『ヘルタースケルター』あらすじ・ネタバレ感想!沢尻エリカの体当たり演技も話題となった衝撃作

映画『ヘルタースケルター』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:abema.tv

眼球と爪と耳とアソコ以外すべて作り物。

そんな完璧な美をもったカリスマモデルの生き様。

まさに本作『ヘルタースケルター』は、映画というより事件である。

ポイント
  • 「最初に一言。笑いと叫びはよく似ている」ここから引き込まれるストーリー
  • 主演の沢尻エリカが“この作品で、これまでのすべてが必然だったと証明してみせる”と言い切った作品
  • まるでジェットコースターに乗っているような目が回るほどの極彩色の世界

それではさっそく『ヘルタースケルター』をネタバレありでレビューしたいと思います。

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『ヘルタースケルター』作品情報

『ヘルタースケルター』

(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会

作品名 ヘルタースケルター
公開日 2012年7月14日
上映時間 127分
監督 蜷川実花
脚本 金子ありさ
原作 岡崎京子
出演者 沢尻エリカ
大森南朋
寺島しのぶ
綾野剛
水原希子
新井浩文
鈴木杏
寺島進
哀川翔
窪塚洋介
原田美枝子
桃井かおり
音楽 上野耕路
主題歌 浜崎あゆみ「evolution」

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【ネタバレ】『ヘルタースケルター』あらすじ・感想


すべてを意のままにするスーパーカリスマモデルりりこ(沢尻エリカ)

映画『ヘルタースケルター』

(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会

若い女子たちに絶大な人気を誇るカリスマファッションモデル・りりこ(沢尻エリカ)。

本名も年齢も何もかも素性は未公開、顔もスタイルも抜群で誰もが羨み憧れるモデルです。

完璧な外見を武器にして数々のファッション誌の表紙を総なめにしたり、街を見渡せば雑誌、広告、テレビ、映画もうどこを見てもりりこ一色。

欲しいものはすべて手に入れることが可能なまでの美貌。

映画『ヘルタースケルター』

(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会

しかし実はその外見は、眼球と爪と耳とアソコ以外すべて作り物でした。

全身にわたる美容整形のたまものだったのです。

それは、ごくわずかな身近にいる人間のみが知っているトップシークレットでした。

ただ一人、筋肉と皮膚にズレがあるとして見抜いた男、検事の麻田誠(大森南朋)を除いては。

麻田は、りりこの全身整形を担当している美容クリニックに目をつけていました。

クリニックが犯している不正の疑惑、それをりりこを通じて暴こうと画策します。

なにも知らないりりこは、毎日マネージャーの羽田美知子(寺島しのぶ)を奴隷のようにして扱い、時に交際相手の御曹司・南部貴男(窪塚洋介)との情事にふけり、また大事な仕事の取引先である社長の浜口(哀川翔)との枕営業に対応していました。

映画『ヘルタースケルター』

(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会

そんなある日、自宅でりりこは額に黒いアザができていることに気が付きます。

ぶつけた記憶もない、謎のアザ。それは整形の後遺症の一端でした。

壊れ始める美しさ、心。

人気カリスマモデルの秘密を知る数少ない人間の一人、所属事務所の社長・多田寛子(桃井かおり)。

事務所の商品である“りりこ”の生みの親であり、すべての仕掛け人です。

アザをメイクで隠す際にはメイク担当の沢鍋錦二(新井浩文)に口止め料を渡すほど、りりこの秘密に対して神経をとがらせ徹底して隠し通します。

りりこは外見を維持するために全身を定期的にメンテナンスしており、そのために美容クリニックに通っていました。

クリニックは患者から法外に高額な報酬を得ていて、美貌を手に入れるために通い出した患者の中には治療費が払えずに維持できなくなる人たちが続出していました。

せっかく手に入れた外見が崩れ、手直しすることも元に戻すことも叶わずに自殺する人もいました。

りりこはいつしか自分の美貌、作り物の美しさが失われることに対して恐怖を覚えていきます。

映画『ヘルタースケルター』

(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会

副作用のアザも増え、不安は増していき、精神にまで変調をきたし始めます。

そんな折、りりこの妹・千加子(住吉真理子)が会いにやってきました。

忙しいスケジュールの合間を縫って再会、久しぶりに姉妹は会話を交わします。

素朴な田舎の娘といった見た目の千加子、まったく違う生き物のような美しい見た目のりりこ。

千加子は「お姉ちゃんは強いから綺麗になれた」と言いますが、りりこは「綺麗になれば強くなれる」と返しました。

嫉妬、嫉妬、止まらない暴走

りりこの所属事務所に、新しく吉川こずえ(水原希子)というモデルが入ってきます。

事務所の方針で共に仕事をする機会が多くなる二人。

こずえは、りりこと違い整形手術も何もしないまま生まれ持った天然の美を誇るモデルです。

自分とは違う、作り物ではない美しさに嫉妬するりりこ。

しかし、嫉妬を煽るように、こずえの人気は上昇していきます。

事務所の稼ぎ頭になるまでトップモデルとして台頭したこずえに対して、りりこは自分の地位が揺らいでいくことに焦り、精神の変調も加速してドラッグにまで手を出します。

さらに追い打ちをかけるように交際相手の南部が政治家の娘と婚約しました。

そんなはずはない、愛されているのは自分だと南部を問いただしますが、“婚約は形だけだ”とはぐらかします。

ただでさえ不安定だったりりこの暴走は、怒りによってさらに度を越えて、マネージャーの羽田に命令して南部の婚約者を襲撃させ、顔に重傷を負わせました。

ある日、検事の麻田がロケ中のりりこを訪ねてクリニックの不正を暴く資料を渡します。

映画『ヘルタースケルター』

(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会

それを見て事実を知ったりりこに、クリニックの数々の悪事を白日の下にさらす際の証人になってもらうことが麻田の目的でした。

しかし、今の不安定なりりこには火に油をそそぐようなものでした。

激しく動揺し、南部の婚約者を襲撃させた時と同じく、こずえを襲撃するようにと羽田に命令します。

絶対命令にそむくことのできない羽田は、こずえにカッターナイフを向けますが、こずえは一切ひるみませんでした。

それどころか肝の据わった態度で芸能界の移り変わりの早さを自覚していることを伝え、襲撃を断念させたのでした。

頂上からの転落、そして…

映画『ヘルタースケルター』

(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会

もう何も思うようにいかなくなってしまったりりこは、番組の収録中に幻覚を訴え、奇行をさらして倒れました。

事務所の社長からは休養を命じられ、それすら切り捨てられてしまったと思い込み、羽田に八つ当たりしました。

羽田は独断で、りりこが麻田から受け取っていたクリニックの資料をマスコミ各社にリークしました。

民衆が喜ぶスキャンダル、クリニックの不正は大々的に報じられて、りりこの秘密も報道されてしまいます。

麻田は上司からデータの漏えいをとがめられますが、これこそが麻田の計算でした。

もはや渦中の人となってしまったりりこについて、元交際相手として取り調べを受ける南部からは“こんな女とは関係がない”と突き放され、負の連鎖に限界を迎えたりりこは記者会見を開きます。

りりこはたくさん集まったマスコミのフラッシュの中、突然ナイフを取り出して自分の右目に突き刺し、その場から去りました。

スキャンダラスな事件から月日が流れ、あっという間に風化して、世間は新しい話題で持ちきり。

こずえは今でも第一線で活躍するモデルです。

撮影のために訪れた異国の地で“やばい場所がある”とスタッフから紹介された店に足を踏み入れると、そこには片目に眼帯をつけたりりこがいました。

キャスト陣が好きなら絶対楽しめる作品!

『ヘルタースケルター』の記事を書くにあたって、基本情報をさらっていたら2012年公開の映画ということを知って驚きました。

vito

もうちょっと最近かと思ってた。

監督を務めた蜷川実花の写真にもあるような特有の色使いによって、絵面がビビットカラーで鮮明に残るというのもありますし、ストーリーもなかなかに衝撃的だったからかなと思います。

話自体は幾重にも連なる伏線を徐々に回収…みたいなタイプではなくて、主人公・りりこを中心にスピード感をもって進む単純な話です。中身がないって言ってるわけじゃなく。

芸能界に抱きがちな整形、枕営業、業界人同士のいさかいみたいなものをエンターテイメント色強めに面白く仕上げたなぁという印象です。

そして主演が沢尻エリカ、恋人役に窪塚洋介、ライバルは水原希子、マネージャーが寺島しのぶで、その恋人が綾野剛ときたら目の保養感がハンパじゃない。

vito

原作の「ヘルタースケルター」では、りりこのマネージャーは若い女の子なんですが、今作で演じた寺島しのぶの生々しさにコレはコレでアリ!ってなりました。

R-15作品なだけあって、いわゆる濡れ場的なシーンもいくつかあります。

りりこと南部とか社長とか、羽田と奥村とか、りりこが奥村としてるのを羽田に見せつけるシーンとか。

vito

えっ…書き出してみたら思っていたより多い…(笑)

それはそれとして、原作漫画から実写に起こしたからなのか、場面場面がコマっぽく感じました。

印象に残るシーンが頭の中にコマとして残っているだけの話かもしれないけど、動画としてシーンがあるというよりは写真のようにコマとしてあるイメージ。

vito

もちろん見た人それぞれの受け取り方によるんでしょうけど、私としては全体的に動く写真集みたいだなぁと感じました。いい意味で。

主人公を演じた沢尻エリカについて

映画『ヘルタースケルター』

(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会

何より主人公に、沢尻エリカをキャスティングしたのが一番グッとくるところです。

vito

正直、他の人が演じていたら見ていなかったでしょうね。

ちなみに本作『ヘルタースケルター』で、沢尻エリカは第36回アカデミー賞の主演女優賞を獲得しています。

vito

どのシーンも可愛い。すごく可愛い。劇中の雑誌の表紙も、笑ってる顔も怒ってるところも泣き顔も全部が可愛い。

一番好きな場面は「もうやだ、こんな仕事やめたい」って泣きわめくところ。

女優のなかで一番好きっていうわけでもないけど、私がこれまでに観た映画のなかでダントツに可愛い女優です。

「別に」発言から良くない印象をもった人も多いだろうけど、良くも悪くも注目された女優。

華奢で顔も可愛い、なんだか情緒が危うそうな雰囲気。

見た目も雰囲気もりりこにぴったりだと思いました。

vito

沢尻エリカ自身も、りりこに通じる何かがあったのかどうかはわかりませんが、撮影後なかなか役が抜けずに不安定な日々を過ごしていたと映画公開当時の舞台挨拶をキャンセルした際に、監督の蜷川実花が明かしていました。

監督・蜷川実花について

監督を務めた蜷川実花は、映画監督としては2007年の『さくらん』に続く二作目。

vito

写真家としての顔の方が有名ですが、一目見ただけで蜷川実花の作品だとわかる独特の色使いの感性を持っている人だなぁと思います。

ビビッドな色使いは『ヘルタースケルター』でもばっちり印象に残りました。

絵面であったり監督の頭の中にある絵、場面を押し出したかったのか、ストーリーとしてはつぎはぎ感がぬぐえない感じ。

原作を知っていれば脳内補完ができるかな、くらいの作品。

でも、この作品においてはそれでよかったんだと思います。

今作『ヘルタースケルター』って、パッと思い浮かべたときに私は色としては真紅と青が浮かびます。

赤系の色はりりこの部屋だったり衣装だったりそこかしこにあって、青はりりこが見た幻覚のなかで舞う蝶々の色が印象的で。

vito

私が初めて蜷川実花の作品を手に取ったのは、赤坂真理の「コーリング」という小説の表紙でした。

図書館で面白そうな本はないかなぁと探していた時に目に留まった表紙。

きれいな青空に赤い花がそよいでいる写真なんですけど、まさに私の中の「THE 蜷川実花」っていう色使いでした。

むしろそれが焼き付いているから、今日にいたるまで彼女の印象が赤と青に固定されてるのかもしれませんけど。

vito

ヘルタースケルターという言葉自体の意味は「しっちゃかめっちゃか」「らせん式の滑り台」などがあるのですが、まさにそれを視覚で体感するような作品に仕上がったのは監督の力によるものかな、と思います。

『ヘルタースケルター』まとめ


以上、ここまで『ヘルタースケルター』について感想を述べさせていただきました。

要点まとめ
  • 美しさとは?若さとは?欲望とは、愛とは何か?かつてないヒロイン像に震撼せよ!
  • 沢尻エリカが言った“この作品で、これまでのすべてが必然だったと証明してみせる”の意味を感じ取ってほしい
  • とにかくキャスト陣・監督の蜷川実花が好きなら見て損はしません!

※2019年11月16日に沢尻エリカさんは、とある事件を起こしてしまいましたが、本作『ヘルタースケルター』は沢尻エリカさんが女優としてもっとも覚悟を決めた作品であり、エリカ様中毒の皆さんには間違いなく最高の作品です!

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