本作『ハニー・ボーイ』は社会問題の一つにもなっている、「毒親」というテーマに焦点を絞っています。
俳優シャイア・ラブーフの半自伝的な内容になっており、子役からトップスターの座まで登り詰め、その後役者人生のどん底までを味わった彼の半生を追体験できる作品です。
- 世間で最も注目されている社会問題の一つ、「毒親」について深く掘り下げられています
- ハリウッドを支える子役から中堅クラスの役者の存在感が光ります
- 俳優シャイア・ラブーフの知られざる事実に胸が締め付けられます
それでは『ハニー・ボーイ』をネタバレなしでレビューします。
目次
『ハニーボーイ』作品情報
作品名 | ハニーボーイ |
公開日 | 2020年8月7日 |
上映時間 | 95分 |
監督 | アルマ・ハレル |
脚本 | シャイア・ラブーフ |
出演者 | ルーカス・ヘッジズ ノア・ジュプ シャイア・ラブーフ FKAツイッグス マイカ・モンロー |
音楽 | アレックス・ソマーズ |
『ハニーボーイ』あらすじ【ネタバレなし】
子役の時から人気のあったハリウッドの俳優オーティス(ルーカス・ヘッジズ)は、前科持ちで無職の父親ジェームズ(シャイア・ラブーフ)による、度重なる虐待に耐えて生きてました。
父親はステージ・パパとして、オーティスのマネージャーを勤める傍ら、私生活では自堕落な日々を過ごしていました。
そんな悲惨な家庭環境で育ったオーティスは、成人してから薬やアルコールに溺れるようになっていきます。
そんなある時、飲酒運転が原因で交通事故を起こしてしまいます。
その事故を契機として、オーティスはアルコール依存症を治療するための施設に入院することになります。
薬物や飲酒の依存癖を治す集会で、彼は自身の子供(ノア・ジュブ)の頃の記憶を回想します。
どうしようもない最低最悪な父親との日々は、彼にとっては苦痛を孕む重い出来事。
大人になった今、オーティスは父親のすべてを赦すことができるのでしょうか?
『ハニー・ボーイ』感想
毒親というテーマ
毒親とは、子供にとって害のある親のことを指しており、子供たちが成長する過程で発育を妨害する行為を行う人のことではないでしょうか?
どの時代にも、どこの国にも、子供にとってひどい親は存在します。
鈴木友哉
一昔前は、家庭の中の出来事として、他人が首を突っ込めない状況が多々あったことでしょう。
ここ最近になって、毒親と言う新しい用語が世間で定着するようになり、世の中で子供を虐待する親に人々が着目しつつあります。
近年でも日本国内で起きた虐待による子供たちの死亡事件がたくさん起きている程、この問題は根深く、社会問題にもなっています。
映画の世界では、親と子の確執を描いた作品が昔から多く製作されている一方、本作のような毒親を題材にした作品は、近年になってようやく製作され始めています。
例えばイギリス映画の『ロケットマン』、スペイン映画の『母と言う名の女』、邦画の『MOTHER マザー』、韓国映画の『虐待の証明』などが、主たる作品でしょう。
余談ですが、漫画では押見修造の作品『血の轍』でも毒親について取り上げています。
鈴木友哉
本作『ハニー・ボーイ』は、毒親に育てられた青年とその親との軋轢を正々堂々と真正面から描いた熱い作品です。
今を彩る旬な役者を起用して作り上げた心温まる熱い物語
映画には時に、役者たちの演技力でクオリティが高くなる作品もあります。
鈴木友哉
メインの人物を中堅のシャイア・ラブーフ、若手のルーカス・ヘッジズ、子役のノア・ジュブの3名が演じています。
彼らは各々に難しい役どころを割り振り当てられており、役柄に沿った素晴らしい演技力を発揮しています。
少年期のオーティス役を演じるノア・ジュプは、近年全世界から最も注目されている子役の一人で、出演作と共に翔ぶ鳥を落とす勢いで人気も急上昇しています。
本作では、親から虐待される子供役と言う難しい役柄を体当たりで演じています。
主な出演作に『ワンダー 君は太陽』『クワイエット・プレイス』などがあります。
また、青年期のオーティス役を演じるルーカス・ヘッジズも、若手の役者として注目を浴びている一人です。
今回は、虐待されていた過去を背負って生きる若者の苦悩を繊細な演技で表現しています。
主な出演作には『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を初めとして『スリー・ビルボード』『レディ・バード』など高い評価を受けた映画があります。
最後に、脚本も書いたシャイア・ラブーフは、今作で過去に暴力を振るっていた彼自身の父親を演じています。
鈴木友哉
ハリウッドの頂点とどん底を味わった実力派俳優シャイア・ラブーフの葛藤を描く半自伝的作品
本作『ハニー・ボーイ』は、ハリウッドで活躍する俳優シャイア・ラブーフの半生を描いています。
子供から大人へと成長する段階で、彼はハリウッドと言う絢爛豪華な世界で成功を納めています。
でも彼は壮絶な子供時代を過ごし、成人してからも幾度となく過去のトラウマに苦悩しています。
鈴木友哉
シャイア・ラブーフは実生活ではステージ・パパである父親から暴力を振るわれ、育児放棄に近い状態でした。
生活を立て直すために役者の世界へと足を踏み入れ、10歳にして彼は、セルフプロデュース、セルフマネジメントを行い、公衆電話からハリウッドのプロデューサーに売り込み活動を行っていたという伝説があります。
しかし結局は毒親による過去の出来事が、シャイアの心に重くのし掛かり、それを忘れるために酒を飲み、薬物に溺れていってしまいます。
2020年、日本の芸能界でも、人気絶頂だった役者・三浦春馬が思わぬ形で自死を遂げています。
その原因には、幼い頃に離婚して家を出ていった母親との金銭的トラブルがあったと言われています。
鈴木友哉
本作は、スピルバーグの秘蔵っ子としてハリウッドで活躍したシャイア・ラブーフの半生を半自伝的に描いたドラマ作品です。
鈴木友哉
『ハニーボーイ』あらすじ・感想まとめ
以上、ここまで『ハニーボーイ』についてレビューしてきました。
- 毒親が、いかに子供の将来を腐らせてしまうのか痛感してしまいます
- 今最も熱い注目を浴びる各世代の俳優陣を配した作品にもなっています
- トップスターから役者人生の危機までも味わった俳優シャイア・ラブーフの半生の映画です