「18禁?」と勘違いしてしまいそうな邦題ですが、実は時代に翻弄される男女の純愛ラブストーリーなのです。
美しい容姿と、女性妓生に負けないほどのしなやかな舞踊・技芸、そして世の女性を酔わしてしまう素敵な話術と、全てを兼ね備えた青年ホ・セク。
彼は、生まれ育った妓房が経営の危機と知り、女性をターゲットに”朝鮮初の男妓生”になることを決意!
そんなホ・セクはある日、一人の美しい女性に出会い、猛アタックするのですが…。
主役ホ・セクを演じるのはアイドルグループ「2PM」のリードボーカル&ダンサーで俳優としても映画やドラマでも大活躍のジュノ。
そして、ホ・セクが唯一惚れた女性ヘウォンを演じるのは、ドラマ『この恋は初めてだから』や、映画『ゴールデンスランパー』などに出演し、韓国初の芸術大学「韓国芸術総合学校」を首席で合格した、注目の女優チョン・ソミン。
- 邦題とはかけ離れた「純愛ラブストーリー」
- 今、大注目の俳優ジュノとチョン・ソミン主演
- 朝鮮王朝初の男性妓生とは?
それではさっそくネタバレありで映画『色男ホ・セク』をレビューしていきたいと思います。
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目次
『色男ホ・セク』作品情報
作品名 | 色男ホ・セク |
公開日 | 2020年6月5日 |
上映時間 | 110分 |
監督 | ナム・テジュン |
脚本 | ナム・テジュン |
出演者 | ジュノ チョン・ソミン チェ・グィファ イェ・ジウォン コンミョン イ・イルファ キム・ドンヨン |
音楽 | イ・ウンジュ モグ |
【ネタバレ】『色男ホ・セク』あらすじ
朝鮮初の”男妓生”ホ・セク誕生まで
今作の主人公ホ・セクは妓房に生まれ育ち、父は貴族に当たる両班で亡き母は朝鮮の芸姑&娼婦の役割である妓生という身分の女性。
亡き母の友人で妓房の女将に育てられたホ・セクにとって妓生のお姉さま方は「家族」でした。
可愛がられて育っていたホ・セクですが、それを良いことに勉強も何もせずに毎日プラプラ生活していました。
それに怒りをあらわにした女将が、ホ・セクを一度追い出しますが、ホ・セクをまだまだ呑気なまま。
その後、不思議な男ユッカブに会い、妓房に戻るホ・セクですが、ますます女将の反感を買い、とうとうお仕置きされることに!
そのお仕置き場に、差し入れをもってくるのが、ホ・セクが可愛がっている新人の妓生スクチョン。
スクチョンから愛されているのもわかっているのですが、愛には興味のないホ・セク。
そんな中、お仕置きされていたホ・セクは生まれ育った妓房の経営が危ういと聞きつけ、たホ・セクは、大切な場所と家族を守るため、男ながらに妓生なることを決意します。
妓生のお客は、基本は男性なのですが、ホ・セクのターゲットは女性、しかも亡くなった夫に操を立てる貞節と従順さを兼ね備えた女=「烈女」を目指す夫を失って独身の女=「寡婦」のみなさまです。
ホ・セクは寡婦のみなさまの間では、「妓生のおぼっちゃま=ホ・セク」として大人気で都でも有名になり、妓房の存続危機を救うことになるのです。
かとリーニョ
美しく一目ぼれヘウォンとの出会い
夫の後を追った烈女たちを祀っている「烈女堂」の前で、一人の美しい女性と出会うホ・セク。
その女性は烈女堂の前で、この烈女制度に対する不満をボソボソとつぶやいています。
その女性の名は、ヘウォン。
両班ですが、実に質素な生活をしています。
幼い頃の兄に頭のケガをさせてしまった罪悪感で、ヘウォンも未だ独り身。
そんな彼女に一目惚れしたホ・セクは、一瞬で猛アタック!
かとリーニョ
ちょうど同じくヘウォンを嫁に迎えたい両班の息子ユサンも、なかなか婚姻を受け入れてくれないヘウォンに苦戦していました。
まさかの恋敵が現れたホ・セクは、なんと男妓生を引退し、亡き母の念願であった通訳士になろうと勉強をし始めます。
その間にも、ヘウォンの使用人の少女に助けられ、初デートをしたり、また月夜がきれいな夜にヘウォンを外へ連れ出したりと、ヘウォンも少しづつホ・セクに心を開いていきます。
かとリーニョ
2人でデートを重ねていくうちに、心を許したヘウォンからキスをしたりと、2人はこのままうまくいくように思えましたが、ある時の本屋で衝撃の出来事が。
「僕が通訳士になったら、一緒についてきてくれる?」と言うホ・セクに、「え?両班のあなたがなぜ下級官職につこうとするの?ウソでしょ?」と返すヘウォン。
その言葉で「身分の差」を思い知ったホ・セクは、完全に放心状態になってしまいます。
妓生は「烈女」にもなれない、両班と妓生の「越えられない身分の差」
『色男ホ・セク』は、李氏朝鮮時代の背景を反映した内容もしっかり盛り込まれています。
前述した通り前述したとおり、当時の女性は夫が死んだ場合再婚もせずに生涯独り身で夫を命懸けで慕い、最終的に後を追って死を迎えると「烈女」として世間からも国からもそして家門からも称賛されるという立場。
この時代の婚姻は、親の言いなりでの結婚が一般的でしたので、今のような自由な恋愛は厳しく、離婚したり再婚したりなどあり得ない時代でした。
かとリーニョ
妓生は身分の差により烈女にはなれず、関係を持った両班の男性にはそのまま置き去りにされることも多く、婚姻もできず、寂しさで自ら命を落とすこともありました。
そしてホ・セクが妹のように可愛がっていた17歳の少女スクチョンも男に捨てられ「烈女堂」の前で首を吊り自殺してしまうのです。
ホ・セクは怒りをあらわにし一度引退をした男妓生姿で「烈女堂」に火をつけます。
生涯あなたを「ポムラッククン」
ホ・セクの恋敵ユサンは、ホ・セクの身分を知り、袋叩きにして牢屋に閉じ込めようとしますが、そこへヘウォンが助けにやってきます。
「お願い、許してあげて!命だけは助けてあげて!」とユサンに嘆願するヘウォン。
ヘウォンのおかげで命は助かりますが、牢屋に入れられたホ・セク。
ヘウォンの嘆願で、彼女のホ・セクに対する愛を知ってしまったユサンでしたが、もう一度プロポースし、ヘウォンはホ・セクを忘れられないまま婚姻を受け入れます。
しかしホ・セクの相棒となっていたユッカブがヘウォンの使用人の娘に「あの方の愛は本物だった」と伝え、ヘウォンにも届きます。
そして、今一度気持ちを確かめるために、牢屋にいるホ・セクを訪ねるヘウォン。
ですが、ホ・セクの返事は冷たく、ヘウォン涙を流し去っていきます。
しかし、それよりももっと辛くて苦しい涙を流していたのはホ・セクでした。
越えられない身分の差で、一生叶わぬ恋になってしまったためヘウォンを突き放すような言葉を言いましたが、ヘウォンも心から自分を愛してくれていたことを知り、ホ・セクは泣きました。
その後、婚姻の衣装を着ながらも、どことなく寂しそうな顔のヘウォンは、そのまま輿に乗ります。
そして次のカットで、輿から顔を覗かせたのは年老いたヘウォン。
あれから何十年も経ち、死期を感じたヘウォンは、ホ・セクを探し、居場所を見つけ出していました。
かとリーニョ
人里離れた山間の小屋で、ひたすらヘウォンとの思い出を絵に書いていたホ・セク。
最後に、ホ・セクはやってきたヘウォンの使用人に若き日のヘウォンの似顔絵と共に「ポムラッククン」=「愛しています」という言葉を伝えます。
【ネタバレ】『色男ホ・セク』感想
実は切ない純愛ラブストーリー
かとリーニョ
男妓生を演じたジュノは、本当に可愛らしさと洗練された出で立ちがピッタリの役柄でした。
また、ヘウォン役のチョン・ソミンがとても美しく韓服が際立ち本当によかったです。
劇中、ユッカブ役のチェ・グィファのまさかの「裸姿」が出てきたりと、笑いもあるのもよかったのですが、やはり越えられない「身分の差」には本当に切なく・胸が痛むシーンもありました。
かとリーニョ
「烈女」や「寡婦」・「両班」など、朝鮮時代の用語が多数出てきますが、この意味を調べてからご覧頂くとさらに深く見て頂けるのでは?
また、冒頭と最後に出てくる年老いたホ・セクとヘウォンを、チョン・ノミンとイ・イルファという2人の大御所俳優が演じており味のあるいいシーンになっていました。
『色男ホ・セク』あらすじ・ネタバレ感想:まとめ
以上、ここまで『色男ホ・セク』についてご紹介させて頂きました。
- 邦題のニュアンスとは全く違う「純愛ラブストーリー」
- 朝鮮時代の越えられない「身分の差」を痛感して頂きたい
- ジュノとチョン・ソミンの美しい演技に心躍ります