『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』あらすじ・ネタバレ感想!人々の絆や対立を描いた衝撃の実話

映画『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』公式ページ

株取引で莫大な利益を得るため、0.001秒にすべてを賭ける男たちを描いた人間ドラマ。

予想外の結末は、現代社会への警鐘を鳴らしているかのよう。

ポイント
  • 0.001秒を短縮するため奮闘する人々の絆や対立を描いた、実話に基づく人間ドラマです。
  • ジェシー・アイゼンバーグの早口は健在。アレクサンダー・スカルスガルドの怪演にも注目です。
  • 経済構造や高速カ社会の是非について、思わず考えてしまう、ちょっと変わった切り口の金融映画です。

それではさっそく映画『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』をネタバレありでレビューします。

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『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』作品情報

映画『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』作品情報

(C)2018 Earthlings Productions Inc./Belga Productions

作品名 ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち
公開日 2019年9月27日
上映時間 111分
監督 キム・グエン
脚本 キム・グエン
出演者 ジェシー・アイゼンバーグ
アレクサンダー・スカルスガルド
サルマ・ハエック
マイケル・マンドゥ
ヨハン・ヘルデンベルグ
アイーシャ・イッサ

【ネタバレ】『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』あらすじ・感想


小難しい金融映画と敬遠することなかれ。人間ドラマがメインの物語

株取引で大儲けしようと固い絆で結ばれた従兄弟二人が大勢の人々を巻き込んでとんでもないプロジェクトを成功させるため、次々と起きる問題を解決しながら奔走する人間ドラマ。

それが映画『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』です。

実話に基づくとあることで、金融取引や通信速度に詳しい人ならプロジェクトの結末はすぐにわかってしまうでしょう。

くりす

私のように反対に詳しくないなら最後までハラハラドキドキしながら、プロジェクトの行く末を見守れると思います。

さて、金融業界を舞台にした映画で有名なものと言えばクリスチャン・ベールとブラッド・ピットの『マネーショート 華麗なる大逆転』や、レオナルド・ディカプリオ主演の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』が挙げられます。

くりす

ブラッド・ピットは『マネーボール』にも出演していましたし。

そして何と言ってもオリバー・ストーン監督&マイケル・ダグラス主演で1980年代の名作金融サスペンス『ウォール街』、邦画で言えば、連続ドラマから劇場版が公開され近年リメイク版もあった『ハゲタカ』など。

金融業界、株取引に詳しくなくても「大金が絡む、秒の争い」など緊張感が増すスパイス効果があるためか面白い映画が多いのも確かです。

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』は、前述の『マネーボール』や『マネーショート 華麗なる大逆転』の原作でもある経済小説を書いたベストセラー作家、マイケル・ルイスの「フラッシュボーイズ 10億分の1の男たち」を元に作られた映画です。

もっとも「フラッシュボーイズ」と今作の内容は似て非なるものです。

原作は超高頻度業者に異論を唱え、株取引を公平で安全なものにしようと考える男の視点で描かれています。

しかし映画はこの超高頻度取引を肯定的に考え、そのことで利益を得ようとする側の視点で描かれているのです。

くりす

高頻度取引は1秒にも満たないミリ秒単位の短い時間に、コンピューターで自動的に株のやり取り戦略を実施するシステムのことだそうです。

映画の舞台となっているのは2011年。

高頻度取引に株式取引がシフトしていた頃。

ニューヨークの証券取引所からシカゴのデータセンターまで一直線に光回線ケーブルを引いて、アクセス時間を0.001秒短縮させようと考えたヴィンセントとアントン。

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』

(C)2018 Earthlings Productions Inc./Belga Productions

「0.001秒」の短縮で、年間500億円の利益が得られる計算になるからです。

くりす

すごい発想だなと映画を観ている時は素直に思いプロジェクトの進捗に一喜一憂していたのですが、だがしかしです。

よくよく考えなくてもより高速な取引システムを構築したものが儲けるのなら、一般の投資家の注文を処理している間にほんのミリ秒単位の差で所謂後出しジャンケンをした高頻度業者の方が先に取引を成立させてしまうわけで。

相場取引の場で勝率100%。人間の判断力は関係なし。

くりす

合法とはいえ、これでいいのか?と思う現象が実際起きているのです。

そんなグレーな高頻度取引について、どう考えるか。

そのことで映画の感想もまた少し、変わってくるでしょう。

もちろん高頻度取引は問題にもなっていますが将来的にはトレーダーはいなくなり、AIがその職を取って代わるのだろうなと考えるとそれでいいのかと考えてしまいますね。

ジェシー・アイゼンバーグとアレクサンダー・スカルスガルド、主演2人のファンなら見て損なし!

たたみかけるような早口の天才役をやらせたらピカイチの俳優ジェシー・アイゼンバーグ。

そんな彼が『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』で演じたヴィンセントは、交渉術に優れ、閃きがあり、周囲を巻き込んでいく、破天荒な魅力あるキャラクターです。

くりす

グランド・イリュージョン』でも『ソーシャル・ネットワーク』でも、よくまあこれだけ早口でしゃべれるものだなと驚き、感心したものです。しかも聞き取りやすいんですよね、彼の台詞。

今回のヴィンセント役も、もちろん早口。口が滑らかに回りすぎ。

くりす

あの勢いで話されたら、契約書にサインしてしまうのも仕方ない(笑)

可愛げのないインテリ、ちょっといっちゃってるオタク

そんな役もよく似合うジェシー。ヴィンセントもまさに、安定のはまり役でした。

しかしクライマックスからラストにかけてのヴィンセントは、思わず体調を心配したくなるほどのやつれ振りです。

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』

(C)2018 Earthlings Productions Inc./Belga Productions

くりす

それだけの役作りをしたということでしょうが、役者根性に頭が下がります。

そしてジェシーの従兄弟アントン役、大男の天才プログラマーを演じたのはアレクサンダー・スカルスガルドです。

金髪でグリーンアイ、甘いマスクの長身。

ターザン:REBORN』では鍛えられた肉体美も披露した、有名な芸能一家・スカルスガルド家の長男アレックス。

セレブとも次々浮名を流しているというモテ男。

くりす

日本では『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のピエロ役ペニーワイズを演じたビル・スカルスガルドのお兄さんと言うとわかる方も多いかも。

「超絶イケメン」とも言えるアレックスですが、何と今回のアントンはハゲ頭で、背中を丸めて歩き、ちょっと変人(と言うよりは、天才にありがちなコミュニケーション的な障害を抱えていそう)という、いつものアレックスからは想像できないキャラクター。

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』

(C)2018 Earthlings Productions Inc./Belga Productions

見た目が最高にかっこいいアレックスはいません。

くりす

予告で知っていたとはいえ、なぜかいい意味でも悪い意味でも裏切られたような複雑な気持ちになってしまいました。破壊力が半端なかった、とでも言うべきか。

何せ波平でメガネで服装がイケてなくても、顔が良いのは隠しきれないんです。

アントンというキャラクターは愛すべき天才で、アレックスの新しい一面を観れたのはいいんですけれどね。

くりす

しかし正統派イケメンが、まさかの波平カット…と衝撃を受けたファンは世界中にいたはず。私はウケました(笑)

そんな、いつもとは正反対のアレックスと、いつものジェシーの共演。

固い絆で結ばれた従兄弟同士を演じた二人のファンには、必見の映画です。

株取引の話と思いきや、現代社会への警鐘を鳴らす物語でもある

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』は紆余曲折ありながらも一発逆転でマネーゲームを制し、ストは大成功のハッピーエンドというアメリカンドリームを手にする映画を予想して観ると良い意味で裏切られる内容です。

元上司の妨害、トンネルを掘るのが困難な岩盤、自分たちの土地にトンネルを掘ることを断固反対するアーミッシュ。

次々と持ち上がる問題に立ち向かう様には緊迫感や疾走感があり、心踊る展開でもあります。

しかしプロジェクトの要、ヴィンセントの身に起きる異変。

ここから物語には不穏な空気が漂い始めます

最終的に、文字通りヴィンセントの命を懸けたプロジェクトは失敗します。

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』

(C)2018 Earthlings Productions Inc./Belga Productions

ケーブルは引けたのですが、大金を手にする夢は消えてしまうのです。

元上司との高速通信競争に負けてしまうことで。

映画のラストで闘病中のヴィンセントはアントンとともに、アーミッシュの居住地を再び訪れます。

くりす

日本ではあまり馴染みのないアーミッシュ。

アメリカのオハイオやペンシルバニア、インディアナ、カナダなどにも居住しているドイツ系移民の宗教集団のことを指します。

アメリカが舞台の映画やドラマでは、アーミッシュの人たちは度々登場しています。

アーミッシュの人たちは移民当時の生活様式を保っています。

電気はもちろんのこと、車は使わず、食糧は自給自足。

現代の生活からかけ離れた生活をしていて密接したコミュニティを築いて支え合って生きています。

そんなアーミッシュの人たちの暮らす場所にケーブルを通そうとしてすんなりいくはずがありません。

大揉めした上にアーミッシュの人たちの怒りを買いながらも法律を盾に地下にトンネルを掘ってしまったヴィンセントたち。

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』

(C)2018 Earthlings Productions Inc./Belga Productions

そんないわくのある場所をヴィンセントは映画のラストでアントンと訪れ、そして言い合いになったアーミッシュにケーブルは撤去したことを告げ謝罪するのです。

雨宿りをさせてもらっったアーミッシュの納屋で、借りたストールに包まりながら、静かに降る雨を眺めるヴィンセントとアントン。

ハミングバード(ハチドリ)が一回羽ばたきする時間である0.001秒短縮するため必死になっていた二人が、アーミッシュの納屋で、ただ黙って降る雨を眺めているのです。

くりす

アントンの言葉が、何とも胸に沁みます。

デジタル化の波に飲まれる現代社会への警鐘を鳴らしつつ、大切なのは人と人とのつながり(家族であり仲間)ではないか、テクノロジーは人々を経済的に豊かにしますが心の豊かさはまた別のところにあるのではないか。

そして何よりたとえ失敗しても挑戦することに意義はあったはず。

そんなことを思わせてくれる、静謐なラストシーンでした。

くりす

余談ですがアーミッシュの社会にも若者を中心にスマホやSNSは浸透しつつあるようです。

アーミッシュの暮らしにも経済的に大きな変化をもたらすでしょうが、同時に新たな問題も生み出しているようです。

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』まとめ

以上、ここまで映画『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 株取引などに詳しくなくても大丈夫。基本は人間ドラマです。鑑賞後、自分にとって大事なものは何か、ふっと考えてしまいます。
  • 役者ファンなら観て損なし。安定のジェシーと驚きのアレックスの姿が見られます。
  • 元上司役のサルマ・ハエックがセクシー過ぎました。お風呂場に入ってくるシーンは、違う意味でも目が離せません。

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