映画『アイデンティティー』あらすじ・ネタバレ感想!嵐の夜の連続殺人 不可解な事件の裏の真相に驚愕の事実

アイデンティティー

出典:IMDB

嵐の夜、豪雨に行く手を阻まれモーテルへと続々とやってきた、曰くあり男女の10人。

見知らぬもの同士が集まったモーテルで、不可解な殺人が起きるミステリアスな展開の『アイデンティティー』。

モーテルの部屋の番号にそって、またひとり、またひとり、と殺されていくのに、犯人の姿はどこにもみあたりません。

宿泊客が、次々と殺害されていく、その理由とは?メンバーがモーテルに集ったのは、偶然なのか、必然なのか?

そして死刑間際の殺人犯と、男女10人との関係は?『アイデンティティー』は、嵐の夜の背景にふさわしい、先の読めないスリリングな作品です。

ポイント
・嵐の夜に、モーテルに集まってきた男女
・不可解な殺人事件
・死刑囚マルコム・リバース
・消えた死体の理由

それでは『アイデンティティー』をレビューします。

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【ネタバレ】『アイデンティティー』あらすじ・感想

アイデンティティー

出典:IMDB

大雨で立ち往生する見知らぬ者同士

ネバダ州北部を襲った嵐の中、タイヤのパンクで立ち往生していた家族の車に、接触し、事故を起こしてしまったドライバーのエド(ジョン・キューザック)。

エドは、ジョージ(ジョン・C・マッギンレー)と大怪我をしたアリス(レイラ・ケンズル)と幼いティミー(ブレット・ローア)を連れて、近くのモーテルへと助けを求め駆け込みます。

それを皮切りにモーテルには、豪雨で水没した道路に立ち往生したパリス(アマンダ・ピート)、囚人移送中の刑事のロード(レイ・リオッタ)や、ラスベガスで結婚したばかりのルー(ウィリアム・リー・スコット)とジニー(クレア・デュヴァル)とどこか訳ありメンバーが続々と到着するのでした。

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『アイデンティティー』の冒頭は、登場人物が多く、群像劇あるあるで、名前と相関図を覚えるのが大変です。ここは心して、人物名を把握する必要があります!

死刑の執行前夜の尋問

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ところ変わってフロリダでは、死刑の執行を次の日に控える、殺人犯のマルコム・リバース(プルイット・テイラー・ヴィンス)の、精神鑑定をめぐる新たな証拠が提示され急展開をみせておりました。

6人の殺害をしたとするマルコムの事件の再審理を行うのに、フロリダの嵐の夜に、検事や判事、弁護士、マリック医師(アルフレッド・モリーナ)は、一堂に会しています。

死刑執行前夜に、判決を覆そうとする弁護士たちに憤りをみせる判事テイラー (ホームズ・オズボーン)を横目に、移送されてくる死刑囚マルコムの到着を関係者たちは待つのでした。

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ふたつエピソードが並行して語られる『アイデンティティー』の伏線は、結構なひねりが入っています。事前情報なしに、真っ白な気持ちで作品鑑賞をすると、ビックリ度はアップします!

残忍に殺されていく宿泊客たち

モーテルのマネージャーのラリー(ジョン・ホークス)を筆頭に、うさん臭い様子をみせる宿泊メンバーたち。

エドの雇い主で大金をもつ女優キャロライン (レベッカ・デモーネイ)に興味を示すラリー、大金を隠しもつパリス、不安な様子のモーとジニーの夫婦、刑事のロードの拘束する凶悪犯ロバート(ジェイク・ブジー)。

嵐のモーテルで、良からぬことが起こる予感しかしません。

そんな中、キャロラインが何者かの手にかかり命を落とし、続いてモー、囚人のロバートも非業の死を遂げるのでした。

そして、その死体の横にはモーテルのキーが、落ちており、部屋の番号の順に殺されていると、エドたちは気づくのです。

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ひとりずつ、正体不明の存在に殺されていくモーテルに滞在するメンバー。観客も犯人の予想がつかず、困惑します。ただひとつわかるのは、殺されていくのはストレスに弱い、不安要素をもった人物からということです。

ところが暴走したラリーの車にひかれて死んだジョージと、怪我がもとで亡くなったはずアリスの死体のそばにも落ちていたモーテルのキー。

不可解の出来事に混乱するエド、ロードとパリスたちにさらに追い打ちをかけたのは、最初に殺されたキャロラインや、事故で死んだジョージたちの死体が忽然と消えたこと。

正体不明の犯人の存在に、モーテルに残るエドたちメンバーは不安を覚えるのでした。

マリック医師を知るエド

モーテルを出ようとジニーとティミーの乗り込む車が爆発した上、ふたりの姿が消えてますます混乱するエド、ロード、パリスとラリーの4人。

その上、モーテルにたどりついた全員の誕生日が同じだとわかり一同は驚くのでした。

人が次々と死んで、死体が消える不可思議な現実を呑み込めず考えこむエドに、「君は誰だ?」と呼びかける声。

エドが顔をあげるとそこは、見慣れぬ会議室の一室。そして呼びかける声の主、マリック医師に気づいたエドは、「また意識がとんでいたのか?」と答えるのです。

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エドとマルコム、ここに来て初めて物語が交差して、エドが我に戻って、マリック医師にごく自然に「先生。」と声をかけるセリフに観客はビックリ。エドのいるモーテルから、マルコムのいる会議室への移行するシーンが、映画ならでの映像表現です。

君はマルコムのひとり

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マリック医師とエドの交わす言葉に驚きを隠せない、検事や判事の裁判関係者たち。エドもまた、マリック医師の差し出す鏡をみてショックを受けます。

エドにつきつけられたのは、エドやロード、パリスとラリーは、解離性同一性障害のマルコムの作り出した人格たちで、エドはマルコムであるという事実。

マルコムは、マリック医師の元、エドたち数いる人格たちを統合する治療を続けてきたというのです。

エドがいるモーテルは、マルコムの人格たちが、一堂に会してお互いの存在に対峙するという状況であり、マルコムに殺人を犯させた危険な人格を排除するために造り出した世界。

モーテルに滞在するメンバーが、ひとりずつ殺されて、死んでいったのは、マルコムの中の人格がひとりずつ、エドやロードのような強い人格に統合していく印だったのです。

本当に生き残ったのは誰?

会議室でのマリック医師と交わした「殺人を犯す邪悪な人格をマルコムの中に残してはいけない」という言葉を胸にきざみ、ふたたびマルコムの人格たちが存在する意識の世界、モーテルへと戻ったエド。

残るラリーを殺し、凶暴化する危険な人格のロードからパリスを守る決心をします。

そして自らの命を犠牲にしてパリスをマルコムの主人格と統合させ、マルコムの死刑執行を阻止したのです。

嵐の夜を生き延び、人生のやり直しをはかるのにひとり歩みだしたパリス。マリック医師と引き続き治療と続けるため、死刑を免れたマルコムは、果たしてパリスとの人格統合に成功し、穏やかな生活を送ることができるのでしょうか。

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『アイデンティティー』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

以上、ここまで『アイデンティティー』をレビューしてきました。

要点まとめ
・行き場のない嵐の夜
・縁もゆかりもないはずの登場人物たち
・多重人格を描いた作品
・淘汰していく人格たち

『アイデンティティー』は、嵐で道も携帯電話も不通、なにもない辺鄙な土地のモーテルに見知らぬ者同士が閉じ込められてしまうことから始まります。

運転手に女優、神経質な夫と重傷な妻、不安定なカップル、人生のやり直しをはかる娼婦、刑事と移送中の囚人、曰くありそうなモーテルのマネージャー。

ざわつく要素を小出しに、次々に宿泊客が殺されていく展開が進みます。それに加え、死刑囚のマルコム・リバースと、モーテルでの惨劇とどうつながるのか見当がつかないまま、観客はまんまとストーリーに引き込まれていくのです。

終盤に、エドひとりだけが、マルコムの姿で覚醒して、モーテルに登場するメンバーの本当の正体を知るシーンは、観客たちも予想すらしなかった物語の解釈だったはず。

まさかの展開に、観客は驚きを隠せなくても、モーテルでの連続殺人の本当の意味を知ると、登場した人物たちのさまざまな性格にも納得ができるのです。

そしてそんな驚きも束の間、分裂していた人格が統合を果たし、エンディングで安心できるのかと思いきや、そうでないのがミソです!

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2003年制作の『アイデンティティー』ですが、時を経ても魅力を失わないサスペンス要素満載の、先の展開が読めないひねりの利いた作品です。ぜひご覧ください。
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