『涼宮ハルヒの消失』は大人気アニメ『涼宮ハルヒ』シリーズの劇場版であり、日常の楽しさを再確認する映画です。
この物語の主人公の男子高校生・キョンは、涼宮ハルヒというクラスメイトに振り回される日々を送っていました。
それを嫌々ながらも受け入れていたキョンですが、クリスマスを控えた12月19日に、涼宮ハルヒが教室から消え、周りの世界がキョンだけを置いて変わり果ててしまいました。
キョンは元の世界に戻るべく奮闘します。
一体こんな世界に誰がしたのか?物語の後半で驚愕の事実が分かります。
- 長門有希がかわいい!今回のヒロインはハルヒではなく長門!
- 当たり前の日常を謳歌する、その豊かさに気付ける!こんな青春したい!
- 声優、杉田智和の名演技が光る!これだけでも見る価値あり。ファンは必見!
それでは、『涼宮ハルヒの消失』をネタバレありでレビューします。
目次
劇場版『涼宮ハルヒの消失』作品情報
作品名 | 涼宮ハルヒの消失 |
公開日 | 2010年2月6日 |
上映時間 | 162分 |
監督 | 武本康弘 |
原作 | 谷川流 |
脚本 | 志茂文彦 |
出演者 | 杉田智和 平野綾 茅原実里 後藤邑子 小野大輔 桑谷夏子 |
音楽 | 神前暁 高田龍一 |
【ネタバレ】劇場版『涼宮ハルヒの消失』あらすじ
今まで以上のSF感の中で主人公、孤独に奮闘!
クリスマスを控えた12月16日、冬の寒さに悪態をつきながら過ごす主人公のキョン。
学校に行き、同級生と話し、授業を受ける、至っていつも通りの日を過ごしていました。
クラスメイトでいつも面倒事を起こす涼宮ハルヒがクリスマスパーティーを開催すると言い出す以外は、なんら変化はありません。
ウキウキで、クリスマスパーティーの飾りつけを楽しむ涼宮ハルヒ。
ミニスカサンタコスを着せられた朝比奈みくる。
相変わらず達観している長門有希。
笑いながら乗り気な小泉一樹。
そんないつものSOS団のメンバーで盛り上がり、24日までの数日間、飾りつけなどの準備をすることが決定しました。
キョンも仕方なくと言った様子で参加します。
しかし、事態は12月19日の朝、急変します。
それに気づいたのは、教室でのクラスメイトとの会話に齟齬が生まれたことから。
何となくの違和感が決定的になったのは、自分の後ろの席、涼宮ハルヒの席に以前自分を襲った宇宙人の朝倉が座っていたからです。
彼女はもう転校した身。しかもここはハルヒの席。
おかしい、どうなってると教室で怒鳴っても変人扱いされるだけのキョン。
彼は1人孤独に、この状況を理解しようと走り始めます。
異次元に移動?世界の改変?自分以外がおかしい世界
キョンは涼宮ハルヒを知ってるかと色んな人に聞いて回りますが、誰も知りません。
キョンだけが、ハルヒのいる昨日までの現実を理解しているよう。
朝比奈みくるはこの世界でも実在しましたが、未来人であるはずの彼女は普通の人間として暮らしていましたし、キョンのことなど知りませんでした。
すべてを確かめるため、キョンはSOS団の部室に行くことにします。
そこには長門が座っていました。
長門が知らなければもう打つ手なし。そう思っていたキョンでしたが、まさかの宇宙人であるはずの長門までもが、普通の照れ屋な女の子に変わっていたのです。
キョンは絶望しました。
長門が変わってしまったのならどうすればいいのか、と。
しかし、希望はありました。
本棚に、長門が依然細工をした本が並んでいたのです。
開けてみると栞がはさんでありました。
その栞には「プログラム起動条件 鍵をそろえよ 最終期限、二日後」と書かれていました。
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キョンは内心嬉しさが込み上げて、元の世界に戻れるかもしれない希望を噛みしめます。
しかし、鍵とは?疑問が残る中、キョンは長門に託されたヒントを大事に掴み、奔走します。
すると、同級生の谷口から別の学校に涼宮ハルヒがいるとの情報を聞きました!
急いで会いに行くと、その場には小泉もいました。
ハルヒの外見は髪型が以前と変わり、ロングです。
とりあえずコンタクトを取ろうとしますが、キョンの言動は不審者全開だったため一蹴されてしまします。
しかし、過去に学校の校庭に落書きをしたことなどハルヒしか知らない事実を話すと、キョンの話を信じてもらうことに成功!
そして、ハルヒはうれしそうな顔で「他の子にも会ってみたい」と言い出しました。
キョンの学校に小泉もつれていき、朝比奈も見つけて連れ出し、今は文芸部になったSOS団の部室に行きます。
文芸部には長門もいて、戸惑っているようでしたが、これでSOS団が全員そろいました。
すると、ある異変が起こります。
世界を変えたものの正体
パソコンが起動し、何やらメッセージが表示されたのです。
それは、前の世界の長門からのメッセージでした。
鍵とはSOS団のメンバーのことで、それが揃った今、システムが起動したのです。
元の世界に戻れるか、このまま留まるかの選択を迫られます。
キョンは迷うことなく、元の世界に戻りました。
しかし、戻った時間に時差がありました。
冬に戻ると思っていたはずが、戻った先は七夕の日になっていたのです。
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そんな中でキョンは大人バージョンの朝比奈と合流。
未来人である朝比奈はこの状態をどうにかしたいと、この時間軸で待っていました。
2人は長門に解決策を求め、会いに行きます。
その頃の長門はまだSOS団に入る前ですが、ちゃんと文芸部の長門でなく宇宙人の長門でした。
話を聞くと、ハルヒではなく18日の夜に誰かが世界を書き換えたというのです。
それは誰だと聞いたら、意外な人物でした。
キョンは驚愕しますが、長門に託されたアイテムを持って会いに行きます。
そして、18日の夜に朝比奈とタイムスリップするキョン。
そこで会ったのは長門でした。
長門が日々のストレスをためた状態で、この日常を変えようと施したのが、今回の世界改変。
涼宮ハルヒが消失した世界の構築です。
2人は長門が世界を改変する様を目撃し、長門からもらったアイテムで世界を元に戻そうとしますが、その時まさかの相手、朝倉がなぜかキョンを殺しに来ます。
朝倉は長門に異常に執着していたので、危害を加えるキョンが許せなかったのです。
しかし、死にそうになる間際、キョンが見たのはどこからともなく現れた自分がこの事態の後始末をする、というものでした。
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その後キョンは階段から落ちて、三日間目が覚めなかったということになっていました。
現実世界では、みんながキョンを心配して出迎えてくれます。
自分の愚行を反省している長門以外は。
キョンは長門と二人で話し、世界改編のことは全否定し、長門は仲間だと宣言します。
だからいなくなるな、長門より上の奴らにはくそったれと伝えろと感情的に猛説得。
長門はそれに頷きました。
そうして、いつものSOS団の平和が訪れたのです。
クリスマスにはハルヒのお手製鍋が振る舞われることになり、それを楽しみにしながらキョンは再びSOS団の部室のドアを開けるのでした。
【ネタバレ】劇場版『涼宮ハルヒの消失』感想・考察
キョンの葛藤
『涼宮ハルヒの消失』では、語り部のキョンの葛藤が多く描かれています。
キョンはやれやれと言いながら嫌々SOS団に参加しているようですが、今作で決定的になったのはキョン自身がこの日常を気に入っているということですね。
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それくらい、あのSOS団の日常がキョンの中で大切なものになっていた、ということですね。
さらに、キョンが自問自答するシーンがあります。
自分で自分を踏みつけ、斜に構えていた自分にハルヒとの日常が楽しいと思ってたんじゃないのかと問うもの。
このシーンは本当に声優さんの演技が光ります。
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さらにいうと、キョンは1人孤独に本作で自分の心と向き合い続けたことで、一皮むけたと感じますね。
1人で葛藤することがプラスに働くこともある、というメッセージ性を感じます。
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正反対の感情を持った長門
今回のもう一人の主人公・ヒロインは長門でした。
ハルヒではなく、長門がヒロインの映画です。
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また、無感情な宇宙人から作られたアンドロイドである長門に感情が芽生えたのは素晴らしいことですが、現実はキョンのように楽しいだけの日々ではないというのが長門側の意見でした。
だからこそ起こしたのが、世界改変。
スケールが大きいですが、感情の動きと言うのはそれだけ人を行動に起こさせるものなのだと解釈できます。
ストレスのはけ口がなかった長門に頼りきりだったことに気付き、キョンが長門は仲間だと励ますシーンは長門の心を救い、ずっと彼女を苦しめていた感情を洗い流すものだったでしょう。
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2人はこうして正反対の行動をとりながらも、一皮むけたキョンの行動により、騒がしい今まで通りの日常を選びます。
それはどれほど尊い選択でしょうか。
仲間を想い、日常を大切にし、選びたいと願えるほどの良い青春を彼らは送っているのです。
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劇場版『涼宮ハルヒの消失』あらすじ・ネタバレ感想・考察まとめ
以上、ここまで『涼宮ハルヒの消失』をレビューしてきました。
今ここにあるものがどれだけ大事か、見直すきっかけになる映画だと思います。
少しゆっくり人生を見直したい、自分にとって大事なものは何か考えたい、そんな人にピッタリの映画です。