現れます。

寧子は安堂から「津奈木とやり直したいから津奈木と別れて」と説得を受けるのでした。

安堂から「津奈木には言わないでよね」と言われた寧子は、津奈木に相談することもできず…。

「お金が無いから家を出ることができない」と言う寧子に、安堂は「あんた働く気あんの?」と強くあたり、ほぼ強制的にバイト先を決めました。

結果的にこの安堂の行動が、寧子の自立への手助けとなったのです。

「またできなかった」

寧子がほぼ強制的に決められたバイト先は、小さなカフェ&バーでした。

バイト先の人たちはみんな優しく、寧子の自立の手助けをしてくれます。

ある日のバイト終わり、みんなでご飯を食べている時のことでした。

「ウォシュレットって怖くないですか?水ってなんでも切れるんですよ」と言う寧子に対して、バイト先の人々は戸惑いを見せました。

寧子はそのことが引き金となり、死にたくなってしまったのです。

泣きながら津奈木へ電話を掛けますが、電話中携帯を落としてしまいます。

どうしたらいいか分からなくなった寧子は、店のトイレを壊し走り出しました。

最後にギュッと詰まった素敵な台詞たち

走る寧子を見つけた津奈木は、寧子を追いかけます。

アパートの屋上へたどり着き、なんと寧子は裸でフェンスにもたれかかっていました。

津奈木は寧子にコートを着せて、そこから二人は話し込みます。

「俺、仕事クビになった」

「カッとなって、会社の窓からパソコンを投げた」

と、津奈木は寧子に言いました。

すると寧子は「津奈木、私みたいなことしてる」と言い、二人は笑い合います。

そういった会話がどれも素敵で、最後に素敵な台詞がギュッと詰まっています。

そこに安堂が二人の前へ現れますが、津奈木は安堂を置いて、寧子の手を引き部屋へ戻るのでした。

私の一番好きなシーンが、部屋に戻った後に津奈木が寧子を抱きしめながら「本当はもっと分かりたかった」と言うシーンです。

部屋の中、裸で踊る寧子を津奈木が見ているシーンで、映画『生きてるだけで、愛。』は幕を閉じます。

はっきりと描写されていないため、これは私の憶測になりますが「これが最後だから」という言葉があったり、「分かりたい」ではなく「分かりたかった」と過去系な点から、二人はその日で恋人同士ではなくなったのだと思います。

趣里の演技

躁うつ病。

家族や社会からのプレッシャーは大きく、頑張れそうになっても、ひょんなことでうつ状態になったり、訳の分からないタイミングで躁状態になったりします。

訳の分からないことで急に怒ったり泣いたりも。

できないけれど、できない不安や情けなさと戦いながら、これからもこのままでどうしたらいいのかと悩みながら、一生懸命生きることと向き合って毎日を過ごしているのです。

そんな寧子を見事に演じあげたのが、女優・趣里です。

私は映画『生きてるだけで、愛。』で初めて趣里を知りました。

趣里の父は俳優・水谷豊で、母は女優・伊藤蘭とのこと。

心の病気がある方は、趣里の演技がリアル過ぎて、たぶんこの映画はとても刺さります。

周りに寧子みたいな人がいる方は、趣里の演技がリアル過ぎるので、裏ではこんなに悩んでいるんだ…ということを知っていただけると嬉しい。

近年稀に見る圧巻の演技と言っても過言ではありません。

すごい女優さんをまた知ることができました。

『生きてるだけで、愛。』まとめ

いかがでしたでしょうか。

ほぼ恋愛描写はなく、ちょっと異質な恋愛映画というところが、映画『生きてるだけで、愛。』の最大の良さだと思います。

新感覚の恋愛映画を観ることができて、私は大満足でした。

本作は、どんな方にも一度は観ていただきたい傑作です。

興味を持った方は、ぜひ観てみてください。

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