『アイ・アム・マザー』は、人類の絶滅後の世界を描いたSFサスペンス!
「マザー」のつむぐ言葉のひとつひとつが、謎から謎へと、集約していくしかけです。
緊迫に満ちたラストを迎え、見終わった後も安心して余韻に浸ることのない、一筋縄にはいかない野心作です。
- 人類の絶滅した近未来
- 主要人物が3人!上質なSFサスペンス
- ドロイドが母の人間の少女
- 再増殖施設の地下シェルター
- 「アイ・アム・マザー」
それでは『アイ・アム・マザー』をレビューします。
目次
映画『アイ・アム・マザー』作品情報
作品名 | アイ・アム・マザー |
配信開始日 | 2019年6月7日 |
上映時間 | 113分 |
監督 | グラント・スピュートリ |
脚本 | マイケル・ロイド・グリーン |
出演者 | ヒラリー・スワンク ローズ・バーン クララ・ルガアード |
音楽 | ダン・ルースコンビ アントニー・パートス |
【ネタバレ】映画『アイ・アム・マザー』あらすじ・感想・考察
人類絶滅直後に起動した「マザー」
人類の滅亡をうけて、63,000にも及ぶ人間の胚が保存されている「再増殖施設」が目を覚まします。
その「再増殖施設」の地下シェルターで、ロボットアームが活動を開始。
人間の胚を取り出し、胎児の培養を始めるのと同時に、あるドロイドが起動します。
そうして誕生した赤ん坊が、産声をあげるとドロイドの「マザー」(声:ローズ・バーン)は、子供を育て始めたのでした。
少女へと成長した「娘」は、ある日マザーに問いかけます。
「どうして人間は私ひとりだけなの?」
すると、マザーは「母も、いい子を育てるには学習が必要なの。」と答えるのでした。
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絶滅から13,867日目
思春期の少女へと成長した「娘」(クララ・ルガード)は、ドロイドの「マザー」から倫理、道徳、哲学の英才教育をうけています。
娘は起動して年月を得た「マザー」のボディの不具合に、修理をほどこすまでに成長をしていました。
ある日、地下シェルターで夜間の充電ができずに、「マザー」が目覚めないことに気付いた「娘」は、施設内の電線のかじるネズミをとらえます。
これまでシェルターの外の世界は有害物質で汚染されていると教えられてきた「娘」は、そのネズミを見て、外界の汚染に疑念を持ったのでした。
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「娘」が初めて出会った人間の「女性」
地下シェルターから外の世界に出たことがない「娘」。
突如、銃弾を受けてケガを負って現れた「女性」(ヒラリー・スワンク)の助けに求める声に応じて、地下シェルターの施設内に「マザー」に知らせることなく助け入れます。
「女性」の出現により、これまで地球上に人間は自分1人だけと信じて疑わなかった世界が揺らぎ始めた「娘」。
「女性」の語る外部にいる人間たちが本当に存在するのか確信が持てず、混乱する「娘」に「マザー」は、「この「再増殖施設」は、人類が絶滅に備えて作動したシステムで、人類を再生するための計画実行を移す施設。人類再生のために、生まれた最初の「娘」があなただ」と語り始めたのです。
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3番目の「娘」
「娘」は、定期的に「マザー」に出す謎の試験を受けています。
その試験でこれまでない最高点をたたき出した「娘」は、「マザー」から褒美として、人間の胚を選び「弟」を持つことを許されるのでした。
そんな中、「娘」は「女性」の問いに感化され、「マザー」の隠していた事実を知ります。
自分は、実は「マザー」の培養した3番目の胎児の「娘」で、その前の2番目の「娘」が「マザー」の失敗作として処分されたことを知ってしまったのです。
そんな「娘」は、「弟」の誕生を待って「女性」と地下シェルターから逃げだすことを計画するのでした。
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「マザー」の任務
「女性」と外の世界に逃れた「娘」でしたが、実は「女性」が仲間の狂気から逃れ、一人暮らしてきたことを知ります。
自分本位な主張をし続ける「女性」に、なにが正しいのかわからない「娘」でしたが、「弟」を想い、施設に戻ります。
そして「再増殖施設」に戻った「娘」に、生まれたばかりの「弟」を胸に抱いた「マザー」がついに真実を告げるのです。
実は「マザー」は、地球上に存在する環境整備をする機械や全ドロイド、多数の身体を支配する単一の意識をもつAI。
これまで無為無策に自己破壊をくり返してきた人間を排除することは、避けることのできない道だったと言い、人類の「保護」と「再増殖」を任務とした「マザー」は、「女性」のような「自分本位な人間」は、人類の再生のために許容できないとして排除したのです。
そして、「自分とともに家族を作る心豊かで聡明、道徳性に富んだ人格を備えた「娘」を育てることが目的」だったと告白したのでした。
そして、「娘」に「貴方は家族が必要をする女性になれたのかしら?」と問いかけます。
かつて「マザー」の基準に満たさなかった「娘」を殺してしまったAIの「マザー」に、「娘」は人類存続の緊迫する決意でもある「弟」を育てるチャンスを自分に欲しいと頼むのでした。
マザーのセリフはあなたにどう響く?
『アイ・アム・マザー』は、人類の絶滅後の世界を描いたSFサスペンスで、人類の再生プログラムに沿って動くAIとそのAIに育てられた「娘」の物語です。
滅亡してしまった人類の「マザー」となったAIが、実は人類の母となる少女を育てていたという野心作です。
「女性」の存在にもひねりが利いており、「マザー」の言葉の一つ一つに巧妙なしかけが施されています。
母のドロイド破壊した「娘」が、「マザー」の人類再生プランを全うする63,000にも及ぶ人間の胚を前に、「マザー」となる決心したラスト・シーンを見ると、タイトルの持つ意味の深さに息をのみます。
そんな驚きのラストを理解するには、「マザー」のセリフを聞き逃さないことがポイントです。
『アイ・アム・マザー』のテーマはかなりエッジが利いていて批評家からは絶賛されていますが、ラストの余韻がどんなものか、人によってとらえ方はさまざまかもしれません。
蔵商店
映画『アイ・アム・マザー』あらすじ・ネタバレ感想・考察まとめ
以上、ここまで『アイ・アム・マザー』をレビューしてきました。
- 新世界のために「マザー」が育てた聡明で申し分のない「娘」
- 真実を語る「マザー」の巧妙なセリフ構成
- 「マザー」の任務と「女性」の生きながらえたワケ
- 「母となる」決意のラスト・シーン
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