映画『ホテル・ムンバイ』は、2008年に起きたインド同時爆破テロ事件を題材にしたアクション作品です。
テロリストに占拠されたインドの5つ星ホテル“タージマハル・ホテル”の従業員たちが、500人以上の宿泊客を救出した感動の実話です。
- インド同時多発テロの真実の舞台裏
- 出演者の演技力が、作品の質を上げています
- テロリストたちの素顔に迫ったシナリオの構成が秀逸
それではさっそく映画『ホテル・ムンバイ』のあらすじと感想をネタバレありでレビューしたいと思います。
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目次
『ホテル・ムンバイ』作品情報
作品名 | ホテル・ムンバイ |
公開日 | 2019年9月27日 |
上映時間 | 123分 |
監督 | アンソニー・マラス |
脚本 | ジョン・コリー アンソニー・マラス |
出演者 | デヴ・パテル アーミー・ハマー ナザニン・ボニアディ ティルダ・コブハム・ハーヴェイ アヌパム・カー ジェイソン・アイザックス |
音楽 | フォルカー・ベルテルマン |
【ネタバレ】『ホテル・ムンバイ』あらすじ・感想
嘘偽りのない同時多発テロの実話に感動必至
『ホテル・ムンバイ』は、2008年11月26日から数日にわたって、実際にインド・ムンバイで起きた大規模な同時多発テロを題材にした映画です。
何十年も続くインドとパキスタンの悪化した国際情勢が、この事件の発端でもあります。
また、標的にされたのはホテルだけでなく、観光客が多く集まるターミナル、有名なカフェなど、ムンバイの観光地として知られる場所ばかりがターゲットにされました。
物語は、この中でも高級ホテルでの騒動に焦点を絞って描かれています。
鈴木友哉
この事件は、観光客だけでなく、多くのインド人もまた犠牲になった大きな出来事です。
テロが起きれば、どのニュースも外部から見た情報を報道していると思います。
ただ本作では、人質としてホテル内に閉じ込められた従業員と宿泊客の知られざる脱出劇を克明に描いています。
実際に中ではどんなことが起きていたのかはニュース映像だけでは分からないという意味でも、本作がテーマにしたホテルのクルーたちの活躍を映像化したのは、大変貴重な物語なのです。
鈴木友哉
そんなことを考えてしまうほど、『ホテル・ムンバイ』は当時ホテル内で起きていたテロの臨場感を体験することができます。
映画は、世界で起きている出来事を知ることができる大きなチャンスです。
ホテルに閉じ込められた主要人物の苦悩が胸に響く
『ホテル・ムンバイ』に登場する主要人物は6人います。
主人公は頭にターバンを巻いたシーク教のホテルマン、アルジュン。デヴ・パテルが主役の従業員を好演しています。
2人目は、厳格な性格のオベロイ料理長。彼を演じるのはインドの名優アヌパム・カー。必死に宿泊客を守ろうとする正義感のある人物を力演しています。
3人目は、インド出身でアメリカ人男性の妻ザーラ。ナザニン・ボニアディが、力強くテロリストと立ち向かう女性を演じています。
4人目は、ザーラの夫で建築家のデヴィッド。アメリカ人俳優アーミー・ハマーが熱演しています。
5人目は、彼らの子供のベビーシッターとして雇われているサリー。本作が長篇デビュー作となるティルダ・コブハム・ハーヴェイという無名の女優が存在感たっぷりに演じています。
最後に、宿泊客としてホテルに訪れたロシアの元軍人ワシリー。彼を演じるのは、イギリス出身の名優ジェイソン・アイザックスが深みのある演技を見せてくれています。
鈴木友哉
ホテル内で何が起きていたのか、この3人の視点から物語を描き、映画は今まで知られなかった従業員と宿泊客の生死を賭けた脱出劇を作り上げています。
主要キャラクターを演じた役者たちの演技が見どころのひとつ
本作『ホテル・ムンバイ』での序盤のシーンは、デヴ・パテル演じるアルジュンの出勤する場面から始まります。
彼はシーク教として頭に巻いていたターバンを大切にしており、毎朝鏡に向かって巻き加減を調節しています。
鈴木友哉
物語が進むにつれ、ターバンが重要なキーポイントとなり、アルジュンが活躍する多くの場面で登場します。
また、出勤する直前に片方だけ革靴を落としてしまうシーンもあります。
このシーンが彼にとって大きな役割を果たしてくれ、もし靴を忘れずに出勤していたら、彼はテロリストの凶弾に倒れていたかもしれないという設定が作品に用意されています。
靴を片方だけ忘れてしまう出来事は、アルジュンの人生を大きく変える肝心なポイントとして登場します。
鈴木友哉
次に、アヌパム・カーが演じる厳格なオベロイ料理長の活躍ぶりにも注目して見てください。
彼は従業員に対して厳しく接する人物で、靴を忘れ、サンダルで仕事をしようとするアルジュンを容赦なく家に帰そうとする態度を見せます。
一方で、テロリストによって占拠されたホテルで、オベロイ料理長は何百人もいる宿泊客を必死に助けようとする姿がとても感動的です。
ホテルの客以外にも、部下でもある従業員たちを守ろうとする姿勢にも共感を覚えます。
ホテルに留まって宿泊客を救うか、家に帰って家族を取るかという大切な場面で、彼が従業員たちに放った言葉「逃げるのは恥ではない」の台詞に胸が熱くなります。
鈴木友哉
ナザニン・ボニアディ演じるザーラは、初めこそ気の弱い女性の印象でした。
しかし、物語が進むと芯の強い女性へと変化し、自身が死んだ時に読んでもらうように手紙を夫に残したりと、勇敢な態度を示しています。
特に、映画の終盤で人質として拘束され、命を狙われそうになった時、彼女はテロリストが信奉する宗教の聖書の内容を同じ言葉で話し命乞いをする場面は衝撃的で、脳裏に焼き付いて離れません。
鈴木友哉
極限状態のホテルで閉じ込められ、生きるか死ぬか分からない中、必死になって脱出しようとする彼らの姿に魂が震えます。
そして、一番注目するところは、ザーラたちのベビーシッターとして雇われているサリーを演じたティルダ・コブハム・ハーヴェイの名演技です。
映画初出演でありながら、テロリストに殺されるかもしれないという心情を見事に表現しています。
泣く場面での彼女の演技は真に迫るものがあり、観ているこちら側も感情移入してしまいそうなほど力強い演技力です。
鈴木友哉
これだけの主要人物が作中で登場するにも関わらず、6人中2人がテロリストの凶弾に倒れしてしまうという脚本の設定も現実味があって良いです。
全員無事に脱出できてしまうと少し味気ない気もしますからね。
そんな迫真のストーリー展開だからこそ、物語に説得力もあり、見どころのポイントでもあるのです。
誰も知りたがらないテロリストたちの真の素顔を丁寧に描写
本作『ホテル・ムンバイ』のストーリーの主軸の大部分は、従業員と宿泊客に焦点を当てています。
テロリストたちに命を狙われる彼らの苦悩と葛藤は計り知れませんが、思い悩んでいるのはクルーやゲストだけではありません。
鈴木友哉
被害者だけでなく、加害者(テロリスト)側にもスポットライトを当てている点も注意深く観て欲しいポイントです。
物語の主要部分とは別にして、テロリストたちが抱く心の葛藤もしっかり描いている点も見ごたえを増しているのです。
実行犯のストーリーで特に気になった点として、仲間の一人がひどく取り乱し大泣きする場面があります。
足を負傷して、人質の見張りをすることになった青年は、テロの仲間や首謀者に知られないようにこっそり家族に電話をします。
電話口から聞こえてくる家族の声を聞いて号泣する彼の姿を見て、若い男もまたどこかで人生を間違えてしまったのではないだろうかと気の毒に思ってしまいました。
鈴木友哉
なぜ彼らは武装組織と関わってしまったのか気になるところですが、本作では触れておらず、この点を深く掘り下げて物語を構築していればもう少し楽しめたのではないかと思います。
それでもホテル側の人間に留まらず、実行犯側からの視点も忘れずに描いている丁寧さは、本作の見どころでもあり、高く評価できる点です。
そして、やはりもっとも賞賛したいのは、武器を持つテロリストに対して素手で立ち向かって行ったホテルマンたちの勇敢な姿です。
鈴木友哉
『ホテル・ムンバイ』まとめ
#HotelMumbaiFilm, the gripping true story of the 2008 siege on Mumbai’s Taj Hotel, is now streaming on @hulu
https://t.co/gSFhwTxR5E pic.twitter.com/3GtnecJZLg— Hotel Mumbai (@HotelMumbaiFilm) September 19, 2019
以上、ここまで映画『ホテル・ムンバイ』について紹介させていただきました。
- あまり知られていないインド同時多発テロ事件について知ることができます
- 出演者の演技力に圧倒させられます
- ホテル側だけでなく、テロリスト側の視点から描いてるに好感が持てます
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