『ヘルボーイ(2019)』あらすじ・ネタバレ感想!新感覚アメコミ、地獄のダークヒーローがR15指定で降臨

映画『ヘルボーイ』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『ヘルボーイ』公式ページ

真紅の体のダークヒーローが再始動。

地獄生まれのヘルボーイが、世界を救うため最強の魔女に立ち向かう新感覚アメコミ映画です。

ポイント
  • ギレルモ・デル・トロ版からすべてを一新。新生『ヘルボーイ』は原作により近いテイストです。
  • 美しきヴィランにミラ・ジョヴォヴィッチを、監修に原作者マイク・ミニョーラを迎えた意欲作です。
  • R-15も納得のホラー。ゴア描写がてんこ盛り!この地獄絵図は予想以上。

それではさっそく映画『ヘルボーイ(2019)』をネタバレありでレビューしたいと思います。

『ヘルボーイ(2019)』作品情報

作品名 ヘルボーイ
公開日 2019年9月27日
上映時間 120分
監督 ニール・マーシャル
脚本 アンドリュー・コスビー
マイク・ミニョーラ
原作 マイク・ミニョーラ
出演者 デヴィッド・ハーバー
ミラ・ジョヴォヴィッチ
イアン・マクシェーン
サッシャ・レイン
ダニエル・デイ・キム
トーマス・ヘイデン・チャーチ
音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ

【ネタバレ】『ヘルボーイ(2019)』あらすじ・感想


比較されることを避けては通れない、デル・トロ版『ヘルボーイ』とはどんな映画?

『ヘルボーイ』は2004、2008年にギレルモ・デル・トロ監督の手によって映画化された、ダークホースコミック刊行のアメコミシリーズです。

主人公のヘルボーイは、2メートルを超える深紅の巨体の持ち主です。

切り株状にになっている二本の角と長い尻尾が特徴で、右腕は分析不可能な巨大石状物質。

魔力は持っていませんが、世界を終末に導く力が秘められている。そんな男です。

このヘルボーイに惚れ込んだのが、鬼才ギレルモ・デル・トロ監督でした。

「ロン・パールマンのヘルボーイ」を撮るため、制作会社ともめてまで作り上げたのが、2004年に公開された『ヘルボーイ』で全米で大ヒットを記録することになりました。

しかし、この『ヘルボーイ』は近年のマーベル作品などと比べると、マニアックなファンに受けそうなタイプの映画でした。はっきり言えばB級アメコミ。

ヒットを受けて4年後に作られた『ヘル・ボーイ/ゴールデン・アーミー』ですら、製作費は8,500万ドルでした。

同年公開の『アイアンマン』1作目の製作費が1億4,000万ドルだったことを考えると、2004年版『ヘルボーイ』の製作費6,600万ドルは低予算に分類されるでしょう。

それでも原作者マイク・ミニョーラ自らが多数のデザインを担当し、オタク魂全開のデル・トロ監督が脚本も書いた『ヘルボーイ』は原作ファンも絶賛。

オカルト要素満載で、デル・トロ監督の持ち味とぴったりマッチ。

主人公のヘルボーイを演じたロン・パールマンにいたっては、ハマり役過ぎてびっくりするレベルでした。

魅力的なキャラクラー、幻想的なビジュアル、ユニークな世界観とクリーチャーたち。

しかし、私のように熱狂的なファンが続編を待ち続けること9年。

デル・トロ監督の口から企画が完全に消滅したこと、100%続編はないことがついに告げられました。予算が大きな問題だったようですが。

それから2年。なんとスタッフ、キャスト、すべてを一新して『ヘルボーイ』が製作されることが決定します。

『ヘルボーイ』は続編ではなく、再始動して新生『ヘルボーイ』として、スクリーンにカムバックすることになったのです。

2019年版『ヘルボーイ』は、今までになく残虐で容赦のないゴア描写が満載です。

新生『ヘルボーイ(2019)』は、暗黒時代からスタートします。

アーサー王とマーリンが、最強の魔女ブラッドクイーン・ニムエを欺いて倒した後、死なないニムエの身体を七つに切断し、英国のあちこちに封印するのです。

ここでもう観客は、物語の大筋が読めてしまうでしょう。

「ああ、魔女が現代で蘇って、ヘルボーイたちと戦うんだな」と。

そして実際、その通りの物語が展開されます。

しかしここまでのシーンで、今までのアメコミ映画にはなかったきついゴア描写や、オカルトホラーのような薄気味悪さなど、王道ヒーローものとの違いを見せつけられ、物語の先に興味を引かれることになるのです。

そして、時は現代。超常現象調査防衛局「BRPD」のエージェントとして、活動しているヘルボーイ。

英国のオシリスクラブから巨人退治の協力要請を受けたヘルボーイは海を渡りますが、そこで自らがナチの実験によって赤子の時に地上に現れとことを知ります。

その上ヘルボーイを殺すことが目的だったオシリスクラブのメンバーたちから、命を狙われることになります。

何とか命拾いした後、現れた巨人とも戦ったヘルボーイを助けたのは、ヘルボーイが助けたことのあるアリスという若い女性でした。

ヘルボーイの養い親であるブルーム教授や、特殊部隊を率いるダイミョウがアリスの家を訪れ、ヘルボーイにニムエが完全に復活しようと動いていることを告げます。

ニムエの身体の一部が隠されていると知りオシリスクラブに向かう一行ですが、すでにクラブのメンバーたちは皆殺しにされた後。

霊媒体質であるアリスの力で、悪魔の子であるヘルボーイを王にしようとニムエが企んでいることを知ります。

何とかニムエを見つけて戦いを挑むヘルボーイですが、ニムエはアリスに毒を投げつけ逃亡します。

アリスを救うため、ヘルボーイはマーリンの墓を訪ねます。

そしてマーリンの願いを聞く約束で、アリスを救ってもらうのでした。

マーリンの願いは、伝説の剣・エクスカリバーを抜けということ。

何とヘルボーイの母親は人間で、しかもアーサー王の血を引いていたのですが、地獄で悪魔との子・ヘルボーイを出産したのでした。

ニムエを倒せるエクスカリバーを抜こうとするヘルボーイですが、その時あるヴィジョンを見ます。

それはエクスカリバーを持ったヘルボーイが、魔物たちと一緒に地上を火の海にするものでした。

エクスカリバーを抜くことを止めたヘルボーイに失望し、マーリンは消えてしまいます。

ロンドンに戻ったヘルボーイたちは、再びニムエと対峙します。

そんな中、ブルーム教授が犠牲になり、命を落としてしまいます。

父親を亡くした悲しみと怒りで、ニムエの思惑通りエクスカリバーを手にするヘルボーイ。

すると折っていた角が復活、あるべき姿である地獄の子へと変貌します。

同時に地獄(異世界)へとつながる門も開かれ、次々と魔物が出現。

逃げ惑う人たちは無残に殺され、さながら地獄絵図のようになるロンドン市街。

しかし、アリスが呼び出したブルーム教授の魂の言葉が届き、自我を取り戻すヘルボーイ。

エクスカリバーで見事にニムエの首を斬り落とします。

魔物たちも姿を消し、ヘルボーイは閉じかけている門の「あちら側」へ、まだ生きているニムエの首を投げ入れるのでした。魔女が地上に二度と蘇らないように。

こうして地上は救われ、ヘルボーイはアリスや実はジャガー人間だったダイミョウとともに、新たな任務に駆り出されるのでした。

まさかのアーサー王伝説が絡んできた、新たなヘルボーイの物語は目を背けたくなるような魔物たちが次々と出てきて、デル・トロ版と同じノリを期待していくと驚くこと間違いなし。

ここまでグロい魔物や魔女たちが、しっかり描かれる物語。しかもヒーローものは稀だと思います。

何せキスシーンも美しくないんです。こんな汚いキスシーンは観たことない、というくらいに。

イケメンや美女ばかりのヒーロー映画は、ちょっと食傷気味かも。

そんなことを思ったことがある人に、ぜひおすすめしたい「ヒーローの物語」に仕上がっています。

ただ、監督のニール・マーシャルが残酷で暴力的な描写が得意というだけあり、ホラー・グロ・ゴアの三拍子が綺麗に揃っているので、これは無理という方も出てくる映画でしょう。

ニール・マーシャルは映画『ディセント』で有名ですが、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ハンニバル』『ウエストワールド』『コンスタンティン』などで監督をした回があります。

『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン2の第9話「ブラックウォーターの戦い」やシーズン4の第9話「黒の城の死闘」を見た方なら、マーシャル監督の作風が想像できるかと。

死体の目をカラスがつついても、腐敗しているかのような外見のおぞましい魔女が出てきても、人間が串刺しになっても、大量の血しぶきが飛んでも、平気な方。

あなたは大丈夫です。きっと最後まで楽しめると思います。

ミラ・ジョヴォヴィッチの妖艶さ、半端ないです。

『ヘルボーイ』のヴィラン、ブラッドクイーンことニムエを演じたのは、ミラ・ジョヴォヴィッチ。

ぱっくりと開いた胸元のドレスが、女性の目から見ても大変セクシーでお美しくあられました。

悪役だ、魔女だとわかっていても、あまりのセクシー美女っぷりについつい目を奪われてしまいます。

何せ話し方もどこかセクシーなんですよね、ミラ。

まさに妖艶という言葉がぴったりでした。首だけになっても綺麗とか、さすがとしか(笑)

演じていたニムエも協定を結ぼうとしたところを、アーサー王とマーリンにだまし討ちされました的な描写なので、そりゃあ人間に復讐したいよね、とちょっと同情しそうになってしまいました。

ブルーム教授を殺したところで、これはアカンとなりましたが。

ミラ・ジョヴォヴィッチはやはり『バイオハザード』シリーズが代表的な作品になりますが、『フィフス・エレメント』や『ジャンヌ・ダルク』でも、演技力も当然なんですが美しさに目を引かれます。

大ヒットはしませんでしたが『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』のミレディ役はかなりのハマり役だったんですけれど、続編は残念ながらお蔵入り。

ミラの夫でもあるポール・W・S・アンダーソンが監督で、俺の妻を世界一綺麗に撮れるのは自分だと言わんばかりの映画でした。

とにかく綺麗でかっこよくて、セクシーで憎めない、何とも魅力的なミレディが観られる映画なので、未鑑賞の方にはおすすめです。

なかなか豪華なキャストが、顔をそろえていますから。

新しい『ヘルボーイ』の問題点と、それでもおすすめする理由

物語はかなり駆け足だったので、少し消化不良な面もある『ヘルボーイ』。

キャラクターたちの過去があっちもこっちも絡まっていて、秘密組織も色々出てくる、過去にはナチスやラスプーチンも関係していて、極めつけがアーサー王伝説。二時間に盛り込み過ぎです(苦笑)

いっそドラマで製作した方が良かったのではと思いもしますが、ヘルボーイと巨人の戦いや、魔物が暴れるシーンの迫力は大画面だからこそかもしれず、難しいところです。

設定などは大変面白く、キャラクターも個性的で、ヘルボーイが大好きだからこその不満はCGが少し荒いこと。そして回想シーンが少し多いこと。

ゴア描写などはかなり攻めている映画だからこそ、クライマックスがちょっとあっさり過ぎた感も何とももったいなくて。惜しいんですよねえ。

デル・トロ版が魔物への愛にあふれた映画でどこかナイーブなヘルボーイを描いていたのに対し、マーシャル版は繊細さを持ちながらもパワフルなヘルボーイでキモくてグロい魔物を容赦なく倒す映画。

不気味な美しさ、可愛さのあったデル・トロ版のクリーチャーとは違い、とにかく恐ろしくて気味が悪くて禍々しい魔物たちがマーシャル版。

いい意味で色々な方向へ振り切ってくれたのが、今回の新しい『ヘルボーイ』なんです。

続編を作る気があったんだなというラストには、おそらくあの人、青い半漁人のエイブらしき存在も。

エイブ大好きなので、続編で観たいのですが…全米の興行収入がいまいち良くないので、難しいかも。

とは言え、本国の悪評ほど悪くない、どころかB級オカルトアクションとしてはなかなかに楽しめる作品になっていると思います。私は好きです、このノリが。

原作により忠実に描かれた『ヘルボーイ』。演じたデヴィッド・ハーバーもかなりハマっていますよ。

仲間であるアリスやダイミョウも良かったです。特にダイミョウを演じたダニエル・デイ・キムは、海外ドラマ好きにはお馴染みの顔ですしね。

ただし、一部の人以外にはデートムービーには向きません。そこだけは気をつけて!

『ヘルボーイ(2019)』まとめ

以上、ここまで映画『ヘルボーイ(2019)』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 大音量のロックがよく似合う、デル・トロ版とはまるで違う新しいヘルボーイも「かなり良い」です!
  • 未だかつてない、顔をしかめたくなるキスシーンは衝撃。巨人も魔女も魔物もグロテスクすぎ。バーバ・ヤーガが怖すぎる。
  • 続編を期待したいけどおそらく無理そう。エイブだけでなく、ロブスター・ジョンソンもちゃんと観たかった。残念。