『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』あらすじ・ネタバレ感想!知恵袋が原作の笑って泣ける物語。

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』あらすじ・ネタバレ感想!Yahoo!知恵袋の投稿が元の笑って泣ける物語。

出典:公式サイト

結婚3年目の夫婦の日常。

しかしある日突然、家に帰ると死んだふりをしている妻。

毎日毎日あの手この手で死んだふりをする妻の真意とは…?

ポイント
  • 実話が元とは思えないほど突飛な発端の物語に引き込まれること間違いなし
  • 登場人物の心理描写がリアルで刺さります
  • 妻がいる人もいない人も、男女問わず楽しめる作品

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』についてネタバレありでレビューしていきます。

『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』作品情報

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』作品情報

出典:amazon.co.jp

作品名 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
公開日 2018年6月8日
上映時間 115分
監督 李闘士男
脚本 坪田文
原作 K.Kajunsky
ichida
出演者 榮倉奈々
安田顕
大谷亮平
野々すみ花
浅野和之
品川徹
螢雪次朗
音楽 安達練

【ネタバレ】『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』あらすじ・感想


3年目の壁、死んだふりをする妻

飲食店は1年目で25%が潰れ、3年目で50%が駄目になる。

これは結婚にも同じ事が言えよう、と3年目の壁について“当たっている”と感じるのはバツイチの加賀見じゅん(安田顕)。

現在の妻、ちえ(榮倉奈々)とは2度目の結婚。

ちなみにその結婚の際、ちえとは約束をしていました。

3年目になったとき、お互いの気持ちを確かめようと。

その先も結婚生活を続けていくかどうかを話し合おうと。

ある日、じゅんが帰宅すると、ちえが口から血を流し倒れていました

揺さぶっても無反応なちえの名を必死に呼びながら、じゅんは結婚する時にちえが言った事を思い出していました。

一つだけお願いを聞いてほしい、として言われたこと。

それは「絶対に私より先に死なないでください」というお願いでした。

テンパり散らかしたじゅんが救急車、救急車、と言いながら117(時報の番号)に電話をかけたところで「ワァ!」とちえが驚かしてきました。

そして何事もなかったかのようにご飯にしよう、と楽しげに立ち上がったのでした。

それからも、ちえの死んだふりは続きました。

ある時はワニのリアルな模型に頭から食われ、またある時は抗争に巻き込まれた極妻のような姿で胸にドスを突き立て、またある時は戦場で名誉の戦士を遂げ…矢に頭を貫かれて死んだりもしていました。

理由もわからないままに、毎日続く“死んだふり”

じゅんとちえの出会いは、じゅんが出張先の静岡でバスに乗り遅れ全力疾走も虚しく一時間後のバスを待つことになってしまったとき。

地元静岡の寿司屋で働いていたちえがたまたま店先に立っていたことがキッカケでした。

他愛ない話で盛り上がり気をよくした大将は、ちえが幼いころからそそっかしい性格であることを話しだしました。

それが男手ひとつで育てた自分のせいだということも。

ちえの母は、ちえが5歳の頃に亡くなっています。

それからは父が職人仕事の傍ら、仕込みで疲れても子育てを全うしてきたのです。

毎日のように続くちえの奇行について、じゅんは職場の後輩・佐野壮馬(大谷亮平)に相談しましたが「かまってほしいだけだと思いますよ」と軽くあしらわれてしまいます。

その晩、家に帰るとちえは戦国武将となり沢山の矢で討たれていました。

「親方様ぁぁ!」と泣きながら走り寄り、乗ってあげるじゅんなのでした。

その後も、宇宙人に捕えられたりドラキュラ伯爵になったりジュリエットになったりして死んだフリを続けるちえに、全力で付き合ってあげます。

何が理由で死んだふりをするのか皆目見当もつかず、疲れているのにという気持ちもあってじゅんは再び佐野に相談します。

そしてじゅんとちえと佐野夫妻での食事会が開かれることになりました。

ちえは佐野の妻・由美子(野々すみ花)と仲良くなり、今度ランチに行く約束をしました。

死んだふりに飽きた、と告げたら…?

相変わらずちえの奇行は止まらず、ウルトラマンのコスプレをするなどしてじゅんを困らせる始末。

じゅんはちえに「家にこもるのは良くない」と、近所のクリーニング屋のパートの話を紹介しました。

週2で良いと言うから、ちえにも踏み出しやすいかと思ったのでした。

そしてちえに言います。

死んだふりはもう飽きたよ」と。

パート先のクリーニング屋は横山(品川徹)という老人が個人で営んでいる小さなお店でした。

ちえが来るまでは近所の客として訪れているおばさんがたまに店番をしていました。

おばさんは、横山が文鳥二羽と猫一匹という店で一人過ごし、食事は毎日コンビニ弁当という生活を不憫に思って手伝っていたのでした。

じゅんから「死んだふりは飽きた」という言葉を受けたちえは翌日、初めてのパートを終えて幽霊に扮装してじゅんを待ちました。

じゅんはちえの好きなヒマワリの花束とケーキを買って帰りパート初日のお祝いをしようとドアを開け、現れた作り物のお墓と幽霊姿のちえに愕然とします。

そしてお墓に花とケーキを供え、やっぱり付き合ってあげるのでした。

ちえと由美子

ちえは由美子と再会しランチに行きます。

そして訪れたバッティングセンターで、由美子は「病院のあとでよく来るの」と言いました。

佐野と結婚してから5年経つけれど子供が出来ず、由美子は不妊治療を受けていたのです。

何事も順調なのに、頑張っているのに。

そう悔しそうに言うのを見て、ちえは「何も言えなくてごめんなさい」と謝りました。

その場しのぎの優しい言葉で取り繕わなかったちえに対して、由美子は少しすっきりしたような気持ちになったのでした。

数日後、ちえはじゅんにお願いして佐野夫妻を家に招き食事を振る舞います

いつもじゅんの相談を受けている佐野はちえに「先輩は疲れているんですよ。家に帰った時くらいはゆっくりしたいものなんです」と言います。

それを聞いて由美子はカチンときて、主婦だってたくさん考える事があるし頑張っているのにと、「それがあなたの本音なのね」と言ってしまいます。

気まずい険悪な空気を変えるため、ちえは由美子に腕相撲の勝負を持ちかけました。

ちえが興味を持っていたワニの模型が賞品です。

佐野と由美子が二人で帰る手には大きなワニの模型。

佐野は、由美子がワニ好きだということも知らなかったし、空手を習っていたことも知りませんでした。

「月が綺麗ですね」

ほどなくして、佐野夫妻は離婚することになりました。

子どもが出来ない原因が由美子ではなく佐野の方にあったこと、それを知らされた産婦人科で由美子が少しほっとしたような表情を浮かべたことに対しての屈辱感。

飲み屋で酔っぱらいながら佐野はじゅんにあれこれ打ち明けました。

話の流れでじゅんは、佐野に前妻と別れた理由を問われ、よくわからないと答えました。

そして、どちらかが浮気をしたわけでもなければ喧嘩をしたわけでもなく、ある日突然帰ったら家に前妻がいなかったと話します。

やがて前妻から「別れたい」と切り出され、受け入れた。

だから理由は“わからない”。

大きな出来事が理由ではなく、些細な不満の積み重ね、いつの間にか出来ていた亀裂が何かのきっかけで爆発したことで離婚に繋がってしまったのです。

そんなある日ちえのもとに、父が倒れたという連絡が入ります。

二人で病院に駆けつけ、ちえが入院の手続きをしている間にじゅんは父から昔のことを聞きました。

妻に先立たれ仕事に家事に育児に追われて途方に暮れたいた頃のこと。

ちえが眠ったあと、仏壇の前で一人泣く夜もあった頃のこと。

ある日仕事の仕込みを終えて家に帰ると、ちえの姿が見当たりませんでした。

家中を探し回ると、ちえは忍者の恰好をして押し入れの中に隠れていました。

その日から毎日かくれんぼが始まります。

そして見つけた父に必ず「私は探せば必ずいるよ」と言いました。

幼いちえなりに父を元気づけようとしていたのです。

その後、ちえの実家に行ったじゅんは学生時代の教科書を見つけて何気なく読んでみます。

沢山の書き込みがある教科書の、あるページに目が留まりました。

かつて夏目漱石が「I LOVE YOU」を訳した際に「月が綺麗ですね」という言葉にした逸話。

月が綺麗ですね、と折に触れてちえが言っていたことの真意を知って、じゅんは二人で思い出の公園に行くことを決めます。

二人がまだ恋人同士だった時、じゅんがうっかり「ありがとう」と言おうとして「結婚してください」と口走ってしまった思い出のある公園。

そこでじゅんは、いつもちえが自分に応えてくれていたことや、ちえが死んだふりをする理由について話しました。

その後、パートから帰ったちえが玄関のドアを開けると、じゅんが口から血を流して倒れていました。

いつか自分がされたのと同じように、ちえを驚かしてみせるじゅんでしたが、ちえはケチャップで汚された服が新品であることに怒っただけでスベってしまったのでした。

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』ざっくりとした感想など。

私はかなりバッドエンドに傾いた考察厨なので、見ながらずっと「これ…ちえが命関わる病気で突然死んでしまうんじゃないか…」と思っていました。

死ななくてよかった。

vito

だって私より先に死なないでくださいねとか、私は探せばいつでもどこかにいますとか、なんかもうフラグとしか思えないセリフが多くて!それ以前に毎日のように死んだふりするのは本当に死んじゃった時ショックが軽くて済むようになのでは…とか、考えちゃうじゃないですか?え?考えない…?私が重症なだけですね!知ってる!!

一先ずハッピーエンドのほっこりストーリーです。

オチも可愛い。

加賀見夫妻を見ていると結婚したいなぁとか、こんな夫婦になりたいなぁと思う人が多いんじゃないかなと思います。

それくらい平和。

実際のところ世の中に多いのは加賀見夫妻みたいなのと佐野夫妻みたいなの、どっちなんでしょうね。

vito

極端な話だとは思うけれども。

私は自分自身が独身だし、周りにも既婚者がそんなに多くはないのでわからないんですけどイメージ的には佐野夫婦的な方が多いのかなと思ったりします。

そもそもちえみたいな人ってあんまりいないですからね。

なんかこう人間っていうのは、夫婦に限定しなくても毎日誰か特定の相手と一緒にいて、ともに暮らすのが当たり前になればなるほど本音で会話することが少なくなっていく気がして。

vito

ちょっと何かあっても自分が我慢して丸くおさまるなら、不服ではあるけど我慢してしまったりとか。
大きなため息でアピールする程度で、お互いのちょっとイラっとする気持ちを自分の中に押さえつけたりとか。
本音で話し合っても修復不可能なところまでいかないと気付かないフリをしてしまうというか。

単純に面白い夫婦の日常を眺めてほっこりするもよし、なんだか現状がうまくいってない既婚者の方が“なにか変えたい”という気持ちで見るもよし、どのみち心に小さな何かが残ってその人の人生にいい意味で影響するんじゃないかなと思える作品です。

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』好きなセリフや好きな場面など。

ちえの言葉は不思議なパワーがあって結構好きなのが多いです。

二組の夫妻がレストランで一緒に食事する場面で、由美子がちえに、じゅんのどこが好きか聞いた場面での「きれいな半分こは難しいけど、ちょうどいい半分こを出来る人だと思った。」みたいなセリフとか。

あとは由美子とのバッティングセンターでの会話も。

適当に優しい言葉をかけられるよりずっと良いって由美子が言うように、素直に思ったり感じたりしたことだけをまっすぐ伝えるっていうのがちえの良いところだなぁと思います。

由美子絡みだともう一つ。

夫婦は毎日一緒にいるから、そんなに頑張れないんです」。

vito

これきっと私が既婚者だったらもっと沁みてたんだろうけど、独身でもグッとくるものがありました。ちえの言葉はまっすぐであたたかいんだよなぁ。

このあたりでちえ以外の人のセリフで印象に残ったものも紹介しておきます。

佐野のセリフで共感したのは「他人同士、どうやっても全部わかりあうことなんて出来ないんですよね」っていうこれまで恐らく色んなドラマとか映画とか漫画とか小説で使われてきたような言葉です。

vito

本当にそうなんだよなぁ。頭ではわかってるんだけどなぁ、っていうところでやっぱり共感してしまいました。

あと好きな場面は、じゅんが「月が綺麗ですね」の意味に気付くところ。

これ私は最初から意味がわかっている側の人間だったので、いつ気が付くんだろうってそわそわしてたんですよね。

vito

上司とか後輩とかから会話の流れで聞いて知るのか、テレビとか雑誌か何かで目にしてハッ!てなるのか。まさかのちえの実家で教科書に載っているのを見て知るっていうのが個人的にグッときました。
実家ってその人が育った場所で、その人のルーツなわけで。そういう場所で知るっていうのは何か…それこそ身近な他人から聞くよりも深いな、と思ったわけです。

じゅんとちえが思い出の公園で話す、死んだふりの理由の場面も好きなんですけど出来れば私も理由が知りたかったなぁ。

『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』まとめ


ここまで映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』についてレビューしてきました。

要点まとめ
  • ほっこりするようなハッピーエンドものを探している人におすすめです
  • 人情劇でありコメディであり、緩急のついたストーリーで最後まで飽きない話です
  • 既婚者であろうと独身であろうと、ちえの言葉に元気をもらえる場面がある…はず