スラッシャーホラーの歴史を切り開いた伝説の映画『ハロウィン』の40年後を描いた続編!
ただ怖いだけでなく、トラウマを負った一人の女性が過去にケリをつける熱い物語になっていました。
- 最強の殺人鬼マイケル・マイヤーズは健在
- えぐさパワーアップ、バリエーションも豊富な残酷描写
- ホラー映画のお約束を堂々とやり切る正統派ぶりが逆に新鮮
- オリジナルの要素を逆手にとった逆転劇
- トラウマを乗り越える親子三代の絆の物語にまさかの感動
それではさっそく映画『ハロウィン』についてネタバレありでレビューしたいと思います。
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目次
『ハロウィン』作品情報
作品名 | ハロウィン |
公開日 | 2019年4月12日 |
上映時間 | 105分 |
監督 | デヴィッド・ゴードン・グリーン |
脚本 | デヴィッド・ゴードン・グリーン ダニー・マクブライド |
原作 | ジョン・カーペンター デブラ・ヒル |
出演者 | ジェイミー・リー・カーティス ジュディ・グリア アンディ・マティチャック ウィル・パットン ニック・キャッスル |
音楽 | ジョン・カーペンター |
【ネタバレ】『ハロウィン』あらすじ・感想
オリジナルのリメイクではなく続編を作った意味
1978年のジョン・カーペンター監督作『ハロウィン』は、理不尽且つ圧倒的強さの殺人鬼がランダムに人を殺していくといういわゆるスラッシャーホラーの原型を作った記念碑的作品です。
その後『13日の金曜日』をはじめ様々なフォロワーが生まれました。
本家の『ハロウィン』も、続編やロブ・ゾンビ監督によるリメイクなど様々な関連作が生まれましたが、どれもパッとしない出来だったのが事実でした。
リメイクの出ない『ハロウィン』シリーズは8作目の『ハロウィン・レザレクション』(2002年)で止まっていたのですが、今回復活したのが第1作目と同じタイトルの『ハロウィン』。
大胆にも1978年オリジナル以降の続編を全てなかったことにして、1作目のハロウィンの夜から40年後の同じ日、かつての被害者にして殺人鬼マイケル・マイヤーズの妹ローリー・ストロードが再びマイケルと対峙するという内容です。
リメイクではなく、40年後の設定にしたのはなぜか?
それはただのホラーではなく、圧倒的な暴力と理不尽にさらされてトラウマを負った人間がその原因と再び戦って克服する、という物語にするためです。
監督のデヴィッド・ゴードン・グリーンの前作は『ボストン ストロング』。
2013年ボストン爆破テロ事件で脚を失う被害にあった青年の絶望と再起を描いた感動的人間ドラマだったのですが、「トラウマを負った人間がどう変わるのか」というテーマはジャンルが全く違うように見える『ハロウィン』にも通じています。
そして40年前の惨劇によって人生を決定的に変えられてしまった主人公ローリーを演じるのは、オリジナルの『ハロウィン』でもローリー役を演じてスクリームクイーンとしてブレイクしたジェイミー・リー・カーティス。
40年前は叫び逃げ回ることしかできなかった彼女が、因縁の対決のために準備し成長し反撃に出る痛快さは歴史あるシリーズ故に出せるもの。
還暦を迎えても相変わらず凛々しい美しさと抜群のスタイルを誇るカーティスのかっこいい魅力にも注目。
あと5年早くても遅くても本作の彼女のカッコよさは出せなかったのではないでしょうか。
昔の面影を残しつつ、娘も孫もいて、家族を守るために戦う姿は『ターミネーター』シリーズのサラ・コナーや『エイリアン』シリーズのリプリーすら連想させます。
彼女がマイケルを迎え入れるために自宅に施している様々な仕掛けが後半に炸裂しまくるのも気持ちいいです。
虐げられてきた存在が反撃に出るというプロットは同じカーペンター作品でも『要塞警察』や『ゼイリブ』に通じる要素があります。もちろんカーペンター自らが作ったかっこいいテーマ曲も引き続き使われています。
暴力描写はパワーアップ、そしてお約束は踏襲
本作冒頭はマイケルが収監されている刑務所で始まります。
そこでブギーマンマスクをしていない彼の姿が映るのですが、彼も60歳を超えて見た目は完全におじいちゃんです。
しかし、圧倒的な巨体や何を考えているかわからない不気味な佇まいは健在でゾクゾクさせてくれます。
そして彼がとあるきっかけで脱走し、マスクをかぶってからは往年の殺人鬼“ブギーマン”ことマイケル・マイヤーズ完全復活です。
ローリーの変わり具合と対比して、このマイケルの変わらない恐ろしさが際立ちます。
久しぶりに娑婆に出ても全く殺しのテクニックは衰えていません。
特殊効果技術の発展もあって容赦のない殺戮描写が続きます。
トイレの壁に何度も叩きつける、首絞めからのへし折り、包丁で一刺し、アゴを砕く、絞殺、など殺され方のバリエーションが豊富なうえに、獲物が逃げても絶対に走らず、でも確実に捕らえて手際よく殺していくマイケルの殺人技術は、ちょっと不謹慎ですが惚れ惚れしてしまいます。
殺す前に他の犠牲者の歯をパラパラ落とすという厭な描写もホラーマニアにはたまりません。
また頭をマイケルに踏み砕かれるという劇中で一番ひどい死に方をするのがいったい誰なのか?という点にも注目してほしいです。
「こいつにはマイケルも怒っただろうな」と思わせるキャラなのですが、そいつが起こすまさかの行動もちょっと笑えます。
そして、殺される人間にもホラーの定番といえる法則性があります。
「殺人鬼なんて大したことないさ」と茶化す奴、人に向かって嫌なことを言う奴、他人の所有物を触る奴、女を無理に口説いたりする男、SEXをするカップル、不用心な警察官などなど観客が見ていて「あ、こいつは死ぬな」となんとなく予想する人間が、ことごとくマイケルに殺される様もちょっと不謹慎ながら楽しい部分です。
ちょっとベタすぎるお約束も多いですが、この『ハロウィン』シリーズこそ、そのお約束の多くを作った存在ですから本家として堂々としているのは正解でしょう。
ちなみに本作に出てくる男たちはほとんど殺されて、最後にはローリーとその娘のカレン、孫のアリソンの親子三代の女性たちだけがマイケルに立ち向かうので、フェミニズム的な要素も入っています。
オリジナルとの対比でマイケルに反撃
終盤はローリーの家でマイケルとの攻防が始まります。
理由は不明ですが、マイケルは自分と血のつながりがある女性をとにかく殺したがる傾向があるようです。
40年前は自宅で逃げ回っていたローリーは、今度は自宅でどこかに隠れたマイケルを探して戦う立場になります。
前作で効果的に使われたクローゼットに隠れるという行為の対比もあります。
そして個人的に一番グッと来たのは、マイケルがローリーを2階から突き落としたと思って下を見たら彼女が姿を消しているというシーン。
これはオリジナルでローリーがマイケルを撃退して窓から落としたと思ったら、彼の死体がどこにもなく不安に包まれたまま終わるというエンディングの対比になっているのです。
「今度はお前が恐怖を味わう番だ」と言わんばかりの反撃が胸アツすぎて劇場で手を叩きそうになってしまいました(笑)
そしてマイケルに対抗することばかり考えていた母親のせいで、幼少期を無茶苦茶にされたカレンとその娘で過保護に育てられたアリソンも戦いに加わり、そのチームプレーの中で家族の絆が取り戻されていくさまは感動的でした。
まさか『ハロウィン』でジーンと来てしまうなんて思ってもみませんでしたが(笑)
本作のクライマックスのエモさは前作を見ていてこそ。
できる限りオリジナルのハロウィンを見てから劇場へ急いでください!
『ハロウィン』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
/#ローリー・ストロード が
40年前の事件について語る
本編映像ご紹介‼️
\40年前ハロウィン🎃の夜に起きた
恐怖の事件🔪の唯一の生き残り
ローリーが重い口を開くー#映画ハロウィン 絶叫公開中🎬💥#ブギーマン現る pic.twitter.com/XIzYpPZ6hZ— 映画『ハロウィン』 (@HALLOWEEN_MOV) 2019年4月19日
以上、ここまで『ハロウィン』について感想を述べさせていただきました。
- 殺人鬼に反撃する予想外の胸アツ映画
- マイケルの凶悪さもパワーアップ
- 殺され方のバリエーションも楽しめます
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