世界中の言語の中でも、特に独特な形で表現されるハングル文字。
この文字がなぜ生まれ、どのようにして創られたのかを描いた歴史映画『王の願い ハングルの始まり』が2021年6月25日(金)より公開されます。
ハングルを創るために残り僅かな人生を捧げた「世宗王」を『パラサイト 半地下の家族』で主演を務めたソン・ガンホが熱演!
『パラサイト』とはまた違った、文字作りに心血を注ぐ男を演じました!
今回は映画『王の願い ハングルの始まり』の見どころをご紹介していきます。
- 決してお堅い歴史ドラマではありません
- 王様というより中間管理職っぽいソン・ガンホ
- 仏教VS儒教 ドロドロな対立
目次
映画『王の願い ハングルの始まり』作品情報
作品名 | 王の願い ハングルの始まり |
公開日 | 2021年6月25日 |
上映時間 | 110分 |
監督 | チョ・チョルヒョン |
脚本 | チョ・チョルヒョン |
出演者 | ソン・ガンホ パク・ヘイル キム・ジュンハン チョン・ミソン チェ・ドクムン ナム・ムンチョル チョン・ヘギュン チョン・インギョム クム・セロク |
音楽 | タル・パラン |
映画『王の願い ハングルの始まり』あらすじ・感想【ネタバレなし】
きっかけは「民も読める文字を創りたい」
時は朝鮮第4代国王「世宗」の時代。
このころの朝鮮には自国の文字がまだ存在しておらず、上流階級以外の人々は読み書きができませんでした。
しかし上流階級の人々だけは、その特権から中国の漢字を使うことができたのです。
こうした現状を嘆いていたのが、世宗王(ソン・ガンホ)でした。
世宗王は上流階級だけでなく、民も文字を使えることで、物語や歌詞、さらには宗教など、あらゆる文化を受け継いでいけると考えます。
そこで世宗王は、ただ文字を創るのではなく、誰でも簡単に学ぶ文字を創ることを決意したのです。
文字づくりが始まるも、あらゆる困難が立ちふさがる!
世宗王は文字づくりの協力者として、多くの言語を知る和尚のシンミ(パク・ヘイル)を呼び出します。
しかし、当時の朝鮮は儒教を良しとしていたことから、仏教との対立が激しい時代でもありました。
そんなこともあり、最初はあまり協力的ではないシンミですが、世宗王の熱意を受けて、弟子を連れて文字づくりに協力することに。
シンミはサンスクリット語に注目し、新たな文字は可能なかぎり少ない数で成立するように工夫を凝らします。
それは「もっとも易しく、もっとも美しい文字」の誕生を意味していました。
文字の完成を目指して日々精進する中で、世宗王が身分の低い僧侶と手を組んでいることが臣下に知られてしまい、世宗王は猛反発を受けてしまいます。
さらに世宗王は糖尿を患っており、片目はすでに失明していました。
このままでは両目とも視力を失うのは時間の問題…。
はたして世宗王は、新たな文字の誕生をその目で見ることができるのでしょうか…?
映画『王の願い ハングルの始まり』感想
決してお堅い歴史ドラマではありません!
映画『王の願い ハングルの始まり』は「ハングルの誕生」というテーマもあって、なんだかお堅い歴史映画というイメージが強いかもしれません。
しかし、本作はあくまで史実をベースにしたフィクションであると、冒頭でも説明文が入ります。
ヤマダマイ
本作ではソン・ガンホ演じる世宗王が上流階級だけでなく、多くの民が文字を読み書きできるように、「もっとも易しく、もっとも美しい文字」を創ろうとします。
このドラマ要素がとても良く、文字の創造が進まない時には、思わぬところからヒントやひらめきを得るシーンは必見。
ヤマダマイ
日本の映画では辞書を創り出す『舟を編む』や、日本独自の太陰暦を生み出す『天地明察』といった作品もあります。
題材が違えど「何かを生み出す苦労や面白さ」は共通しており、こうした作品が好きな人はぜひ見てほしい映画でした。
王様というより中間管理職っぽいソン・ガンホ
主演を務めるソン・ガンホが演じるのは、韓国では歴史上偉大な人物と称される世宗王です。
韓国では知らない人はいないほどの人物ですが、本作で描かれる彼の姿は常に悩み、苦しむ様子がほとんど。
文字づくりをするために身分の低い僧侶たちと作業をしたために、臣下から猛反発を受けてしまいます。
作中では、「文字づくりを止めなければ、我々の首を撥ねてください!」と臣下に言われるほど…。
周囲の理解を得られないまま、文字作成を続けなくてはならないのです。
また、本作の舞台となる当時の朝鮮は儒教が強く信仰されており、儒教者は仏教に対して敵対心を持っていました。
ヤマダマイ
理解をしてもらえるどころか、王様の思いをあらぬようにとらえてしまうなど、切ない展開も胸を苦しめます…。
宗教に関してはちょっと複雑かも
上記でも書いたように、本作では文字の作成と同時に、宗教による対立も描かれています。
これがちょっとややこしく、朝鮮の歴史についてある程度の知識がないと「なぜ儒教と仏教がここまで対立しているのか」「なぜシンミ和尚は、世宗王を毛嫌いしていたのか」といった部分を理解しづらいかもしれません。
ただ、この宗教にまつわる演出が無ければ、王様がそれぞれの派閥に挟まれる苦悩は描けません。
ヤマダマイ
映画『王の願い ハングルの始まり』あらすじ・感想まとめ
『#王の願い ハングルの始まり』
予告解禁🗣️
独自の文字創製を目指した #世宗大王 と僧侶の情熱と葛藤を描く史劇エンターテインメント作品🖌️
2021年6月25日(金)より、シネマート新宿 ・心斎橋ほか全国順次公開🎬#映画 #韓国 pic.twitter.com/CdK6L5BlNp
— 映画配給会社ハーク公式 (@HARK_COMPANY) March 26, 2021
- あくまで史実を元にしたフィクションで、エンタメ要素もあり!
- 中間管理職並みの苦悩に苛まれるソン・ガンホの姿は必見
- 当時の歴史を少しでも知っていると、より物語に入り込める
以上、ここまで『王の願い ハングルの始まり』をレビューしてきました。
『パラサイト 半地下の家族』のイメージから脱却したといってもいいくらい、葛藤を抱えた役を見事に演じたソン・ガンホにぜひ注目してほしい作品です!
「歴史モノはちょっと難しそう…」と思う人でも、モノづくりならではの苦労や、ひらめきの面白さが体感できる内容は楽しめると思います!
「もっとも易しい文字」を目指して創られたとされるハングル文字ですが、この映画を観て勉強してみたくなりました!