原作は『殺し屋1』などの作品で知られる漫画家・山本英夫の同名作品です。
カルト的に人気を誇り、その独特の世界観や描写から実写化は不可能と言われていた原作を完全に実写化。
- 実写化不可能と言われた作品のまさかの実写映画化
- 映像技術を駆使し、漫画の世界観を見事に再現
- 役者たちの熱演に目が離せない!
頭蓋骨に穴を開けられた結果、第六感が開花した主人公・名越に見える「深層心理がイメージ化した世界」を映像技術を駆使し再現しています。
少々グロテスクなシーンもありますが、それよりも役者たちの熱演や謎の解明が明らかになっていく過程が面白く、一瞬たりとも目が離せない作品です。
それではさっそく映画『ホムンクルス』をネタバレなしでレビューしたいと思います。
目次
映画『ホムンクルス』作品情報
作品名 | ホムンクルス |
公開日 | 2021年4月2日 |
上映時間 | 115分 |
監督 | 清水崇 |
脚本 | 内藤瑛亮 松久育紀 清水崇 |
出演者 | 綾野剛 成田凌 岸井ゆきの 石井杏奈 内野聖陽 |
音楽 | ermhoi 江﨑文武 |
映画『ホムンクルス』あらすじ・感想【ネタバレなし】
綾野剛と成田凌らキャスト陣の熱演がすごすぎる
変幻自在な役者として名前が挙がることも多い綾野剛と成田凌の2人ですが、本作でも例外ではありません。
綾野剛と成田凌、ふたりの役者としての力量を存分に実感できる作品です。
記憶を失い、ホームレスが集う公園と高級ホテルの狭間で車上暮らしをする謎の男・名越(綾野剛)。
見すぼらしい風貌ながら、ブラックカードを片手に高級ホテルでフレンチを貪る姿は、観客に疑問と少々の不快感さえも与えます。
斎藤あやめ
それが、成田凌演じる伊藤の依頼で脳に穴を開けて第六感を芽生えさせる手術「トレパネーション」を受けた後から、少しずつ変化が見られます。
もちろん第六感が芽生えてしまって、見えるはずがない他人の深層心理が見えてしまうのだから、変わってしまうのは当然といえば当然です。
しかし、無機質で無感情だった名越が、他人の深層心理に触れることでだんだんと人間らしくなっていく過程は、見ていて非常に興味深いものでした。
というのも、トレパネーションを受ける前に、伊藤が名越に「7日間、あなたに生きる理由を与えてあげます。」と言い放ちます。
そして「生きる意味」を与えられた名越が、次第に人間らしくなっていき、そして自分の記憶を取り戻していくのです。
斎藤あやめ
冒頭では、無感情で無機質、記憶を無くし、自分がどこの誰か分からず、ただ「生きているだけ」だった名越。
そんな彼が、だんだんと血が通い始めていくかのように変わりいく過程を、綾野剛が淡々と静かな熱を持って演じています。
斎藤あやめ
そして、本作で圧倒的な存在感を発揮しているのは綾野剛だけではありません。
斎藤あやめ
ウィッグやメイクのせいで見慣れた成田凌のイメージとまったく異なる姿で登場したかと思えば、シーンごとに変わりゆく伊藤の姿を見続けると、時々演じている役者が誰なのかわからなくなるくらいです。
また、伊藤の一貫性ない風貌からは、自己主張とそれに相反する不安定さが感じられ、名越とは違う意味での謎を醸し出しています。
物語としては、名越の不安定さが薄れるに連れて、反比例するかのように伊藤が不安定になっていくのも面白い点でした。
『ホムンクルス』では、成田凌の役者としての器用さが垣間見れる作品です。
この作品を見た後、間違いなく成田凌の他の作品や新作が見たくなることでしょう。
他にも、本作では内野聖陽、岸井ゆきのなどの実力派が脇を固めています。
斎藤あやめ
強面だけども、実は辛い過去や人情派の一面を隠し持っている親分を好演しています。
映画『初恋』の内野聖陽が好きな人ならば、今回の役もヒットすることでしょう。
岸井ゆきのも、主演の綾野剛や成田凌に負けず劣らず七変化する役者だということを、この映画で再認識できます。
決して「美形」というタイプでないのにも関わらず、劇中ではハッとするくらいに美しいシーンが何度もあるのです。
斎藤あやめ
今、見ているものは現実?それとも幻想?
『ホムンクルス』は、トレパネーションによって第六感が開花し、見えないはずのものが見えてしまう体質になった記憶喪失の謎の男・名越の物語です。
第六感が開花したことで、名越は他人のトラウマなど、深層心理が見えるようになってしまいます。
見えるはずのないものが見えてしまう名越。
しかし物語の後半、名越は「見ていた」はずなのに「見ていなかった」という事実がわかります。
記憶をなくす前の回想として、恋人が彼に「何も見えていない。」と罵るシーンが伏線のように思えるくらいです。
結局は、名越は伊藤が言うように「脳が作り出した虚像を見ていた」のかどうか、その真実は物語のラストで描かれています。
映画の「見たいものを見ようとするあまりに、事実を歪めてしまう」点だけに注目すれば、名越のように第六感が芽生えてなくても、私たちにも起こり得ることです。
斎藤あやめ
そう考えると、本作はただのフィクションで終わらない作品といえます。
物語をより深く味わいたいのならば、原作を読んでおくのがおすすめ
映画『ホムンクルス』は、原作を読んでいなくても楽しめる作品です。
115分の尺の中で、しっかり物語として完結しています。
しかしながら、より『ホムンクルス』の世界観を味わいたいのならば、事前に原作を読んでおくことをおすすめします。
斎藤あやめ
ただし、原作と映画ではキャラクター構成などが少々異なりますので、その点はご注意ください。
2021年4月25日から緊急事態宣言が発令された地域では、ほとんどの映画館が休館になっていますが、『ホムンクルス』は4月22日からNetflixでの配信が始まっています。
映画館で見れなかったという人で、Netflixの会員の方ならば、ぜひともチェックしてみてくださいね。
映画『ホムンクルス』あらすじ・感想まとめ
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第六感が目覚める??
禁断の実験…
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期間限定❗️#映画ホムンクルス
劇場にて絶賛公開中
& Netflix 4.22 START pic.twitter.com/64BFK2TiqN— 映画『ホムンクルス』公式 (@homunculus_eiga) April 19, 2021
以上、ここまで映画『ホムンクルス』についてネタバレなしでレビューしました。
- 変幻自在役者の綾野剛、成田凌の新たな一面が見れる良作品
- 主人公が見ている現実と虚像に、観客も巻き込まれてしまう
- より楽しみたいのならば、原作もチェックするのがおすすめ