全50話の中で、一人の公主・貞明公主と4代の王が統治した時代を描く韓国ドラマ『華政(ファジョン)』。
韓国時代劇にすっかり魅了され、今では朝鮮史を学びたい!とまで思っています。
4代の王との激動の時代を公主としてどう生きていくのか!?
公主が守るべきものは何か!?
卑劣な王と王宮の争いを描く歴史大作ドラマ『華政(ファジョン)』をネタバレありでレビューしたいと思います。
韓国ドラマ『華政(ファジョン)』主要キャスト
チャン・スンウォン / 役:光海君
- 朝鮮王朝14代王・宣祖の息子
- 側室の息子であるため、父王から悲痛にも拒まれる
- 異母妹の貞明公主だけには唯一心を許せる
イ・ヨニ / 役:貞明公主 / ファイ
- 朝鮮王朝14代王・宣祖の愛娘
- 光海君即位後、殺害されそうになるが倭国で生き復讐を誓う
- 初恋の相手ホン・ジュウォンを忘れられずにいる
ソ・ガンジュン / 役:ホン・ジュウォン
- 父も王宮に仕える高官の長男
- 幼い頃に出会った貞明公主が忘れられない
- 高い向上心と抜群の判断力で光海君を支えていく
キム・ジェウォン / 役:綾陽君(仁祖)
- 朝鮮王朝14代王・宣祖の五男である定遠君の息子で、光海君の甥にあたる
- 王族でありながら、劣等感と嫉妬の中で育つ
- 光海君から王座を奪うためクーデターを起こし、のちに王座を掴む
ハン・ジュワン / 役:カン・イヌ
- 莫大な資産家カン一族の息子
- 自らの出生の秘密を知り、生きる希望を失う
- ホン・ジュウォンとは幼い頃からの旧友そして、貞明公主が初恋の人
【ネタバレ】韓国ドラマ『華政(ファジョン)』あらすじ・感想
知られざる王女「貞明公君」とは!?
朝鮮王朝14代の王・宣祖と、正室である仁穆王后との唯一の嫡流王女。
父・宣祖が50代の時に産まれた娘でもあり、溺愛されてきたとのことですが、とてもハツラツとし好奇心旺盛な「男前プリンセス」が描かれています。
かとリーニョ
まだ若いながらも王女の貫禄を備え持ち、ありとあらゆる歴代の王、そして王宮の重鎮たちと対等に戦ってきた姿、そして倭国に売られてからの男装シーンなど、女性としてとても憧れの存在になったに違いありません。
かとリーニョ
光海君が王位即位のために、公主の弟である幼い永昌大君が殺害され、後に9年間もの間、母の仁穆王后と共に幽閉されてしまいます。
その間、母・仁穆王后の心を癒すために書道の勉強をしており、このドラマのオープニングに出てくる「華政」と赤くインパクトのあるタイトルは、貞明公主の直筆であると言われています。
かとリーニョ
さらに、朝鮮王朝で一番長生きした王女としても知られています。
貞明公君と共に生きたホン・ジュウォン
ドラマ内でも出てきましたが、貞明公主と生涯を共にした人物であるホン・ジュウォン。
彼もまた実在の人物で、父ホン・ヨンと共に光海君時代から王宮に貢献し、王宮では絶大なる一門の地位を築いていきます。
かとリーニョ
貞明公主とホン・ジュウォン、ドラマ内のような美しい恋愛だったかは定かではないのですが、実際に仲睦まじく子宝にも恵まれ、幸せな余生を共に送ったようです。
『華政(ファジョン)』ではイケメンと美女の絵になる2人でしたが、そんなホン・ジュウォン役を演じたのが、急成長の若手俳優ソ・ガンジュン。
イ・ヨニ演じる公主を心底愛し守り抜く、男らしさで視聴者を魅了しました。
「暴君」と言われた王光海君ですが…本当は?
朝鮮王朝で10代の王・燕山君と並ぶ「暴君」と言われている光海君。
彼のことが描かれるドラマは多くありますが、『華政(ファジョン)』では果たして「暴君」と描かれていたのか?
かとリーニョ
本当に朝鮮を心から良くしたい。
自ら民の犠牲を最小限にしたい。
かとリーニョ
そんな心温かな光海君を演じたのが、俳優歴が長いながらも今作で初の時代劇出演のチャ・スンウォン。
目力があり、多少強面な容姿的に暴君である「光海君」は適任だったのでは?と思いますが、実は劇中での彼は悲痛で切なく、常に目に薄ら涙を浮かべた表情の方が多く、さらに取り巻く周りの意見に苦肉の決断をするなど、自身が置かれた境遇に苦悩する姿が王様・光海君として描かれています。
光海君から仁祖へ…そして貞明公主
光海君の甥・綾陽君(後の仁祖)が突然王座を脅かし、西人派を味方に付けてクーデターを起こし、光海君から王座を奪い取り「仁祖」として王座に付きます。
ここからドラマ後半は仁祖時代に突入しますが、仁祖時代も決して国が安定するわけではなかったのです。
仁祖も、最後まで自らの「理想の国」を築くことができなかったわけです。
かとリーニョ
そこがドラマ後半における一番のポイントであったような気がします。
ここで仁祖を演じたのは、自身『ファン・ジニ』以来10年ぶりの時代劇、しかも初めての悪役を演じる俳優キム・ジェウォン。
彼が演じる王には最初かなり違和感ありましたが、最後はやはり貫禄がありました。
仁祖が王になったことをずっと不満に思っていた貞明公主は、兄・光海君の最後の「公主、決して負けるではないぞ」という言葉を胸に仁祖と戦う決意をしています。
かとリーニョ
しかし、やはり公主にとっては「いい兄上」であったことに違いなかったのです。
そのため、ドラマ後半の仁祖が亡くなる寸前まで、貞明公主は仁祖と戦うのです。
富と権力で国を動かせる時代なのか!?
『華政(ファジョン)』における最大の焦点は、光海君・仁祖ともにドラマでの架空の人物カン・ジュソン(チョ・ソンハ)によって操られていたということです。
このカン・ジュソンは、明(=中国)との闇貿易などで富と財を手に入れ、カン一族を築き上げてきました。
王の政治の裏では、結局このような富と財を持つ者の権力とは大きな存在だったのです。
しかし、そんなカン・ジュンソには一人息子のイヌ(ハン・ジュワン)がおり、イヌは父のやり方に納得できず、始めは貞明公主の心を奪うために父を裏切っており、結局最後まで父に従うことはなかったのです。
やはり「自らの欲望だけでは、国は動かせない。そして、悪には必ず天罰が下る」ことを、改めてここで思い知らさせた気がします。
カン・ジュソン本人は、最愛の息子に銃が当たり殺害するという最悪な形になってしまったのですが、ここでやっと自分の悪行に気づいたかもしれません。
韓国ドラマ『華政[ファジョン]』キャスト・あらすじ・ネタバレ感想まとめ
貞明公主の視点から描かれたこの激動の時代と、光海君・仁祖。
同じ時代を描いたドラマが多くある中、「女性目線」で描かれていた珍しい時代劇であった思います。
若手イケメン俳優の起用や、王の役に同じく中堅イケメン俳優の出演など「女性にも見てほしい時代劇」を製作されたように感じます。
やはりどの時代も政治の世界は非常に厳しく、悲痛で、苦悩の連続なのだと、この4代の王を語る時代劇で痛感しました。
上述しましたが、「自ら蒔いた悪の種は、全て己に戻ってくる」という世の理はいつの時代にも共通しているのだなぁと改めて気づかされます。
かとリーニョ
全50話ほどの長編な時代劇ですが「このような勇敢な王女がいた」と、ぜひ知っていただきたいドラマです。
時代劇が初めての方でもストーリーに入りやすい作品なので、とてもおすすめです。