映画:『グッド・ナース』あらすじ・感想!エディ・レッドメイン迫真の演技!殺人鬼だけが問題ではない大事件とは?

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Netflixオリジナル映画として配信中の『グッド・ナース』は、実際にあった看護師による連続殺人を基に描いたサスペンスです。

実在の殺人鬼を演じたのは『ファンタスティック・ビースト』シリーズで主人公を演じるエディ・レッドメイン。

共演には『ゼロ・ダーク・サーティ』(13)のジェシカ・チャステインが名を連ねています。

シリアルキラーの狂気を描く作品…と思いきや、その背景には医療システムの欠陥や、人命よりもビジネスを優先していた病院側の問題もあぶりだす作品となっていました。

ポイント
・好感度溢れる役者の不気味な演技
・病院側は裁かれないのか?
・浮き彫りになる社会保障制度の厳しさ

それでは『グッド・ナース』をネタバレありでレビューします。

『グッド・ナース』あらすじ【ネタバレあり】


良き看護師・チャーリー

1996年。ペンシルベニア州聖アロイシウス病院。ひとりの入院患者が突如発作を起こす。駆け付けた男性看護師が医師を呼び、懸命な治療が行われるも、患者は息を引き取ってしまう。看護師はその様子を部屋の片隅で静かに見守るだけだった。

2003年。ニュージャージー州パークフィールド記念病院。夜勤看護師のエイミー(ジェシカ・チャステイン)は、患者とその家族思いの良き看護師だ。しかしエイミーはシングルマザーで心筋症を患ってるだけでなく、会社から社会保険が適用されるまで4か月もあることから、手術を受けられないでいた。

そんななか、彼女の同僚としてひとりの男性看護師チャーリーこと、チャールズ・カレン(エディ・レッドメイン)が配属される。

エイミーが担当する患者アナとのやり取りもスムーズで、別の病院から転職してきたチャーリーはすぐにエイミーのよき仕事のパートナーになった。

ある日、心筋症の発作に苦しむエイミーを見かねたチャーリーは、エイミーの助けになりたいと打ち明ける。チャーリーもまた、シングルファーザーだと明かし、片親で子どもを育てる大変さを知っていた。

保険が適用される4か月の間、チャーリーはエイミーの子どもたちとも親しくなる。エイミーにとってもチャーリーは良き看護師であった。

チャーリーが配属されてすぐ、エイミーの担当する患者のアナが突如亡くなった。

チャーリーと病院側の不審点

突然のアナの死に動揺するエイミーだが、病院は詳細を知らないの一言だけで、遺体も病室にほとんど放置された状態だった。チャーリーは自分の母もアナの最期と同じようなものだったと明かす。

アナの死から7週間後。彼女の死を不審死としてブラウン刑事(ノア・エメリッヒ)とボールドウィン刑事(ンナムディ・アサマア)が捜査に当たっていた。

しかし、アナの遺体はすでに火葬されており検死できない。さらに病院の内部調査を理由に7週間も通報が遅れている点など、不可解なことが多くあった。

2人の刑事は職員全員に取り調べを行うが、その場には必ず病院の関係者が同席するという。

ボールドウィン刑事たちは、チャーリーが過去にペンシルベニアで不法侵入の罪で逮捕されていたことに注目する。

エイミーが取り調べを受ける際、ちょうど担当者が席を外したすきに、刑事は内部資料をこっそりエイミーに確認させる。

それを見たエイミーは、アナの死はインスリンの大量投与によるものだと説明する。彼女の死が医療ミスではなく故意の可能性が高いと見た刑事たちは、チャーリーが加害者の可能性がないかエイミーに尋ねる。

しかしチャーリーにはアリバイがあると説明し、信頼するチャーリーを犯人扱いされたことをエイミーは怪訝に思うのだった。

患者を殺害する驚きの手口

ある時、チャーリーは心筋症に苦しむエイミーにこっそり病院内の薬を渡す。

病院で使用する「ピクシス」というシステムには欠陥があり、薬が出される直前にキャンセルボタンを押すと、システムには記録されずに薬だけ出てきてしまう。その欠陥を使ってエイミーに薬を渡していたのだ。

一方、ボールドウィン刑事はチャーリーの元勤務先に連絡をしていたが、どの病院も彼については一切の情報を教えてくれなかった。チャーリーは9つの病院を転々としているのに、どの病院もだんまりだった。

そしてエイミーの勤める病院ではまた一人、ケリーという女性患者が亡くなった。

不審に思ったエイミーは、チャーリーが以前勤めていた病院にいる友人と会う。彼女にチャーリーの話を聞くと「インスリンの大量投与で患者を殺していたうわさがあった」「チャーリーが病院を去ってから、患者が毎晩亡くなっていたのが、月1回に減った」と明かす。

エイミーは病院に戻り、患者の点滴に打つ生食液をチェックすると、触らなければ漏れ出ないほどわずかな穴が開いているモノを発見する。

生食液にインスリンを入れることで、ゆっくりと血液に入るため、アリバイをごまかしながら患者を時間差で殺害することが可能になる。

エイミーはボールドウィン刑事たちに患者の殺害方法と、チャーリーがピクシスのシステム欠陥を利用してインスリンなどを持ち出していることを明かす。

さらにエイミーの話と病院側が開示した説明に大きな食い違いがあることから、病院がこの事件を隠ぺいしようとしていることも明らかになった。

しかし決定的な証拠がないため、土葬されたケリーの遺体を検死に出す。その結果、ケリーの体内からインスリンが検出された。チャーリー逮捕まであと一歩のところで、病院はチャーリーを解雇する。その理由は「応募書類の日付に不備があったため」だった。

ついに本性を見せるチャーリー

このままでは、チャーリーは素性を隠してまた転職先で患者を殺す。彼を危険視した刑事たちはエイミーに協力を仰ぐ。

それはチャーリーとエイミーが2人きりで会い、真実を話して自白させようとするものだった。エイミーと再会したチャーリーはまた別の病院に再就職していた。

今日が初出勤と話すチャーリーに、病院で続いている不審死について話すと「その話はしたくない」と態度が変わる。事件については何も話さずその場を去るチャーリーだが、新しい勤め先に向かう途中、チャーリーは逮捕される。

取り調べを行うブラウン刑事とボールドウィン刑事だが、一切口を割らないチャーリー。やがて様子がおかしくなり、ついには「話すことはできない」と叫び続けるだけになってしまう。

自白を得られず、チャーリーの釈放が前日に迫ったなか、エイミーは再びチャーリーと対峙する。自分が捜査のためにチャーリーを裏切ってしまったこと、自分だけでなく家族も支えてくれたことに感謝を述べるエイミー。

最後に、誰を殺したか名前だけでも教えてほしいと懇願すると、チャーリーはアナやケリーをはじめ、多くの患者の名を口にしだすのだった。

チャーリーは死刑を免れるために、29人の殺害した患者を明かしたが、実際の被害者数は400人に上ると予想されている。チャーリーは18回の終身刑を言い渡され、今も服役中である。

エイミーは無事心筋症の手術を受けることができ、現在はフロリダで娘と孫と暮らしており、今も良き看護師として働いている。

なお、チャーリーの不審な行動に気づきながらも何もしなかった病院に対しては、1件も刑事告訴はされていない。

『グッド・ナース』感想

Netflix グッド・ナース

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好感度溢れる役者の不気味な演技

『グッド・ナース』における最大の見どころは、なんと言っても主演エディ・レッドメインの演技でしょう。

エディ・レッドメインといえば、『博士と彼女のセオリー』で病に侵されていくホーキンス博士を演じてアカデミー主演男優賞を受賞したほか、『リリーのすべて』では世界では初めて性別適合手術を受けたリリー・エルべを演じて大きな話題を集めました。

最近では『ハリー・ポッター』シリーズのスピンオフ作『ファンタスティック・ビースト』シリーズにて、主人公二ユート・スキャマンダーに抜擢されるなど、今や生粋の映画ファンでなくても、その顔を知られる俳優の一人です。

そんなエディ・レッドメインが『グッド・ナース』で演じたのは、今も刑務所で服役している連続殺人犯で元看護師のチャールズ・カレン。同僚となるエイミーやその家族と接するときは気さくで親切な男性ですが、その裏の顔はいくつもの病院で患者を殺害する殺人犯でした。

これまでエディの代表作と言えば繊細であったり、心優しいキャラクターが多い中で、動機も明かさず何度も殺しを続ける恐ろしい役はかなり異例です。

一方で、エイミーに見せる表の顔はまさにこれまで演じてきた役から見ると、かなりハマり役でもあります。

そんなエディ演じるチャーリーが時折見せる冷酷な表情はゾクっと身震いすること必須。特に取調室で同じ言葉を連呼し続けるシーンはまさに狂気的でした。

病院側は裁かれないのか?

本作は単にチャーリーの凶行だけを捉えたサスペンス映画ではありません。そもそもチャーリーがこれまで一度も殺人の罪で捕まらずに、看護師として転職を繰り返すことができたのは、病院が患者の命よりもビジネスを優先した結果です。

チャーリーがエイミーに「なぜ殺しをしたのか?」と聞かれた際に「誰も止めなかったから」と答えているのもその証拠です。

恐ろしいのは、病院側がチャーリーの犯行にうすうす気づいていながら、病院の評判が落ちることを避けるために事件を隠蔽をしていることです。

エイミーたちが勤務する病院では、刑事に捜査協力を惜しまないといいつつ、必要な資料を提出せず、取り調べにもいちいち同席して刑事の動向を監視するなど、明らかに捜査妨害に近いことをしています。

それが1つの病院ならず、チャーリーが配属されていた病院すべてというのだから、病院の信頼は地に落ちたも同然でしょう。

エンディングの前にはテロップで「今回の事件で刑事告訴された病院はひとつもない」と表示されているあたり、またチャーリーのような殺人犯が現れたとき、同じ悲劇が繰り返されるのではないか不安か残ります。

浮き彫りになる社会保障制度の厳しさ

本作でもう一つ気になったのが、ところどころで垣間見えるアメリカ社会の保険制度の厳しさです。エイミーはシングルマザーなうえに心筋症を患っているにもかかわらず、社会的なサポートはほぼなく、夜勤で体に鞭打ちながら働く姿が見られます。

チャーリーに手術を受けるべきと説得されても「保険が適用されないので、手術代が払えない」と打ち明ける場面も。

そもそもアメリカの公的医療保険は、高齢者や障害者、低所得者のみを対象とするものです。それ以外の人は民間の医療保険を利用します。

日本のような国民健康保険や社会保険とは異なるうえに、医療費も高額なことで知られています。エイミーが心筋症の診察を受けた際は、保険なしで検査・診察で980ドル支払っています。それも大掛かりな医療機器など使っていない、ごく普通の病院での診察です。

日本は保険適用内であれば自己負担が3割で済むので、保険のないエイミーの境遇はショッキングでもありました。

ちなみにオバマ政権では、フルタイムの従業員を50人抱える雇用主は健康保険の提供を義務づける「AffordableCareAct(ACA)」という制度が導入されています。

しかし『グッド・ナース』の作中は2003年と、オバマ政権前にあたるためか、エイミーは就業してすぐ保険適用とはなっていません。作中スタート時は4か月待たないと保険に入れない状態でした。(参考URL:https://www.faircongrp.com/news/letter/6622/)

『グッド・ナース』あらすじ・感想まとめ

要点まとめ
・優しいイメージを覆すエディ・レッドメインの怪演は必見
・チャーリーに並ぶ大罪を犯した病院の問題はまだ解決していない
・日本とアメリカの保険へのギャップが凄まじい

以上、ここまで『グッド・ナース』をレビューしてきました。

ちなみに本作のチャールズ・カレンにフォーカスしたドキュメンタリー映画『キラーナース:その凶器を追跡する』もNetflixオリジナルとして配信中です。

気になる方は合わせての鑑賞がおすすめです。

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