『ヒンディー・ミディアム』あらすじ・ネタバレ感想!インド版お受験戦争に希望はあるのか!?

映画『ヒンディー・ミディアム』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『ヒンディー・ミディアム』公式ページ

またまた日本に最新作のインド映画が上陸しました。

本作『ヒンディー・ミディアム』は、教育における一大エンターテイメント作品と言っておきます。

世の中が抱える貧困、地域、教育などの格差社会に訴えかけるインドの痛快ヒューマン・コメディ。

ポイント
  • インド版お受験エンターテイメント
  • 親の幸せと子の幸せ
  • 本作のテーマは、万国共通

今作ではインド映画の代名詞であるダンス・シーンは一切ありません。

ミュージカル映画が苦手な方でも、十分楽しめる映画です。

『ヒンディー・ミディアム』作品情報

映画『ヒンディー・ミディアム』作品情報

出典:映画.com

作品名 ヒンディー・ミディアム
公開日 2019年9月6日
上映時間 132分
監督 サケート・チョードリー
脚本 ジーナト・ラカーニー
サケート・チョードリー
アミトーシュ・ナーグパール
出演者 イルファン・カーン
サバー・カマル
ディーパック・ドブリヤル
スワティ・ダース
アムリタ・シン

『ヒンディー・ミディアム』あらすじ


妻ミータ(サバー・カマル)と娘ピアと暮らすラージ・バトラ(イルファン・カーン)は、デリーの下町で結婚衣装を扱う店を開いている。

夫妻は娘の将来を考えて進学校への入学を計画するが、学校は親の学歴や、住んでいる地域も選考の基準にしていた。

高学歴とはいえない二人は、高級住宅地に引っ越してまで面接を受け、全て落ちてしまう。

落ち込む夫妻に、所得の低い人のために入学の優先枠を設けている進学校があるという話が舞い込む。
出典:シネマトゥデイ

『ヒンディー・ミディアム』みどころ

映画『ヒンディー・ミディアム』みどころ

サケート・チョーダリーが監督と共同脚本を担当し、娘の教育に情熱を注ぐ夫婦を描くインド版お受験ドラマ。

娘を進学校に入れようと躍起になる夫婦が、次第に人生で何が大切か気づく。

『その名にちなんで』などのイルファン・カーンが父親、サバー・カマルが母親を演じた。

インドで実際にあった出来事をストーリーに盛り込んでいる。
出典:シネマトゥデイ

『ヒンディー・ミディアム』を視聴できる動画配信サービス

『ヒンディー・ミディアム』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。

なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。

u-next
注意点
  • 動画の配信情報は2019年9月11日時点のモノです。
  • 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。

ご覧のとおり、2019年9月11日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。

動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。

【ネタバレ】『ヒンディー・ミディアム』感想レビュー

お受験映画にまたひとつ、名作が加わりました

お受験とは、どの国でも、どの親子でも必ず避けては通れない人生の通過儀礼みたいなもの。

いい学校、いい大学、いい会社に入って、エリートな人生を歩んでほしいと願う親は世界共通なのでしょう。

しかし、果たしてこの選択肢だけが子供にとっての幸せなのかは分かりません。

多幸であるかはどうかは子供本人によって決まるものです。

エリートな人生ではないですけど、私は今の私が幸せだと言い切れます。

さて、本作『ヒンディー・ミディアム』は、そんな過激な受験戦争に翻弄される、あるインドの家族にまつわるヒューマン・コメディです。

物語に登場する一家は、どちらかと言えば貧困層に部類に入る家族です。

父親は仕立て屋会社の社長。

母親はもっとも典型的な専業主婦。そして、メイドも引くぐらいの過保護な上にヒステリックな女性です。

娘の将来の心配をするばかり、いつもマイナスな発言ばかり。

お決まりは「もし子供が鬱になって、クスリ漬けになってしまったら」と旦那に脅しのようにたたみ掛けます。

この決め台詞が終始登場し、その度に気弱な夫を困らせます。嫁の機嫌取りに気を取られてばかりです。

旦那がいつも自分の意見が言えない典型的な女性優位な夫婦関係が観ていて笑ってしまいそうになります。

こんな夫婦で、果たして子供の受験は成功するのでしょうか?

笑わせも、泣かせてもくれる痛快お受験映画の登場です。

幸せの尺度は、人によって違います

物語を追いながら、ふと私は感じました。

作中の親は子供のために、一生懸命に受験へと奮闘します。

しかし、本作は一貫して、ずっと夫婦の視点からしか描かれていません。

テストや面接を受けるのは親でしょうか?子供でしょうか?

残念ながら、本作には子供の視点や意見がひとつも取り入れられてないことに少し違和感を覚えました。

親の一方的な偏った思考に子供は翻弄されっ放しです。小さな子の声にも耳を傾ける設定も欲しいと思いました。

いい学校に通わせたい、自分のように子供を不幸にはしたくない。だからこそ、受験させたい。

その気持ちは分からなくもないけど、目的に向かって頑張っているのは親だけのように見えました。

あえてそのような演出をしているのかも知れませんが、やはり親と子の二人三脚で目標に向かって頑張る姿が見たかったのです。

しかし、その反面で私は現代インドの社会的問題を知ることができました。

貧困や教育といった世の中にある格差についてです。

国の発展と共に富裕層も増えつつあるインドには、まだまだ困窮に喘ぐ多くの国民がいることを忘れてはなりません。

物語の中盤で、夫婦がお受験の不正を隠すために、貧困層に紛れて生活する場面は、今のインド社会を写してるようでした。

そういった描写でも、重くならずに軽快に話を進める演出は、こちら側も安心して鑑賞できます。

もしかしたら、この路地裏のような汚い地域で、夫婦が悪戦苦闘する姿が本作の見どころのひとつかも知れません。

貧しくても、たくましく生きる人々が一番幸せに見えてなりません。

幸せの基準は人によって違います。

お金をたくさん持って幸福と感じる人もいれば、その逆の人だっています。

本作は、そんな幸せについて教えてくれています。

富裕層、貧困層関係なしに子供たちにはチャンスを

日本に限らず、子供のためなら苦労を惜しまない親はいないと思います。

本作のインド人夫婦もまた、努力に努力を重ねて、子供を進学校に入学させようとします。

進学のためなら手段は選ばず、物語が進むにつれて過激さが増していきます。

作品の冒頭から、富裕層が住む地域にわざわざ引っ越しをする場面があります。

その後も、何かにつけては地域の人と肩を並べるために背伸びをしています。

そんな姿を見ると、親も大変なんだと第三者の視点から考えてしまうものです。

ただ、この物語に登場する夫婦には欠点があります。それは、どうも親のエゴでしか子供の将来を図れないこと。

子供の意見に耳を傾けない典型的なダメ親像です。

しかし、この作品でもっとも伝えたいことは、ありきたりですが格差社会の歪みにはまった貧困層の存在です。

この問題を「子供の受験」というフィルターを通してしっかり描き、訴えようとしています。

作品の最初は、富裕層の家庭の暮らしぶりであったり、お金持ちの生活を映像で表現しています。

話が進むと、中盤から終盤にかけて、貧困地域に住む住民にもスポットが当てられていきます。

主人公のイルファーン・カーン演じるラジ・バトラは、とても弱気な男として描かれていますが、貧困層の住民として成りすまして不正入学したことに心悩まされ、落ち込みます。そんな優しい男です。

良心の呵責から、学校の校長に不正をしたと正直に話しても、まったく取り合ってもらえません。

ラジは意を決して、校長の告発を行います。この場面では、本作の中でもっとも印象深いシーンです。

学校長の考えを否定するために、ラジが発案した計画のもと、子供たちが壇上で発表会を開催させます。

ただ、少し違っているのは、この子たちはみんな私立に通う秀才たちではく、公立の小学校の子供たちなのです。

でも、誰もが抜きん出て輝く才能の持ち主。

ラジは、きっとこう訴えかけたかったと思います。

裕福だろうが、貧困だろうが、子供たちにはみんな平等にチャンスを与えてほしい。

幼い頃から備わった小さな才能を、大人たちのエゴのために摘み取らないでほしいと、問題提起したのでしょう。

どの子にも等しくチャンスは訪れてほしいものですね。どの子供にも、チャンスは必ずあるはず。

もちろん大人にだって、同じく絶好の機会はあるはずです。

『ヒンディー・ミディアム』まとめ

以上、ここまで映画『ヒンディー・ミディアム』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • お受験を通して描かれる家族像に感動できます
  • 家族の幸せとは何かを改めて考えさせられます
  • どんな人間にも、平等にチャンスは訪れます