『下剋上受験』は、TBSで2017年1月の金曜ドラマ枠で放送されました。
原作は2014年に産経新聞出版から刊行された桜井信一の同名タイトルです。
中卒の父と偏差値41の娘が進学塾にも行かず、小5の夏から中学受験に挑むまでの約1年半にわたり、2人で最難関中学を目指した実話です。
主人公・桜井信一を演じるのは、幅広くどんな役でもこなす演技派俳優・阿部サダヲ。
信一の妻・香夏子を演じるのは、いくつになっても愛らしい深田恭子。
娘・佳織役には山田美紅羽がオーディションで約250人の中から選ばれました。
何と言っても実話ということで、中学受験生の家族にはとても気になるドラマになっています。
目次
【ネタバレ】『下剋上受験』あらすじ・感想
第1話 中学受験を目指すことになるまで
桜井信一(阿部サダヲ)は、幼少の頃から勉強もロクにせずに中学を卒業してからすぐに働きに出ました。
明るくて口が達者な信一は、不動産業の営業マンとして日々奮闘しています。
桜井家は下町にある古い集合住宅で暮らしていました。
信一の妻の香夏子(深田恭子)も中卒です。
一人娘の佳織(山田美紅羽)は、あまり勉強は得意ではないけど明るくて元気な小学5年生の子です。
ある日、佳織が受験した「全日本統一小学生テスト」の結果が届き、それが最悪だったことから、信一は心配になります。
翌朝、出勤した信一は、新入社員の楢崎哲也(風間俊介)の教育係をすることになったのですが、いきなり高級物件の担当客を楢崎に奪われてしまいました。
楢崎が名門大学出身であることが一因だったことが判明します。
この一件もあり、学歴は将来に多大な影響を与えるかもしれないと感じた信一は、佳織のことが心配になります。
そして信一は、佳織を塾に入れようと考え、入塾テストを受けさせました。
佳織の入塾テストの結果は最悪でした。
塾から勧められたのは一番下のクラスで、さらに高学歴な大学を目指すには、現在の佳織の学年や学力では既に手遅れだと説明を受けました。
帰り道、佳織が落胆している姿を見た信一は、一大決心をします。
信一は、中卒の自分は学歴なんか関係ないと早々と働いたけれど、やはり学歴が重要だということに気づきました。
そして、娘も自分のように苦労させる訳にはいかないと強く思い、娘に中学受験をさせることを決意したのです。
ミルトモ 編集部
第2話 「俺塾」で信一(阿部サダヲ)と佳織(山田美紅羽)が中学受験勉強に精を出すことになるまで
信一は佳織と一緒に勉強をして、佳織に最難関の中学に合格させるという一大決心をしました。
学習塾には通わず、自力で合格するという無謀な計画ですが、佳織も勉強をする決意をしました。
さっそく信一は勉強するために大量の参考書や学習ドリルを買いました。
しかし、妻の香夏子は、家計に余裕がないのに…と怒ります。
ある日、佳織のクラスに転校生がやってきました。
トクガワ開発社長の徳川直康の娘である麻里亜(篠川桃音)です。
麻里亜は、中学受験をするためにお嬢様学校から転校してきました。
成績は群を抜いて優れていたため、佳織は自分の成績に見栄を張ったことから、麻里亜は佳織に対してライバル視することになります。
香夏子は信一が本当に佳織のことを考えてこのようなことをしているのか心配になり、大量にある参考書を返品する、と言い始めます。
危機感を感じた信一は、中学受験の経験がある楢崎に教えてもらい一生懸命勉強をしたのですが、全く問題が解けませんでした。
楢崎は、佳織に学習塾の体験授業を受けさせるようアドバイスします。
信一はなんとか香夏子を説得し、学習塾の体験授業を佳織に受けさせることにしました。
体験授業には、徳川父娘がいました。
信一は、麻里亜の父・直康(要潤)が小学生時代の同級生だったことに気づいて驚きます。
小学生の時は2人は友達だったのですが、今となっては随分と身分が違っています。
体験授業は講師が問題を出し、挙手で答えるという方式でした。
最初の問題は麻里亜が見事に答えます。
2つ目の問題はなんと佳織が1人手を上げ、さっそく前の黒板に答えを書こうとしたのですが、途中で書く手が止まってしまいます。
そこに麻里亜が出てきて、その続きを解いてしまいます。
麻里亜は「あなたはやっぱり私のライバルじゃないわね」と言い放ちました。
そんな佳織を見ていた信一はいたたまれなくなり、佳織を連れ出しました。
そして信一は佳織に改めて二人で受験勉強を目指すことを宣言したのです。
信一の父・一夫(小林薫)は、信一と佳織のために勉強机を作ってくれました。
「俺塾」と名付けられたこの勉強部屋で、信一と佳織は本腰を入れて勉強に精を出すことになるのです。
ミルトモ 編集部
第3話 二人の受験勉強に対する周りへの影響
楢崎は、信一が勉強に夢中になり、仕事がおざなりになっていることで困っていました。
お客様との約束をすっぽかしたことにも気づかず、悪びれず受験についての話をする信一に、楢崎の不満はますます膨らむばかりです。
一方、佳織の担任・みどり先生(小芝風花)が「佳織の居眠りが増えた」ことを心配し、桜井家にやってきました。
中学受験のために勉強していることを伝えると、みどり先生は中学受験に猛反対します。
「中学受験の大半は親の見栄です。」
「娘のためと言いながら、結局親は自分のことしか考えていないじゃないですか。合格したとしてもその学校には賢い子たちがたくさんいるんですよ。合格したら終わりじゃないんですよ!」ときつく言い放ったのです。
その言葉を聞いた佳織は「お父さんをいじめないで!お父さんは佳織のためにがんばっているんだから。」とみどり先生に怒ったのです。
そして佳織は、信一に「佳織は受験をがんばるから!」と泣きながら抱きついたのです。
みどり先生は佳織の純粋な言葉にショックを受けました。
信一はみどり先生の言葉でショックを受け、中学受験は本当に佳織のためなのかと自問し始めます。
そして「佳織のためか?」と考えるより「佳織のために」がんばろうと決意したのです。
後日、みどり先生は「あなたはお父さんのことが好き?」と聞いてきました。
佳織は「好きです」と答えると、みどり先生は「私もあなたくらいの時に父のことが好きだったら」と言いました。
先生は自分の父親が教育パパだったので中学受験に専念する佳織のことが心配だったのですが、佳織が父親のことを愛していることを知ってホッとしたのです。
その後、佳織は学校のクラスで「つるかめ算」を解いてみんなから褒められました。
信一が「つるかめ算」を折り紙を使って教えてくれた成果が出てきました。
そんな中、会社ではついに楢崎の不満が爆発します。
「桜井さんは今回の件は何もしていません。私1人でしました!」とはっきり上司に言ったのです。
この言葉を聞いた信一は、初めて自分が勉強優先で仕事をおざなりにしていたために、楢崎に負担をかけ悩ませていたことを知るのでした。
ミルトモ 編集部
第4話 信一(阿部サダヲ)が仕事を辞め、香夏子(深田恭子)が仕事をすることになるまで
信一は仕事と勉強の両立が難しく、両方が中途半端になってしまうと考え、家族へ相談もせずに会社を辞めてしまいました。
そして、信一は内緒でアルバイトを始めたのです。
香夏子のもとに楢崎が訪ねてきました。
楢崎は信一が退職してしまったことに負い目を感じていたため、会社で起こった経緯を説明し、香夏子に謝罪したのです。
困った香夏子は一夫に相談すると、一夫は「女房は旦那に余計な口出しをしてはダメだ!あいつなりにちゃんと考えていることがあるんだから」と諭しました。
その頃、信一は算数の特殊算を佳織にどのように説明すれば良いか頭を悩ませていました。
中卒仲間たちと一緒に旅人算の実験をして理解を深めようとしました。
実際に計算通りに歩いたり、自転車で走ったりしたのですが、なかなか容易ではありません。
そこへ楢崎が現れ信一に謝罪すると、信一も「いいかげんな仕事をして申し訳なかった」と謝ったのです。
信一は、中学受験を経験している楢崎に協力をお願いし、楢崎は「俺塾」で佳織に特殊算を教えてくれたのです。
楢崎の説明はとても分かりやすく、佳織は理解することができました。
後日、一夫は信一に香夏子の思いを伝えてあげました。
信一は、香夏子と佳織が自分が仕事を辞めたことを知っていたことにショックを受けます。
信一は帰宅して、香夏子とようやく仕事についての話をしました。
香夏子の不満は爆発し、「私が仕事するわ!」と爆弾発言をします。
香夏子はなんと信一が働いていた不動産会社に面接に行き、採用されていたのです。
信一は止めようとしますが、佳織は「お母さん!すごい!お父さんがしていた難しい仕事をするんだね!」と応援してくれたのです。
ミルトモ 編集部
第5話 全国模試の結果で成果が出るまで
香夏子が働きに出ると、信一は専業主夫になり、佳織の受験勉強に専念します。
麻里亜がずっと学校を休んでいたので、佳織が彼女の自宅を訪ねると麻里亜は家で受験勉強に励んでいました。
麻里亜は、佳織に桜葉学園の過去の入試問題を解いてみることを勧めます。
佳織はさっそく挑戦してみたのですが、一筋縄では解けない問題ばかりでした。
麻里亜は満点で佳織はショックを受けます。
そんな佳織に、信一は現在の実力を知るために、全国模試を受けることを提案します。
仕事を始めた香夏子は持ち前の人当たりの良さが功を奏し、担当客から気に入られ、やりがいを感じていました。
信一は嬉しく思う反面、複雑な気持ちを抱いていました。
ある日、客から約束の時間を1時間早めてくれという急な依頼があり、香夏子は家を飛び出します。
この時、急いでいたためガスコンロを消し忘れてしまいます。
この日は、佳織が受ける全国模試の日でした。
試験会場には麻里亜と父の直康がいました。
信一と直康は久しぶりに話をします。
直康は、妻に出て行かれてしまい、母親がいない家庭環境で娘を育てていく難しさを感じていたので、娘と仲良くしている信一から色々と聞こうとしています。
その時、信一のアパートの管理人から電話があり、信一は慌ててその場を飛び出したのです。
香夏子がガスコンロを消し忘れたため、消防車が来て大騒ぎになっていたのでした。
夜、仕事から帰ってきた香夏子に、信一は「お前、最近浮かれてんじゃないか?キャリアウーマンになったつもりなんじゃないか?」と怒りました。
すると家にいた一夫が「そんな言い方ないだろ?信一はやきもち妬いてんだ。信一は家で勉強、香夏子さんは外で働くと決めたんだろ?佳織のために」と諭したのです。
佳織の全国模試の結果発表の日、信一は佳織と一緒に塾に行きました。
香夏子も仕事を抜け出し、塾に向かいました。
模試の結果は予想以上に勉強の成果が出ていて、塾からもびっくりされたのです。
ミルトモ 編集部
第6話 スランプとバーベQ大会
佳織が6年生になり、保護者面談のために信一は学校に行きました。
そこで直康と会うと、娘の麻里亜の成績が落ちこんでおり、佳織との友達付き合いをやめさせたいと言ってきたのです。
信一は、佳織の成績も伸び悩んでいたこともあり、この申し出を受け入れました。
家に帰りこのことを話すと、佳織と香夏子は猛反発しました。
香夏子は楢崎にこのことを相談しました。
信一が行きつけの居酒屋ちゅうぼうでやけ酒をあおっていると、そこに楢崎が現れ信一を一喝しました。
そして、佳織の成績が伸び悩んでいることを聞くと、その原因は忘却曲線という記憶のメカニズムが一因となっていると話しました。
人間は何か物事を覚えてから何もしないとすぐに忘れてしまうので、忘れないためにはちゃんと「復習」をする必要がある!と力説しました。
これを聞いた信一は一気に目が覚めて、すぐに家に帰ります。
そして、信一は麻里亜と付き合いをやめるよう言ったことを佳織に謝り、忘却曲線のことを説明しました。
佳織は麻里亜とみどり先生と話をしたことを伝えます。
麻里亜は佳織に勉強を教えることを楽しんでいたのですが、自分の勉強がおろそかになって成績が落ちたことを悩んでいました。
するとみどり先生は、お互いに勉強を一生懸命してライバルとして頑張ることを提案してくれました。
佳織と麻里亜は会うことを一端やめ、ライバルとして頑張ることを誓ったのです。信一は感動しました。
信一は、受験前の最後の気分転換としてバーベキューを企画しました。
バーベキュー当日、直康が一人で現れ、娘は自分で決めて家で勉強していると言います。
直康は、自分が小学生の時の気持ちに重ねて麻里亜の気持ちが分かると言うのですが、信一は「麻里亜ちゃんは本当は来たいんだよ」と言い、二人は取っ組み合いになりました。
その時、麻里亜がみどり先生と同級生と一緒にやってきました。
実は香夏子がみどり先生を誘い、同級生が家にこもっていた麻里亜を誘ったのでした。
みんなバーベキューを思いっきり楽しむことができました。
そして、佳織と麻里亜は一緒に最難関の中学校に行こう、と誓い合いました。
ミルトモ 編集部
第7話 受験勉強や家事、アルバイトで参ってしまう
信一は、勉強、家事と多忙な日々を送っていましたが、受験費用を稼ぐためアルバイトを再開しました。
全く休む暇がなくイライラして、香夏子と佳織にあたり散らしました。
信一は「こころのクリニック」に行くと、そこで直康に会いました。
直康は仕事のことで悩んでいてクリニックに来ていたのです。
麻里亜の受験勉強の進み具合について尋ねると順調に進んでいるようで、信一はますます焦りを覚えます。
一刻の猶予も許されないと感じた信一は、受験勉強の邪魔になるものについては極力排除したいと考えるようになりました。
信一は佳織が体育の授業で跳び箱をしていることを知ると、突き指をして受験勉強に支障が出ることを心配します。
そして学校に行き、みどり先生に体育の授業を休ませる旨を頼んだのです。
香夏子は仕事のことで悩んでいました。
会社での試用期間を経て、不動産物件を1人で任されることになったのですが、なかなか契約が取れずに落ち込んでいたのです。
一夫は桜井家について心配していました。
そして、桜井家の家計を助けるために、自分の家を売りたいと香夏子の上司に相談しにきました。
ある日、信一は佳織と勉強をしている時に胸が苦しくなってそのまま倒れてしまいます。
信一はそのまま寝てしまいますが、佳織はそっとしてあげました。
そんな中、佳織が体育の授業でドッジボールをして右手を怪我してしまい、鉛筆を握ることができなくなります。
信一は体育の授業に参加したことに憤り、「もうやめるか!勉強。ちっとも成績が上がらないじゃないか!」と叱責します。
「もうがんばらなくてもいい。もう終わりにしよう。佳織!もう何もしなくていいぞ!勉強なんかやめちまえ!」と叫んで、そのまま出て行ってしまったのです。
佳織が追いかけて行きました。
神社に着いた信一は佳織に言います。
「やっぱり夢は夢なんだよ。佳織のせいじゃないよ。お前は俺の子なんだから。忘れちゃうのは仕方ないんだよ」と言いました。
ふと絵馬を見ると「お父さんのイライラが治りますように」「勉強が覚えられますように」といった佳織が書いた絵馬が山のようにあることに気づきます。
佳織は「私を見捨てないでね!」と言うと、感動した信一は「見捨てるわけないじゃないか!お前は俺の娘だぞ!」と言って2人で抱き合いました。また絆が戻りました。
後日、佳織は模擬試験を受けます。
この結果発表の日、信一と直康は胃が傷み、2人ともクリニックを訪れます。
ここで直康は麻里亜とは血がつながっていないことを告白します。
信一は驚き、その後、胃に激痛を感じてそのまま救急車で運ばれてしまいます。
ミルトモ 編集部
第8話 家族の危機と佳織(山田美紅羽)の成果
信一は胃潰瘍で倒れ、そのまま入院をすることになります。
佳織が受けた模試は、なんと勉強を始めた時よりも偏差値が下がっているというショッキングな結果でした。
これを知った信一は、病院で佳織の模試の回答を見て、ミスが多いことに気づきます。
信一が退院すると、アパートに入ることができませんでした。
家賃を滞納したため、大家に鍵を変えられてしまっていました。
一夫は楢崎から家の売却は難しいと言われてしまいます。
さらに、一夫は自宅で転倒し、入院することになってしまいます。
一夫や信一の災難、香夏子の仕事の不調などが重なると、佳織はこれら全てが自分の中学受験のせいだと考えてしまいます。
香夏子は苦しんでいる佳織を見て、信一に「もう受験やめよう」と言いますが、信一は「俺にはわかるよ。お前が気にしているのは偏差値が落ちたからだ。佳織、逃げるのか?」と言いました。
信一の説得で佳織はもう一度受験をがんばることを決意します。
そして、その後の頑張りのおかげで、なんと佳織の偏差値が40から60を超えたのです!
ミルトモ 編集部
第9話 桜葉学園を受験する
佳織の受験まで2ヶ月を切りました。
偏差値も60を超えましたが、桜葉学園のレベルには届いていない状況でした。
信一は佳織の合格を信じ、桜葉学園の入学願書の手続きを進めますが、楢崎は別の中学受験をするよう助言します。
香夏子は、佳織の受験が終わるまでは有給休暇をもらうことができました。
佳織は、三学期の授業を休むことを許可されました。
こうして信一と佳織は、中学受験までは勉強一本に集中しました。
しかし、受験目前にして佳織のモチベーションが下がってしまいます。
桜葉学園の過去問が難しくて解けなかったのです。
少しレベルを下げた問題はすらすらと解けました。
佳織の気持ちはどんどん凹んできて、桜葉学園ではなくてもいいという気持ちになってきました。
佳織の気持ちを知った香夏子は、佳織を小学校に連れて行き、同級生たちに応援してもらいます。
信一は、今年の桜葉学園の受験レベルが少し下がるという嘘の情報を伝えると、佳織は断然やる気が出ました。
そして、信一と最後の追い込みをかけたのです。
いよいよ受験当日、信一は佳織と受験会場に行き、激励の言葉を送ります。
「お父さんは受験させてもらえない。でも佳織は権利がある。小学校6年生、ただ1回限りの権利だ。」
「今までの努力を思いっきりぶつけてこい!あれだけ勉強してきたんだから絶対に頭のどこかにある。最後まであきらめるな!」
「今日、この場所までたどり着いたお前をお父さんは誇りに思うよ」
これを聞いた佳織は、意気揚々と受験会場に入っていきました。
信一は保護者面接を受けます。
面接官から「どうして本校を受験したのですか?」と聞かれた時に「娘を愛していたからです」と、気取らず正直に本音を伝えました。
合格発表の日、緊張の面持ちで信一と佳織は発表会場に来ました。
277番、佳織の番号はあるのでしょうか。
ミルトモ 編集部
第10話(最終回)星の宮女学院に合格する
結果は、不合格でした。
佳織は自宅に戻ると「俺塾」にこもり、受験問題を解きなおし、何が分かっていなかったのかを確かめました。
佳織は「ある程度の努力だけでは勝てる相手ではなかった。私もパパも少し甘く見ていたよね。こんなにがんばっているんだから神様も見放すことはないと思っていたけど」とつらい現実を直視しました。
すると、香夏子は受験票を出してきました。
この中学校は桜葉学園の次に難しい中学校で、香夏子は桜葉学園に落ちた場合のことも考えて受験手続きをしていたのです。
信一と佳織は3日後に迫っている星の宮女学院の受験に向けて、再度勉強に励みます。
受験当日、佳織が受験している間、信一は保護者面談に挑みます。
信一は中卒のことを突っ込まれると、毅然として答えました。
「はい!家庭の事情でそのようになりましたが、娘にはそのようなことがないように受験させました」
星の宮女学院の合格は、学校のサイトで発表されます。
発表の日、信一と佳織、香夏子たちは居酒屋ちゅうぼうでこのサイトを見ていました。
恐る恐る佳織は自分の受験番号423を探します。423がありました。
佳織は見事、星の宮女学院に合格したのです。
この快挙にみんなで大喜びです。
1年半もの間、一生懸命に受験勉強した努力がようやく報われた瞬間でした。
あきらめずに頑張れば必ず結果を出せるということを、証明できたのです。
後日、佳織の小学校の卒業式の日がやってきました。
この日、トクガワ開発社長の徳川直康が退任を発表し、取材に追われていました。
なんとか取材班を振り払って、徳川と麻里亜、そして信一と佳織は小学校に入って行きました。
そして無事に卒業式が執り行われます。
麻里亜は桜葉学園に合格しており、佳織に言いました。
「星の宮女学院の合格おめでとう!同じ学校には行けなかったけど、今度は同じ大学の「東大」に行こうね!」と言い、2人は笑顔で約束したのです。
これで1年半に渡った受験勉強が終わりましたが、信一はこの体験を少しでも多くの人に分かち合おうと、ブログにアップしました。
多くの人から支持され、出版社の目に止まり、「下剋上受験」として出版する運びになりました。
この本は好評で、信一はトークイベントまで開くことになりました。
イベントでは佳織の気持ちを録音したテープも流されました。
その中で、佳織は今回の受験について素直に感想を伝えています。
香夏子は、楢崎が課長に昇進すると、上司から「ぜひこれからは課長補佐としてがんばってほしい」と言われましたが、「家で相談します」と言いました。
実は、香夏子は妊娠していたのです。
桜井家にはこれからも明るい未来が待っていました。
ミルトモ 編集部