2018年、『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー作品賞、アカデミー監督賞を受賞し、大きな注目を集めた映画監督、ギレルモ・デル・トロ。
幻想的な雰囲気や不気味なキャラクターの登場など、独特の世界観が特徴の監督です。
Second life time award I deliver to David. Always with undiminished love and admiration. pic.twitter.com/Ej9psrECG0
— Guillermo del Toro (@RealGDT) September 8, 2018
特に2006年に制作した『パンズ・ラビリンス』がアカデミー賞6部門にノミネートされてからは、ファンタジー作品の名手として知られるようになりました。
日本のアニメや特撮作品に造詣が深いこともよく知られており、尊敬する人物に特撮の巨匠である円谷英二、アニメ監督の大友克洋や押井守などの名前を挙げています。
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そんな『シェイプ・オブ・ウォーター』では、それまでのファンタジックな作品の印象を残したまま、設定や背景に工夫を凝らし、現実的なストーリーに仕上げたことで新たな一面を見せ、高く評価されました。
また、メキシコ生まれのデル・トロは、同じ出身のアルフォンソ・キュアロン(『ゼロ・グラビティ』)、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)と共に、メキシコで映画製作会社を設立しています。
3名ともアカデミー監督賞を受賞しており、国際化するハリウッドの中で活躍するメキシコ人監督の存在は話題になりました。
そして、2020年2月28日、デル・トロ監督最新作『スケアリーストーリーズ 怖い本』が公開されました。
ということで、今回はギレルモ・デル・トロの監督・製作映画を10作品ご紹介します。
目次
ギレルモ・デル・トロ監督・製作おすすめ映画10選
『クロノス』
- 長編映画初監督作品とは思えないクオリティー
- 幻想的なホラー映画
1536年、錬金術師のウベルト・フルカネリは宗教裁判から逃れるためにメキシコのベラルクスへ渡り、総督ご用達の時計師になりました。
フルカネリはそこで“永遠の生命の鍵”となるものを作り、それを“クロノス”と名付けます。
400年後、建物の丸屋根が崩れ、心臓に一撃を負った男がいました。
男の肌は死人のように白く、「スオ・テンポーリ(時は永遠なり)」という言葉を残して息絶えます。
警察が捜査しましたが何も見つからず、“クロノス”について触れられているものも何ひとつ見つかりませんでした。
その後、初老の古物商・ヘススは、売り物の中から奇妙な金属機械を見つけます……。
ギレルモ・デル・トロの長編映画初監督作品。
この頃からすでに独特のダークファンタジーの世界が出来上がっていて、奇妙なのに幻想的、恐ろしいのに思わず見入ってしまう映像が広がっています。
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『ミミック』
- 堂々たるハリウッドデビュー作
- デル・トロのこだわりが詰まった作品
近未来、マンハッタンではゴキブリを媒介源とする“ストリックラー病”により、多くの子供の命が失われ、助かった人も重い後遺症に苦しめられていました。
有効な治療法が見つかっていないこの病に対し、アメリカ疫病予防管理センターのピーターは昆虫学者のスーザンに要請を出します。
スーザンは遺伝子操作により、ゴキブリだけを殺し、一定期間後に死滅する新種の昆虫“ユダの血統”を創造しました。
放たれた“ユダの血統”は短期間で多くのゴキブリを駆除し、事態は沈静化。
“ユダの血統”の存在は、人々から忘れ去られていきました。
それから3年後、ニューヨークのとある駅周辺でホームレスが次々と行方不明になる事件が発生。
巨大な昆虫の幼虫が見つかり、死滅したはずの“ユダの血統”が生き延び、密かに繁殖していたことが判明します……。
『ミミック』めちゃくちゃに面白いのに……
進化した昆虫がヒトに擬態する、ってむちゃくちゃなアイディアを、ギレルモ ・デル・トロが現代舞台なのにダークファンタジーみたいな手触りで世界を切り取って成立させちゃう。科学とお伽話が融合したような、観たらずっと忘れられない映画じゃよ…… pic.twitter.com/rYozMxGpSE— 鉄面あなざ (@Gadjetmovie) September 26, 2019
ギレルモ・デル・トロがハリウッドで初めて監督を務めた映画。
昆虫やモンスター、暗闇などデル・トロ作品でよく使われているモチーフが多用されたSFホラーです。
ミミック(Mimic)は“擬態する”という意味で、新種の昆虫と人間の戦いを描くにふさわしいタイトルとなっています。
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『ブレイド2』
- CGアクションに注目
- 敵の造形の奇妙さはさすがとしか言いようがない
ヴァンパイアと人間の混血児であるブレイドは、ヴァンパイアを狩るハンターです。
相棒のスカッドと共にヴァンパイア討伐の一環としてプラハに潜伏していましたが、死んだはずのかつての仲間・ウィスラーが、ヴァンパイアのアジトに囚われていることを知り、救出に向かいます。
ある日、ブレイドたちのアジトにヴァンパイアの大君主・ダマスキノスの娘であるニッサらが侵入。
自らを“休戦の使者”と名乗るニッサらに対し、ブレイドは困惑しながらも休戦協定を交わしました。
ダマスキノスの城に招かれたブレイドたちは、ヴァンパイア化の感染源である“アルゴウイルス”が進化した新種ウイルス“リーパー”により発現した“死神族(リーパーズ)”の存在を知らされます……。
マーベルコミックを原作としたアクションホラー映画『ブレイド』シリーズの2作目です。
『ブレイド1~3』
primeで観れるじゃない✨
これほんと面白い奴だから‼️
特に「ブレイド2」これがお気に入りです✨
ノーマン・リーダスも活躍してるし!ウェズリー・スナイプスが最高にカッコイイ
新種のヴァンパイア VS ブレイドとヴァンパイア精鋭部隊の共闘がマジ最高です!! pic.twitter.com/PRrpwj17wI— かむい (@x15_Kamuikotan) November 13, 2019
この作品の監督を務めたことで多くの人にその名を知らしめることになったギレルモ・デル・トロ。
マンガやアニメが好きなこともあり、1作目よりもアクションに重きを置いたよりマンガ的な楽しさを披露しています。
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『ヘルボーイ(2004)』
- デル・トロ自身がハマったコミックの映画化
- 悪と戦う心優しい悪魔の魅力がたっぷり
1944年、第2次世界大戦の敗色が濃厚だった旧ドイツ軍は、形勢逆転のために“ラグナロク計画”を実行しようとしていました。
しかし、アメリカ軍がこれを阻止し、計画の中心人物であったラスプーチンは魔界への入り口に吸い込まれてしまいます。
これによって長時間に渡り魔界への入り口を開けていた結果、地上に悪魔の赤ん坊が迷い込んでしまいました。
アメリカ軍のブルーム教授は、全身が真っ赤なこの赤ん坊を“ヘルボーイ”と名付け、育てることに決めます。
60年後、ヘルボーイは超常現象調査防衛局(BRPD)のエージェントとして超自然的な存在と戦い続けていました。
ある日、博物館に強力な悪魔が出現。
ヘルボーイは苦戦しながらもこれを撃退し、ブルームは半魚人であるエイブ・サピエンが持つサイコメトリー能力により、ラスプーチンが復活したことを知りますが……。
#いいねの数だけオススメ映画を挙げてみる④
『ヘルボーイ』デルトロ監督のアメコミ映画!始まりのシーンだけでもご飯何十杯もイケるぐらい面白い!軽めの口調だったり、彼女に対して悩んだりと”悪魔少年”のピュアっぽさが爆裂!シッポアクションやゴッツイ腕などロボ好きも楽しめる!ナチロボ仮面! pic.twitter.com/7aqM8VEDmK— 三瀬 弘泰(日本SF読者クラブ会長) (@sfdaisakusen) June 28, 2018
同名のアメリカン・コミックの映像化作品。
原作者であるマイク・ミニョーラは『ブレイド2』で美術監督を務めており、『ヘルボーイ』でもモンスターのデザインなどで参加しています。
デル・トロ監督のヘルボーイ、サマエルとか死の天使とか「さすがにここはCGでしょ?」てのを全部アニマトロニクスでやっちゃうこだわりかたが好き pic.twitter.com/phAwxScNt3
— 鉄面あなざ (@Gadjetmovie) November 3, 2019
デル・トロがファンだと公言している小説家のハワード・フィリップス・ラヴクラフトへのオマージュが随所に見られる遊び心の詰まった作品です。
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『パンズ・ラビリンス』
- 数々の賞にノミネート、または受賞した魅惑のダークファンタジー
- 奇妙で恐ろしいクリーチャーが登場、驚きの連続
内戦で父親を亡くした少女・オフェリアは、妊娠中の母親と共に、母親の再婚相手であり独裁政権陸軍のヴィダル大尉に引き取られ、森の中にある軍の砦に移り住みます。
レジスタンス討伐を指揮する冷酷かつ残虐なヴィダル大尉は、生まれてくる自分の子だけを気にかけ、母親も夫の顔色ばかりをうかがうため、オフェリアは孤独で寂しい日々を過ごしていました。
砦での生活はオフェリアにとって徐々につらいものに変わっていき、本の中の妖精やおとぎ話の世界に夢中になっていきます。
オフェリアの相手をしてくれるのは家政婦のメルセデスだけでしたが、実はメルセデスの弟はレジスタンス運動に身を投じており、メルセデス自身もヴィダル大尉の目を盗んで運動に協力していました……。
ギレルモ・デル・トロを一躍有名にしたダークファンタジー。
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グロテスクなシーンや胸が締めつけられるようなシーンも多々ありますが、ハラハラドキドキさせられる非常に深い作品です。
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『永遠のこどもたち』
- 短編映画やミュージックビデオ制作で活躍していたJ・A・バヨナの長編映画初監督作品
- プロデューサーとしても実力を発揮するデル・トロの渾身の一作/li>
海辺の孤児院で育ったラウラは、夫のカルロスと息子のシモンと共に、閉鎖された孤児院の元に移り住みます。
ラウラはこの孤児院を買い取り、障害のある子供たちのための施設にしようとしていました。
開園準備を進める中、シモンが空想の友達と遊んでいる姿にラウラはどことなく不安を感じ始めます。
数日後、施設の開園パーティーが行われた日、ラウラの心配も虚しくシモンが姿を消してしまいました……。
ギレルモ・デル・トロが製作総指揮として参加した作品。
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ただのホラー、ただのファンタジーではない細やかな心象表現が魅力の作品です。
『長ぐつをはいたネコ』
- 愉快で痛快なアニメーション映画
- 『シュレック』シリーズ未視聴でも楽しめる作品
“長ぐつをはいたネコ”ことプスは、孤児院でイメルダによって育てられましたが、無実の罪で街を追われ賞金首になっていました。
そんなプスは、街の酒場で魔法の豆の話を耳にします。
魔法の豆とは、プスが自身の半生を費やしても見つけることができなかったものでしたが、ジャックとジルが魔法の豆を持っているという情報を聞き、盗みを働こうと考えます……。
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ドリームワークス・アニメーション製作の『シュレック』シリーズの前日譚で、『シュレック2』の脇役でありながら人気を集めた“長ぐつをはいたネコ”を主役としたスピンオフ作品です。
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『MAMA』
- 『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』で知られる監督の長編デビュー作
- 精神異常と狂気が広がるホラー
- デル・トロはプロデューサーとして参画した作品
投資仲介会社の経営者であるジェフリーは精神を病んでしまい、共同経営者2名と自らの妻を殺害してしまいました。
幼い2人の娘を連れて森の奥の小屋へたどり着いたジェフリーは、そこで姉妹を殺害しようとしますが、小屋に潜んでいた何者かに襲われて姿を消します。
5年後、ジェフリーの弟であるルーカスは、あの小屋で姉妹を発見。
奇跡的に生き延びていた姉妹の精神状態に強い興味を持ったドレイファス博士に協力を要請し、ルーカスは恋人のアナベルと姉妹と共に、ドレイファス博士が用意した家で共同生活を始めました。
しかし、共同生活を始めてから、アナベルの周りで奇妙な現象が起こり始めます……。
監督のアンディ・ムスキエティが過去に制作した短編映画を基に作られたホラー映画。
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プロデューサーとして参加したデル・トロの作品にも見られる渦巻く狂気や奇妙な幻想が、間違いなく恐怖心を煽ります。
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『パシフィック・リム』
- スポーツ映画からインズピレーションを受けたというスポ魂ストーリーが熱い!
- デル・トロの愛が詰まった怪獣・ロボット映画
2013年、太平洋グアム沖の深海に異世界と繋がる割れ目が生じ、そこから現れた怪獣がサンフランシスコを襲撃。
米国陸海空軍の6日間に及ぶ総攻撃によってこれを駆逐しますが、その後も別の怪獣が次々に出現しました。
太平洋沿岸都市が襲われるようになったため、沿岸諸国は“環太平洋防衛軍(PPDC)”を設立し、怪獣迎撃用の巨人兵器・イェーガーを造り出します。
イェーガーの活躍により人類は一時的に優位に立ちますが、怪獣が出現するペースは少しずつ早まっていき、再び人類は劣勢に追いやられました。
2024年、怪獣襲来の急激な増加に対し、イェーガーの生産が追いつかないことを問題視した各国の首脳陣は、イェーガー計画を中断することを決めます。
同時に各国の沿岸部に巨大防護壁を建造、徹底した防御策に出ることを決定しますが、その壁も徐々に効力を失い、人類は滅亡の危機に陥ります……。
ギレルモ・デル・トロが愛してやまない怪獣とロボットが戦う作品。
日本のアニメ文化に造詣が深いデル・トロによって、ロボットのデザインはガンダムをイメージしたものがあったり、菊地凛子や芦田愛菜が出演したりと日本で大きな話題となりました。
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『シェイプ・オブ・ウォーター』
- デル・トロの最高傑作!
- “愛”とは何かが問われる、儚くて現実的なファンタジー
1962年、冷戦下のアメリカ。
発話障害を持つ女性・イライザは映画館の上にあるアパートで暮らし、機密機関“航空宇宙研究センター”で清掃員として働いています。
アパートの隣人である同性愛者のジャイルズや、いつもイライザを気遣ってくれる仕事場の同僚でアフリカ系女性のゼルダに支えられながら、穏やかに毎日を送っていました。
イライザはそんな生活の中で、恋人や寄り添える男性がいないことに孤独を感じているのでした。
ある日、研究所に1体の生物を入れたタンクが運び込まれます。
その生物を邪険に扱った軍人が報復を受けて指を失う騒ぎがあり、清掃のために部屋に入ったイライザは初めてその生物と対面しました。
生物は半魚人のような異形の姿でしたが、独特の雰囲気と高貴な風格を持ち、イライザを夢中にさせます。
イライザは生物の好物を与えることや手話を教えることで意思の疎通をはかり、2人はやがて親密な関係になっていきますが……。
アカデミー賞最多12部門ノミネートの快挙を果たした作品。
アカデミー賞で作品賞と監督賞、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、ゴールデングローブ賞で監督賞と音楽賞など多くの賞を受賞し、高く評価されました。
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激しい性描写やグロテスクな描写があることから年齢制限がかかった映画ですが、より多くの人に観ていただきたい一作になっています。
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ギレルモ・デル・トロ監督・製作おすすめ映画10選・まとめ
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【ストーリー原案・製作】#ギレルモ・デル・トロ
2006年のアカデミー賞では6部門ノミネート!
撮影賞 美術賞 メイクアップ賞を受賞✨
2017年には最多4部門の受賞を果たす多くのファンの心を掴むフィルムメーカー#スケアリーストーリーズ pic.twitter.com/3rGrFDTQUY
— 映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』大ヒット上映中! (@scarystoriesjp) February 28, 2020
いかがだったでしょうか。
幻想的な雰囲気と独特の世界観でアンチリアル作品の巨匠となったギレルモ・デル・トロ。
数々のファンタジーの背景に現実的な問題が孕まれている奥深いストーリーを生み出し続けています。
明るくユーモア溢れる人柄で愛されているデル・トロの愛が詰まった映画に今後も注目していきたいですね。
そんなギレルモ・デル・トロ監督の最新作『スケアリーストーリーズ 怖い本』は、2020年2月28日から公開中。
ぜひ、劇場でご覧ください!
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