6月4日(金)より公開のイギリス映画『幸せの答え合わせ』は、ある夫婦の熟年離婚を描くヒューマンドラマです。
『マリッジ・ストーリー』や『ワイルドライフ』など、「離婚」や「破局」を題材にした映画は多数あります。
そんな作品の中でも、本作は妻の結婚に対する価値観をはじめ、成人した息子が親の離婚を受け止める様子を印象的に描いた作品となっていました。
最近ではいろんなライフスタイルが少しずつ広まりつつあるなかで、本作の描く「結婚にまつわる幸せ」をどのように受け止めるのかがポイントになる映画です!
- 妻グレースを演じるアネット・ベニングの激情型キャラクター
- ビル・ナイの煮え切らない夫役がハマり役!
- 実際に親の熟年離婚を経験した筆者の感想
目次
映画『幸せの答え合わせ』作品情報
作品名 | 幸せの答え合わせ |
公開日 | 2021年6月4日 |
上映時間 | 100分 |
監督 | ウィリアム・ニコルソン |
脚本 | ウィリアム・ニコルソン |
出演者 | アネット・ベニング ビル・ナイ ジョシュ・オコナー アイーシャ・ハート |
音楽 | アレックス・ヘッフェス |
映画『幸せの答え合わせ』あらすじ【ネタバレなし】
29年の結婚生活が突然終わる?
イギリスはイースト・サセックス。
巨大な白い崖「セブン・シスターズ」がある地に住むグレース(アネット・ベニング)とエドワード(ビル・ナイ)は、性格も価値観も大きく異なる夫婦です。
グレースは詩集を作成し、エドワードは学校の教師。
一人息子のジェイミー(ジョシュ・オコナー)は既に家を出て、webデザイナーとして働いています。
ある時、ジェイミーが実家に帰省すると両親は些細なことから口論に。
心配するジェイミーをよそに、突然エドワードは「妻と離婚したい」とジェイミーに相談します。
ジェイミーは離婚について考え直すよう説得しますが、エドワードの意思は固く、ついにグレースにも離婚の意思を告げて家を出て行ってしまいました。
29年の結婚生活が突然終わったことに、ショックを隠せないグレース。
自宅で引きこもるようになってしまったグレースを心配するジェイミーですが、グレースは頑としてエドワードとの離婚を認めないのでした。
グレースとエドワードの離婚は成立してしまうのか?
エドワードは家を出てから頑なにグレースと会おうとせず、電話番号まで変えてしまう徹底ぶり。
伝言はメールか、ジェイミニーに直接頼むかのどちらかでした。
一方ジェイミーにだけ会おうとするエドワードに対して怒り心頭なグレースは、離婚の書類に署名をしません。
書類が届いても「エドワードが同席の場でなければサインをしない!」と言い切ります。
これに対し、エドワードは弁護士のオフィスでならグレースに会うと同意。
ジェイミーとしても両親が納得いく形の離婚を望むために、父と母のもとを行ったり来たり…。
次第に元気を取り戻すグレースですが、その元気はどんどん離婚を阻止するための闘志に代わっていきます。
しかし、弁護士と同席のもとでも離婚の署名を断るグレース。
怒りに任せて罵詈雑言を続けるグレースですが、その全てはエドワードを今も愛しており、離婚したくない一心からでした。
なぜグレースはここまで結婚にこだわるのか?
そして、家族3人の関係はどう変化していくのでしょうか…?
映画『幸せの答え合わせ』感想
アネット・ベニング激しくももろい演技に注目
ヤマダマイ
確かに夫婦と親子のドラマを丁寧に描いている作品ですが、それだけではないのです。
妻・グレースを演じるアネット・ベニングのパワフルな演技も大きな見どころの一つ!
夫が家を出てから、文字通り「死んだような」表情で空虚な日々を過ごすグレースですが、次第に自分の持つ「結婚」の価値観を守るために、エドワードからの離婚を徹底的に阻止しようとします。
その姿はまるで戦士。
グレースにとっても、好条件で離婚の提案が出ているのに「死亡保険を貰った方がマシ=(死ぬまで一緒にいたい)」と言い放ったり、「離婚を言い出したことを後悔させてやる…」と言わんばかりのガッツを見せてきます。
離婚の話が出る以前から、感情を爆発させやすいグレースはエドワードにビンタをかましたり、テーブルをひっくり返したりととにかく激しい…。
ヤマダマイ
ビル・ナイの煮え切らない夫役がかなりはまり役
感情的な妻・グレースに対して、終始口数が少なくておとなしい性格の夫・エドワードを演じるのが、イギリスの大御所俳優ビル・ナイです。
2003年に公開された『ラブ・アクチュアリー』で英国アカデミー賞をはじめとする様々な映画賞を獲得し、現在も数多くの作品に出演。主要キャストから脇役まで幅広く演じています。
本作では自分の意見を口にすることがあまりなく、険悪なムードになると部屋に引きこもってしまう煮え切らない男を演じています。
今回演じている、見ているこちらもヤキモキしそうな役もかなりのハマり役。
妻にビンタをされても、面倒は嫌だな…と言わんばかりに、いそいそと自室に引っ込む姿は哀愁さえ感じられます…。
そもそもこんなに性格が正反対なのに、二人はなぜ結婚したのか?
ヤマダマイ
息子から見た親の離婚の描き方がすばらしい
ヤマダマイ
だからこそ、ジェイミーの振る舞い方は非常に丁寧であり、感動的でもありました。
親の離婚に対してちゃんと寄り添い、向き合い、支えている姿がとても印象的だったのです。
ヤマダマイ
彼ほどよくできた息子はいないのでは?と思えるほど、ジョシュ・オコナーの繊細な演技に見とれてしまいました。
映画『幸せの答え合わせ』あらすじ・感想まとめ
ウィリアム・ニコルソン|監督・脚本
脚本を書き始めたときは、
夫婦の別離の物語にしようと思った。
でも書いているうちに
息子の物語だと思うようになった。
若い人たちは、本作を観たら
自分と親の関係を
新しい観点から見るようになるだろう。6/4公開 pic.twitter.com/mNGYhfYbwD
— キノシネマ (@kinocinema_jp) May 29, 2021
- イギリスを代表する俳優たちの演技は必見!
- 「離婚」というネガティブな題材を独特な視点で描く
- 離婚を経験した人にも見てほしい!
以上、ここまで『幸せの答え合わせ』をレビューしてきました。