登山家・冒険家が一度は憧れる聖地ヒマラヤの最高峰エベレスト。
何度も何度もチャレンジしたくなるエベレストには、いったいどんな魅力があるのでしょうか?
『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』はヒマラヤ8,000メートル級高峰14座を世界で9番目に、そしてアジア人で初めて制覇した伝説の登山家オム・ホンギル氏が、エベレストを下山中に不慮の事故で死んだ最愛の愛弟子パク・ムテク氏の遺体を回収しに向かった実話を映画化しています。
オム・ホンギルを演じるのは、『国際市場で会いましょう』『哭声/コクソン』などで知られる韓国映画界の名優ファン・ジョンミン、そしてホンギルの愛弟子パク・ムテク役には『興夫』や『応答せよ1994』に出演のチョン・ウ、ムテクの妻役には『82生まれ、キム・ジヨン』のチョン・ユミと豪華キャストが揃っています。
- 実在の人物オム・ホンギル氏の体験を映画化
- 登山家・冒険家を魅了させる聖地「エベレスト」の本当の姿とは?
- 山の美しさ・厳しさなどをリアルに表現
それではさっそくネタバレありで『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』をレビューしていきたいと思います。
目次
『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』作品情報
作品名 | ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜 |
公開日 | 2016年7月30日 |
上映時間 | 124分 |
監督 | イ・ソクフン |
脚本 | スオ ミン・ジウン ユン・ジェギュン イ・ソクフン カン・テギュ パク・スジン イ・ジョンソク |
出演者 | ファン・ジョンミン キム・イングォン ラ・ミラン チョン・ウ チョ・ソンハ キム・ウォネ チョ・ダルファン チョン・ユミ ユソン |
音楽 | ファン・サンジュン |
【ネタバレ】『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』あらすじ・感想
過酷なロケーションと臨場感、壮厳で雄大な自然の凄さをリアルに体感!
『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』の見どころでもある、過酷な登山シーンはかなりリアルです。
キャストと撮影スタッフは実際に韓国国内の岩壁や氷壁のジムでオム・ホンギル氏の元しっかり厳しい訓練を受けてから撮影に臨んでいます。
また、韓国国内の山はもちろん、実際にヒマラヤ山脈やフランスのモンブランなどの登山家たちの「聖地」で撮影を行っています。
かとリーニョ
透き通った空気の中に見える雄大な山岳風景や、はたまた死と隣り合わせの過酷な吹雪、氷と雪の空間に聞こえるアイゼンやピッケルの音なども、雪山の雄大さや怖さを感じさせます。
かとリーニョ
大半が男性キャストの中、紅一点で過酷な山岳での撮影に参加していたのが、チョ・ミョンエ役を演じるラ・ミラン。
かとリーニョ
韓国も日本と同様に山の多い国で登山もメジャーなスポーツであり、出演者が着用しているアウトドアブランドのウエアも、通なブランドです。
かとリーニョ
出会いは「敵意」でも死ぬまで「師弟」
ヒマラヤを幾度も経験してきたホンギルは、いつものメンバーに加えて若手のメンバーを投入。
その中の一人に傲慢な若者パク・ムテクがいました。
「山をなめてはいけない!」と言うホンギルの言葉を傲慢なムテクは無視していましたが、やはり山で体力が限界に。
ホンギルの長年の経験を信じるようになったムテクは、ホンギルに嫌われながらも弟子にしてもらうよう真剣に登山に取り組みます。
そのうち、ホンギルは弟子として笑顔でムテクをしごいたり、ムテクの元カノ話で号泣したり、ホンギルがいぬ間にムテクがサムギョプサルを食べ怒られたりと、2人の絆は深まっていきます。
かとリーニョ
かなりの悪天候の中、ムテクを心配したホンギルは先に山を下りるよう指示をするのですが、「今さら帰れと言われても、もう帰り道がわかりませんよ!」と、ムテクは開き直ります。
幸いなんとか天候は回復して登頂でき、相当危険な状況の中、共に試練を乗り越えたムテクをホンギルは愛弟子として信頼するようになります。
ここからホンギルとムテクの快進撃が始まり、ムテクもホンギルの変わりに若者を指導する立場にもなっていき、「ホンギルの後はムテクがしっかり継いでくれるな」と周りの登山仲間もムテクを信頼していくのです。
ですが、そんな中でホンギルに悲しい出来事が起こります。
ホンギルの引退と、ムテクの訃報
とある大学の講義を終えたホンギルは学内の階段でつまづき足の違和感を感じます。
病院に行くと衝撃的な一言を医師から伝えられます。
「ホンギルさん、登山を引退しなければ一生歩けなくなる」
山を愛し、山一筋で生きてきたホンギルには実に酷な話で未練も残っています。
ですが、家族の説得により山を引退すると決断したホンギル。
かとリーニョ
愛弟子ムテクを信頼し、自分の変わりを務めてもらえると思ったからこそホンギルは引退を決められたのです。
そしてホンギル不在で初めてムテクがヒマラヤ隊を率いますが、この日もムテクに試練を与えるかのように、非常に過酷で最悪な天候が続きます。
ムテクは隊長としてやはり隊員を置いては行けないと、自ら遅れた隊員の補佐に行きますが、そこで突風が吹いてムテクのゴーグルが破損し、強い山の光で目がやられてしまいます。
歩けない状態になったムテクは、ここで力尽きてしまうのです。
ムテクの訃報を偶然テレビで見たホンギルは、「まさか」とテレビの前に呆然と立ち尽くします。
そしてすぐにムテクの葬儀へ向かうのですが、そこではムテクの母とムテクの可愛い妻スヨンが待っていました。
スヨンには、「ホンギル師匠が一緒ではなかったから、彼は死んだのです!」と言われ、ムテクの母からは、「息子は亡くなっても、”遺体”がないのです!!」と聞きます。
胸をえぐられるような言葉を聞いたホンギルは、ある決意をします。
「ムテクを迎えに行く…」
ムテクの遺体を韓国に持ち帰らなければと思ったホンギルは、自らの足のことを顧みず、再びヒマラヤに上ることにしました。
ホンギルは妻ソノに話をし反対を押し切ります。
ホンギルは昔の仲間を誘いに行きますが、どのメンバーもムテクの死をいまだ悲しみ、そして助けられなかった自分を悔やみ、山から離れてしまっていたのです。
紅一点のミョンエは自然公園でガイドをやったり、古参のムヨンは新しい仕事に就職が決まったりと、皆がそれぞれの新たな道を歩んでいました。
それでも、ホンギルは一人でもムテクを迎えに行くつもりでいました。
ホンギルの師匠とも呼べるドンギュ前隊長にも散々止められながらも準備を進めるホンギルでしたが、ある時いつもの酒場に次々と、昔の仲間が集まってきます。
みんなホンギルにと一緒にムテクを探しに行くと言ってくれたのです。
ホンギルからも仲間からも久々に笑顔があふれ、希望に満ちた瞬間でしたが、それからすぐにヒマラヤ登山、そしてムテクの遺体探しに向けて再び準備が始まります。
ヒマラヤのベースキャンプに着くと、また一段と緊張感の高まるメンバー。
そして、現地はいつものように散々な天気で迎えてくれています。
かとリーニョ
夫は、そこにずっといたいみたいです
ムテク捜索の日、ムテクの妻スヨンもヒマラヤのベースキャンプに駆けつけていました。
ホンギルがムテクを探してくれると聞き、何か自分にもできないかと言うスヨン。
ですがホンギルは、「危険な場所になぜ来た!帰れっ!」とスヨンに言います。
するとスヨンは「今さら帰れと言われても、もう帰り道がわかりませんよ!」と言い返しました。
どこかで聞いたことのあるフレーズに、ホンギルはスヨンが残ることを認めてしまいます。
この日も本当に危険な天候です。
そんな中でも「デスゾーン」と呼ばれる特に危険な場所にムテクと隊員たちが眠っていました。
「家族が待ってるぞ!こんなところで寝てるな!」
「一緒に帰らないと!」
すでに遺体となって眠っているムテクたちに、今までためていた感情をありったけ吐き出したホンギルは、いよいよ遺体を連れて帰ろうとするのですが、最悪な天候の中で体力の限界が来ていました。
隊員たちが「隊長、もう無理ですよ、帰りましょう」と説得しても、聞かないホンギルにスヨンが無線で
「隊長!夫はどうやら、ここにいたいみたいです!ありがとうございます!なのでどうか無理せず、無事に下りてきてください!」
と叫びます。
ホンギルはスヨンの言葉を汲み、一緒に参加してくれた隊員たちに感謝し、山を下りることにします。
そしてスヨンには、「すまない。」と言い残しました。
登ったら、無事に降りることが大事
かとリーニョ
「無事に登り、無事に降りること」が登山のすべてだと分かります。
確かに、登るのも大事ですが下りの方がもっと大事だというのも聞いたこともあります。
劇中でムテクが、とある山で一緒になったTVのクルーに「頂上に登ったら次はどうしますか?」と聞かれ、「登ったら、降りるしかないだろ?」と答えていました。
かとリーニョ
映画では、スヨンの一言で遺体の回収を諦めたと描かれていますが、実際はホンギル氏の判断と指示で、比較的安全で穏やかな場所に安置されたようです。
そして奇跡的に天気の回復もあったようで、ムテクが安らかに眠っていることも確認できたそうです。
ヒマラヤを題材にした映画は日本では『植村直己物語』などがあります。
色々な山岳映画を見比べるのも面白いです。
かとリーニョ
『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』あらすじ・ネタバレ感想:まとめ
以上、ここまで『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』についてご紹介させて頂きました。
- 山にありったけの情熱を注ぐ山岳映画
- 最後のムテクの妻スヨンの一言に号泣と拍手
- 危険な山ほど「無事に下りることの大切さ」がわかる