『箱入り息子の恋』あらすじ・ネタバレ感想!映画初主演の星野源と、全盲の可憐な女性を演じる夏帆の純愛ドラマ

出典:TBSテレビ

音楽家・文筆家として幅広く活躍する星野源の映画初主演作。

映画はリバイバル上映され、小説も重版がかかるほどのヒット。世間が認めた傑作です。

ポイント
  • 役に体を貸したという星野源の憑依ともいえる演技力が半端ない
  • 超草食男子が恋をした…キュンとさせられたり、ホラーに感じたり、心にグサグサ刺さる
  • 箱入り息子と箱入り娘のピュアな恋の紆余曲折に笑いと涙がとまらない
  • 社長令嬢の可憐な夏帆の美しさに魅了される、こんな美しいベッドシーンは初めて
  • 気の合う方と一緒にいられたら幸せ…彼女の願いはひとつ。恵みの雨の日に傘を差しだすところからはじまる優しい恋の結末は見逃せない

それではさっそく『箱入り息子の恋』をレビューしていきたいと思います。

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『箱入り息子の恋』作品情報

作品名 箱入り息子の恋
公開日 2013年6月8日
上映時間 117分
監督 市井昌秀
脚本 市井昌秀
田村孝裕
出演者 星野源
夏帆
平泉成
森山良子
大杉漣
黒木瞳
音楽 高田漣

【ネタバレ】『箱入り息子の恋』あらすじ・感想


35歳、実家暮らし…まだ人を愛したことがない箱入り男・天雫健太郎(星野源)

公務員35歳、人間の友なし、心友はカエル…もちろん彼女いない歴35年。

実家暮らしで行動範囲は家と職場の往復のみ。仕事へ行っても一旦家にお昼を食べに帰るという生粋の箱入りさん。

うだつの上がらない天雫健太郎は、一生ひとりで生きていくと決めていました。

しかし、運命の出会いをし、箱入り娘・奈穂子(夏帆)と恋に落ちていくのですが…この恋が一筋縄ではいかないのです。

本当に無駄のない暮らしぶりに感心してしまいます。陰気な感じがちょっと不気味で、星野源さんの爽やかなスマイルは皆無。

あまりに自然な根暗っぷりに、これが星野さんの本質では…と疑ってしまうほど。

ダークな星野源、かなり見ごたえありますよ。

さて、両親は健太郎が心配でたまらない…結婚してほしいと願いますが、本人は全く興味がなし。

とうとう両親は「親御様結婚相談会」という、親同士だけの「代理見合い」に参加。

健太郎にお見合いさせようとして両親がとった行動が意外すぎて面白いんです!!

母の意外な才能発揮に爆笑しました。ぜひ、本編で。

両親役の天雫寿男(平泉成)と天雫フミ(森山良子)の掛け合いが面白くって笑わされました。

息子の短所をうま~く長所に言いかえてお見合いのリハーサルをする場面は、コミカルに描かれていましたが、とても親の愛を感じるんです。

いくつになっても親は子供の幸せを願っているんだな~とあったかい気持ちになりました。

社長令嬢、上品で可愛い箱入り美女・奈穂子(夏帆)の秘密

ピアノの演奏が上手で、性格まで美人な社長令嬢・奈穂子は、両親の愛を一心に受けた箱入りさん。

出掛ける際はいつも母が傍らに…かなり過保護に見えますが、彼女は全盲であり、両親は奈穂子の将来を心配しています。

とにかく夏帆さんの可憐さがたまらない。

愛されて育ったというのが彼女の所作や佇まいから伝わってきます。

特に作中の彼女の服装が好きです。印象的だったのは、序盤でピアノを弾いている時のオフホワイトのワンピース、とてもよく似合っていて綺麗。

デート服も可愛くって、夏帆さんのファッション面も見ごたえありますよ。

こちらも、両親が「代理見合い」に参加。天雫家と同じ代理見合いに参加します。

箱入りさんの両親同士の初顔合わせは不穏な雰囲気…両親が先に出会うなんて運命だと思うのですが、両家は全然うまくいきそうにないのです。

奈穂子の父・今井晃(大杉漣)の融通が利かない頑固一徹おやじぶりは、必見!娘への愛情ゆえに、とにかく怖いです。

好きな人のお父さんがこれだったら震えてしまう…頑張れるのか、箱入り息子。

一方、奈穂子の母・今井玲子(黒木瞳)は、娘を思う優しい母親。

この両親が、健太郎を2度も大きな事故に遭わせるのです…。

恵みの雨、運命の2人は出会った

親たちの見合いなど関係なしに、健太郎と奈穂子は自然に出会います。

雨宿りしている奈穂子に、「これどうぞ」と健太郎が傘を貸します、健太郎の一目惚れ。

傘には「天雫健太郎」の名前、奈穂子の母が見つけます。母は代理見合いを覚えていました。

2人は両親を通して正式に会えることになるのです。

素敵な王道の展開に期待感が膨らみます!!

ですがこの後、正式なお見合いの場は波乱尽くめ、緊張と委縮、そして感動の一幕が待っています。

お見合いは大失敗…でも、健太郎の言葉に泣けた

両親同士が修羅場と化し、お見合いは当事者そっちのけで破たんします…。

というのも、晃が健太郎のことをけちょんけちょんにけなしたので、健太郎の両親が激怒するからです。

健太郎が、奈穂子の父・晃に話す言葉がたまりません。

「僕には障害はありませんが…欠点なら山ほどあります。こんな見た目ですから…女性は寄ってきませんし、声をかけようにも…極度のあがり症なので人の目を見て話せません。なので、僕はずっと、人と関わることを避けてきました。」

健太郎の生きてきた道のりが分かるようで心が痛みます…。

「今井さん、だれかに面と向かって笑われたことはありますか?こちらのことを知りもしない相手に変な人だと…言われたことは?見た目や…着ている服や…就職先なんかで人は値踏みされてしまいます。お嬢さんに見えているものと、今井さんに見えているものは違っているんじゃないでしょうか。」

物事の本質をしっかり見ている健太郎の言葉に泣けてきました。私たちの社会、実際こうですよね。

見た目も大事だけど中身も…とは思いますが、健太郎のように考えられる人が何人いるでしょうか。

とても大事なことに気づかされた瞬間でした。

キーポイントは「吉野家の牛丼」と「カエルの鳴き声」。こんなキーポイント、普通のラブストーリーじゃありえない

頑固オヤジに秘密でデートがはじまります。

健太郎と奈穂子のデートが胸キュンの連続で、心臓が持つか心配になりました。

初デートはランチ。吉野家で牛丼を食べに行きます。

ひとつひとつ吉牛マナーを伝授する健太郎と、純粋にそれを楽しむ奈穂子の姿にほっこりします。

奈穂子が左利きとわかると、席を移動して肘同士が当たらないようにする健太郎の配慮に優しさを感じました。

他にも2人が行く場所は、立ち食い蕎麦など…箱入り娘には体験したことのないデートばかり。

ものすごくぎこちないキスシーンがあったり…このカップルとても可愛いんです。

本当に楽しそう…つられてこちらも嬉しくなっちゃいますよ。

初めての1日デートで健太郎が特技として披露したのが愛するペットのカエルの鳴き声。

この時点でもだいぶ笑えるのですが、引くほどリアルなのですw

吹き出してしまいました…面白かったのですが、この場面必要かな?と疑問も。

しかし、すべてはラストに繋がっているのです!

健太郎が車に轢かれてしまう。型破りな展開に衝撃を受ける!

この辺からなぜかサスペンスモードに突入します。

頑固オヤジにばれて修羅場、健太郎は奈穂子をかばい瀕死の事故に遭います…。

そして、奈穂子との連絡が途絶えてしまします。

彼女は嫌いになってしまったのでしょうか。それには理由があるのですが…。

健太郎は非モテ男子に戻ってしまいます。

人生をもう投げた健太郎の前に、ひとりで吉野家に入る奈穂子を見かけます。

泣きながら牛丼をひとりで食べる奈穂子を見て、健太郎は悟るのです…。

天雫家の母と今井家の父、交際を猛反対。

しかし、諦めきれない健太郎。

今井家の外壁をよじのぼり、渾身のカエルの鳴き声で奈穂子を呼びます。

不格好だけど…まさにロミジュリ的な展開!

そしてふたりは結ばれます、美しいベッドシーンは必見!

「嘘だっ!」思わず叫んだ、健太郎が夜空を裸で飛ぶ

頑固オヤジ、さすが勘が鋭い。

娘を愛する電波が、異変をキャッチします。

裸で抱き合う様子、現行犯でした…そしてこの映画一番のバイオレンスな場面「そんなにグーで上から殴ります?」とかわいそうになるくらい健太郎はボコボコに殴られます。

大杉漣さんですから、任侠映画に変わったのではないかと思うほどのド迫力。

晃の手によって引き離され、お互いの名前を呼び、手を差し出そうとしても触れられず、夜空に全裸の健太郎が舞いました。

2階から落下…こんな展開は誰も予想できません。

最後、両足にギブスをはめ、首にコルセットを巻いた健太郎が、病室で点字の手紙を作っています。

その手紙を読んだ奈穂子が笑っている所でエンディングを迎えます。

親の愛、恋人への愛…いろんな愛を見ることができました。すべてが深く愛おしい。

観終えた後に優しい気持ちになれる…そんな素敵な映画ですよ。

『箱入り息子の恋』まとめ

以上、ここまで『箱入り息子の恋』について感想を述べさせていただきました。

要点まとめ
  • こんな星野源は見たことない!アーティストのカッコイイ星野源はどこへ…
  • 不器用な愛に笑う、オトナの初恋をユーモラスに描く恋愛ドラマ。穏やかだけどソワソワするあったかい胸キュン、体感してください
  • 人に迷惑をかけることをしなかった男が、彼女と出会い、人の迷惑をかえりみずぶつかっていくことを覚える。愛が与える影響力に感動した
  • 主人公のがむしゃらさに笑っていたはずだけど…いつのまにかめちゃめちゃ応援しちゃってた。無様でもいい、彼女が笑ってさえくれれば…そんな純愛に感動

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