『iBOY』は、ミステリーやファンタジーを得意とするカーネギー賞の受賞歴があるイギリス人作家ケビン・ブルックスの小説を原作としたサイバーパンク映画。
ギャングの犯罪に巻き込まれ、頭に銃弾を受けた高校生のトムが、スマートフォンの破片が脳に埋まり取り出せなくなったことで新たパワーを覚醒させるストーリーです。
ハリウッド映画と、一味違うテイストが売りのイギリス映画。
『iBOY』も、その例に漏れず、イギリスの持つ社会的構造が垣間見える作品となっています。
- トムの頭の中のスマートフォン
- ルーシーを襲った犯人を見つけたトム
- クローリー団地のクリーンアップ計画
- 黒幕エルマンとの対決
それでは『iBOY』をネタバレありでレビューします。
目次
映画『iBOY』作品情報
作品名 | iBOY |
配信開始日 | 2017年1月27日 |
上映時間 | 90分 |
監督 | アダム・ランドール |
脚本 | ジョー・バートン マーク・デントン ジョニー・ストックウッド |
原作 | ケビン・ブルックス |
出演者 | ビル・ミルナー メイジー・ウィリアムズ ミランダ・リチャードソン ロリー・キニア ジョーダン・ボルジャー チャーリー・パーマー・ロースウェル エイメン・アンドゥーシ |
音楽 | シュテフェン・トゥーム マックス・アルジ |
【ネタバレ】映画『iBOY』あらすじ・感想
脳にスマホの破片が埋まってしまったトム
イギリスのごく普通の高校生のトム(ビル・ミルナー)には、同じクローリー団地に住む片思いの相手ルーシー(メイジー・ウィリアムズ)がいます。
そんなトムに一緒に勉強をしようと声をかけたルーシー。
「後でね。」と言ったきり、一向に連絡のないルーシーを心配したトムがルーシーの家を訪れると、ギャングに暴行を受け泣き叫ぶ声にルーシーの声が聞こえます。
そして、犯人4人と鉢合わせしたトムは、警察へ通報する間もなく頭に銃弾を受けてしまうのでした。
頭部に受けた銃弾によって昏睡状態に陥ったトム。
意識を取り戻したトムに、医師は脳の奥深くにスマートフォンの破片が埋め込まれてしまい、摘出不可能だという衝撃の事実を告げるのでした。
自分の脳に異物があることに不安を覚えるトムでしたが、退院してすぐにルーシーを見舞い、傷ついたルーシー見て自分が犯人から逃げたことをひどく後悔します。
そんなルーシーの自宅で、電子機器に反応するトムの脳。
最初は幻覚が見えるだけだと気にしていなかったトムですが、スマホと自分の脳の融合に気づくのにそう時間はかからないのでした。
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実行犯のチンピラたちに制裁を下すiBOY
自分の脳に埋まっているスマホのおかげで、念じるだけでありとあらゆる電子媒体にアクセスできる新しい能力に気づいたトム。
考えを浮かべるだけで、スマホや電子機器の情報を覗けるトムは、ルーシーへの暴行は同じ団地に住む同級生でギャングのリーダー格のユージーン(チャーリー・パーマー・ロスウェル)の仕業だと突き止めます。
最初は、ユージーンと仲間たちへの些細ないたずらや、恥ずかしい姿を学校全体にさらすことから始まったトムの復讐。
事件前は明るく闊達だったルーシーが怯え苦しむ姿に、トムはルーシーには自ら謎の人物「iBOY」と名乗り、暴行した犯人たちに彼女の代わりに制裁を加えることを告げるのでした。
両親のいないトムと祖母が住む公営団地。
イギリスでは公営団地は失業者や、生活保護、シングルマザーといった低所得者層が住む場所としても知られており、決してよい生活環境とは言えません。
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クローリー団地の犯罪の一掃
ルーシーがユージーンたちに襲われた理由がルーシーの弟ベン(オリバー・クーパースミス)が、ギャングへの入団を断ったからだと知ったトム。
クローリー団地に毒をまき散らすギャングたちを一掃したいと考えるようになります。
トムはそんなギャングたちの元締めの麻薬の売人カッツ(アイメン・ハムドゥチ)のアジトに大胆にも忍び込んで破壊、隠してあった麻薬を盗み出します。
正体不明のiBOYとして、カッツやユージーンたちへの制裁動画や記録をSNSで拡散、世論まで巻き込んで正義を貫こうとします。
カッツの銀行口座にハッキングして空にしたり、盗んだ麻薬をユージーンらギャングのメンバーたちの自宅に仕込んで警察に突き出したりと、犯罪に手を染めるメンバーへの制裁行為をエスカレートさせていくのです。
そしてパニックに陥ったカッツから、黒幕のエルマン(ロリー・キニア)の存在にたどり着いたのでした。
ギャングの横暴によって、ルーシーの尊厳が奪われたと知ったトムのIBOYとしての活動は大胆不敵。
これまで大人しく、気弱だったトムの変化に周りは心配します。
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黒幕エルマンとの対決
正体不明のIBOYとして匿名を貫き続けてきたトムでしたが、エルマンの罠にハマり、トムの正体はついに敵の知るところとなります。
かつて、クローリー団地に住んでいたというエルマン。
エルマンはルーシーを人質にとり、トムの持つ特殊なパワーを使って世界を変えていこうと誘います。
トムに貧しい団地暮らしから抜け出し、金に困らない「あちら側の世界」に行こうとそそのかすのでした。
ルーシーを助けたい一心でエルマンの裏をかこうと必死なトムは、ルーシーの監禁される倉庫までエルマンを連れ出すことに成功。
雨の降りしきる中、エルマンとの対決の時を迎えるのでした。
シンプルな構成の社会派SF
『iBOY』は、心を寄せる同級生ルーシーの身に起きた性犯罪に遭遇し、自身もギャングに襲われ頭に銃弾を撃ち込まれた高校生トムの復讐物語。
事件によりスマホの破片が脳の奥深くに埋まり、新しい能力を覚醒させたトムが自身の住むクローリー団地の犯罪を一掃するサイバーパンクの王道をいく内容となっております。
「人体と機械の融合」を軽いタッチで描いており、複雑な伏線のないシンプルな構成で、無駄にイライラすることがない反面、製作費の多く大仰なハリウッド映画に慣れた観客には、拍子抜けするような作品かもしれません。
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『iBOY』の舞台となるクローリー団地は、自治体の管理する公営団地「カウンシル・エステート」。
低所得の労働者階級を優先的に入居をさせる公営団地は、イギリスにいまだ色濃く残る階級社会を語るうえで分かりやすい背景なのです。
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団地に住むトムに「あちら側」へと誘うエルマンの言葉には、そういったイギリスの労働階級から抜け出す術を説明する意味合いもあるのです。
映画『iBOY』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『iBOY』をレビューしてきました。
- 覚醒・進化したトムの能力
- ルーシーを傷つけた実行犯への制裁
- クローリー団地のギャングを一掃する計画
- ルーシーを決して見捨てないと決めたトム
日本で多く上映される多くのアメリカ映画に慣れた観客には、イギリス映画の独特な背景が理解しにくいかもしれません。
しかし、『iBOY』には派手なドンパチもアクションもなく物語にひねりや驚きが全くないかわりに、謎を謎とも思うことなくまっさらな気持ちで鑑賞できるアリな作品だとも言えます。
ぜひ、ご覧ください。
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